親の財産の相続を考えている人のうち、3人に1人が生前準備すると回答。一方で、生前準備の認識や必要性への理解が低い傾向も判明
ベンチャーサポート相続税理士法人(東京都中央区 代表税理士 古尾谷裕昭 https://vs-group.jp/sozokuzei/supportcenter/ )は、「相続準備」に関する実態調査を実施しましたので、お知らせいたします。
<相続準備に関する調査結果トピックス>
- 親の財産の相続を考えている人のうち、3人に1人が生前準備を検討している
- 親が亡くなってから相続を考えている人は、生前準備の認識や必要性への理解が低い傾向が明らかに
- 相続を考えていない人の理由で多いのは、「相続するほどの財産がないから」
<調査概要>
- 調査方法:ゼネラルリサーチ株式会社のモニターを利用したWEBアンケート方式で実施
- 調査の対象:ゼネラルリサーチ社登録モニターのうち、親の相続準備ができていない60歳以上の男女を対象に実施
- 有効回答数:1,007人
- 調査実施期間:2022年8月8日(月)~2022年8月9日(火)
親の相続を考えている人のうち、3人に1人が生前準備を考えている
全国、親の相続準備ができていない60歳以上の男女1,007人を対象に調査を実施。
まず、いつ頃から相続の準備を始めようと考えているのか調査した。
「手続きしようと思っていない(相続しようと思っていない)(38.4%)」を除くと、「被相続人の生前から(23.4%)」「被相続人の葬儀が終わり次第すぐに(16.0%)」「被相続人がなくなってか3ヶ月以内(9.8%)」と続く結果となった。
また、被相続人が亡くなってから相続準備を考えていると回答した人に、「そのタイミングで始める理由として当てはまるものはどれですか?(上位3つ迄)」と質問したところ、「頃合だと思ったから(具体的な理由なし)(62.0%)」「一般的に四十九日法要前後と聞いていたから(20.3%)」「親族でそういう話が出たから(9.4%)」となり、受動的に相続準備を始める人が多い傾向がみられた。
親が亡くなってから相続を考えている人は、生前準備の認識や必要性への理解が低い傾向が明らかに
被相続人が亡くなってから相続準備を考えていると回答した人に、「被相続人が亡くなるまで相続準備ができない理由として当てはまるものはどれですか?(上位3つ迄)」と質問したところ、「亡くなってからするものだと思っていた(37.2%)」が3割強で最多、「相続の話を切り出しにくかった(35.9%)」「生前準備の必要性を感じなかった(34.4%)」と続く結果となった。
相続の準備ができなかった理由を具体的に聞いたところ、
- 亡くなってからでも手続きは済むのではないかと思っている(60代/女性/専業主婦/埼玉県)
- 準備しても寿命が予想以上に延びたら相続財産が変わってしまう(60代/男性/会社員/東京都)
- 亡くなる前から相続の話をするのは、亡くなるのを待っているかのような印象を与えるのではと感じる(60代/男性/公務員/千葉県)
- できるだけ長生きしてもらいたいので、そんな話はしにくい(60代/女性/無職/兵庫県)
などの回答が得られた。
相続を考えていない理由で多いのは、「相続するほどの財産がないから」
「手続きしようと思っていない(相続しようと思っていない)」と回答した人に、「準備していない(相続を考えていない)理由として当てはまるものはどれですか?(複数回答可)」と質問したところ、「相続するほどの財産がないから(45.2%)」「相続人がいないから(23.0%)」「手続きが面倒だから(15.3%)」が続いた。
相続の準備をしていない(相続を考えていない)理由を具体的に聞いたところ、
- 相続するものがない(60代/男性/自営業/東京都)
- 母の面倒を見なかったので、相続権は放棄しようと思うようになった(60代/男性/自営業/兵庫県)
- 相続する財産があるようには思えないし、あったとしても長男が継いでいるので相続放棄するつもり(60代/女性/専業主婦/奈良県)
- 土地などは国に買上げてもらい、そのお金で施設に入る予定でいる。よって財産は何も残らない(70代/男性/パート・アルバイト/神奈川県)
などでの回答が得られた。
【まとめ】
親の財産の相続を考えている人のうち、3人に1人が生前準備すると回答。一方で、生前準備の認識や必要性への理解が低い傾向も判明
親の財産の相続を考えている人のうち、3人に1人が生前から準備したいと回答し、最多となった。
一方で、相続は親が亡くなってから準備するものだと認識していたり、そもそも生前準備は必要ないと捉えている人もいることが明らかになった。
また、生前準備を考えていない理由として、被相続人の生前に相続の話を切り出すことに抵抗を感じるという声も多く、親と相続の話し合いができていない実態も垣間見える結果となった。
専門家からのアドバイス
「親へ相続の話を上手に切り出すポイント4つ」
相続の話は親の死にも触れてしまうため、子どもからは切り出しにくい話題ですが、実際に相続が発生すると当事者になるのは子どもです。
いずれ直面する問題となるため、親の気持ちに配慮しながら切り出す必要があります。
ここからは、親へ相続の話を上手に切り出すポイントを4つご紹介します。
親の気持ちに心を配る。説得はしない
子どもから相続の話を切り出すときは、まず親の気持ちに配慮してください。
人は一方的な要求や説得には拒否反応を示すことが多いため、以下のように切り出すと、まともに取り合ってもらえない可能性があります。
<NG例>
- 家は誰に相続させるのか教えて
- 財産のリストを作ってほしい
- きちんと相続対策してくれないと家族が大変な思いをするんだ
- 遺言書を作成する予定はある?
将来のことが一番気にかかるのは親自身なので、子どもの都合だけで要求や説得があると「今はそんなことを考える時期じゃない」と反論したくもなるでしょう。
スムーズに相続の話を切り出したいときは、年齢の話題に触れてみてください。
古希や喜寿など、長寿の話題にすると親も悪い気はしませんし、あらためて自分の年齢を意識すると、親から相続の話を切り出してくれるケースもあります。
周りで起こった相続の話と絡めて切り出す
親へ相続の話を切り出す場合、いきなり本題から始めると拒否される可能性が高いため、きっかけづくりの話題がポイントになります。
以下のような話題をきっかけにすれば、相続の話に切り替えやすくなるでしょう。
- まだ若いと思っていた○○さん(芸能人など)も亡くなったんだね
- 近所の○○さんが亡くなったけど、誰が家を継ぐかでもめているらしいよ
- 保険が相続対策になるって営業マンから聞いたけど、どういう理屈なのかな
- 法律が変わったから相続税を払う人が増えたらしいよ
- 所有者がわからない不動産って多いらしいね
テレビや新聞、ご近所の事情など、世間一般の話題から入ると、親も返答しやすくなります。
「でも我が家は、父さん(母さん)は元気だから心配しなくても大丈夫だよね?」とつなげていきましょう。
身体の調子、持病、通院状況を確認する
自分の身体に関心のない親はいないので、健康状態や持病の状況、通院の状況などを話題にすると、相続の話につなげやすくなります。
以下のように切り出すと、親から今後の話をしてくれる可能性が高くなるでしょう。
- 新しい薬が処方されているけど身体の調子は大丈夫?
- かかりつけの病院には定期的に通ってる?
- アレルギーがあったと思うけど、○○は食べられるの?
体調に関係する話題から入り、「介護が必要になったときや、認知症になったときのことを考えておこうよ」とつなげていけば、親の要望も聞きやすくなります。
エンディングノートも相続の話につなげやすいので、主治医や過去の病歴などをノートに書いておくと、認知症になっても適切な治療が受けられることを伝えてください。
セミナーに参加する
親子で相続に関するセミナーに参加するとお互いが相続の話をしやすくなるので、一緒に参加されることをおすすめします。
相続セミナーは金融機関や不動産会社、または自治体主催で定期開催されているケースが多いので、近くで開催される予定があれば親を誘ってみましょう。
講師は弁護士や税理士、司法書士などの専門家が担当しているので、親子だけでは気づかなかった相続問題や具体的な解決策がわかります。
自分からは切り出しにくい話題をすべて講師が話してくれるため、今まで相続の話ができなかったストレスも解消されるでしょう。
セミナー終了後にアンケートを実施しているケースもあり、「親子で来るべきだった」という回答はかなり多くなっています。
さいごに
相続サポートセンターでは相続に関する無料相談を受け付けており、オンラインの相続セミナーも定期的に開催しています。
相続について困りごとや不安があれば、ぜひお気軽にご相談ください。