最終更新日:2023/6/29
起業の前に副業を始めるべき!おすすめの副業と起業成功の秘訣について解説
ベンチャーサポート税理士法人 税理士。
大学を卒業後、他業種で働きながら税理士を志し科目を取得。
その後大手税理士法人を経験し、現在に至る。
PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-tori
起業をする人は、大きく2つのタイプに分類することができます。
「起業してから仕事を始める人」と「起業する前から仕事を始めている人」です。
独立したいという強い思いを胸に、一念発起して会社を飛び出して仕事を始めてしまう人が前者です。
一方の後者は、会社に勤めながら副業として仕事を始める人が当てはまります。
起業を成功させるためには、後者の「起業する前から仕事を始めること」、つまり本業としてサラリーマンをしながら、副業を始めていくことがおすすめです。
この記事では、なぜ副業を始めておいた方がいいのかという理由、おすすめの副業、起業方法の成功の秘訣について解説いたします。
副業から始めるメリット
起業を志してから自分で仕事を始めたイメージを頭に思い描く時、自分のオフィスやお店で、何にも縛られずに自由に働いている姿を想像するでしょう。
今勤めている会社を離れたいという思いが強い人は特にその傾向が強く、独立してから仕事を始めることをつい考えがちです。
しかし、副業として先に事業を始めてしまうという方法もあります。
サラリーマンとして会社に勤めながら自分の事業を育てていくということです。
副業から始める方法には、多くのメリットがあります。
金銭面で有利である
収入が安定する
まず、何よりも収入が安定していることが大きいです。
本業で一定の収入を得て生活費を確保しながら、自分の事業を育てていくことができます。
収入が安定しているということは、精神的な安定にも直結します。
事業をどう展開していくかの判断について、冷静に対処することができるでしょう。
一方、収入が不安定で明日の生活がどうなるかもわからないような状況では、冷静さを失ってしまいがち。
起業してから仕事を始めるパターンでは、どうしてもこの局面に陥りがちなのです。
資金を貯めることができる
事業運営にあたっては、
- ・開業資金
- ・運転資金
- ・設備資金
など多額の資金が必要になってきますが、この資金の多くを自己資金で賄えることが理想的です。
副業から始めて収入に余裕ができることで、その資金を蓄えていくことができるでしょう。
全額借り入れでの資金調達を考えている場合でも、その融資の可否判断の際にある程度の自己資金の準備は求められるものです。
社会保険料を半分会社が負担してくれる
給料明細に何気なく記載されている社会保険料。
給料から天引きされているこの金額は、実際に社会保険料として納められている額のおよそ半分です。
残りの半分は会社が負担しています。
一方、起業すると個人事業主か法人かによって対象となる社会保険の種類が異なるものの、保険料の全額を事業の売上から支払うことになります。
副業として事業を行っている間は、社会保険料の面で有利になることは間違いありません。
スキルアップの相乗効果
本業を続けているだけでは得られないスキルを、副業を通じて手にできることが見込めます。
本業と副業それぞれの業種によってその効果の大小はありますが、副業で得たスキルを本業で活かすことも可能でしょう。
たとえば、副業でパソコンに関するスキルを磨いていけば、本業でもそのスキルを活用し、本業でのパフォーマンスを高めていくことも可能です。
このように、スキルアップによる本業と副業での相乗効果を得ることもできます。
経営感覚を疑似体験できる
本業の会社員として働いているだけでは、経営感覚を味わうことはできません。
経営者ともなれば、自分で仕事を作り出す、不安定な収入の中で事業に必要な資金をやりくりするといったスキルが求められますが、安定した一本の収入を得ている状態ではこの感覚を養えないでしょう。
- ・月によって収入がバラバラになる
- ・自分の事業を展開していくことで様々な費用が発生する
- ・それらのバランスを見ながら資金をやりくりする
副業を通じてこうした状態を体感しておくことで、経営感覚をつかむことができます。
この経営疑似体験が、起業後の経営に生きてくるでしょう。
知識や人脈を得る時間を作り出せる
起業をした後は、事業を伸ばしていくことに専念する必要があり、基本的に時間の余裕はなくなります。
新しい知識を得たり、情報交換できる仲間を作る、などの時間を捻出することも難しくなるでしょう。
その点、副業として事業を展開している段階では収入が安定しているので、それらの時間を作り出すことも可能でしょう。
ここで得た知識や人脈は、起業後の心強いアドバンテージとしていくことができます。
副業から始めるデメリット
副業という方法から起業していくと多くのメリットがある一方で、少なからずデメリットも存在しています。
これらのデメリットをあらかじめ押さえて副業を始めることは、後々のモチベーションの低下を防ぐためにも欠かせません。
肉体的に負荷が増える
本業で週5~6日フルタイムにて勤務している場合、残された時間や日数がとても限られています。
この限られた時間を、副業のために効果的に使っていく必要があるのです。
たとえば、その時間を平日に捻出するとしましょう。
定時まで本業をこなし、帰宅してから作業時間を確保するというパターンでは、クタクタの身体に鞭を打って作業するような状況が考えられます。
休日であっても、平日の身体的疲れを癒すためにもゆっくりしたいところを副業時間に充てるわけですから、肉体的に負荷が増えていくことは間違いありません。
これだけの生活サイクルに耐えうる身体的なポテンシャルがあるかどうかも、大事なポイントになるのです。
精神的に負荷が増える
肉体的な負荷に限らず、精神的な負荷も相当なものです。
限られた時間の中でいかに副業時間を捻出するかを常に考え、疲れ切った頭と身体で副業に取り組んでいくのは、決して容易なことではありません。
その途中で精神的に参ってしまい、起業自体を断念してしまうことも珍しくないのです。
どれだけ気力・精神力を途切れさせずに継続していけるかも、見過ごせない点です。
独立のタイミングが先延ばしになる可能性がある
肉体的・精神的負荷がかかり続けた結果、副業に割ける時間を確保できなくなり、結果的に独立のタイミングが先延ばしになってしまう可能性があります。
ズルズルと先延ばしになっていく中で、起業へのモチベーションが下がっていくことも十分にありえます。
本業の取り組み方を見直す、時間や体力のマネジメントを強く意識するなど、副業を両立させていくにはどんな方法が効果的なのか、より具体的に検証していく必要があるでしょう。
副業から始める際に注意しておきたいこと
副業から起業していくメリット・デメリットを押さえたうえで、さらに踏み込んで注意しておきたいことを確認していきましょう。
中途半端になってしまう
本業と副業のその両方が中途半端になってしまわないように注意してください。
副業に注力するあまり、本業をあまりに疎かにしてしまうことは好ましくありません。
本業で収入が安定しているからこそ成り立つ副業の形であり、本業が危ぶまれる状況になっていくのは避けましょう。
開業届の出し忘れ
副業という方法であっても、継続してやっていくのであれば個人事業という分類になります。
開業届を忘れずに提出し、確定申告を経て税金を確実に納めていきましょう。
本業一本の際は、会社が所得税の天引きや年末調整をしてくれることで、税金について自分で計算する必要はなかったかもしれません。
しかし「副業をするとは個人事業主になること」という意識をしっかりと持ち、税金をはじめお金周りを全て自分で把握することを忘れないようにしましょう。
独立に有利な副業の分野
どの分野で起業したいかが明確である場合を除いて、これから起業内容を検討していくのであれば、副業からの独立に有利な分野を選ぶといいでしょう。
副業では、本業で働いた残りの時間をうまく使って稼働していくことが必要になります。
それに適した形であることが、独立に有利な副業の条件といえます。
パソコン・インターネットを使った仕事であること
限られた時間と体力でスキル・実績を積んでいくことを考えれば、パソコン・インターネットを使った仕事であれば実績を伸ばせる可能性は高いといえるでしょう。
帰宅してから自宅でそのまま作業もできますし、動き回って体力を大きく消耗することも少なく、コストパフォーマンスの良い仕事が期待できます。
中でもおすすめといえる副業をいくつかご紹介いたします。
アフィリエイト
アフィリエイトとは成果報酬型広告のことで、以下のような収入の仕組みになっています。
- 1.自分のホームページやブログに広告を掲載する
- 2.それを見た人が広告をクリックして商品を購入したり、サービスを申し込む
- 3.自分の手元に広告収入が入ってくる
広告掲載の権利を得るためには一定の条件があり、ある程度のスキルは必要になりますが、
ブログ記事を書くことができれば始めることが可能です。
かなり気軽に始められる方法だと言えるでしょう。
グーグルアドセンス
アフィリエイトに似た広告収入の形に、グーグルアドセンス広告があります。
以下のような仕組みです。
- 1.自分のホームページやブログに広告を掲載する
- 2.それを見た人が広告をクリックする
- 3.自分の手元に広告収入が入ってくる
アフィリエイトと違って購入や申し込みなど関係なく、広告がクリックされるだけで収入が発生する仕組みになっています。
ただし、単価はアフィリエイトに比べると低い傾向があります。
アフィリエイト同様に、広告掲載までには一定の条件をクリアしなければなりませんが、文章を書くことが得意な人にはおすすめの方法です。
ネットショップ
ネットショップを運営するという方法もあります。
- ・商品を自分で作って販売する
- ・商品を仕入れて販売する
主にこの2つのどちらかの形になります。
モノ作りが得意であれば上の「商品を自分で作って販売する」方法を選択したくなるところですが、商品を作成する十分な時間を確保する必要があるので、時間・体力と相談しながら方法を検討しましょう。
プログラミング
専門の知識があるのであれば、プログラミングという方法もあります。
Web上のサービスやスマホのアプリなど、日々新しいビジネスの形態が生まれている時代に、プログラミングスキルの需要は尽きることがないでしょう。
全く知識が無い場合でも本やネットなどを駆使して、自分で学びながら習得していくことも可能なので、副業の形としては検討してみる価値があります。
ライター
クラウドソーシングが浸透してきた現代では、様々な仕事をWeb上で個人が受託できるようになってきました。
中でも、ライターの仕事は文章を書ければ引き受けられる、始めやすい業種です。
1案件何円、1文字単価何円といった単価の形で依頼を引き受け、記事を執筆して納品します。
依頼者と継続的な取引ができるようになれば、単価を上げるなどして収入を上げることが可能なので、そのまま独立する道も開けていくでしょう。
独立をするべきタイミング
本業と並行して副業という形で事業を開始・展開していく中で、考えておく必要があるのが、
独立するタイミングです。
独立するということは、会社員という安定収入の柱を失うということですから、そのタイミングを容易に決めるべきではありません。
この事業に専念して生活をしていけるという手応えを感じたら、これから先の収入と支出の予測、それらを踏まえた資金繰りなどを実際にシミュレーションしてみる必要があるでしょう。
その業種や支出の大小によってタイミングは変わってきますが、およその目安となる指標はあります。
収入のバランスが逆転する
本業を収入の柱として始めた副業の収入が本業の額を上回ったら、独立できるタイミングといえるでしょう。
本来、本業の収入だけで生活できていたものを、副業収入だけで賄えるようになるわけですから、十分な収入を確保できている段階だと判断できます。
生活資金が確保できている
事業の運営には資金が必要で、事前にできるだけ自己資金を確保することはすでに述べました。
加えて、個人の生活費をある程度確保できることも大事なポイントです。
これから事業展開が行き詰まり、売上状況が厳しく収入が途絶えそうなときでも、持ちこたえられるだけの生活費を保っておくことが欠かせません。
具体的に、最低半年分は生活費が確保できていることが重要でしょう。
起業成功の秘訣
サラリーマンから独立して起業し、成功を手にする人にはいくつかの特徴があります。
言わば、起業成功の秘訣のようなものがあるのです。
これらが十分に備わっているかどうか、確認していきましょう。
ピンチをチャンスに変える
本業を継続しながら副業で事業を育てていくことは、経験したことのない大変な思いをこれからしていくということでもあります。
人によっては、時間と気力と体力の余裕のなさに追い詰められることもあるでしょう。
しかし、そんなピンチの状態の時こそチャンスととらえて進んでいける人が、起業しても成功していけるのです。
逆に言えば、そこでチャンスととらえられなければ、独立計画自体を見直すことも大事ということです。
副業で少しの収入を得続ければ十分という結論であれば、無理して独立する必要もありません。
自分に合った方法を模索していけばいいのです。
行動力がある
事業運営には、決断を迫られる場面が多く現れます。
そんな時、深く客観的な思考を持って決断を下せることは必須ですが、決断してすぐ行動できる行動力こそが成功のカギとなります。
日々変化していく社会の中で最善の一手を打っていくためには、考えながら動いていける
行動力が欠かせないのです。
マーケティングの視点を持っている
どんなに優れた事業を展開できる自信があっても、それが実際の市場で受け入れられなければ価値を生み出せません。
市場の動向をつかみ、そのフィールドに対してどんな事業を展開していけるのかというマーケティング思考が欠かせないのです。
世の中がどんな傾向で推移しているのか、絶えず情報をキャッチしてその先を読み、客観的に自分の事業の強み・弱みを分析し、最もパフォーマンスを発揮できる形で市場に投入する……。
成功する人には、そんな事業運営をしていける人が多いのです。
経営感覚がある
事業を手掛けるようになれば、自ずと経営の感覚が身に付くかというとそうでもありません。
世の中に存在している中小企業の中には、一社員の感覚のままで経営を続けている経営者も少なくないのです。
経営感覚があるということは、一言で言うと全体最適化の視点を持っているということです。
常に事業の全体像を把握しましょう。
場面ごとに、どこに最も時間・お金・労力を注ぐべきなのかを見極める力を持っていることが成功の秘訣です。
ひたすら目の前の仕事に追われて結果が出ないような事態は、この全体最適化の視点が欠けているために起きてしまうのです。
独立への強い動機を持っている
どれだけ逆境に立たされても、気持ちを崩さず進んでいける人は、とりわけ独立の強い動機を持っているものです。
なぜこの事業を手掛けるのか、そこにかける思いが強い人ほど成功すると言えます。
「会社勤めが嫌だったから」「なんとなくカッコいいから」というような姿勢で成功できるほど、独立して事業を運営していくことは甘くありません。
まとめ
起業して事業を軌道に乗せていくには、いかにリスクを減らしながら行動していけるかが重要になります。
十分すぎるほどの準備に準備を重ねて、ようやくスタートラインに立てるでしょう。
独立前に副業として事業を始めておくことは、リスク管理において効果的だと言えます。
二足のわらじを履きながら力を蓄え、独立後に良いスタートを切れるように事業を導いていきましょう。