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最終更新日:2022/3/15

相続対策としての生命保険契約 高齢者でも必要ですか?

本間 剛 (行政書士)

この記事の執筆者 行政書士 本間剛

ベンチャーサポート行政書士法人 代表行政書士。山形県出身。

はじめて相続を経験する方にとって、相続手続きはとても難しく煩雑です。多くの書類を作成し、色々な役所や金融機関などを回らなければなりません。専門家としてご家族皆様の負担と不安をなくし、幸せで安心した相続になるお手伝いを致します。

PROFILE:https://vs-group.jp/sozokuzei/supportcenter/profilehonma/

「生命保険」皆さんは加入していますか?日本は保険大国として有名で、30代以降は約8割の方が生命保険に加入しています。

病気になった時や死亡した時に保険金が支払われるというイメージが強い生命保険ですが、実は相続対策としての生命保険契約も有効なのです。

今回は、相続対策としての生命保険契約や高齢になってから生命保険に加入する必要性について考えていきましょう。

高齢になってから「医療保障」や「死亡保障」は必要?

まず前提として、高齢になってから「医療保障」や「死亡保障」が必要なのか考えていきましょう。

医療保障はあまり必要がないといえます。

70歳以上の方の場合、高齢者医療制度という医療負担が軽減する制度を受けることができ、自己負担額は原則1割となります。

また、窓口の上限負担額は44,000円になるなど、高齢者の医療費への社会保障制度はかなり充実しているので、あえて医療保険に加入する必要はないでしょう。

ただし、公的医療保険が適用される「大部屋」と呼ばれる病室ではなく、有料病室を利用する場合は「差額ベッド代」という料金がかかります。

また、医療機関で受けられる最先端の医療サービスである先進医療には、「先進医療費」がかかります。

「差額ベッド代」も「先進医療費」も、原則として全額自己負担(医療機関の中には独自の判断で減免措置を設けている場合あり)となります。

ご自分が高齢になり、公的医療保険の範囲外となるこれらのサービスを受ける可能性があるなら、まだ医療に関する保険(生命保険会社の販売する医療保険・がん保険)は検討の余地があります。

一方、死亡保障の必要性ですが、死亡保障は残された家族のことを思って入られている方が多いです。

しかし、ご高齢の方であれば、子どもは独立しているでしょうし、そこまで高額な保障は必要ないでしょう。

最近は、自分の葬式くらいは自分のお金で賄いたいという方も増えていますので、葬式の費用、だいたい200万円くらいは死亡保障の検討をしてもいいでしょう。

相続税対策の生命保険加入はアリ

医療保障や死亡保障なら、高齢者になって加入する必要はあまりないといえますが、相続対策で生命保険を活用するなら、とても有効なのです。

相続税というのは、亡くなった方の財産に対して課せられる税金で、相続人が納めなくてはなりません。

相続財産が大きいほど税金も高くなるので、たくさん財産を持っている人は相続税だけで莫大な金額がもっていかれます。

だれもが相続税の金額を抑えたいことでしょう。

そのため、生命保険を利用した相続税の節税方法があるのです。

生命保険の仕組みをうまく利用すれば、徐々に相続財産を減らしていき、相続税を軽減させることも可能なのです。

生命保険の非課税枠

被相続人の亡くなったことで取得した生命保険金があったり、生命保険料の全部または一部を親族等のために被相続人が負担していたりした場合、相続税が課税されます。

しかし、生命保険金には、非課税枠というものがあり、その部分に該当する金額については相続税がかかりません。

保険金受取人が相続人ならば、相続人全てが受け取った保険金の合計額について、この非課税枠を超える場合、その超えた部分が課税対象になります。

その非課税枠とは、500万円×法定相続人の数です。

例えば、法定相続人が5人いる場合は、2,500万円までは税金が課税されずに、そのまま受け取れます。

ただし、この非課税枠を利用するためには、条件があります。

その条件とは下記の通りです。

被保険者と保険契約者が被相続人、受取人が相続人

噛み砕いていうと、保険料の納付者が今回亡くなって相続財産が発生した人、保険金の受取人が法定相続人ということです。

保険契約者は保険料の納付者のことです。

ちなみに保険契約の内容によっては、対象となる税金の種類が異なってきます。

例えば、保険契約者が保険金の受取人を兼ね、被保険者が別人の場合などは、保険金に対し、相続税ではなく所得税がかかります。

また、保険契約者、被保険者、受取人が全て別人のケースでは、贈与税がかかってきます。

そして、生命保険が非課税となるには、受取人が法定相続人以外の人ではいけませんので、この点もしっかりと頭に入れておきましょう。

事例を用いて計算してみよう!

被相続人が亡くなり、相続の開始された場合には保険金受取人(相続人)へ保険金が下ります。この保険金も当然課税対象です。

こちらでは事例をあげ、生命保険の非課税枠を用いて計算します。

(例)被相続人:夫、相続人:妻・子2人

  • ・被相続人の生命保険金以外の遺産:2,500万円(不動産+預金等)
  • ・被相続人の生命保険総額:2,000万円

①まず、被相続人である夫が死亡した場合の、非課税枠について計算してみましょう。
500万円×3人=1,500万円

②次に生命保険総額から差し引きます。
2,000万円-1,500万円=500万円
この500万円は課税対象となり得る部分ですが、まだ確定ではありません。

③被相続人の生命保険金以外の遺産は2,500万円なので、さきほどの500万円と合わせると
2,500万円+500万円=3,000万円
被相続人の遺産総額は3,000万円と算定されます。

④さらに相続税の基礎控除を行いましょう。こちらは「3,000万円+600万円×法定相続人の数」の計算式となります。
3,000万円+600万円×3人=4,800万円
基礎控除分は4,800万円となります。

⑤遺産総額から基礎控除分を差し引きます。
遺産総額3,000万円-基礎控除分4,800万円=0円
0円と算定されたので相続税は課税されないことになります。

生命保険を有効活用して相続税対策を行おう!

一口に生命保険とは言っても、前述した死亡保険や医療保険、がん保険等と様々な商品が販売されています。

こちらでは、特に「貯蓄型保険」と言われている生命保険へ焦点をあて、相続税対策の活用法を解説します。

貯蓄型保険とは何?

貯蓄型保険とは保険料という形でコツコツ積み立て、被保険者が亡くなった場合、または受取期間になった場合、お金が受け取れる生命保険のことです。

なお、前述した医療保険やがん保険は「掛け捨て型」と呼ばれる保険がほとんどです。

こちらのタイプは被保険者が亡くなったり、中途解約したりすると1円も保険料が戻りません。

貯蓄型保険には死亡保険、個人年金保険等があげられます。

これらの生命保険を利用し、金融資産を保険料として積み立て、受け取る保険金等で、遺産総額を減らす方法が考えられます。

死亡保険の活用法について

死亡保険は被保険者が死亡した場合、死亡保険金が下りる生命保険です。

相続税の対象となる財産を保険料としてつぎ込み、死亡保険金を遺族(相続人)が受け取る場合に、前述した非課税枠が活用できます。

その他に、積み立てたお金を、まさかの時の資金として活用できるのもこの生命保険の特徴です。

死亡保険の中には「終身保険」というタイプがあり、こちらは「解約返戻金」が利用できます。

このお金は保険契約を中途解約した場合に受け取れるお金で、解約のタイミングによっては、これまで払い込んできた保険料より多くのお金が取得できる場合もあります。

解約返戻金を利用し、子の大学進学時の費用や大学4年間の学費・生活費に充てるという方法も有効です。

ただし、その場合には贈与税が課される場合もあるので、その他の贈与分も含め毎年の贈与額が110万円を超えないように注意しましょう。

この方法でうまく資金運用しながら、生前贈与で遺産を減らしていけば、多額の相続税に相続人達が苦しむ事態も回避できるはずです。

個人年金保険の活用法について

公的年金のように積み立てた保険料を年金形式で受け取れる生命保険もあります。

それが、「個人年金保険」です。

個人年金保険では、受取期間前に被保険者が死亡した場合、遺族へ「死亡給付金」が下ります。

こちらも非課税枠が適用できます。

個人年金保険の強みは、運用したお金を年金として受け取り、ご自分のセカンドライフのために使用しながら相続財産を減らせる点です。

個人年金保険には終身年金があり、こちらは公的年金と同じく一生涯にわたり、年金がもらえます。

そのため、保険料は割高で、保証期間(およそ10年が一般的)を超えれば、被保険者が受け取れるはずだった保証期間分のお金は遺族へ下りません。

一見、デメリットにも思える特徴ではありますが、上手に相続財産を減らしつつ、その都度受け取る年金額をご自分で費消していくことで、相続開始までには十分遺産を減らし、相続税が軽減できる効果を期待できます。

保険を活用せず、相続税対策のため貯蓄しているお金を無理に減らそうとすれば、ご自分が長生きした場合、逆に生活が困窮するリスクも考えられます。

ご自分の生活水準を下げず徐々に相続財産を減らすため、終身年金の活用が無理のないベストな方法と言えます。

生命保険が有効なのは相続税対策だけではない

生命保険は単なる相続税対策にとどまらず、相続人間の財産分与の争いも未然に防ぐことが期待できます。

相続税対策以外のメリットは主に次の4点です。

(1)遺産分割の対象外

生命保険は受取人が指定されているので、相続人のなかで「この人にはより多くの資産を分配してあげたい」という時には、特定の人物を受取人に指定することも可能です。

つまり、遺産分割の対象から外して考えることができるのです。

通常、被相続人の財産は、遺言が無ければ、遺産分割協議という相続人同士の話し合いで、誰がどの資産をどれくらいの割合で取得するのか決めます。

生命保険なら遺言無しで、被相続人の意思で財産の譲渡先を決めることが可能です。

(2)遺留分の対象外

たとえ遺言で財産を満足に取得できない相続人にも、最低限保証されている取得分が「遺留分」です。

もしも、この遺留分を下回る財産しか取得できなかったら、他の相続人へ不足分を請求できます。

しかし、他の相続人の受け取った保険金が欲しくて、この遺留分を請求しようとしても生命保険金はその遺留分の対象になりません。

そのため、被相続人は財産を多く渡したい人に、生命保険の利用でお金を多く渡せます。

(3)相続放棄しても受け取れる

相続財産では被相続人の負債(借金等)が、プラスの資産(不動産や預金等)を大きく上回ることもあるでしょう。

その場合には、相続人が相続放棄するかもしれません。

しかし、仮に相続放棄をしても保険金は問題なく受取人(相続人)が受け取れます。

(4)保険金は納税資金としても活用

また、相続税の納税資金として生命保険金を活用する手もあります。

相続税は原則として、相続発生日から10ヵ月以内に現金で一括納付しなくてはなりません。

被相続人の預金口座は遺産分割が終わるまで凍結されてしまうという事情もあるため、まとまった資金がはいる生命保険は、納税資金として有効でしょう。

老後の資金として生命保険を考えるなら

積立型の生命保険を利用し、老後の資金として生命保険を活用する方法もあります。

厚生年金や国民年金などの公的年金だけでは、ゆとりある老後の生活を送るためには、少し足りないです。

データによると、ゆとりある老後を送るためには、毎月35万4千円が必要だとされています。

対して、旦那さんがサラリーマン、奥さんが専業主婦の家庭では平均して、約22万円が公的年金による収入です。

さらに総務省の家計調査では、平成29年の概況で、60~69歳以上の2人以上の世帯の月の生活費は約29万円というデータもあります。

つまり、仮に夫婦で年金を受け取ったとしても、7万円も毎月足りていないことになります。

85歳まで生きると仮定しても、年金受給開始の65歳から、20年で1,680万円も不足してしまう計算になります。

しかも、現在はまだ多くの会社が60歳を定年としています。

つまり定年退職から年金受給開始まで5年も開きがあるのです。

この5年分の生活費は1,680万円かかり、合計で3,240万円が必要です。

上記のケースは、退職後完全に収入が途切れるケースを想定しています。

多くの会社では、退職金が別途支給されますので、必要となる金額は大分減るでしょう。

大企業や公務員ですと、退職金はおおよそ2,000万円程度なので、1,000万円以上はそれでも不足しています。

生命保険(特に前述した個人年金保険)で、その不足分を補う方法はとっておいてもいいかもしれません。

高齢者でも生命保険に加入できる?

さて、ここまで見てきましたが、高齢者の方も生命保険に加入したほうがよさそうです。

もうすでに入っているなら問題ありませんが、相続税対策などのために、これから入りたいという高齢者の方は、そのような理由でも生命保険に加入できるのでしょうか?

それはご安心ください。保険会社は加入理由を厳しく問い詰めませんし、実際、相続税対策で加入している方々も多いです。

保険会社によって、加入できる年齢や条件の違いがあるのですが、被保険者が60代までなら問題なく入れる死亡保険は多いです。

一方、長寿化の進展により、70代・80代前半まで加入できる死亡保険も数は少ないですが増加しています。

葬儀代のための少額定期保険では、加入時の年齢が89歳までであれば、加入できるというケースもあります。

ただし、問題なのは保険へ加入する際に、申込書の他に準備する「告知書」です。これは契約者(被保険者)の持病の有無や、重い傷病歴について記載する書類です。

死亡保険では、健康告知をしなければならない場合が多く、医師の診査を要請する商品も存在します。この告知や診査で問題が判明すれば加入はまず不可能となります。

そこで、前述した個人年金保険の加入を検討してみましょう。個人年金保険は医師の診査はもとより、健康告知もなく、非常に加入しやすい商品が多いです。

相続税対策でも大きな効果を発揮することが期待できるので、高齢で健康に心配のある方々は個人年金保険がお勧めです。

ご自身がどのような目的で生命保険に加入するかを明確にし、保険の種類を選ぶのが大切です。

まとめ

生命保険は早くから加入しておいたほうが保険料が安くなるなど、メリットが多いです。

そうはいっても若い時は生活に余裕がなく、保険に入れず、高齢者になってから検討するケースもあるでしょう。

高齢になったら社会保険制度が充実しているからわざわざ保険に入る必要はないだろうと考えるご高齢の方も多いのですが、相続対策としての生命保険加入という方法もあります。

条件を満たせば、多額の生命保険金が、相続税の非課税となるため、相続税対策としてのかなり有効な手段です。

また、積み立て式の生命保険を使っていれば、老後の資金として活用することもできます。

このように、高齢になってからも生命保険の加入はかなりメリットがあります。

ただし、保険会社によって加入できる年齢や条件がありますので、高齢になって加入していた生命保険が満期となり新たに生命保険に加入するか迷っている方など、生命保険加入を検討している高齢者の方は早めに加入することとしましょう。

最近は高齢の方でも加入できる保険は増えてきました。

ご高齢の方が新たに生命保険に加入する場合は、どの部分を補いたいか、明確にしておくことが大切です。

ただ保険料が安いからという理由で選ぶのではなく、利用目的に沿った保険を選ぶようにしましょう。

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