最終更新日:2023/10/30
株式会社の英語表記「Co., Ltd.」「Inc.」「Corp.」「K.K.」どれが正解?
ベンチャーサポート税理士法人 税理士。
大学を卒業後、他業種で働きながら税理士を志し科目を取得。
その後大手税理士法人を経験し、現在に至る。
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この記事でわかること
- 株式会社の英語表記の種類・使い方について理解できる
- 合同会社や有限会社の英語表記方法がわかる
- メールや名刺への表記方法が理解できる
最近は海外へ展開する企業も多くなり、企業のグローバル化がどんどん進んでいく時代になりました。
名刺などにも日本語と併記して英語表記する会社も多くみられています。
名刺などを新しく作成するとき、または自社ホームページを作成するときなどに会社名を英語で併記することもあると思います。
こういった場合には英語表記の方法を知っておくと便利です。
こちらの記事では日本特有の会社形態「株式会社」の英語表記について詳しくご説明します。
目次
株式会社は日本にしかない会社形態
実は、株式会社という会社の形態は、日本にしかない特有のものとされています。
このことは、必ずしも広く知られているわけではなく、専門家でも勘違いしている人は多いです。
会社組織に関する法律が各国で違うので、会社の形態が国によって異なることは不思議なことではありません。
株式会社の英語表記をどのようにしようかと考える時、必ずしもこれでなければならないという1つの答えがあるわけではないのです。
そのため、株式会社を英語表記にしようとするといくつかの考え方があり、会社によって表記が変わる結果となっています。
日本では、株式会社を設立すると必ず「株式会社」という商号を会社名に含めなければなりません。
しかし先ほど紹介したように、英語表記にする場合はいくつか選択肢があります。
その中から会社の考え方に基づいてどの表記方法にするか決めましょう。
株式会社5つの英語表記と使い方
日本で会社を立ち上げる場合、株式会社であれば商号に「株式会社」という表記を入れる必要があります。
同様に、会社名を英語表記にした場合も、何かしらの形で「株式会社」を英語表記しなければなりません。
英語での「株式会社」の表記方法は次の5つです。
- Co., Ltd.
- Inc.
- Corp.
- Ltd.
- K.K.
それぞれの違いと使い方を見ていきましょう。
Co., Ltd.
「Company Limited」の略になります。
読み方は略さずにカンパニー・リミテッドと読みます。
国によっても違いがありますが、「Co., Ltd.」はイギリスや、アジア系の企業で主に使われる有限責任である表記になります。
日本の企業でも多く採用されているのがこの「Co., Ltd.」です。
「Limited」(リミテッド)とは、有限責任であることを意味しています。
有限責任とは会社が倒産した場合などには、その会社に出資した人、つまり株主が自己資金で責任を負う必要がなく、つまりは責任が制限されているということになります。
「Company」(カンパニー)は会社という意味ですので、「Company Limited」で「有限会社」という意味になります。
日本の株式会社は、有限責任になります。
Co.と Ltd.の間に「,(カンマ)」を入れる必要はありませんが、日本企業はカンマが入っている場合が多いです。
例)
日本企業で「Co., Ltd.」を使用している企業は、Honda Motor Co., Ltd. (本田技研工業株式会社)などがあります。
Inc.
「Incorporated」の略で、インコーポレイテッドと読みます。
「Incorporated」の意味は、法人化の手続きを行っている、つまり法人格を持っているという意味で、日本語に訳すなら法人化されている、または登記が済んでいるということになります。
アメリカで一般的に使用されるのが、「Inc.」です。
「Inc.」の前に「,」(カンマ)を入れている会社もあります。
例)
Rakuten, Inc.(楽天株式会社)
アマゾンやアップルなどもこの「Inc.」を使用しています。
例)
Amazon.com, Inc.(アマゾン・ドット・コム)
Apple Computer, Inc.(アップル・コンピュータ)
Corp.
「Corporation」の略で、コーポレーションと読みます。
こちらもアメリカの会社でよく使用されている表記です。
「Corporate」(コーポレイト)の意味は、法人の、団体の、という意味で、「Corporation」(コーポレーション)で、法人、社団法人、有限会社、および法律で定められた手続きを完了している、ということを表します。
これらのことから、「Corp.」は「株式会社」を表します。
「Inc.」とほぼ同じ意味となります。
「Corp.」という形で用いる場合もありますが、略さずにそのまま「Corporation」を社名の後に付けている会社もあります。
例)
Toyota Motor Corporation(トヨタ自動車株式会社)
Ltd.
「Limited」の略で、リミテッドと読みます。
「Ltd.」はイギリスで一般的な表記となっており、「Co., Ltd.」をさらに略したものになります。
前述しましたが、「Limited」(リミテッド)とは有限責任であることを意味します。
すべて大文字で表記してもOKで、略さずにそのまま「Limited」と表記する場合もあります。
イギリスでは、有限責任であることを表記することが法律で定められていますので、「Ltd.」が社名の後に付くことが一般的です。
K.K.
「Kabushiki Kaisha」の略で、そのままカブシキカイシャと読みます。
日本独自の表記方法ですが、日本で使用されている数はあまり多くありません。
地域別、株式会社のおすすめ英語表記
「結局、どの英語表記にしたら良いの?」とお悩みの方もおられると思います。
会社の英語表記には法的なルールがあるわけではありませんので、どの表記でも問題ありません。
ひとつの決め方の目安として、今後、ビジネスで重視すべき地域ごとにおすすめの英語表記をまとめてみました。
株式会社、有限会社、合同会社はどれも同じ表記で問題ない?
株式会社、有限会社、および合同会社では表記方法に違いがあるのかを見ていきましょう。
株式会社
前述したように、「株式会社」には複数の英訳が存在します。
「Co., Ltd.」「Inc.」「Corp.」「K.K」などの表記方法を任意に選択できます。
有限会社
「有限会社」は、法改正により2006年以降には有限会社は新しく設立できなくなりましたが、英語で表記する場合には「LLC」(Limited Liability Companyの略)、または株式会社と同様にLtd.と表記する場合が多いです。
また、有限責任であるという意味においては、株式会社も有限会社も同じであるため、株式会社と同様の表記方法でも差し支えありません。
合同会社
「合同会社」は、「LLC」(Limited Liability Companyの略)またはInc.またはG.Kとなります。
合同会社は出資した人が会社の運営も行う形の法人ですが、アメリカの州法によって定められている制度をその由来としています。
そのため、合同会社を英語表記する場合には「LLC」を使用する場合が多いです。
「Limited」は「有限の」、「Liability」は「責任」、「Company」は「会社」となります。
合同会社も有限責任の法人です。
そのため、制限された、有限の、という意味の「Limited」がいずれにも使われるのです。
また、使用されている数は多くありませんが、「G.K」は「Godo Kaisha」の略です。
日本語をそのままアルファベット表記したものです。
例)
Amazon Japan G.K.(アマゾンジャパン合同会社)
株式会社を名刺やメールで英語表記する方法
会社名の英語表記は様々な方法があることがわかりましたが、ビジネスシーンでは実際にどのように使うのでしょうか?
名刺やメールに記載する場合に注意が必要なことをまとめました。
基本的なルール
株式会社を名刺やメールで英語表記する場合の基本的なルールは以下の通りです。
前株、後株の区別はない
日本では「株式会社○○○」(前株)、「○○○株式会社」(後株)、という2つの表記方法がありますが、英語表記を使う場合には前後の区別はなく、すべて社名の最後に株式会社の表記「Co., Ltd.」などを付けます。
社名の頭文字は大文字になる
頭文字の後ろは小文字で書くことが一般的ですが、会社名がすべて大文字で登記されている場合にはそのまますべて大文字で表記します。
Co., Ltd.は、カンマの後に半角スペースが入る
「Co.」と「Ltd.」間にはスペースが入ります。
また、カンマは特につけなくても構いません。
「Co., Ltd.」、または「Co. Ltd.」のどちらの表記でも大丈夫です。
メールを送るときの注意点
メール本文の書き方ですが、宛先に関してはまず担当者名、または部門や部署名から、その後に社名が続きます。
例)
株式会社いろはに ほへと様なら、Dear Mr.Hoheto(男性の場合) Irohani Co., Ltd.
となります。
また、取引先の社名の英語表記がたとえば「Corp.」ではなく「Corporation」と略さずに表記されている場合には、こちらからメールを送る場合には勝手に略するのはNGです。
自社名を記載する場合にも同様です。
名刺を作るときの注意点
海外の企業とも取引がある会社は特に、名刺の表記方法も英語である必要性があります。
グローバルな展開を考えている企業については、海外の人に名刺を渡す機会も今後増えていくかと思いますので、日本だけでなく海外の人にもわかりやすい表記方法を使用すると良いでしょう。
また、取引先の中心がどこの地域になるのかも重要です。
アメリカが中心でしたら社名は「Inc.」か「Corp.」、イギリスが中心なら「Co., Ltd.」や「Ltd.」を使うと取引先にもなじみやすく、わかりやすい社名となるでしょう。
日本語と英語の表記を併記すると文字数が多く、わかりにくい印象になりますので、名刺の表と裏でそれぞれ日本語、英語、と表記するとわかりやすくて良いでしょう。
英語表記を検討すべき業種と使用シーン
英語表記を検討すべき業種
英語表記は、会社設立時に検討することが多いです。
ですが、英語表記は登記事項ではありませんので、すべての業種で検討が必要なわけではありません。
以下のようなビジネスをお考えの方は、英語表記をご検討されることをおすすめします。
- ◯輸出入関連のビジネス、貿易業
- ◯IT・テクノロジー関係
- ◯コンテンツ制作・配信
- ◯製造業
- ◯旅行関連のビジネス
- ◯その他国際的なプロジェクトや外国人を対象とするビジネス
英語表記を使うシーン
国内中心のビジネスの方でも下記のようなビジネスシーンで英語表記が必要になることがあります。
今後の展開で自社でも必要となることが想定される方は、ご検討をお勧めします。
- ◯国際的な取引で契約書を締結するとき
- ◯英語表記のWEBサイトを作るとき
- ◯外国人向けのプレスリリースや広報活動をするとき
- ◯海外のイベントに参加するとき
- ◯海外向けの商品のパッケージデザインが必要になるとき
- ◯海外向けのサービスの説明書が必要になるとき
- ◯海外企業と提携をするとき
まとめ
普段はあまり気にならない会社の英語表記ですが、今後は様々な企業がグローバルに営業活動していく時代になります。
また実際に海外と営業活動を行う際には、契約書の締結や税務などのノウハウも必要になります。
弊社では、会社設立の段階から設立後にかけて、税務や法務の面でワンストップでサポートをさせていただいております。
会社設立時のご相談は完全無料です。
お電話やZOOMでの無料相談も対応しておりますので、お気軽にお問い合わせください。