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最終更新日:2024/6/26

相続税は5人に1人が税務調査!調査に選定される人の5つの特徴

古尾谷 裕昭
この記事の執筆者 税理士 古尾谷裕昭

ベンチャーサポート相続税理士法人 代表税理士
東京税理士会 登録番号104851

東京、横浜、千葉、大宮、名古屋、大阪、神戸など全国の主要都市22拠点にオフィス展開し、年間2,200件を超える日本最大級の相続税申告実績を誇る。 業界最安水準となる明朗料金ときめ細かいフォローで相続人の負担を最小にすることを心がけたサービスが評判を得る。1975年生まれ、東京都浅草出身。

PROFILE:https://vs-group.jp/sozokuzei/supportcenter/profilefuruoya/
書籍:今さら聞けない 相続・贈与の超基本
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この記事でわかること

  • 相続税の税務調査の概要
  • 税務調査に選ばれる人の特徴

相続した財産の整理が終わり、相続税の計算もして無事に申告まで完了。「これでようやくひと息……」という頃に、待ち受けているかもしれない思わぬ落とし穴が「税務調査」です。

多くの方が勘違いされているのが、相続税の申告書を提出して受理する段階で税務署が細かくチェックしているということです。実際には、税務署は受理段階では表面的なチェックしかしておらず、税務調査するかどうかと詳しく調べるのは提出から1年以上経った後です。

今回の記事では、税務調査の実態と、税務調査の対象に選ばれやすい人の特徴をお伝えしていきます。

税務調査が不安な方は、ぜひ参考にしてください。

関連動画

5人に1人?相続税の税務調査とは

「相続税の税務調査は約5人に1人が入られる」という話を聞いたことがあるかもしれません。ここからは、税務調査の概要と併せてその実態について確認していきましょう。

そもそも税務調査ってどんなもの?

税務調査とは、「税務署によって行われる、税金の申告間違いや申告漏れがなかったかを確認するための調査」です。

申告の不備や不正の発生を防ぎ、納税における公平性を保つ目的があります。

通常は、税務署から事前に連絡を受け、当日は調査官との質疑応答で進められる「任意調査」の形で行われることがほとんどです。

大人数の調査官が建物に立ち入って書類や家財等を差し押さえていくというような「強制調査」は、よほどの脱税事件でなければ起こりません。

本当に5人に1人?相続税における税務調査

実は税務調査の対象は相続税や所得税、法人税など多岐にわたります。

その中でも相続税は、とりわけ税務調査が発生しやすいと言われています。

国税庁のデータによると、令和4事務年度における相続税に関する数字は以下の通りです (令和5年12月発表) 。

令和4事務年度における相続税に関する数字

  • 相続税の申告書提出に係る被相続人数(※1):15万858件
  • 相続税の実地調査の件数(※2):8,196件

こちらの数字を割合に直すと、約5%となります。申告件数20件に1件は、税務調査を受けている計算です。

この実地調査とは別に税務署からの「簡易な接触」というものがあり、こちらは電話での質問や、書面での回答が必要となる簡易な相続税調査です。この簡易調査もだいたい約10%程度の件数で実施されており、さきほどの実地調査の件数とあわせると約15%、つまり約7人に1人が税務署から接触されています。
コロナ禍で税務調査が少なくなる以前は、この数字が約20%だったことから、相続税は5人に1人が調査を受けるという内容で伝わっていました。

参考:※1令和4年分相続税の申告事績の概要
   ※2令和4事務年度における相続税の調査等の状況

もしも申告内容が間違っていたら

税務調査の結果、間違いが見つかった場合、ただ単に不足している税額分を払えばよいというわけではありません。

一種のペナルティとして追徴課税が課されます。

それぞれの追徴課税のパターンを見ていきましょう。

追徴課税のパターン
申告状況 追加で支払う額
本来の税額より少ない金額で申告した
(ミスや見解の相違等)
追加の税額+追加の税額の10~15%
(過少申告加算税)
申告期限までに申告しなかった
(支払う必要がないと思っていた等)
追加の税額+追加の税額の15~20%
(無申告加算税)
意図的に本来の税額より少ない金額で申告した 追加の税額+追加の税額の35%
(重加算税)
意図的に申告した申告期限までに申告しなかった 追加の税額+追加の税額の40%
(重加算税)

例え悪意のないミスであった場合でも、税額の不足分の他に別途加算税を納めなければならない点に要注意です。

税務調査の対象となる人の特徴5パターン

税務調査の対象となる人の特徴5パターン

ここまで、税務調査の概要を紹介しました。

前述の内容から、「申告が間違っていたら余計な税金を払わないといけないから不安」という人もいるのではないでしょうか。

税務調査の対象となりやすい人の特徴をまとめました。

自身で相続税の申告をした(税理士に依頼していない)

個人で申告書を作成した場合は、不慣れから記載内容や考え方に不備が起こりがちです。

申告書の記載漏れや間違いが発生し、本来納付すべき税額と異なる金額で申請してしまうと、修正申告を行う必要があります。

相続税の申告が必要なのに、申告していなかった(申告漏れ)

相続税の申告自体を忘れた場合も税務調査の対象となります。

税務署は独自の情報網を持っており、亡くなった人が保有していた財産を把握しています。

被相続人に財産があれば、それが現金であろうと不動産や金融資産であろうと、税務署が把握できないということはありません。

そのため、そういった財産があるにもかかわらず申告をしていない場合には高い確率で税務調査が入ります。

複数の相続人から内容の異なる申告書が提出されている

遺産分割について相続人間で争いがある場合に起こる可能性があるケースです。

相続税申告では、相続人ごとに別々で申告をすることもできます。

しかしながら、相続人ごとに出した申告書の内容が異なっているなど、不備が出るかもしれません。

その場合は、税務調査の対象となり、追徴課税が課される恐れもあります。

相続財産の総額が3億円以上ある

相続税申告をする方の相続財産総額の全国平均は2億5,000万円と言われています。

そのため遺産総額が3億円を超えてくると財産額が多いことになり、積極的に税務調査の対象に選ばれる傾向にあります。

なぜなら、相続財産が高額になるとその分抜け漏れが発生する可能性も高くなり、もし計算違いや抜け漏れがあった場合に徴収できる税金額も大きくなるからです。

被相続人の預金から生前多額の不明な出金がある

預貯金等の不明な出金も、税務署が警戒するポイントです。

税務署は独断で金融機関に照会を行う権利があり、預貯金の出金に関して高額な出金があると、出金先についてもさらに追及がなされます。

購入を目的とした出金であれば、購入されたものが相続財産として申告されているかを確認。出金先が不明であれば、実地調査で確認する必要があると判断されます。

この際、預貯金から高額かつ不明な出金がある場合には、税務調査の可能性が高まります。

調査先を選ぶときの税務署の考え方

ここからは、相続税の申告書が提出された後の税務署のチェックポイントをお伝えします。

税務署がどのような考えをもとに調査先を選ぶのか、さらに詳しく見ていきましょう。

申告書の計算は正しいか?まずは機械でチェック

税務署に提出された申告書は、まず機械を利用したチェックを受けます。

このため、申告書の形式は、マークシートのように機械に読み込ませることができるようになっています。

機械のチェック段階で相続税の計算や記載方法に誤りがあると判明した場合は、すぐに税務署から連絡がいくようになっています。

専門知識がない方が自分で申告した場合は、この機械チェックの段階で引っかかることが多いため要注意です。

この機械チェックを通過すると、次の審査段階に移ります。

相続財産が多いか?多ければ申告漏れの可能性がある

財産総額が大きかったり財産の種類が多かったりすると、その分だけ書類の収集や計算などの負担が大きくなります。

すなわち申告漏れというミスが起こる可能性も高くなりがちです。

税務署が税務調査を行う上では、ここが怪しいという部分が特定できている必要はありません。

申告漏れの可能性が高いというだけでも、税務調査の対象となり得ます。

税理士に依頼しているか?

相続税の申告書には、税理士が申告書を作成した場合の署名捺印欄があります。

税理士に依頼したかどうかは、この署名捺印欄で確認できるのです。

税理士などの専門家が作成した申告書は、漏れや不備が起こる可能性がなく高い信頼性があると言えます。

また、実際に税務調査を受ける際も、専門家である税理士が立ち会っていると、納税者にとってより安心して税務調査に対応できます。

税務署の調査能力はこんなところまで

税務署の調査能力はこんなところまで

税務署は被相続人の財産に関して、様々な要素から調査を行うことが可能です。

ここからは、そのような税務署の調査能力について、具体的に紹介します。

不動産に関する情報

不動産を財産として受け継ぐ場合には、通常、登記手続きを行って不動産の名義を変更する必要があります。

登記された不動産の名義の情報は公開されており、税務署も把握することができます。

さらに、税務署はもともと被相続人が所有していた不動産の情報を持っています。

つまり、相続財産の特定も容易に行うことができるため、税務署は相続税申告からどの不動産が漏れているかをすぐに確認することができるのです。

預貯金や株式に関する情報

税務署には銀行や証券会社に対して、照会をかける権利があります。

相続人等の了解がなくとも、被相続人の口座から相続人等の関係者の口座まで調べることができるのです。

また、照会の範囲は相続開始時点の残高だけではなく、相続前の金銭の入出金や株式の売買の履歴にも及びます。

そのため、相続財産の申告漏れだけでなく、生前の贈与や財産を隠した場合も発覚してしまいます。

過去の所得税に関する情報

税務署は納税者が過去に支払ってきた所得税に関する情報を保有しています。

過去何十年ものデータが蓄積されているため、被相続人が形成していたであろう財産の推測をすることもできるのです。

その財産額の見立てよりも相続税の申告書をした額が少ない場合、そこに申告の漏れがないかを確かめるために調査対象に選びます。

税務調査に関する相談を税理士に行うのも有効

ここまで、税務調査の全体像を見てきました。

税務調査の全体像

  • 相続税の税務調査は、申告数が倍増した現在も10人に1~2人程受けている
  • 税務調査の結果、追加分以上に税金を支払わなければいけない
  • 税務調査を受けやすい人には特徴がある
  • 特に「相続財産が多い人」「税理士に依頼していない人」は要注意
  • 税務署の財産の調査能力は高く、調査できる対象も幅広いため、相続財産はごまかせない

もし税務調査を受けたとしたら、調査官と渡りあったり、追加分以上に多くの税金を支払わなければならないかもしれません。

その一方で、相続税の申告にはさまざまな専門知識が必要となるため、全部自分で完結させるには負担が重いのも事実です。

相続税申告に不安がある方は、相続専門の税理士に相談をするのがおすすめです。専門家によるサポートのもと、安心できる相続手続きを手助けしてくれます。

相続専門税理士の無料相談をご利用ください

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