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最終更新日:2025/12/3

相続税はクレジットカードで支払える?実際は「納付書払い」を選ぶ人が多い理由

古尾谷 裕昭
この記事の執筆者 税理士 古尾谷裕昭

VSG相続税理士法人 代表税理士
東京税理士会 登録番号104851

東京、立川、千葉、埼玉、横浜、名古屋、大阪、神戸、福岡などの全国の主要都市24拠点にオフィス展開し、年間3,000件を超える日本最大級の相続税申告実績を誇る。業界最安水準となる明朗料金ときめ細かいフォローで相続人の負担を最小にすることを心がけたサービスが評判を得る。1975年生まれ、東京都浅草出身。

PROFILE:https://vs-group.jp/sozokuzei/profilefuruoya/
書籍:今さら聞けない 相続・贈与の超基本
Twitter:@tax_innovation
YouTube:相続専門税理士チャンネル【VSG相続税理士法人】

記事の要約

  • 相続税は、クレジットカードで納付することが可能
  • しかし、実際の現場では「納付書(現金)」で納める方が多い
  • その主な理由は、相続税は数百万円になることも多く、カードで払うと限度額を圧迫するから

「相続税はクレジットカードで払えるって聞いたけれど、本当?」

結論からお伝えすると、相続税をクレジットカードで納付することは可能です。

しかし、実際の現場では、多くの方がカードではなく「納付書(現金)」で相続税を納めています。

この記事では、「相続税でカード払いが選ばれづらい理由」と「カード払いが向いているケース」などをお伝えします。

なお、VSG相続税理士法人では、相続に関するご相談を無料で受け付けております。

相続税について、何かわからないことがある方は、下記からお気軽にご連絡ください。

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多くの方が「カード」ではなく「納付書」で納めている

この記事の流れ1

相続税を納める方法はいくつかあり、クレジットカードで払うことも可能です。

このため、「ポイントが貯まるから、相続税もクレジットカードで払ったほうがお得なのでは?」と思われるかもしれません。

しかし、実際の現場では、クレジットカード納付を選択される方は少数派です。

その主な理由としては、次の2つが挙げられます。

それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

理由1:カードの「利用限度額」を圧迫してしまうから

クレジットカード納付が選ばれない理由の1つ目は、「利用限度額」の問題です。

クレジットカードには、(一部を除いて)毎月の支払い金額に上限があり、ランクごとの限度額の目安は次のとおりです。

カードのランク 利用限度額
一般 10万円~100万円程度
ゴールド 50万円~300万円程度
プラチナ・ブラック 300万円〜

一方、相続税は税額が「数百万円」になるケースが珍しくありません。

そのため、多くの方にとって「納税額がカードの限度額を超えてしまう」のが現実です。

また、税額が限度額内に収まったとしても、納税で枠を圧迫してしまうと、ほかの支払いができなくなるおそれがあります。

このことから、「納付書(現金)」による納税を選ぶ方が多くなっています。

理由2:自分でWeb上の手続きをするのが面倒だから

2つ目の理由は、手続きにかかる手間を嫌がる方が多いことです。

クレジットカードで納税する場合、国税庁の専用サイトにアクセスし、以下の情報を自分で入力する必要があります。

入力する情報

  • 自分の氏名・住所・連絡先
  • 納付する税額
  • 管轄の税務署
  • 申告区分や課税期間 など

もし入力に間違いがあると、税務署で修正の手続きをしなければなりません。

一方、税理士に相続税の申告を依頼している場合は、「納付書の作成」まで代行してもらえます。

あとは、その納付書を持って、銀行や郵便局の窓口に行くだけで納税ができるため、多くの方にはその手軽さが好まれています。

なお、「納付書で払う(現金納付)」と聞くと、「数百万円の札束を持って、銀行へ出向く」ことをイメージして、不安に思われる方がいるかもしれません。

しかし、預金口座をお持ちの金融機関であれば、窓口に「納付書」と「通帳・銀行印」を持参するだけで、その場で口座から支払えます。

以上のことから、相続税の申告を税理士に依頼しているのであれば、納付書で納めたほうが手間は少ないといえます。

もちろん当事務所でも、相続税の申告~納付まで丁寧なサポートを心がけておりますので、相続に強い税理士を探している方は、下記からお気軽にご連絡ください。

「クレジットカード納付」が向いているケース

この記事の流れ2

ここまで、相続税は「納付書払い」がよく選ばれていることをお伝えしましたが、クレジットカード納付が向いているケースもあります。

具体的には、次の3つのいずれかに当てはまる場合には、カード納付を検討してみることをおすすめします。

以下では、それぞれのケースについて、詳しく見ていきます。

ケース1:納税額が少なく、限度額に余裕がある

ケース1

1つ目のケースは、納税額が「数十万円~100万円程度」と少なく、手持ちのカードの利用限度額にも十分な余裕があるときです。

このような場合、毎月の利用枠への影響は少ないため、カード払いも選択肢に入ります。

なお、多くのカード会社では「一時的な限度額の引き上げ」が可能です。

そのため、ほかの支払いとの兼ね合いで限度額に不安が残るのであれば、一度カード会社に相談してみてはいかがでしょうか。

ただし、審査結果によっては、限度額の増額ができないこともあります。

ケース2:カードのポイント還元率が高い

ケース2

2つ目のケースは、「クレジットカード納付の手数料」よりも「ポイント還元のメリット」のほうが大きいときです。

相続税をクレジットカードで納付する際は、納税額に応じた「決済手数料」がかかります。

納付税額 決済手数料(税込)
1円~10,000円 99円
10,001円~20,000円 198円
20,001円~30,000円 297円
30,001円~40,000円 396円
40,001円~50,000円 495円
50,001円~ 10,000円ごとに99円加算される

このことから、「もらえるポイント」が「支払う手数料」を上回らなければ損をしてしまいます。

たとえば、納税額が「100万円」のケースで考えてみましょう。カード還元率によって、「損得」は以下のように異なります。

カード還元率 0.5% 1.0%
獲得ポイント 5,000 円分 10,000 円分
決済手数料 9,900 円 9,900 円
損得 4,900 円の 100 円の

納税額ごとに損得の分岐点は変動しますが、目安としてはポイント還元率が「1.0%以上」ないと損をしやすいです。

なお、税金や公共料金を支払う際には、ポイント還元率が下がるカードもあります。

このため、ご自身のカードのポイント制度について、あらためて確認することをおすすめします。

ケース3:支払いを先延ばしにしたい

ケース3

3つ目のケースは、「今は、手元の現金を減らしたくない」という資金繰りの事情があるときです。

カード払いなら、実際に口座から引き落とされるのは「手続きしてから1~2カ月後」になるため、支払いを先延ばしにできます。

なお、「分割払い」や「リボ払い」も可能ですが、カード会社への手数料が発生するため、さらに負担が増える点には注意が必要です。

相続税をクレジットカードで納付する流れ

この記事の流れ3

ここからは、実際に相続税をクレジットカードで納付するときの具体的な手順を、次の3ステップでお伝えします。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

ステップ1:カード納付の可否を確認する

ステップ1

最初に、ご自身が「カード払いができる条件」を満たしているかをチェックします。

まず、相続税を納付できるクレジットカードのブランドは、次の5つです。

カード

  • Visa
  • Mastercard
  • JCB
  • American Express
  • Diners Club

各ブランドのマーク

カードブランドのロゴ

引用元 国税クレジットカードお支払サイト

お持ちのカードに上記のマークが付いていれば、どこのカード会社のものでも利用できます。

続いて、「決済金額の上限」も確認しておきましょう。

「税額 + 決済手数料」の合計額が1,000万円以上になる場合、一度の手続きでは決済できません。このため、手続きを複数回に分ける必要があります。

税額ごとの手数料は、「国税クレジットカードお支払サイト」で試算できるので、事前に確認しておくことをおすすめします。

ステップ2:専用サイトで手続きする

ステップ2

「カード払いができる条件」を満たしていることを確認できたら、実際の納付手続きに入ります。

まずは、下記のものを手元に用意しましょう。

準備するもの

  • クレジットカード
  • 相続税の申告書の控え
  • スマートフォンまたはパソコン

準備ができたら、「国税クレジットカードお支払サイト」にアクセスします。

そこでサイトの案内を参考にしながら、必要な情報を入力していきましょう。

入力画面

サイトの入力画面

引用元 国税クレジットカードお支払サイト

入力項目は多いですが、最低限「必須」と書かれている欄のみ記入すれば構いません。

具体的な入力方法は、下記のとおりです。

項目 入力方法
①利用者情報 ■ 納付する人(あなた)の情報を入力する
■ カードの名義人と一致している必要がある
②納付先税務署 申告書(第1表)の左上に記載されている税務署を選択する
③納付税目 ■ 「相続税」を選択する
④課税期間(自) ■ 「被相続人が亡くなった日(相続開始日)」を入力する
⑤申告区分 ■ 通常は「確定申告」を選択
■ 「修正申告」などの場合は、ご自身に合ったものを選ぶ
⑥合計額 申告書(第1表)のうち、ご自身の「申告期限までに納付すべき税額」欄の数字を入力する

▼申告書(第1表)で参照する箇所
相続税申告書(第1表)の参照箇所

ステップ3:完了画面を保存する

ステップ3

すべての入力を終えて決済をすると、下記のような「納付手続き完了」ページが表示されます。

「納付手続き完了」ページ

手続き完了ページ

引用元 国税クレジットカードお支払サイト

クレジットカード納付では、領収書が発行されないため、この画面が納税の証明となります。

そのため、プリントアウトするか、スクリーンショットを撮って、大切に保管しておきましょう。

相続税のカード払いに関するよくある質問

最後に、相続税のクレジットカード納付に関する、次の質問にお答えします。

Q1:税務署やコンビニの窓口でカード払いはできる?

クレジットカード納付に対応しているのは、インターネット上の「国税クレジットカードお支払サイト」のみです。

「税務署・金融機関の窓口」や「コンビニエンスストア」で、カードを使って納付することはできません

Q2:引き落とし日が「納付期限」を過ぎても大丈夫?

法律上の「納付日」は、サイトで「手続きを完了した日」になります

たとえば、納付期限が「10月31日」の場合、当日までにサイトで決済を完了していれば、実際の口座引き落とし日が「11月27日」になっても問題ありません。

Q3:家族名義のカードで支払える?

クレジットカード納付では、「納税者本人」名義のカードを使う必要があります

たとえご家族であっても、他人名義のカードは使用できません。

Q4:複数のクレジットカードで支払える?

1回の手続きで使用できるカードは1枚のみですが、納付手続きを複数回に分けることで、別々のカードで支払えます

たとえば納税額が100万円の場合、まずは「Aカードで50万円を納付」して、続けて「Bカードで50万円納付」する、などの対応が可能です。

納税方法に迷ったら「納付書払い」が確実

相続税をクレジットカードで納付するメリットは、還元ポイントが付くことです。

しかし、カード納付には「決済手数料」がかかることを考慮しないと、かえって損をしかねません。

このため、「余計なことは考えずに、すみやかに納税を完了させたい」という方は、「納付書」による納税をおすすめします。

VSG相続税理士法人にご依頼いただいた場合、納付書もこちらで作成してお渡ししているので、お客様がすべきことは「預金がある金融機関へ行って手続きするだけ」です。

相続税の申告・納税をスムーズに完了させたい方は、ぜひ当事務所までお気軽にご連絡ください。初回の相談は無料で承っております。

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