この記事でわかること
- 不動産管理会社の一形態であるサブリース方式とはどのようなものかわかる
- サブリース方式の不動産管理会社で節税できる理由を知ることができる
- サブリース方式を利用する際に注意しなければならない点がわかる
個人で多くの不動産を保有する方は、多額の所得税を負担しています。
この税負担を少しでも軽減するため、不動産管理会社を設立して、節税しようとする方も多くいます。
不動産管理会社にはいくつか種類がありますが、サブリース方式と呼ばれる不動産管理会社の形態があります。
このサブリースとはどのようなものか、そしてどのような根拠で節税になるのか、解説していきます。
目次
不動産管理会社におけるサブリース方式とは
不動産管理会社における管理の方法の1つであるサブリースとは、具体的にどのようなものなのでしょうか。
他の不動産管理会社との違いも確認しながら、その内容を確認していきます。
サブリースとは
不動産管理会社によるサブリース方式とは、以下のような流れで不動産の管理を行うことです。
- ①個人で所有する不動産を不動産管理会社がまとめて一括で借り上げる
- ②不動産管理会社は入居者の募集を行う
- ③入居者が支払った家賃は不動産管理会社の収入(売上)となる
まず①の段階で、個人が所有する不動産は、すべて不動産管理会社が利用できる状態になります。
そこで不動産管理会社は、入居者の募集を行います。
この時、入居者から受け取る家賃の額は、一括借り上げの際に支払った家賃の1軒あたりの金額より高くなければなりません。
もし支払家賃より受取家賃の方が低ければ、不動産管理会社として赤字を計上することとなってしまうからです。
一方で入居者から受け取る家賃の金額は、極端に高い金額とすることはできません。
高くすれば、入居者を確保することが難しくなってしまうからです。
そこで、不動産管理会社が一括借り上げを行う際に支払う家賃の額を、できるだけ低くなるようにします。
こうすれば、支払家賃と受取家賃の差額を利益に計上することができます。
他の管理方式との比較①管理委託方式
不動産管理会社を設立した場合、サブリース以外の方法で管理を行うこともできます。
まずご紹介するのが、管理委託方式です。
管理委託方式は、不動産管理を行うだけの会社を設立する方式です。
不動産管理といっても、日常的に発生する業務はそれほどなく、管理手数料として家賃の数%の収入を得る形となります。
ただ、管理手数料を支払うオーナーである個人にとっては、毎月決まった経費が発生することとなるため、節税効果があります。
他の管理方式との比較②売却方式
売却方式は、個人で所有している不動産を不動産管理会社に売却する方式です。
不動産の所有者が個人から会社に変わるため、家賃収入を受け取るのも会社となります。
誰が家賃収入を受け取っても、その金額が変わるわけではありません。
ただ、個人が受け取るか会社が受け取るかで、課される税金の種類は変わってきます。
個人に対しては所得税が課され、その税率は最高45%にもなります。
一方、会社に対して課される法人税は、税率は原則一律とされ、その税率は23.2%となっています。
多額の家賃収入が発生する物件や沢山の物件がある場合には、売却方式により節税することができます。
不動産管理会社のサブリース方式で節税できる理由
不動産管理会社を設立しサブリースを行うと、節税になることがわかりました。
ただ、サブリースを実行すると何故節税になるのか、その理由はわかりにくいかもしれません。
ここからは、サブリースを行うと節税になる理由を解説していきます。
個人の所得を減らすことができる
不動産管理会社を設立しサブリース方式を行う前は、家賃収入から必要経費を控除した金額が、個人の所得として発生しています。
しかし、サブリース方式を導入すると、個人の所得金額を減らすことができます。
個人の所得金額が減る理由は、個人が受け取る家賃収入の金額を減らせるからです。
サブリース方式では、個人は不動産管理会社から家賃収入を受け取ることとなり、その金額はある程度調整できます。
そこで、実際に入居者から受け取る金額より低い金額にしておくことで、個人の所得金額を減らすことができることとなります。
なお、個人の所得金額が減った分の金額は、オーナーが設立した不動産管理会社の利益となっています。
そのため、節税をしたからといって損をするわけではありません。
法人税の低い税率が適用される
個人の所得金額が減少し、その金額は不動産管理会社の利益となります。
個人では所得金額が減少しても、会社で課税されるのであれば、税負担は変わらないと思う方もいるでしょう。
しかし、個人に対する所得税の税率と、会社に対する法人税の税率には差があるため、節税となります。
所得税の税率は、所得金額が増えるほど税率が上がる累進課税となっています。
最高45%となる他、段階的に33%や40%といった税率が適用され、高額所得者ほど税負担は大きくなります。
一方、法人税の税率は一律23.2%とされ、中小企業の場合はさらに低い税率が適用される場合もあります。
そのため、所得が個人から会社に移るだけでも、節税ができることになります。
不動産管理会社でサブリース方式にするときの注意点
不動産管理会社を設立しサブリース方式を実行すれば、節税効果を得られ、税負担を軽減することができます。
ただ、不動産管理会社を設立することや、サブリース方式を実行することには注意点もあります。
会社の設立や運営にはコストがかかる
不動産管理会社を設立する際には、一定のコストがかかります。
会社を設立する際の資本金については、いくらでもいいこととされているため、この点は問題ありません。
ただし、設立費用として株式会社の場合は最低でも25万円程度、合同会社の場合は10万円程度必要です。
設立登記や定款の認証など避けては通れない手続きが多いため、設立費用を事前に準備しておく必要があります。
また、会社を設立した後は、会社の運営コストがかかります。
会社の運営コストとして、特に大きなウエイトを占めるのが、法人税の申告に関する費用です。
会社の利益が出ていない場合でも、都道府県や市町村に約7万円の税金を納税しなければなりません。
また、申告書の作成をほとんどの人は自分でできないため、税理士に依頼する必要があり、その費用として数十万円がかかります。
このようなコストが毎年発生しても、なおメリットがある場合でなければ、サブリースを行う意味はありません。
一括借り上げ家賃の設定をいくらにするか
サブリース方式のポイントとなるのは、個人が保有する不動産を不動産管理会社が借り上げる際の家賃の設定です。
個人に対する家賃を低くすれば、個人に入る家賃収入は少なくなるため、所得税の金額を減らすことができます。
しかし、個人で負担しなければならない固定資産税などの費用を賄うことができなければ意味がありません。
また逆に、個人に対して不動産管理会社が支払う家賃を多くしすぎても、問題があります。
個人の所得が増えてしまい、大きな節税効果が期待できないためです。
また、不動産管理会社が支払う家賃が大きくなりすぎると、不動産管理会社が赤字になってしまう可能性があります。
入居者や空室率の状況なども確認しながら、無理のない家賃を設定しなければなりません。
同額の家賃の支払いを続けることが難しい場合もあるため、状況に合わせて家賃を見直す必要もあるでしょう。
所得税と法人税の税率に注意
サブリース方式を利用して節税ができる大前提となるのは、所得税率より法人税率の方が低いことです。
しかし、実際に適用される所得税の税率は、法人税の税率より低い人の方が多くなっています。
そのため、サブリース方式を導入して節税になる人は、ある程度家賃収入が大きな人に限られます。
たとえば所得税の税率が10%の人について、その所得の一部が会社に移ることとなれば、かえって税負担は増えてしまいます。
自身に適用されている所得税の税率を確認せず、サブリース方式を実行してもデメリットとなることもあるのです。
確定申告書などで自身の課税所得金額を確認し、どれくらいの税率が適用されているのか確認するようにしましょう。
まとめ
賃貸不動産を多く所有し、毎年確定申告を行っている方は、所得税の負担に頭を悩ませているかもしれません。
少しでも節税しようと不動産管理会社を設立し、その会社と取引を行う計画をしている方もいるでしょう。
節税を行う際に重要な点は、不動産管理会社を利用するとどれくらい節税効果があるのかです。
自身の所得税の負担、会社の設立や運営にかかるコストなどを試算し、あらかじめ節税効果を計算した上で実行に移しましょう。
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