四国を中心に、徳島県に二支店、香川県高松、東京都と合計四つの支店を持つ税理士法人アクシス。税務・会計のみならず、お金のあらゆる疑問や悩みに対応できる専門家が揃い、労務や経理代行、不動産投資のコンサルティングやM&Aなど、幅広く支援できるのが強みだ。
SNSを活用した情報発信にも力を入れ、補助金や税金に関するセミナーも定期的に開催。「お客様のムスメ・ムコになる」を掲げ、専門性を持ちながら依頼者の幸せを第一に目指す。同事務所の資産税部シニアアソシエイトであり高松支店支店長の小島晴美氏に、遺産相続を上手に進めるコツについて伺った。
専門チームが揃い、あらゆるお金の相談を支援
「税理士法人アクシス」の事業内容を教えていただけますか?
当事務所は、税務のほかにも専門チームが整っています。有資格者は、税理士11名、公認会計士1名、社会保険労務士6名、行政書士3名が所属しており、事業内容としては、社会保険労務士、行政書士法人、経理の代行業務、コンサルティングにM&Aなど幅広いです。四国を主軸に事業展開し、地域でのあらゆるお金にまつわるご相談に対応できるのが弊社の強みです。
たとえば、会計でご相談に来られたお客様に相続のお悩みがあれば、相続のチームと連携し、労務のお悩みがあれば、労務のチームと協働することもできます。対策を講じるチームを整え、それぞれの専門性を活かしながら税理士法人アクシスという同じグループとしてお客様を一団となってサポートしています。
お客様は多岐にわたり、ご職業も年齢層もさまざまな方からご相談をいただいております。
無料セミナーの告知など、SNSを通じた情報発信にも力を入れていらっしゃいますね。
試みとして始まったばかりですが、YouTubeやLINE、Instagramなどを通して相続税や助成金、保険についての役立つ情報なども発信しています。Instagramでも告知した、Zoom開催個人事業主様向けのインボイスセミナーは、90分間の無料講座で好評でした。
対面セミナーはコロナ禍で減りましたが、先日は金融機関さん主催の相続税対策セミナーを実施しました。内容は、具体的な相続に関する対策についてです。
このような情報発信は、企画部というお客様に役立つ情報を調査・企画・発信する部門と連携しておこなっています。より多くの方にお金の勉強について身近に感じていただければという弊社の試みのひとつです。
遺産相続トラブルを避ける具体的な方法
数多くのご実績をお持ちですが、遺産相続でありがちな問題としてどのようなことがありますか?
争族(あらそうぞく)ですね。争う家族を略した言葉に、遺産相続のそうぞくを当てはめた俗語です。意味は、遺産相続をめぐって、残されたご家族同士が争われること。争族は、なにも資産家だけの問題ではなく、一般のご家庭でも十分起こりうる問題です。
「争族」を未然に防ぐ対策として、一つ挙げるのなら、遺言書の作成になります。しかし、その前に大切なのは、被相続人が存命なうちに、ご家族で誰に何をどんな形で分与するのかをよく話しあっておくことです。
とはいえお金の話は、家族間でもなかなかしにくいトピックですが…。
引用元:税理士法人アクシス
確かに社会的にもお金の話をすると、いやらしいとか、はしたないという風潮もあります。けれども、相続をはじめとしてお金と向き合うことは大なり小なりどなたにも起こりうること。そこで、その対策は必要なことです。のちにトラブルになるよりも、事前にお話しておく方が賢明です。
とはいえご家族それぞれ違いますし、これは独断に過ぎないかもしれません。けれども、被相続人の方、つまり財産を残す方がある程度決めておくことが、争族を避ける意味で重要だと思います。具体的には、財産を残す方がどなたに何をどう相続してもらいたいかという意向を持つこと。そのうえで相続人であるご家族に伝えて、みなさんで調整していくという流れが理想でしょうね。
認知症など、ご本人が意思を伝えにくい場合はどのようにしたらよいのでしょう?
高齢化社会ということもあり、相続における認知症の問題は、高齢者の方のご興味もあります。また、実際にご相談にもいらっしゃいます。
認知症で判断能力がないと見なされた場合は、ご本人が財産を動かすことはできません。そこで成年後見制度といって、後見人という役割の人を置き、その人が認知症であるご本人の代わりに財産管理などを行なう制度があります。
その場合は、後見人にご親族ではなく、専門家が選ばれるケースが多いです。そうなる場合には利用料がかかり、手続きに手間がかかることも少なくありません。ご本人が認知症になった後では、この成年後見制度を利用するほかありません。
そこでその代わりとして最近話題なのが、家族信託です。家族信託とは、ご本人が認知症になる前に家族に財産を信託すること。つまり、あらかじめ決めておいたご親族に資産を任せておく仕組みのことです。
家族信託のもとでは、ご家族に信託された財産は、ご本人の判断能力がなくなったとしても、ご家族が自由に財産を管理、運用することができます。
遺産を残す方が、早めに意思を明確にすることが相続トラブル回避の肝なのですね
はい。トラブルが予測されるのであれば、早いうちから遺言書も書いておくと安心です。遺言書は、いつ何度でも書き直しできますから。
遺言書は、富裕層の方だけのものというイメージが強いかもしれません。けれどもさまざまな相続手続きを担当し痛感するのは、資産の大小にかかわらず、一般家庭においても遺言書は書いておいた方が安心だということ。故人の意思が明確になることで、遺産相続トラブルを未然に防ぐ対策になるからです。
遺言書がない場合で、遺産相続を円満に終えるには?
お互いの主張が強くなると、やはり相容れない部分が出てしまいます。そこで大前提として、すべての方にとって思い通りの財産の分け方はないのだと覚悟しておくこと。そして、相手を思いやって調整していくほかありません。
家族間のトラブルにも、助言されるのですか?
税理士という立場ですので、基本的に助言はしないようにしています。ご家族それぞれの思いがあるからです。何人か相続人がいらっしゃる場合は、何を申し上げても、どちらかの肩を持つような発言になってしまう恐れがあります。
遺産の分与は、ご家族にとってのちの人生に深く関わる重要な局面です。専門家として、分け方によって税金がどうなるかという知識はもちろん申し上げます。けれども、誰に何をどう分与すれば良いかという助言については避けて、ニュートラルな立場であろうと努めています。
知らないと損する節税手段。良い税理士の見つけ方
相続税を節税するための手段はとしてどのようなものがありますか?
相続税を節税する施策は、資産の評価を下げることが一つです。そこでは不動産の活用が、一番圧縮効果が高くなります。しかし2022年4月に「タワマン裁判」で国税側が勝訴となり、節税ありきの不動産活用は否認される可能性が高くなりました。
このように法律や制度はそのときどきで変わります。そこで、節税手段においても常に見直しが必要です。さらには、ご依頼者の資産やご家族の状況にもよりますので、一概にこれが節税の秘策である、とここでは言い切れません。それぞれのケースに合わせて、相続税法内で認められる特例や生前の贈与制度などを組み合わせながら、対策を講じることになります。
法律や制度の変化に対応できる専門家の方にお願いするのが安心ですね
確かに変化をくみとりつつ、1人で相続の対策をするのは、なかなか難しいと思います。いざやろうとしても何から始めたらいいのか、どのような情報を収集し、何をすればいいのかがわからなくて当然だと思います。
しかもお金にかかわることなので、誰にでも気安くご相談できることではないですよね。そこで専門家にご相談されるのが一番だと思います。
では、相続に強い税理士を見つけるポイントはありますか?
まずはその方が相続を専門にされているかどうかをチェックしてください。次に実績です。実績はインターネットで確認できない場合は、一度電話などで尋ねてみられたらいいでしょう。
その上でお話ししやすい担当者かどうかを見極めてください。相続は複雑な家族関係を話題にする機会もあります。そこで、心を開きやすく信頼できると感じる担当者を選ばれることをおすすめします。
「ゆくゆくは税理士もAIに変わる」という論調もありますが…。
確かに簡単な会計作業は、AIが請け負うようになるでしょうね。私も仕事の能率を高める上で、その力をぜひ活用していきたいと思っています。
一方で、お互いのコミュニケーションを深めて意思決定していくことは、やはり人間同士でないと難しいでしょう。そこで弊社でもAIの強みを活かしつつ、所属税理士やスタッフが専門知識を深めてお客様と一緒に考えていく。決して上から目線ではなく、その方の娘・息子のように親身になって、自分ごととして解決をサポートしていきたいと心がけています。
相続に関する最新動向について
2020年4月施行の配偶者居住権とは何でしょうか。メリット・デメリットは?
配偶者居住権とは、夫婦のどちらか一方が亡くなった場合に残された配偶者が、故人が所有していた建物に無償で住めるという権利です。
相続人にとってのメリットは、住む場所を失うリスクや代償金の問題がないことです。
一方、最大のデメリットは、配偶者居住権がついた不動産は、譲渡が難しいこと。住むことはできるけれど、お金には変えにくいんですね。
このようなメリット・デメリットを踏まえた上で、もうひとつ考慮すべきことがあります。それは統計から見られる、高齢者同士の再婚率の増加です。ここから想定できるのは、ご家族関係が複雑化し、相続人同士の話し合いが難しくなっているという注意点です。
そこで配偶者所有権を行使したいなら、あらかじめ遺言書などで配偶者居住権を設定しておくこと。またこの権利は、戸籍上の夫であり、妻である方が対象です。内縁の妻などには適用されません。婚姻関係外の人に自宅を残したい場合は、遺言書で設定しておくと良いでしょう。
2022年4月に成年年齢が20歳から18歳に引き下げる法律が施行されました。高校生が億単位の相続をすることもありうるわけですが、若年層の方がより安心な形で相続するには?
若年層にかかわらずどんな年代でも、日頃からお金の勉強をしておくことが大切です。投資について勉強されるのもいいでしょうね。いざ遺産を受け取った場合に、どのように資産を運用・管理していけばいいのか。何が良くて悪いのかについて人の意見を鵜呑みにせず、ご自分で判断できるように情報収集し、学習しておくことです。
2022年4月から、高校家庭科で金融教育が始まりました。とても良いことだと思います。これからは若年層だからお金に疎いと一括りにはできず、我々が若い世代の方から学ぶことも増えてくるかもしれません。このように、社会全体として金融リテラシーを高めていくことが大切だと思います。
2022年度税制改正大綱では相続税と贈与税の一体化が見送られました。相続税と贈与税の違いは?一体化の目的と今後の予測とは?
相続税は、故人から財産を受け継いだときに課される税金です。一方、贈与税は故人の生前に、贈与により資産を譲り受けたときに課される税金のことです。
相続税の目的の一つは、富の再分配です。そして贈与税には、相続税を補完する役割を持ちます。具体的には、贈与税には、生前贈与によって相続税の課税を逃れようとする行為を防ぐ目的があります。
現在、贈与税については暦年(れきねん)課税制度といって、年間110万円以下なら非課税です。そこで富裕層など、コツコツと生前に資産を渡しておけば相続税がかからない場合があります。それが税金逃れにつながるのではないか、資産を渡すタイミングで税率が変わっては不公平ではないかと、税制改正大綱でも問題視されました。
しかし一方で、今はご高齢者の方に資産が偏っていることも事実です。つまり生前分与などである程度は若年層にも資産が分配されないと、経済が活性化されない恐れもあります。
今後の税制のあり方としては、社会状況を踏まえつつ、この二つのバランスの見極めが肝になるでしょう。
そのほかに、小島様が関心を持たれている業界の動向などございますか?
やはり一番は、タワマン裁判以降の動きに関心があります。そこで不動産以外の節税対策として、これからどういう対策を講じるべきかの調査を深めています。不動産投資は節税ありきではなく、資産形成としても大きな意味があります。そこで相続のみならず、人生をトータルで考えた上でのお金の運用提案がますます必要と感じています。
また業界を超え社会全体として、お金の勉強の重要性をひしひしと感じています。金融教育が高校での必須科目になったことに希望を感じていますね。私たち税理士もまた、皆さんにとってよりお金の勉強が身近なものになるように、メディア取材やSNSを通じた発信なども通じ、お役に立てればと関心を寄せています。
今後の展望について
今後、小島様ご自身、また税理士法人アクシスとして挑戦したいことは?
日本の人口推計を踏まえると、今後一定時期までは、相続の案件が増えていくでしょう。高齢化社会にともない、認知症や介護が必要になった場合も考慮しながらの相続対策、事業承継のご提案や相続税申告の実績を重ねていきたいですね。また、当然のことながら相続については、ご家庭それぞれに異なる悩みがあります。そこで一個人としても税理士法人アクシスとしても、お客様の心に寄り添いながら研鑽を積み、対応できるチームをますます強化していきたいです。
小島晴美 様
税理士法人アクシス 資産税部シニアアソシエイト税理士 高松支店支店長
■企業プロフィール
社名:税理士法人アクシス
所在地:徳島県徳島市北島田町1-3-3(本社)
事業内容:会計業務代行、各種研修会・セミナーの開催、コンピュータ販売及び導入指導、リスクマネジメント及び資産形成、建設業等各種の許可・申請、各種助成金・補助金・奨励金等の活用及びアドバイス
お問い合わせ:https://m-staff.com/contact/
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ご家族の相続は突然起こり、何から手をつけていいか分からない方がほとんどです。相続税についてはとくに複雑で、どう進めればいいのか? 税務署に目をつけられてしまうのか? 疑問や不安が山ほど出てくると思います。
我々ベンチャーサポート相続税理士法人は、相続人の皆さまのお悩みについて平日夜21時まで、土日祝も休まず無料相談を受け付けております。
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