この記事でわかること
- 成年後見人や保佐人・補助人に対する報酬の目安がわかる
- 成年後見人や保佐人、補助人の業務について知ることができる
- 成年後見人、保佐人、補助人の報酬の内訳を知ることができる
判断能力の低下した人も、不動産の売買や相続に関する行為などの法律行為を行う場合があります。
判断能力が低下した状態で法律行為を行うためには、法律に則ってサポートしてくれる人を選任する必要があります。
そこで、成年後見人や保佐人・補助人を選任し、その権限を与えることとしています。
ところで、この成年後見人や保佐人、補助人に対しては、どれくらいの報酬を支払う必要があるのでしょうか。
報酬の相場や報酬の内容について解説していきます。
成年後見人や保佐人・補助人の報酬目安
成年後見人や保佐人、補助人に対しては、報酬を支払う場合があります。
成年後見人・補助人・保佐人を選任するのは家庭裁判所の裁判官ですが、報酬の額も裁判官が決定します。
成年後見人や保佐人、補助人に対する報酬を支払うのは、被後見人等としてサポートを受ける人です。
報酬の金額は、法律によって一律で定められているわけではありません。
そのため、被後見人等の保有する財産の額をもとに、裁判官が決定することとされています。
また、成年後見人等がどのようなサポートを行うのかも、報酬の額を決定する上では重要な要素とされます。
ただ、目安となる金額は、裁判所のホームページで公表されています。
東京家庭裁判所が平成25年に公表した資料では、成年後見人の通常の報酬は月額2万円とされています。
また、財産が高額な場合は月額が3万円~6万円とされており、保佐人や補助人に対しても、報酬の金額は変わりません。
長野家庭裁判所が平成31年に公表した資料も、報酬の額は1~2万円となっています。
こちらも、財産の額が大きくなると報酬の額が月額6万円程度まで増額されるとしています。
なお、成年後見人等に家族や親族が選任されることもあります。
家族や親族が成年後見人等になったとしても、報酬を支払うことはできます。
ただ、この場合でも報酬の額は家庭裁判所が決定しなければなりません。
仮に成年後見人等が勝手に自分の報酬としてお金を引き出してしまうと、不正な行為として犯罪になる可能性があるので要注意です。
成年後見人や保佐人・補助人の報酬内訳
成年後見人や保佐人、補助人に対する報酬の金額については、家庭裁判所で目安になる金額が定められているとわかりました。
この報酬金額は、どのような計算方法で定められるのでしょうか。
報酬の内訳としては「基本報酬」と「付加報酬」の2種類があることから、その違いや報酬金額の決定方法をご紹介します。
基本報酬
基本報酬は、成年後見人等が通常の業務を行った時に支払われる報酬のことです。
通常の業務を行った時とは、成年後見人等に就任して、その業務を行っている状態を指します。
家庭裁判所が示している報酬の目安として、基本的な金額は月額2万円とされていることが多いです。
この月額2万円というのが基本報酬の金額となります。
管理する財産の額が1,000万円超5,000万円以下の場合は、月額報酬が3~4万円となります。
また、管理財産の額が5,000万円を超えると、月額報酬は5~6万円となります。
なお、多くの家庭裁判所では、成年後見人・保佐人・補助人の基本報酬の額に差をつけていません。
しかし、中には成年後見人>保佐人>補助人と、基本報酬の額に差をつけている裁判所もあります。
もっとも、基本報酬の額は事案ごとに異なり、単に管理財産の額だけでは決まらない場合もあります。
そのため、すべての事例でこれらの傾向が当てはまるとは限りません。
付加報酬
基本報酬だけではカバーしきれない、特別な職務を実行した場合に発生する報酬です。
特別な職務が発生するケースとしては、以下のようなものがあげられます。
- 身上監護に特別困難な事情があった
- 損害賠償請求訴訟を起こし勝訴判決を得た
- 遺産分割調停を行った
- 不動産の売却を行った
このようなことは、必ずしもすべての人に発生するわけではありません。
そのため、基本報酬の中にはこれらの職務を行うための費用は含まれていません。
その代わり、これらの職務を行った場合、基本報酬とは別に報酬が付加されます。
付加報酬の金額の決め方には、法的な決まりはありません。
そこで、よくある計算方法をいくつかご紹介します。
- ①身上監護に特別困難な事情があった場合は、基本報酬額の50%以内で相当額を付加する
- ②不動産を3,000万円で売却した場合は、約40万円~70万円(収益×1.33%~2.33%)
まとめ
高齢化が進む中で、成年後見人・保佐人・補助人の支援を必要とする人が今後も増える可能性があります。
成年後見人等を選任するためには、家庭裁判所での審判を行う必要があります。
また、成年後見人等の報酬を決定するのも家庭裁判所であり、後見人等が勝手に報酬を支払い、あるいは受け取ることはできません。
報酬の金額には目安がありますが、必ず想定どおりの金額になるわけではないことに注意しましょう。
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