記事の要約
- 相続税は、クレジットカードで納付することが可能
- しかし、実際の現場では「納付書(現金)」で納める方が多い
- その主な理由は、相続税は数百万円になることも多く、カードで払うと限度額を圧迫するから
「相続税はクレジットカードで払えるって聞いたけれど、本当?」
結論からお伝えすると、相続税をクレジットカードで納付することは可能です。
しかし、実際の現場では、多くの方がカードではなく「納付書(現金)」で相続税を納めています。
この記事では、「相続税でカード払いが選ばれづらい理由」と「カード払いが向いているケース」などをお伝えします。
なお、VSG相続税理士法人では、相続に関するご相談を無料で受け付けております。
相続税について、何かわからないことがある方は、下記からお気軽にご連絡ください。
目次
多くの方が「カード」ではなく「納付書」で納めている

相続税を納める方法はいくつかあり、クレジットカードで払うことも可能です。
このため、「ポイントが貯まるから、相続税もクレジットカードで払ったほうがお得なのでは?」と思われるかもしれません。
しかし、実際の現場では、クレジットカード納付を選択される方は少数派です。
その主な理由としては、次の2つが挙げられます。
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
理由1:カードの「利用限度額」を圧迫してしまうから
クレジットカード納付が選ばれない理由の1つ目は、「利用限度額」の問題です。
クレジットカードには、(一部を除いて)毎月の支払い金額に上限があり、ランクごとの限度額の目安は次のとおりです。
| カードのランク | 利用限度額 |
|---|---|
| 一般 | 10万円~100万円程度 |
| ゴールド | 50万円~300万円程度 |
| プラチナ・ブラック | 300万円〜 |
一方、相続税は税額が「数百万円」になるケースが珍しくありません。
そのため、多くの方にとって「納税額がカードの限度額を超えてしまう」のが現実です。
また、税額が限度額内に収まったとしても、納税で枠を圧迫してしまうと、ほかの支払いができなくなるおそれがあります。
このことから、「納付書(現金)」による納税を選ぶ方が多くなっています。
理由2:自分でWeb上の手続きをするのが面倒だから
2つ目の理由は、手続きにかかる手間を嫌がる方が多いことです。
クレジットカードで納税する場合、国税庁の専用サイトにアクセスし、以下の情報を自分で入力する必要があります。
- 自分の氏名・住所・連絡先
- 納付する税額
- 管轄の税務署
- 申告区分や課税期間 など
もし入力に間違いがあると、税務署で修正の手続きをしなければなりません。
一方、税理士に相続税の申告を依頼している場合は、「納付書の作成」まで代行してもらえます。
あとは、その納付書を持って、銀行や郵便局の窓口に行くだけで納税ができるため、多くの方にはその手軽さが好まれています。
なお、「納付書で払う(現金納付)」と聞くと、「数百万円の札束を持って、銀行へ出向く」ことをイメージして、不安に思われる方がいるかもしれません。
しかし、預金口座をお持ちの金融機関であれば、窓口に「納付書」と「通帳・銀行印」を持参するだけで、その場で口座から支払えます。
以上のことから、相続税の申告を税理士に依頼しているのであれば、納付書で納めたほうが手間は少ないといえます。
もちろん当事務所でも、相続税の申告~納付まで丁寧なサポートを心がけておりますので、相続に強い税理士を探している方は、下記からお気軽にご連絡ください。
「クレジットカード納付」が向いているケース

ここまで、相続税は「納付書払い」がよく選ばれていることをお伝えしましたが、クレジットカード納付が向いているケースもあります。
具体的には、次の3つのいずれかに当てはまる場合には、カード納付を検討してみることをおすすめします。
以下では、それぞれのケースについて、詳しく見ていきます。
ケース1:納税額が少なく、限度額に余裕がある

1つ目のケースは、納税額が「数十万円~100万円程度」と少なく、手持ちのカードの利用限度額にも十分な余裕があるときです。
このような場合、毎月の利用枠への影響は少ないため、カード払いも選択肢に入ります。
なお、多くのカード会社では「一時的な限度額の引き上げ」が可能です。
そのため、ほかの支払いとの兼ね合いで限度額に不安が残るのであれば、一度カード会社に相談してみてはいかがでしょうか。
ただし、審査結果によっては、限度額の増額ができないこともあります。
ケース2:カードのポイント還元率が高い

2つ目のケースは、「クレジットカード納付の手数料」よりも「ポイント還元のメリット」のほうが大きいときです。
相続税をクレジットカードで納付する際は、納税額に応じた「決済手数料」がかかります。
| 納付税額 | 決済手数料(税込) |
|---|---|
| 1円~10,000円 | 99円 |
| 10,001円~20,000円 | 198円 |
| 20,001円~30,000円 | 297円 |
| 30,001円~40,000円 | 396円 |
| 40,001円~50,000円 | 495円 |
| 50,001円~ | 10,000円ごとに99円加算される |
このことから、「もらえるポイント」が「支払う手数料」を上回らなければ損をしてしまいます。
たとえば、納税額が「100万円」のケースで考えてみましょう。カード還元率によって、「損得」は以下のように異なります。
| カード還元率 | 0.5% | 1.0% |
|---|---|---|
| 獲得ポイント | 5,000 円分 | 10,000 円分 |
| 決済手数料 | 9,900 円 | 9,900 円 |
| 損得 | 4,900 円の損 | 100 円の得 |
納税額ごとに損得の分岐点は変動しますが、目安としてはポイント還元率が「1.0%以上」ないと損をしやすいです。
なお、税金や公共料金を支払う際には、ポイント還元率が下がるカードもあります。
このため、ご自身のカードのポイント制度について、あらためて確認することをおすすめします。
ケース3:支払いを先延ばしにしたい

3つ目のケースは、「今は、手元の現金を減らしたくない」という資金繰りの事情があるときです。
カード払いなら、実際に口座から引き落とされるのは「手続きしてから1~2カ月後」になるため、支払いを先延ばしにできます。
なお、「分割払い」や「リボ払い」も可能ですが、カード会社への手数料が発生するため、さらに負担が増える点には注意が必要です。
相続税をクレジットカードで納付する流れ

ここからは、実際に相続税をクレジットカードで納付するときの具体的な手順を、次の3ステップでお伝えします。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ステップ1:カード納付の可否を確認する

最初に、ご自身が「カード払いができる条件」を満たしているかをチェックします。
まず、相続税を納付できるクレジットカードのブランドは、次の5つです。
- Visa
- Mastercard
- JCB
- American Express
- Diners Club
各ブランドのマーク
引用元 国税クレジットカードお支払サイト
お持ちのカードに上記のマークが付いていれば、どこのカード会社のものでも利用できます。
続いて、「決済金額の上限」も確認しておきましょう。
「税額 + 決済手数料」の合計額が1,000万円以上になる場合、一度の手続きでは決済できません。このため、手続きを複数回に分ける必要があります。
税額ごとの手数料は、「国税クレジットカードお支払サイト」で試算できるので、事前に確認しておくことをおすすめします。
ステップ2:専用サイトで手続きする

「カード払いができる条件」を満たしていることを確認できたら、実際の納付手続きに入ります。
まずは、下記のものを手元に用意しましょう。
- クレジットカード
- 相続税の申告書の控え
- スマートフォンまたはパソコン
準備ができたら、「国税クレジットカードお支払サイト」にアクセスします。
そこでサイトの案内を参考にしながら、必要な情報を入力していきましょう。
入力画面
引用元 国税クレジットカードお支払サイト
入力項目は多いですが、最低限「必須」と書かれている欄のみ記入すれば構いません。
具体的な入力方法は、下記のとおりです。
| 項目 | 入力方法 |
|---|---|
| ①利用者情報 |
■ 納付する人(あなた)の情報を入力する ■ カードの名義人と一致している必要がある |
| ②納付先税務署 | ■ 申告書(第1表)の左上に記載されている税務署を選択する |
| ③納付税目 | ■ 「相続税」を選択する |
| ④課税期間(自) | ■ 「被相続人が亡くなった日(相続開始日)」を入力する |
| ⑤申告区分 |
■ 通常は「確定申告」を選択 ■ 「修正申告」などの場合は、ご自身に合ったものを選ぶ |
| ⑥合計額 | ■ 申告書(第1表)のうち、ご自身の「申告期限までに納付すべき税額」欄の数字を入力する |
▼申告書(第1表)で参照する箇所

ステップ3:完了画面を保存する

すべての入力を終えて決済をすると、下記のような「納付手続き完了」ページが表示されます。
「納付手続き完了」ページ
引用元 国税クレジットカードお支払サイト
クレジットカード納付では、領収書が発行されないため、この画面が納税の証明となります。
そのため、プリントアウトするか、スクリーンショットを撮って、大切に保管しておきましょう。
相続税のカード払いに関するよくある質問
最後に、相続税のクレジットカード納付に関する、次の質問にお答えします。
Q1:税務署やコンビニの窓口でカード払いはできる?
クレジットカード納付に対応しているのは、インターネット上の「国税クレジットカードお支払サイト」のみです。
「税務署・金融機関の窓口」や「コンビニエンスストア」で、カードを使って納付することはできません。
Q2:引き落とし日が「納付期限」を過ぎても大丈夫?
法律上の「納付日」は、サイトで「手続きを完了した日」になります。
たとえば、納付期限が「10月31日」の場合、当日までにサイトで決済を完了していれば、実際の口座引き落とし日が「11月27日」になっても問題ありません。
Q3:家族名義のカードで支払える?
クレジットカード納付では、「納税者本人」名義のカードを使う必要があります。
たとえご家族であっても、他人名義のカードは使用できません。
Q4:複数のクレジットカードで支払える?
1回の手続きで使用できるカードは1枚のみですが、納付手続きを複数回に分けることで、別々のカードで支払えます。
たとえば納税額が100万円の場合、まずは「Aカードで50万円を納付」して、続けて「Bカードで50万円納付」する、などの対応が可能です。
納税方法に迷ったら「納付書払い」が確実
相続税をクレジットカードで納付するメリットは、還元ポイントが付くことです。
しかし、カード納付には「決済手数料」がかかることを考慮しないと、かえって損をしかねません。
このため、「余計なことは考えずに、すみやかに納税を完了させたい」という方は、「納付書」による納税をおすすめします。
VSG相続税理士法人にご依頼いただいた場合、納付書もこちらで作成してお渡ししているので、お客様がすべきことは「預金がある金融機関へ行って手続きするだけ」です。
相続税の申告・納税をスムーズに完了させたい方は、ぜひ当事務所までお気軽にご連絡ください。初回の相談は無料で承っております。







