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最終更新日:2022/10/24

株主名簿の記載内容は?管理の方法や株主リストとの違いを解説

株主名簿の記載内容は?管理の方法や株主リストとの違いを解説

この記事でわかること

  • 株主名簿とは何かわかる
  • 株式名簿の記載内容・作成方法がわかる
  • 株式名簿の更新や保管方法がわかる

「株主名簿」は、株式会社を設立し経営していくうえで欠かせない重要な名簿です。

株主名簿の作成は会社法によって義務づけられており、怠るとペナルティが科せられます。

この記事では、株主名簿とは何か、株主名簿への記載事項などについて詳しく解説していきます。

また、株主名簿は保管や扱いにも注意が必要ですので、管理方法についても確認しておきましょう。

株主名簿とは?

株主名簿とは、株式を発行している会社が株主を把握し管理するために作成する名簿のことです。

会社法121条に定められており、株式会社はその大きさや株主の数にかかわらず、必ず株主名簿を作らなくてはいけません。

株主名簿を作成していなかった場合は会社法違反となり、100万円以下の過料が科せられるおそれもあります(会社法976条)。

株主名簿を作成するのは、会社法により会社に作成義務が課されているためですが、その作成目的は大きく2つあります。

株主情報の管理と株主の権利の保護

誰が会社の株式を保有しているのか、その株主の情報と持株数を会社が管理しておかなければなりません。

株主は、会社から配当金を受け取ったり、株主総会に参加する権利を有するため、その権利を会社として保護する必要があります。

株主の把握と紛争リスク予防

会社が株主を正確に把握することで、株主から誤った主張をされた場合に対抗したり、偽物の株主を排除したりすることができます。

そうすることによって、株主間や会社と株主の間の紛争を防ぐことにつながるのです。

株主名簿の作成方法

株主名簿の記載内容は、会社法121条で定められています。

  • 1. 株主の氏名(法人の場合は名称)と住所
  • 2. 株主が所有している株式の数と種類(種類株式発行会社※1の場合は、株式の種類と種類ごとの数)
  • 3. 株主が株式を取得した年月日
  • 4. 株券を発行する会社の場合は、その株券の番号

※1 一種類以上の株式を発行する会社のことを「種類株式発行会社」といいます。

このほか、株式に質権を設定した場合や株式を信託財産とした場合には、その内容も記載します。

議決権や配当金額などが異なる株式を発行することが多いです。

なお、株主名簿に決まったフォーマットはありません

記載事項をすべて書いてさえいれば、紙媒体でも電磁的記録でも、好きなフォーマットで作ることができます。

ここからは、株主名簿の記載内容を詳しく見ていきましょう。

株主の氏名(法人の場合は名称)と住所

氏名や住所は住民票などを確認し、正確に記載しましょう。

法人の場合は、登記している正式な名称と本店所在地を記載します。

株主が所有している株式の数と種類

一種類の株式しか発行していない会社の場合は、「普通株式100株」というように記載します。

複数の種類の株式を発行している会社の場合は、「普通株式100株」「〇〇株式50株※2」などと記載します。

※2 〇〇には株式の名称が入りますが、これは会社が独自で決めることができます。

「優先株式」「劣等株式」「第1種優先株式」「甲種優先株式」などが一般的です。

株主が株式を取得した年月日

株式の代金の払い込みが完了した年月日を記載するのが一般的です。

株券発行会社の株券番号

その株券の番号株券の番号を記載します。

現在の会社法では株券を発行しないのが原則で、その場合は備考欄に「株券不発行」と記載します。

次は、名簿に株式会社の代表取締役(委員会設置会社の場合は代表執行役)が署名、または記名押印をします。

これで株主名簿の完成です。

あわせて、株主の本人確認のため、株主の実印の押印を求める場合もあります。

あらかじめ株主の実印を登録しておき、その人が本当に株主かどうかを確認するのに使います。

株主名簿の変更・更新

株主名簿に変更があった場合、いつ更新を行ったらよいのでしょうか。

株主名簿の記載内容に変更があった場合は、すみやかに名簿の変更を行う必要があります。

たとえば株式の譲渡や相続で株主が変わったにもかかわらず株主名簿を変更していなかった場合、会社法上は株主名簿に載っている人が株主となります。

名簿の変更を怠っていると、本当の株主が議決権などの権利を行使できなかったり、配当金が過った人にわたってしまったりするのです。

また、もう株主ではない人が議決権を行使し、会社に不当な要求をしてくるおそれもあります。

株主名簿の内容が常に正しくあることは、株主と会社の双方にとって大切です。

株主名簿に変更があった場合は、更新を怠らないようにしましょう。

株主名簿と株主リストの違い

株主リストのフォーマット

引用:「株主リスト」が登記の添付書面となりました|法務省

株主の個人情報や、株主の保有株式数を把握するために作成されるものには、株主名簿のほかに株主リストがあります。

株主名簿は会社で保管しておくために作成されるものであり、特に決まったフォーマットや作成方法はありません。

しかし、株主リストは会社内部の書類ではありません

会社が法務局に対して、重要な変更登記を行う際に提出を求められるものです。

株主リストは、商業・法人登記を悪用した犯罪や違法行為を未然に防ぐため、商業登記規則により提出が義務付けられています。

そのため、株主名簿のように会社が自由な形式で作成すればいいというわけにはいきません。

上記に示した株主リストの記載例のように、登記を行うタイミングでの株主の状況を記載していきます。

なお、株主リストの作成時に注意すべき点として、記載する株主の人数があります。

株主名簿には、すべての株主の氏名や株数を記載する必要があります。

これに対して株主リストには、議決権数の割合が高い株主から順に、①議決権の割合が3分の2、②上位10位のいずれか少ない方までを記載することとされています。

株式名簿の管理方法

株主名簿の管理方法は会社法125条で定められており、会社の本店で保管します。

また、株主または債権者から会社の営業時間内に正当な理由に基づいて株主名簿の閲覧やコピーの請求があった場合は、会社はそれに応じなければいけません。

定款で株主名簿管理人を定めた場合は、本店ではなく株主名簿管理人が保管・変更などの管理を行います。

株主名簿管理人は大手信託銀行や証券会社が行っており、主に大企業がこの制度を利用しています。

株主名簿が必要となるケース

株主名簿が必要となるケースは次の通りです。

  • 会社設立時
  • 株主リスト作成時
  • 株主名簿の閲覧請求時

それでは1つずつ詳しく見ていきましょう。

会社設立時

会社を設立して最初に必要となるのは、税務署への届出時です。

会社を設立してから2カ月以内に「法人設立届出書」を税務署に提出しなくてはいけませんが、このとき株主名簿も提出が必要です。

設立後は、株主総会や株主が権利行使をする場合など、株主の特定が必要なケースで必要となります。

株主名簿に書いてある人に株主総会の連絡をしなくてはなりませんし、権利行使を求める人が本当に株主かどうかを株主名簿で確認する必要があります。

また、会社登記の内容を変更する場合にも、法務局から株主名簿の提出を求められる場合があります。

株主リスト作成時

株主リストは、会社が法務局で登記を行う際に法務局に提出しなければなりません

会社が登記しなければならないのは、会社名を変更したり、本店所在地を移転した場合、あるいは役員を変更したり、役員が任期を迎えて再任された場合などです。

このうち、会社名の変更や本店所在地の変更は頻繁にあるわけではありません。

ただ、役員の改選は2年ごとに迎える会社もあるため、株主リストもその都度必要となります。

株主リストのフォーマットは法務局により定められていますが、記載内容はほぼ株主名簿と一緒です。

株主や持株数の変更に応じて株主名簿を作成しておけば、株主リストを簡単に作ることができます。

株主名簿の閲覧請求時

株主名簿は会社に保管しておかなければなりませんが、これは株主からの閲覧請求に対応するためでもあります。

会社の株主は、株主名簿を閲覧する権利を有しており、株主から請求を受けた会社は株主名簿を株主に対して開示しなければなりません

ただし、開示請求をいつ受けるかはわからないため、記載事項に変更があるたびに株主名簿を作り直す必要があります。

まとめ

株主名簿の管理は面倒ですが、会社の持ち主たる株主を正確に特定し把握しておくことはとても大切です。

株主名簿の記載内容は会社法121条で定められていますので、決められた通りに作成しましょう。

また、株主名簿の記載内容に変更があった場合は、すみやかに名簿の変更を行います。

名簿の変更を怠ると、株主が権利を行使できなかったり、もう株主ではない人に議決権を行使されたりするおそれもあります。

会社と株主の双方のために、常に正しい株式名簿を作成して適切に管理するようにしましょう。

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