生前贈与に関する「令和5年度税制改正」について「知らない」人が7割近く。今後の生前贈与に関する相談先としては「税理士」が約4割と最多に
ベンチャーサポート相続税理士法人(東京都中央区 代表税理士 古尾谷裕昭 https://vs-group.jp/sozokuzei/supportcenter/ )は、「生前贈与」に関する実態調査を実施しましたので、お知らせいたします。
<生前贈与に関する調査結果トピックス>
- 生前贈与に関する「令和5年度税制改正」の内容について、「この中に、知っている改正内容はない(67.9%)」と回答した人が7割近くに
- 「生前贈与」について「贈与税や相続税の計算方法(27.1%)」「生前贈与の手続きや流れ(19.7%)」「相続税の節税方法(18.0%)」を知りたいとする回答が多い
- 生前贈与の相談を第三者にしたことがある人は1割にも満たない。今後の生前贈与に関する相談先として「税理士」を挙げる人が約4割と最多に
<調査概要>
- 調査方法:ゼネラルリサーチ株式会社のモニターを利用したWEBアンケート方式で実施
- 調査の対象:ゼネラルリサーチ社登録モニターのうち、全国の60代以上の親を持つ男女を対象に実施
- 有効回答数:1,017人
- 調査実施日:2023年2月13日(月)〜2023年2月14日(火)
生前贈与に関する「令和5年度税制改正」の内容について、「この中に、知っている改正内容はない(67.9%)」と回答した人が7割近くに
全国の60代以上の親を持つ男女1,017人を対象に調査を実施。
まず、令和4年12月16日に発表された「令和5年度税制改正大綱」の生前贈与に関して、「ご存じの改正内容はありますか?」と質問したところ、「この中に、知っている改正内容はない(67.9%)」と回答した人が7割近くに上った。
令和5年3月28日に「令和5年度 税制改正法案」が成立した。
これにより、令和6年1月1日以後の贈与により取得する財産について、下記の改正が適用される。
- 暦年課税において相続税の課税価格に加算する期間が相続開始前3年から7年に延長される
- 相続時精算課税制度において年110万円の基礎控除が可能となる
- 「結婚・子育て資金贈与」を受けた場合の贈与税の非課税措置が2年延長され、令和7年3月31日までとなる
- 「教育資金贈与」を受けた場合の贈与税の非課税措置が3年延長され、令和8年3月31日までとなる
今回の改正により、「相続時精算課税制度」の節税効果が従来より高くなる。
暦年課税と相続時精算課税制度のどちらが節税効果が高いかは、贈与する金額や年数によって異なるため、事前によく検討した上で生前贈与を行う必要がある。
「生前贈与」について「贈与税や相続税の計算方法(27.1%)」「生前贈与の手続きや流れ(19.7%)」「相続税の節税方法(18.0%)」を知りたいとする回答が多い
「「生前贈与」について、知りたいことは何ですか?」と質問したところ、「贈与税や相続税の計算方法(27.1%)」と回答した人が最も多く、次いで「生前贈与の手続きや流れ(19.7%)」「相続税の節税方法(18.0%)」となった。
生前贈与を行う上で、贈与税や相続税がいくらになるのか、「贈与税や相続税の計算方法」に最も関心が高いことが明らかとなった。
次に関心の高かった「生前贈与の手続きや流れ」も、生前贈与を正しく行う上で重要となる。
より節税効果を得るためにも、事前にしっかりと贈与税や相続税の計算方法や生前贈与の手続き、流れを把握しておくと良い。
生前贈与の相談を第三者にしたことがある人は1割にも満たない。今後の生前贈与に関する相談先として「税理士」を挙げる人が約4割と最多に
「「生前贈与」の相談を第三者にしたことがありますか?」と質問したところ、9割以上が「ない(92.3%)」と回答した。
さらに、「「生前贈与」を行う上で、どのような専門家に相談したいですか?」と質問したところ、「税理士(39.1%)」が約4割と最多となった。
生前贈与は税金の計算方法や手続きなど、仕組みや内容の理解が必要不可欠であるため、税金の専門家へ相談したい人が多いと推測される。
【まとめ】
生前贈与に関する「令和5年度税制改正」の内容について「知らない」人が7割近く。「贈与税や相続税の計算方法」について知りたい人が約3割と最多に
令和4年12月16日に発表された「令和5年度税制改正大綱」の生前贈与に関する改正内容について、7割近くの人が「この中に、知っている改正内容はない(67.9%)」と回答した。
今回の税制改正は、令和5年3月28日に「令和5年度税制改正法案」が成立し、令和6年1月1日以後の贈与により取得する財産について適用されるため、これから生前贈与を検討している人は理解しておくべき内容となる。
しかし、税制改正の内容を把握していない人が多いことが明らかになった。
また、生前贈与について「贈与税や相続税の計算方法(27.1%)」「生前贈与の手続きや流れ(19.7%)」「相続税の節税方法(18.0%)」を知りたいとする声が多かった。
生前贈与を行う上で、贈与税や相続税がいくらになるかなど税額や正しい手続き、流れを事前に把握しておくことは、より節税効果を得るためにも重要である。
今後「生前贈与」を行う上での相談先として、「税理士(39.1%)」を挙げる人が最多となった。
税金の専門家である税理士に相談することで、生前贈与だけでなく、相続を見据えた対策が可能となるでしょう。
専門家からのアドバイス
「生前贈与の課税方式|暦年課税と相続時精算課税の違いを徹底解説」
生前贈与が一般的に行われるようになってきた一方で、贈与税の計算方法が分からないので知りたいという人も多くいます。
そこで、暦年課税と相続時精算課税制度の2つの生前贈与について解説します。
暦年課税とは?
暦年課税は、1月1日から12月31日の間に贈与された財産の合計額を求め、その額から贈与税額を計算します。
贈与された財産の合計額から、基礎控除として毎年110万円を控除することができ、110万円までの贈与は非課税となります。
相続時精算課税制度とは?
相続時精算課税制度は、最大2,500万円までの財産を非課税で贈与できる制度です。
いったん相続時精算課税制度を選択すると暦年課税に変更することはできません。
贈与された財産の合計額が2,500万円に達するまでは非課税となりますが、2,500万円を超えた場合は超えた額に20%の税率で贈与税が発生します。
なお、贈与者が亡くなった時には、贈与された財産はすべて相続財産に加算し、相続税の課税対象になります。
暦年課税と相続時精算課税制度の違いを比較
生前贈与を行う際には、暦年課税と相続時精算課税制度のいずれかを選択することとなります。
この2つの制度は全く異なる制度ですが、いずれかを選択しなけばならず、相続時精算課税制度を選択すると、暦年課税に変更することはできなくなります。
そのため、暦年課税または相続時精算課税制度の選択は慎重にしなければなりません。
この2つの制度には、どのような違いがあるのでしょうか。
暦年課税 | 相続時精算課税制度 | |
---|---|---|
贈与者 | 誰でも贈与できる | 贈与をした年の1月1日において60歳以上の父母や祖父母などの直系尊属 |
受贈者 | 誰でもいい | 贈与を受けた年の1月1日において18歳以上の子(推定相続人)や孫 ※令和4年3月31日以前の贈与については20歳 |
非課税枠 | 受贈者ごとに1年あたり110万円 | 贈与者ごとに累計2,500万円 |
非課税枠を超えた場合の贈与税の計算方法 | (贈与財産の額-110万円)×税率(最高55%) | (贈与財産の額-2,500万円)×20% |
贈与税の申告義務 | 贈与財産が年間110万円を超えた場合、申告が必要 | 贈与を受けた年は年間の贈与財産の金額にかかわらず、申告が必要 |
贈与者が亡くなった場合 | 相続開始前3年以内の贈与財産は相続税の課税対象となる | 贈与財産はすべて相続税の課税対象となる |
選択の手続き | なし | 最初の贈与を受けた年の贈与税の申告時に「相続時精算課税選択届」を提出 |
なお、令和6年1月1日以後に、暦年贈与を行った場合、贈与者が亡くなると相続開始前7年以内の贈与財産が相続税の課税対象となります。
また、相続時精算課税制度に毎年110万円の基礎控除が設けられます。
暦年課税を選ぶべきパターン
暦年課税は贈与者がまだ若く、これから長年にわたって暦年課税を適用できる場合に節税効果があります。
毎年110万円以内の生前贈与によって、多額の財産を非課税で贈与することができます。
相続時精算課税制度を選ぶべきパターン
相続時精算課税制度は、これから値上がりしそうな財産や、収益を生み出す不動産などを贈与する場合におすすめです。
贈与者が亡くなった場合、相続時精算課税制度により贈与された財産は、贈与されたときの評価額で相続税を計算するため、節税効果があります。
さいごに
令和6年1月1日以後の生前贈与については税制改正されるため、有利・不利の判定が変わるケースも考えられます。
相続サポートセンターでは、無料相談をお受けしています。
生前贈与についてのアドバイスも行っておりますので、ぜひご活用ください。