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【税理士が作った経営者の教科書】 会計編 第1回「貸借対照表って何?」
この記事の執筆者 税理士 森健太郎
ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネルを運営。
PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-mori
YouTube:会社設立サポートチャンネル【税理士 森健太郎】
書籍:プロが教える! 失敗しない起業・会社設立のすべて (COSMIC MOOK) ムック
「会計」っていうとなんだか難しいイメージをお持ちではありませんか?
「たくさんの数字が出てきて、何を見たら良いのかわからない」
「わからない専門用語が出てきてとっつきにくい」
たくさんの起業家の方から、こんなお悩みをよくお伺いします。
ですが実は社長が知っておかないといけない会計の知識というのは、それほど多くはないんです。
特に起業直後というのは、細かな会計の用語やルールよりも「会計の基本的な考え方」と「会計をどうやって経営に活かすか」の2つさえ押さえておけば全く問題ありません。
それでも「聞いたことがない会計用語に困った」ということがあれば、そのときは是非遠慮なくベンチャーサポートにお問い合わせください!
では、まずは会計の基本的なルールを見に付けていきましょう!
貸借対照表って何?
第1回は「貸借対照表って何?」です。
貸借対照表とは簡単に言いますと「会社の財産目録」です。
つまり「今、会社にはどんな資産がいくらあって、どんな負債がいくらあるのか」ということです。
ですが、ルールもなく資産と負債を集計して計上すれば良いわけではありません。
銀行や税務署など多くの人が見る書類ですので、作り方にルールがあるのです。
ルール1
貸借対照表は左側に会社が持っている財産を示す「資産の部」がある。
ルール2
貸借対照表の右側にはこれから支払う必要のある「負債の部」と、株主からの出資と稼いだ利益の合計額の「純資産の部」がある。
ルール3
貸借対照表の右側と左側の金額は一致する。
この3つが貸借対照表のルールです。
「ルール1」と「ルール2」は表示の仕方のルールなので、「そんなものなんだー」とご理解ください。
でも「ルール3」の「資産の合計と負債+純資産の合計」が一致するというのは、ちょっと不思議ではありませんか?
一致する理由は次のように考えるとわかりやすいです。
右側の負債や出資や利益というのは「資金をどうやって集めたか」のことです。
会社の資金は、負債・出資・利益以外の方法で集める方法はありません。
そしてこの「集めた資金を何に使ったか」が左側の資産になるのです。
こう考えると右側と左側が一致するのも頷けるのではないでしょうか?
この上記の3つのルールを知っていただければ、あとはそれぞれのグループ(会計用語で「勘定科目」と言います)の内容が何かを知れば貸借対照表を読むことができます。
最初から細かいことまで覚える必要はありませんので、まずは多くの会社で出てくる勘定科目だけを覚えましょう。
「現金及び預金」・・・現金と預金の残高の合計額です
「売掛金」・・・商品を販売したり、サービスの提供が終わって請求書を出している状態で、代金の回収がまだ出来ていないものの金額です。
「商品」・・・在庫の金額です。仕入れたときの金額で表示されます。
「前払費用」・・・先にお金を払っていて、サービスの提供が完了していないものの金額です。後で「長期前払費用」というものが出てきますが、1年以内にサービスの提供が完了するものが「前払費用」、1年以上先までかかるものが「長期前払費用」です。たとえば「求人広告代を払ったが雑誌がまだ発行されていないとき」や「手付金」などが該当します。
「建物付属設備」・・・店舗や事務所の内装費用や電気工事などの金額です。建物そのものではなく、その内部を作るための費用と考えるとわかりやすいです。最初は買った金額が載りますが、時間の経過とともに価値の減少分を引いていきます。
「車両運搬具」・・・社用車の金額です。最初は買った金額が載りますが、時間の経過とともに価値の減少分を引いていきます。
「工具器具備品」・・・パソコン代やプリンター、ビジネスフォン、デスク、応接セットななど会社で使う備品のうち30万円以上のものが「工具器具備品」として資産に計上されます。30万円未満のものは一発で経費になります。最初は買った金額が載りますが、時間の経過とともに価値の減少分を引いていきます。
「長期前払費用」・・・先にお金を支払って、そのサービスが1年以上先まで受けるようなものを言います。たとえば保証協会の保証料などが該当します。
「差入保証金」・・・事務所や店舗を借りるときに家主さんに支払う保証金のうち、退去するときに戻ってくる金額を言います。
「建物賃借権利金」・・・事務所や店舗を借りるときに家主さんに支払う保証金のうち、退去しても返金されない部分の金額のことです。いわゆる「礼金」と言われる部分のことで、60ヶ月で経費に落ちていきます。
「買掛金」・・・商品の仕入れをして請求書が届いているが、まだ支払い期限が来ていないため代金を支払っていないもののことです。
「短期借入金」・・・1年以内に返す借入金のことです。社長が会社の経費を立て替えて支払ったときは、会社から見ると社長からお金を借りたことになりますので、短期借入金が増えたという会計処理をします。
目次
- 【税理士が作った経営者の教科書】 会計編 第1回「貸借対照表って何?」
- 【税理士が作った経営者の教科書】 会計編 第2回「利益があるのにお金がない理由」
- 【税理士が作った経営者の教科書】 会計編 第3回「キャッシュフローについて」
- 【税理士が作った経営者の教科書】 労務編 第1回「社会保険の基礎知識」
- 【税理士が作った経営者の教科書】 労務編 第2回「給料計算の仕方(前編)」
- 【税理士が作った経営者の教科書】 労務編 第3回「給料計算の仕方(後編)」
- 【税理士が作った経営者の教科書】 労務編 第4回「就業規則と36協定」
- 【税理士が作った経営者の教科書】 労務編 第5回「有給休暇・退職金」
- 【税理士が作った経営者の教科書】 労務編 第6回「従業員を採用したら・・」
- 【税理士が作った経営者の教科書】 節税編 第1回「役員報酬・社宅」
- 【税理士が作った経営者の教科書】 節税編 第2回「社用車・年払い」
- 【税理士が作った経営者の教科書】 節税編 第3回「生命保険・小規模企業共済」
- 【税理士が作った経営者の教科書】 税務調査編 「税務調査で見られるポイント」
- 【税理士が作った経営者の教科書】 税務編 「経費になるもの、ならないもの」
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