新潟県を中心に、税理士法人や社会労務法人を展開しているL&Bヨシダ税理士法人。融資・補助金の担当者、国税調査官など、多彩な経歴をもつ50名もの専門家、また上場企業・弁護士とのパートナーシップから、1,000社以上のお客様を支援している。代表の吉田 雅一氏に、事業の強みや相談内容、昨今の相続について伺った。
目次
新潟県で55年間。伝統と実績ある「相続」「起業〜年商3億円」のプロ集団
「L&Bヨシダ税理士法人」の事業内容についてお聞かせください。
▲L&Bヨシダ税理士法人 吉田雅一 氏
新潟相続協会設立から55年間、お客様のさまざまな悩みを解決してきました。主に起業、会社設立、資金調達、補助金、確定申告、税務調査立会、給与計算などをサポートしています。経営計画、事業継承、マーケティングなどのコンサルティングも可能です。
新潟市・三条市・東京日本橋(コンサルティング専門)にオフィスを構え、約50名の専門家が所属しています。経済産業省の「認定経営革新等支援機関」として、1,000社を超えるお客様をサポートしてきました。また当グループは、税理士法人の他に、社会労務士法人やコンサルティング会社などを擁しています。
「L&Bヨシダ税理士法人」の特徴や強みをどのようにお考えですか?
「若い力」と「ワンストップサービス」です。20~30代を中心に、金融機関の融資・補助金担当者、国税調査官、SEといったさまざまな経歴をもつ人材が集まっているため、ワンストップでサービスを提供できます。資金調達や補助金申請代行、クラウドソフト導入、DX支援などの実績を豊富にもち、起業支援や採用支援まで経営全般をサポート可能です。
また、経営者様が思わず話したくなる“聴く”スペシャリストの「産業カウンセラー」も所属しており、経営や税の悩みを課題の本質から解決することで、コミュニケーション満足度で業界日本一を目指しています。
新潟県を中心に展開されていますが、どのようなご相談内容が多いでしょうか?
引用元:新潟相続協会
起業したばかりの方、スモールビジネスを営む方が中心です。税務・社会保険の手続き・補助金・融資のご相談を多くいただいています。実を言うと、新潟県は全国トップクラスに“起業が少ない”県です(※東京商工リサーチ調査によると、2021年新設法人数は1,120社で全国45位)。
「起業したい」と思われていても、身近に成功している人が少なく、イメージをつかめていない方も少なくありません。「最後の一押しがないと踏み切れない」という方に、起業の不安を取り除くことも私たちの仕事だと思っています。
当社では「1人起業」や「年商3億円規模」のスモールビジネスに特化して、支援しています。開業時の融資成功率は95%です(※直近1年間の統計)。業種も飲食業、製造業、建設業、美容室、歯科、福祉、Webなど、幅広く対応しています。
相続についてはどのようなご相談内容が多いのでしょうか?
相続が発生した方、または、これから間もなく相続が発生される方のご相談が多いです。40代後半~60代のお客様が中心となっています。
相続人が会社経営者、または不動産貸付などを行っている個人事業主の場合には、日頃からお付き合いのある顧問税理士に依頼するケースが一般的でしょう。そのため、当社にご相談を下さる方はそれ以外の方が中心となっています。
一番多いご相談内容は、「相続税の納税が必要になるか」です。それ以外には、「相続が発生したが何から始めたらよいか」、「相続放棄をした方がよいか」、「遺言書をどう作成したらよいか」などのご相談をいただきます。
これまで相続のご相談やご依頼を受けた中で印象に残っている出来事はございますか?
▲L&Bヨシダ税理士法人 小川勇太 氏
被相続人と法定相続人という関係ではないですが、ご近所であった遠い親戚同士の相続が印象に残っています。お子様がいらっしゃらず、遺贈者が「遠い親戚にすべての財産を遺贈する」という公正証書遺言を作成されたのです。その後、遠い親戚の方が遺贈者を被後見人とする、後見人に就任されました。
「遺産はほんのわずか」と思っていたのですが、実際には予想以上の遺産があり、後見人の方も驚かれていました。ただ、法定相続人が姪っ子・甥っ子と何人もいたので、基礎控除の金額が比較的大きかったことから納税金額もわずかな金額でおさまりました。また、法定相続人が兄弟姉妹であったことにより、遺留分の心配もなく、無事に手続きが完了しました。
昨今の「AIの台頭で税理士の業務がなくなる」という論調についてはどのようにお考えですか?
前向きに捉えています。記帳代行はなくなると思いますが、その分時短できて、MAS監査や財務コンサルティング、補助金提案など、「数字ができあがった後のサービス提供」ができると思います。また、業務の効率化によって、一人当たりがより多くのお客様を担当できるようになり、人手不足の問題も解消できるでしょう。
相続の分野に強い税理士を見つけるにはどうすればいいでしょうか?
相続税は毎年発生する所得税などの税目に比べて、触れる頻度の少ない税目です。小さな個人事務所では1件も触れる機会のない可能性も否定できません。これではお客様がご相談するのにも、不安が残るかと思います。
そういう意味では、これまでの実績件数やご相談件数に比例して、相続に強い税理士を判断できます。具体的な数値をホームページなどで公表している税理士を選ぶと、信頼いただけるのではないでしょうか。
税理士の存在が「税務調査」「遺言書」トラブルの強い味方に
相続税の納付後に税務調査が入ることもあると聞きますが、どのような場合でしょうか?
当社のお客様ではほとんどありませんが、税務調査の対象となりやすいケースはあります。
税理士に依頼せずご自身で相続税申告を行った場合は、税務調査が行われる可能性が高くなると考えられます。これは、税理士に依頼をした場合と比べると、誤りがどうしても多いこと、また誤りがなかったとしても税務署から「誤りがあるのではないか」と疑われやすいためです。
また、相続財産が大きい場合も要注意です。「ミスや見逃しが比較的多い」と疑われること、財産が比較的少ない場合に比べ、「ある程度の追徴税額も見込めること」が影響していると考えられます。
税務調査時の問題でよくあるケースは、「名義預金や暦年贈与の加算漏れ」があげられます。これらは意図的に隠していたケースもあれば、うっかり漏れていたというケース、両方のケースが存在すると思います。
一般家庭では馴染みのない遺言書を用意するには、どうしたらいいでしょうか?
遺言書はどうしても「死」を連想してしまうことであるため、生前に対応することはなかなか難しいかもしれません。ただ、生前のうちに「遺言をする方の思いを形にすること」はとても有用なことだと思います。
ご家族にできることは、エンディングノートなどを利用することによって、死後について考える機会を設けていただき、同時に遺言書の必要性を専門家から説明させていただくことも、ひとつの方法です。また、生前の対応として、相続トラブルができるだけ起こらないよう、機会を設けてご家族に意志を伝えてもらうことも必要かと思います。
金銭以外でも生前贈与が可能であれば、知っておきたいポイントを教えてください。
金銭以外に不動産や株式を生前に贈与するケースもあると思います。贈与する金額によっては贈与税だけでなく、不動産なら登記費用、株式なら手数料などが必要です。この税金以外の負担なども含めた上で、贈与するかどうかを検討するといいでしょう。
また、推定相続人が複数いる場合には、一定の方に贈与が偏ってしまうと相続トラブルになるかもしれません。税金だけでなく、その点も含めて生前贈与を検討する必要があります。
「配偶者居住権」「成年年齢の引き下げ」「暗号資産」など、法改正でおさえるべきポイント
コロナ禍で相続税申告期限が延長されましたが、注意したいことはありますか?
延長手続きについては、申告書とは別に「災害による申告・納付等の期限延長申請書」の提出が必要となります。審査は複数の相続人がいたとしても、相続人ごとに判断されます。そのため、相続税申告の準備ができた相続人から、できるだけ早めに申告を済ませた方がいいでしょう。
また、延長が100%認められるとは限りません。コロナの影響により分割協議自体が進まない場合には、法定相続分で一旦相続税の申告をすることも手段のひとつです。
配偶者居住権とはどのような権利で、どのようなメリットがあるのでしょうか?
配偶者居住権とは、夫婦の一方が亡くなった場合に、その配偶者が原則的に亡くなるまで無償で自宅に住み続けられる権利です。
メリットは、配偶者が老後の生活資金を確保しやすくなった点です。これまでは遺産分割で、自宅以外の遺産が少ない場合には、配偶者が自宅を相続する代わりに子供が預貯金を相続することにより、配偶者の生活資金が不足するケースがありました。配偶者の生活資金不足、また親子間でもめる可能性がある場合には、配偶者の権利が守られる良い制度かと思います。
デメリットは、配偶者居住権が設定された物件の売却が難しい点です。自宅から離れて施設で生活を始めても、処分できないかもしれません。また、不動産の権利や評価が複雑となるため、実務的には導入により煩雑になることが予想されます。
配偶者居住権は、配偶者の相続が発生すると権利が消滅するため、相続税の課税対象となりません。今後、相続対策を検討する際は、場合によっては配偶者居住権を考慮する必要があるでしょう。
成年年齢が20歳から18歳に引き下げられましたが、相続税や贈与税にどのような影響が出るのでしょうか?
相続税については、未成年者控除の2年分減額されることをあげられます。贈与税では、親や祖父母から贈与を受けた場合の「特例税率」と「相続時精算課税制度」の適用年齢も2年早まることとなりました。
また、間接的な影響として18、19歳であっても「遺産分割協議」への参加が可能となったこともあげられます。贈与税への影響により、財産の移転を以前よりも早めに進められるようになったといえますね。
相続税と贈与税の一体化は、今後どのようになるとお考えでしょうか?
これまでの税制改正で何度も言及しているため、将来的に実現する可能性はかなり高いと思っています。背景としては、現状の相続税と贈与税のルール・制度を見直し、「相続税逃れ・贈与税逃れ」を封じる狙いがあると考えられるからです。
しかし、相続税と贈与税の一体化は、最大の論点とも言える「暦年贈与課税の廃止」も含んでいることから、国民の大きな反発が予想されるでしょう。また、制度の大幅な変更による社会への影響を考慮する必要があることから、今後さらに議論を重ねた上で検討されていくかと思います。
日本と世界の相続税制度には、どのような違いがあるのでしょうか?
アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスなどの国においては相続税が存在しますが、一方で、相続税が存在しない国や地域も多く存在し、世界的にみた場合には相続税の制度がある国は少数派であるといえます。
また、オーストラリア、香港、シンガポールといった国や地域では、元々あった相続税制度が廃止されました。これは国内富裕層の転出を防ぐことと、逆に国外富裕層を誘致することにより、経済の発展を図ることを背景としています。
日本では相続税が廃止されることはまずないでしょう。ただ、相続税・贈与税の一体化の観点から海外と比較すると、例えば相続税の計算時に加算対象となる「生前贈与の加算対象期間」は、日本の相続開始前の3年間に比べ、イギリスは7年間、フランスは15年間となっています。さらに、アメリカは贈与の時期に関係なくすべての生前贈与が加算の対象です。
日本は諸外国に比べてこの期間が短く、今後、相続税・贈与税の一体化が進められた場合にはこの期間を延長することが予想されます。または、暦年課税制度を廃止し、相続時精算課税制度に一本化することにより、アメリカのようにすべての生前贈与を相続財産に加算するかもしれません。
近年広まっている暗号資産について、懸念されているトラブルはありますか?
激しい相場の変動による、納税資金不足があげられます。法人は決算日に暗号資産の価値が上がると含み益に課税されますが、申告月である2か月後に価値が急落した場合、手持ち資金が無い方は暗号資産を現金化して納税資金に充てることになるでしょう。しかし、価値が下がりすぎて十分な額を現金化できないリスクがあると考えられます。
相続面では、複雑な評価手法による「評価金額の誤り」、相続人が相続財産として仮想通貨を把握していなかったことによる「課税漏れ」があげられます。また、「パスワードが分からずに仮想通貨を実際に取得できない」といったトラブルも想定されるため、生前に家族間で話し合うことも必要となるかもしれません。
新潟県の相続の専門家といえば、L&B!法改正に応じた柔軟なアドバイスを
今後の相続サポートについて、どのようなことを目指していらっしゃいますか?
「新潟県の相続の専門家といえばL&B」と言っていただけるようになりたいです。
国税庁の公表資料によると、相続税申告書を提出した相続人の割合は、基礎控除などの改正があった平成27年に大幅に増加し、それ以降も微増ながら増加傾向にあるようです。
今後、相続税の申告件数についても微増または横ばいが想定されることから、ご相談をいただいたお客様には、改正のあった遺言に関する点や、分割前に一部の預金が引き出し可能となった点など、相続税申告に付随する点についてもアドバイスできればと考えています。
相続税と贈与税の一体化も含め、今後の改正については引き続き注目していきたいと思います。
吉田雅一 様
L&Bコンサルティンググループ 統括代表
L&Bヨシダ税理士法人 新潟オフィス 代表税理士
L&Bアイビスコンサルティング 代表コンサルタント
小川勇太 様
L&Bヨシダ税理士法人 税理士
■企業プロフィール
社名:L&Bヨシダ税理士法人
【新潟オフィス】
新潟県新潟市中央区女池4丁目18-18マクスウェル女池2F
TEL:025-383-8868
【三条オフィス】
新潟県三条市塚野目4-15-28
TEL:0256-32-5002
相続専門税理士の無料相談をご利用ください
ご家族の相続は突然起こり、何から手をつけていいか分からない方がほとんどです。相続税についてはとくに複雑で、どう進めればいいのか? 税務署に目をつけられてしまうのか? 疑問や不安が山ほど出てくると思います。
我々ベンチャーサポート相続税理士法人は、相続人の皆さまのお悩みについて平日夜21時まで、土日祝も休まず無料相談を受け付けております。
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