【遺言書の書き方には注意】無効にならないために気を付けたいこととは

相続対策として、有効な遺言書を準備されていますか。

遺言書は、自分一人でも書けるものですが、間違った書き方をすると無効になってしまいます。

無効にならなくても、内容によっては相続争いに発展する可能性もあります。

有効な遺言書を作るには、どうしたらいいのでしょうか。

遺言書が無効になってしまうケース

遺言は、法的に定められた形式で書く必要があります。

どんな遺言だと無効になってしまうのでしょうか。

日付、署名捺印がない

一番基本的なところですが、一番うっかりミスをしやすいところでもあります。

自分で書く自筆証書遺言では、日付と署名捺印が必要です。

日付は、年月日までをはっきりと書きます。

「吉日」と書くことがありますが、遺言では無効になります。

書いた日付をきちんと特定しておく必要があります。

署名捺印についても、署名だけ、捺印だけでは無効になります。

また署名は名字だけ、名前だけだと無効になります。

捺印は、いわゆる認め印で構いませんが、スタンプ印はやめておきましょう。

日付と署名捺印は簡単そうに見えて、意外と忘れてしまうことも多く、遺言書そのものが無効になるケースが多々あります。

遺産の内容と人を特定できていない

たとえば、「お母さんにこの家を相続させる」と書いた場合、第三者には「お母さん」とは誰なのか、「この家」とはどこの家なのかが分かりません。

遺言は誰が見ても分かるように、相続させる物と人を特定する必要があります。

自分が普段使っている呼称で記載しても、それが誰なのか特定できないため、無効になってしまいます。

不動産についても、A市の山やB市の田んぼなどと記載しても、具体的にどこにある不動産なのかが不明になってしまいます。

遺産のモノの特定ができていないと、せっかくの遺言も無効になってしまいます。

金額を特定した遺言

預貯金などの口座番号を記載するのはよいことですが、残高まで書いてしまうと、一部無効になってしまう可能性があります。

遺言を書いた時点と亡くなった時点では、口座残高が異なる可能性があります。

たとえば、残高1000万円をAに相続させるとしていても、亡くなったときには1500万円あったとすると、遺言に記載のない500万円については、遺言外の遺産になります。

逆に、亡くなったときに500万円しかなかった場合、遺言に記載した1500万円は無効となります。

預金の場合は口座番号の特定のみにし、残高は記載しないようにしておく方がよいでしょう。

遺言書を書くときに注意したいこと

遺言を書くときには、どんなことに注意をしたらいいのでしょうか。

直筆で書く

自筆証書遺言は、自分で書くことが基本です。

財産目録についてはパソコンでの作成でも可能になりましたが、本文はすべて直筆です。

年月日の記入や、署名捺印も忘れないようにするのが大切です。

間違えた場合には、二重線を引き、訂正印で訂正しますが、訂正が多い場合は、書き直した方がよいでしょう。

財産の特定と人の特定

どんな財産があるのかを具体的に書くようにします。

不動産については、登記事項証明書に記載のとおり、所在や地番、面積などを記載しておきましょう。

銀行口座や株式の口座なども、銀行名、支店名、口座番号を細かく書いておく必要があります。

相続させる人についても、フルネームだけでなく、その人の生年月日やその時点の住所も併記すると、より確実に特定することができます。

遺留分に配慮する

亡くなった人から見て、親、配偶者、子、孫が相続人となる場合は、遺留分があります。

遺留分は、遺産を最低限もらえる権利ですが、遺言でそれを無視した分け方を指示した場合、遺言で遺産をもらった人が、遺留分を持つ相続人から、遺留分を請求される可能性があります。

遺留分を無視した遺言自体は有効ですが、遺留分までも譲られなかった相続人がそれを納得していなければ、争いに発展する可能性が高くなります。

無効にならない遺言を書くために

遺言は、相続対策には欠かせないものです。

自分で書く自筆証書遺言は、手軽な方法ですが、法律で決まった形式で書かなければ、無効になってしまいます。

内容に不備があった場合も無効になり、あるいは争いに発展してしまうというケースもあります。

遺言の内容については、相続人となる人の状況など総合的に考えて、法的に効果的な遺言を考える必要があります。

遺言書を書こうと思われたら、一度専門家に相談されることをおすすめします。