この記事でわかること
- 親と相続の話をするための方法がわかる
- 親と相続の話をするために最適なタイミングがわかる
- 親と相続の話をする必要性がわかる
相続は事前の準備がどれだけ出来ているかによって、相続発生後の遺族の苦労が変わってきます。
遺言書が遺されているかどうか、資産状況が明確にされているかなど、準備状況によって、相続にかかる手間や時間は段違いに変わってきます。
相続が発生した後では、被相続人に詳細を聞きたくても聞けません。
特に一番身近な親の相続では、準備をしたくても「お金」と「親の死後」に関する相続の話をするのは気まずく、一筋縄ではいきません。
親と相続の話をするためにはどのような方法でアプローチするのがいいのでしょうか?
目次
成功事例から学ぶ「親と相続の話をする方法」
動画の要約相続の話は、親との関係を大切にしながら、適切なタイミングで遺言書や財産の話に進めることが重要です。家族旅行などの自然な話題から遺産分割や相続税の話に繋げるとよいでしょう。相続の準備を怠らず、親とのコミュニケーションを重視することで相続トラブルを避けられます。
親との相続の話は3ステップで進める!
親は
「遺言書なんて大げさだ。うちは相続で揉めるなんてありえない」
と思っていることが多く、相続の話をされると気分を害してしまいがちです。
子ども側からすると、親に
「死んだ後の話なんて縁起でもない!」
「遺産を多く欲しいからそういう話をするのか!」
と言われないかという不安もあります。
しかし、話し合いをしなかった結果、多くの家庭で不幸な遺産分割争いが発生し、兄弟姉妹が音信不通になるトラブルが発生しています。
「うちはそんなにお金持ちじゃないし、争うほど遺産なんてないから大丈夫」
という方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、相続争いは遺産額5,000万以下のケースが全体の約8割を占めているのです。
相続争いは資産家だけの問題ではなく、まさに日本中のどこの家庭でも起こりうるのです。
では、相続争いを起こさないために、親御さんと相続の話をするにはどうしたらいいでしょうか?
上手く話し合いが行われているケースに共通しているのは、いきなり財産の話をしないことです。
大きく3ステップに分けて、焦らずに時間をかけて話を進めているケースが多いです。
- ステップ1 「昔の思い出の話を聞き、これからの話」をする
- ステップ2 「財産以外の相続の話」をする
- ステップ3 「財産の話」をする
この3ステップについて下記で詳しく解説をします。
ステップ1 「昔の思い出の話を聞き、これからの話」をする
親子で相続の話し合いが上手く進むのは、雑談からスタートしたケースです。
中でも、多くの家庭で話のきっかけにされているのが、「昔の思い出話」です。
家族旅行の楽しかった話、叱られた思い出、入学式や卒業式などの節目の話。家族で共有した喜怒哀楽のエピソードを思い出して話してみましょう。
【お客様の事例紹介】 -孫の中学受験をきっかけに将来の話へ-
話し合いが上手くできたとあるお客様は、お子さんの中学受験の話がきっかけでした。
子どもの中学受験を控えていたお客様が、ご自身の中学受験の時のことを思い出し、親に当時の話を聞きました。
この受験の話をきっかけに、自然と孫の将来の話に繋がっていき、孫のためにも遺言書を作ることになりました。
このようなきっかけとなるエピソードはありませんか?
仕事や趣味のことを聞いてみるのも良いでしょう。
「仕事で行き詰まりを感じる。そんなことはなかったか?」
「今まで仕事と家族サービスだけで自分の時間がなかった。どうやって趣味を見つけたの?」
このような話から始めて、親が話しやすい空気感を作ることが大事です。
- 転職を考えているが、どう思うか?
- 早期退職を考えているが、どう思うか?
- 自分と同じ年の頃、健康にどのように気をつけていたか?
- 行っておきたい旅行先はあるか?
このような話も、いいきっかけになるようです。
ステップ2 「財産以外の相続の話」をする
ステップ1で親子で話をするベースができれば、ゆっくりと相続の話へ移行します。
ただし、相続といっても遺産分割の話から入るべきではありません。
「お金の話=いやらしい話」という思いがある方もいます。
親からすれば、お金の話よりも、もっと先に話を聞いて欲しいことがあるはずです。
【お客様の事例紹介】 -お墓の話をきっかけに遺産分割の話へ-
当社のお客様は、お墓の話がご両親と相続の話をするきっかけになったそうです。
このお客様家のお墓は、自宅から離れた山間部にありました。ご両親が子どもの頃に住んでいた場所ですが、今は過疎地となっています。
お客様は将来にわたって先祖代々の墓を守りたい、そのためにはお墓の引っ越しをしたい、と誠意を持って伝えた結果、ご両親も全て任せるという結論に至ったそうです。
お客様のご両親も、お墓を守りたいという話が出たことは嬉しかったようで、相続について話をしていくべきときが来たと感じたそうです。
お墓の話から自然と財産の話に発展し、自然な流れで遺産分割の話ができたということでした。
このように、まずはお金以外の相続の話をするのがステップ2です。
お金以外にも相続にまつわる話はいろいろあります。
- 元気なうちにしておきたいことはあるか?
- 認知症になった後に、どんな心配があるか?
- 介護施設への入居を希望するか?どんな介護施設がよいか?
- 実家が空き家になったら、どうすればいいか?
- 父が死亡した後の母の生活の話。どこに住むのか、どう見守りをするか?
- 延命医療の話。胃瘻などの延命措置を望むか?病名の告知は望むか?
- 葬儀の話。誰を呼ぶのか?葬儀会場はどこが良いか?予算感は?
- 戒名はどうしたらよいか?
- 墓の管理をどうするか?菩提寺とどう付き合うのが良いか?
このような話をきっかけに相続の話に入るのがスムーズです。
ステップ3 「財産の話」をする!
ステップ3は「財産の話」をすることです。
いよいよ相続の話も佳境に入り、財産の話に入ります。
財産の話を上手に進めた家族に共通するポイントは、次の3点です。
- 大事なものの保管場所
- 相続税(税務署)を敵にした遺産分割の話
- 兄弟で揉めたくないので、両親に決めておいて欲しい
通帳や証券会社の口座情報など、大事なものを保管している場所を明確に教えてもらうことは、非常に大切です。
当社にご依頼いただいた案件では、約3割が通帳の保管場所や口座情報などが分からず、財産の全容が見えなくて困るという事案が起きています。
銀行や証券会社の口座情報が分からないと、最悪の場合、申告漏れとなってしまうケースがあります。
当社でも財産調査を行うことができますが、銀行口座の場合、誰にも知られずに作られた口座は非常に見つけにくく、財産調査でも発見されない可能性があります。
一方、税務署は個人の財産を把握できます。申告から漏れていれば税務調査となる可能性も高いです。
実際、銀行口座や証券口座が申告から漏れていて、税務調査で追徴課税が発生することはよくあります。
具体的にお金の話をする時は、税務署を共通の敵にして話を進めると上手くいくケースが多いです。
【お客様の事例紹介】 -税務署を共通の敵に想定して遺産分割の話へ-
とあるお客様のご両親は家族を大事にする考えが強く、家族の仲の良さに自信を持っています。
そのため、相続に不安を持ったお客様が最初に遺産分割の遺言書の話をしたときには、
「家族だから、揉めるはずがない」と取り合ってくれませんでした。
しかし、お客様は、兄弟の配偶者の感情が交じると、遺産分割トラブルもありえると心配していました。
また、せっかく親が残してくれた財産を、相続税としてたくさん取られることも納得いきません。
そこで、税務署という共通の敵を明確にして、親と相続の話をしたそうです。
父母が贅沢もせずに残してくれた財産を相続税として取られたくない。孫のために使いたい。
兄弟同士は揉めることはないが、お互い家庭があり配偶者がいる。万が一にも揉めたくない。
円満に相続を終わらせて、兄弟も孫も父母に感謝をしたい。
上記のような話を誠意をもって話したそうです。
ご両親も税務署という共通の敵がいることを認識し、その上で孫の将来のために自分たちの財産を残したいと思い、作らないつもりだった遺言書を作ることになりました。
遺産分割の話をする際に、相続税や税務署を敵として話すことで、ご両親と同じ立場で話し合いがしやすくなります。
そして、遺産分割を決めることは、自分の取り分を増やすだけではなく、兄弟が今後も仲良く過ごすためであることを誠意をもってしっかり伝えます。
このような大事なものの保管場所などの話をする時に最適なツールが「エンディングノート」です。
相続の話には「切り出すタイミング」がある
親と相続の話をするには、どのような切り出し方・順番で話をしたらいいかを解説してきました。
しかし、相続の話をするにはもう一つ、問題があります。それは「タイミング」の問題です。
「いつ、どのタイミングで相続の話を切り出すか?」 これは多くの方が悩むポイントです。
相続対策の重要性を理解しているご両親でも、「まだまだ自分は元気だから」と後回しにしがちです。
しかし、相続の話は少しでも早いスタートが望ましいでしょう。
なぜなら、突然、亡くなってしまったり、寝たきりになってしまうことが、残念ながらよくあるからです。
そして、それ以上にタイミングが掴めず、問題になることが、認知症の発症です。
親が認知症になると、すべてが手遅れになってしまいます。
遺言書の作成、生命保険の加入、不動産の売却や財産の運用など、ほとんどの法律行為ができなくなります。
また、医師による認知症の診断が下りないうちに遺言書を作成したとしても、親族や介護施設の看護師の証言があれば、その遺言書が無効になる可能性もあります。
繰り返しますが、認知症が発症してしまうと相続対策は全てが手遅れになってしまうのです。
では、上手く相続の話を進めたケースでは、どのようなタイミングで話を切り出したのでしょうか?
多くの場合、次のようなタイミングは相続の話をしやすいようです。
- 正月や盆で家族が集まるとき
- 親が体調を崩したとき
- 親以外の親族(親の兄弟など)が体調を崩したとき
- 近所で相続があったとき
- 芸能人の相続争いの報道があったとき
- 介護施設に入る話が出てきたとき
- 親と旅行に行ったとき
- 孫に入学、就職、結婚等のライフイベントがあったとき
- 親の誕生日のお祝いをしたとき
【お客様の事例紹介】 -家族旅行がきっかけで遺言書作成-
このお客様はご両親と相続の大まかな方向性の話はしていましたが、遺言書などの正式な書類は作れていませんでした。
あるとき、ご両親の喜寿の祝いに孫も連れて家族全員で旅行に行くことになりました。
旅行の日に、お酒を酌み交わしながら本音の話をお互いにしたところ、
「遺産分割を決めたら、自分が大事にされないのではないか?」
という不安をご両親が持っていることが分かりました。
もちろん、このお客様にはそんなつもりは毛頭なく、遺言書は兄弟が揉めないために作って欲しいと思っているだけです。
旅行の日の夜に、お互いの気持ちを知れて、遺言書作成に向かって動き出すことが出来ました。
旅行から戻って、このお客様はご両親と一緒に当社に遺言書作成の依頼をしにいらっしゃいました。
遺言書では、具体的な遺産分割の内容はもちろん、「なぜこの遺産分割にしたのか」という親の思いも文書にして残し、非常にご満足していただけました。
このようにタイミングが合えば、話がスムーズに進みやすくなります。
家族が集まる時、環境が変わる時など、相続の話をするタイミングを意識してみてください。
まとめ
今回は親と相続の話をする方法を成功事例を交えて解説しました。
「親と相続の話をしにくい」とおっしゃる方は非常に多いです。
一般的に親子でお金の話をする機会は少ないため、それも当然かも知れません。
しかし、相続の話は避けて通れません。
相続のお手伝いをしていると、「もっと親のことを知りたかった」というお声が必ず出てきます。
「もう親から教わることはない」と思っていても、必ず教わることが残っています。
覚悟を決めて「親の人生を丸々教えてもらう」くらいの気持ちで、財産のことだけでなく、人生のことをたくさん聞いてみてください。
そして相続は自分もいずれ行く道です。
今の親の姿は、将来の自分の姿であり、30年後の自分です。
この大事な話の機会を逃さず、「聞いておけばよかった」と後悔することがないように、今こそ親と向き合ってお話いただければと思います。
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ご家族の相続は突然起こり、何から手をつけていいか分からない方がほとんどです。相続税についてはとくに複雑で、どう進めればいいのか? 税務署に目をつけられてしまうのか? 疑問や不安が山ほど出てくると思います。
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