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最終更新日:2025/2/13

取締役決定書とは?必要な場面は?押印や内容について解説します!

森 健太郎
この記事の執筆者 税理士 森健太郎

ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネルを運営。

PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-mori
YouTube:会社設立サポートチャンネル【税理士 森健太郎】
書籍:プロが教える! 失敗しない起業・会社設立のすべて (COSMIC MOOK) ムック

取締役決定書とは?必要な場面は?押印や内容について解説します!

この記事でわかること

  • 取締役決定書とは何か
  • 取締役決定書が必要なのはどんなときか
  • 取締役決定書を作成するときのポイント

取締役決定書とは、取締役会を設置しない会社が重要な意思決定をしたときに、その内容を文書にしたものです。この書類は、登記申請や本店移転など会社運営に欠かせない場面で必要とされます。

この記事では、取締役決定書の基本知識から、株主総会の決議や互選書との違い、取締役決定書の具体的な記載内容、そして作成時の注意点まで徹底解説します。さらに、雛形の活用方法や専門家への依頼についても紹介。これを読めば、取締役決定書の作成がスムーズに行えるようになります。

取締役決定書とは

取締役決定書とは、どのようなものなのでしょうか。実は会社法の中には「取締役決定書」という言葉は出てきません。

ですが、取締役決定書は非常に重要な書面であるといえます。会社法は第348条で、取締役会を置いていない会社では、取締役の過半数で意思決定をすると定めています。この意思決定を文章にしたものが取締役決定書です。

取締役会が設置されている会社であれば、意思決定の証明として取締役会の議事録を作成します。ですが、取締役会を置いていない会社は取締役会の議事録はありませんので、代わりに取締役決定書を作成します。

取締役決定書については、作成する義務が法律上あるというわけではないのですが、登記変更をするときに法務局で必ず提出しなければならない書類です。

参考:会社法三百四十八条 選任|e-Gov 法令検索

取締役決定書と互選書の違い

取締役決定書と似ている書類に互選書があります。互選の読み方は「ごせん」で、意味は「特定のグループの中で選挙で代表者を選ぶこと」です。

互選書とは、取締役の決定で代表取締役を選んだことを証明する書類です。定款で「代表取締役を互選によって定める」と記載している会社の場合は、株主総会ではなく取締役の決定で代表取締役を選定できます。このときに互選書を作成します。

一方、取締役決定書とは、取締役会を設置しない会社で使用するものです。取締役が決めた重要事項について「決定しましたよ」ということをはっきりさせるための書類です。

書類のタイトルは違いますが、どちらも「この人を代表取締役に選びました」という内容を記載したもので、大きな違いはないと考えて問題はありません。

取締役決定書と株主総会の違い

取締役決定書と株主総会はまったく異なります。

取締役決定書は、取締役の決定内容を書面にしたものです。取締役は経営陣としての判断をしますが、株主が経営判断をすることはありません。一方、株主総会では役員を解任する決議を行えます。

会社の持ち主は株主ですから、会社において最も力を持っているのは株主総会の決議ということになります。

取締役決定書はどんなときに必要か

前提として、取締役決定書が必要になるのは、取締役会を置いていない会社です。これを取締役会非設置会社といいます。中小企業の多くが、この取締役会を置かない会社として運営されています。

取締役会を置いていない会社では、以下のような状況下で取締役決定書が必要になります。

取締役決定書が必要になる状況

  • 代表取締役の選定
  • 登記申請
  • 管轄法務局内での本店移転登記
  • 支店設置

特に本店移転登記については、管轄法務局内で移転する場合に取締役決定書が必要になります(管轄法務局外への移転では、取締役決定書を作らずに株主総会議事録で登記申請するのが一般的です)。

代表取締役の選定

代表取締役を選定するときには、取締役決定書が必要です。代表取締役の選定は必ず登記しなければならない事項だからです。

取締役の決定によって、代表取締役が選ばれたことを記載した取締役決定書を作成し法務局で登記をします。

取締役会非設置会社の本店移転

取締役会非設置会社が管轄法務局内で本店移転する場合は、取締役決定書の作成が必要です。

一方、法務局の管轄外に移転する場合であれば、取締役決定書を作成せず、株主総会議事録で変更登記の申請を行うのが一般的です。

合同会社の本店移転時

株式会社ではなく合同会社の場合は、「総社員の同意書」を作成して法務局に提出する必要があります。

株式会社でも合同会社でも、本店の住所は正確に登記簿に記載されます。この住所を変更するためには、本店移転登記をしなければなりません。

登記の有無がポイント

取締役決定書が必要かどうかを決めるポイントは、登記が必要かどうかです。登記を変更するときに法務局で取締役決定書が必要になります。

登記の変更が必要になるということは「会社の重要事項」であるというひとつの目印になります。このような重大な決定にあたっては、取締役決定書を作成して登記変更を行います。

取締役決定書に何を記載するのか

取締役決定書がどんなものなのかについて解説してきましたが、では、取締役決定書には何が書いてあるのでしょうか。

取締役決定書の内容

取締役決定書の記載事項は以下のとおりです。今回は、本店移転登記の場合を例にしています。

決定した日付取締役による決定がされた日
決定の方法どのように決定したのか(過半数など)
決定事項決定の内容(本店移転など)
移転日決定事項を実行する日(移転の場合は移転日)
移転先の住所移転先の住所
決定者の氏名と押印決定した取締役の名前・押印

取締役決定書には押印が必要か

取締役決定書の記載事項には、決定に関与した取締役の氏名と押印があります。この押印は必要なのでしょうか。

押印が必要

取締役決定書には、決定に関わったすべての取締役の押印が必要です

一般的には、代表取締役は届出をした代表者印、それ以外の取締役は認印でも構わないとされています。すべての取締役の押印がされていなければ不備になってしまいますので、必ず押印してください。

取締役がひとりの場合でも必要?

取締役がひとりという会社もあります。その場合でも取締役決定書は必要なのでしょうか。

取締役の人数に関わらず必要

取締役決定書は、取締役の人数が何人であったとしても必要です。取締役が自分だけというコンパクトな会社でも本店移転などをする場合は作成しなければなりません。

取締役の人数ではなく、取締役会が設置されているかどうかで取締役決定書が必要かどうかが決まります。

取締役決定書は雛形ダウンロードが便利

取締役決定書というあまりなじみがない書類を自分で作成するのは大変です。そのような場合には、雛形を利用すると便利です。雛形を活用するポイントを見ていきましょう。

取締役決定書のひな形の活用方法

取締役決定書のテンプレートや雛形を無料でダウンロードできるサイトがあります。

サイトの安全性などは精査する必要がありますが、信頼できるサイトのものをダウンロードして使用すると簡単に取締役決定書を作ることができます。

ただし、雛形を活用したからといって、絶対に不備がないというわけではありません。雛形をダウンロードして、必要事項を記入した後は、必ず不備がないかを確認しましょう。

参考:取締役決定書雛形PDF|法務局

取締役決定書を作成するときに起こりやすいミス

取締役決定書は正確さが求められる重要な書類です。また、作り慣れていないとさまざまなミスが起こりがちです。法律的な知識も必要ですし、初めての場合は作成時にミスをしてしまうことがあります。作成時に起こりやすいミスについて確認しましょう。

注意したいミス

取締役決定書は、取締役会を置かない会社の重要事項に関するとても大切な書類です。起こりやすいミスを下表にまとめたので、確認しましょう。

起こりやすいミス内容
必要な項目の記載漏れ取締役決定書に記載が必要な基本情報の不足
フォーマットやレイアウトの不備書式やレイアウトが不適切。誤字などがある
関係者の署名や捺印の漏れ必要な署名や捺印がない
決定内容の不明確内容が正確に伝わらない
日時の記載ミス会議の日付や発行日が誤っている

取締役決定書は登記の際に必要な書類であるため、記載事項を漏れなく書く必要があります。少しでも不備があれば手続きができませんので、細心の注意を払って作成しましょう。

特に、日付の記載があるかや、必要な署名と押印がそろっているかはしっかりチェックしたいポイントです。

記載事項を確認する

取締役決定書の記載事項は必ず確認しましょう。必要事項が欠けていると不備になってしまいます。

必ず書かなければならない記載事項は決まっているので、ここは最初に確認しておきましょう。

取締役決定書の作成はプロに依頼できる

取締役決定書の作成は、プロに依頼することもできます。費用はかかりますが、依頼すれば作成の手間が省けますし、不備なくスムーズに登記変更ができます。

依頼は司法書士

取締役決定書の作成に不安がある場合は専門家に依頼できます。その場合は、司法書士に依頼することになります。

司法書士に依頼すれば費用はかかりますが、自分で作るよりスムーズに手続きを進めることができます。取締役決定書だけでなく移転登記まで依頼するケースも珍しくありません。

専門家に依頼するメリット

専門家に依頼すれば、自分で記載事項を確認したり、文言を考えたりする必要がなくなります。すべてお任せにでき、不備で手続きのやり直しになるリスクも小さいため、費用はかかりますが非常に便利です。

法律の知識がなく作成の方法がよくわからない場合は、司法書士に相談しましょう。

取締役決定書は取締役会がない会社の重要書類

取締役決定書は、取締役会を置かない「取締役会非設置会社」で会社の重要事項を決定した旨を記載した書類です。取締役の人数に関わらず作成する必要があります。

取締役決定書は雛形をダウンロードして、自分で作成することができます。その際には、記載事項が抜けていないかなどを確認してください。

また、自分での作成が不安なときは司法書士に依頼して取締役決定書を作ることもできます。

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