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合同会社とは?設立のメリット・デメリットや特徴をわかりやすく解説!

森 健太郎
この記事の執筆者 税理士 森健太郎

ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネルを運営。

PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-mori
YouTube:会社設立サポートチャンネル【税理士 森健太郎】
書籍:プロが教える! 失敗しない起業・会社設立のすべて (COSMIC MOOK) ムック

合同会社とは?設立のメリット・デメリットや特徴をわかりやすく解説!

この記事でわかること

  • 合同会社とはどのような特徴の会社なのか
  • 合同会社を設立するメリット・デメリット
  • 事例に学ぶ合同会社設立の注意点
  • 合同会社のメリットをうまく活かせるケース

合同会社とは、「所有と経営の一致」や「全社員が有限責任」などの特徴を持つ、比較的新しい会社形態のことです。近年、株式会社に次いで多く設立されており、現在では設立件数の4件に1件が合同会社となっています。

合同会社のメリットとしては、株式会社より初期費用が安いことや経営の自由度が高いこと、重任登記や決算公告の手間が少ないことなどがあげられます。一方のデメリットは、知名度の低さや社員間トラブルの起きやすさ、資金調達の難しさなどが代表的です。

この記事では、合同会社の特徴やメリット・デメリット、設立時の注意点などを解説します。ぱっと見てわかりやすい一覧表や、膨大な設立実績にもとづく現場情報などは特に必読です。合同会社が自分のやりたい事業にマッチしているのか、ぜひ検討してみてください。

▼目次

一覧表でまるわかり!合同会社のメリット・デメリットのまとめ

起業のスタイルは、大きく「法人設立」と「個人事業主(フリーランス)」の2種類に分けられます。冒頭で述べたとおり、現在設立される法人のほとんどは株式会社か合同会社です。合同会社の細かな特徴は後述しますが、まずは株式会社や個人事業主と比べた合同会社のメリット・デメリットをざっくりご提示します。下表がそのまとめです。

合同会社の
メリット
合同会社の
デメリット
株式会社と比べて 設立手続きにかかる費用や手間が少ない 認知度の低さで不都合が生じることがある
役員の任期がないため重任登記が必要ない 全社員が平等に議決権を持つため社員間のトラブルが起きやすい
決算公告の義務がなく手間や費用を省ける 外部からの出資が見込めないため資金調達が難しい
所有と経営が一致しているため経営の自由度が高い 株式会社への組織変更に手間と費用がかかる
個人事業主と比べて 社会的信用を得やすく取引で有利になる 社会保険料などの固定費の負担が大きい
利益に課される税金が法人税に変わることで節税効果が期待できる 法人税申告などの会計処理や税金対策が難しい
無限責任から有限責任になるため負債のリスクが小さい 私的な資金を自由に引き出せない

大事なポイントを凝縮すると、合同会社のメリットは、株式会社より手続きの手間や費用が抑えられ、個人事業主より社会的信用を得やすく、かつ多額の負債を避けられるといった具合です。一方のデメリットとしては、株式会社より知名度が低いことや社員間のトラブルが起きやすいこと、個人事業主よりお金の悩みが倍増することがあげられます。

合同会社設立のメリット・デメリットをじっくり検討するには、まず「合同会社とはどのような会社なのか」について理解を深めることが重要です。以下では、合同会社が生まれた背景や合同会社の特徴をシンプルに整理して解説します。


合同会社とは2006年(平成18年)に新設された法人形態

合同会社は、2006年の新会社法の施行にともなって新設された法人(会社)形態です。アメリカのLLC(Limited Liability Company:有限責任会社)をモデルとして導入され、日本版LLCと呼ばれることもあります。有名な合同会社にはアップルジャパン合同会社やアマゾンジャパン合同会社などがあります。ちなみに合同会社の略称は「(同)」です。

「有限責任会社」と聞くと、日本の「有限会社」を連想する人も多いかもしれません。しかし、現在日本で設立できる会社は、株式会社、合同会社、合資会社、合名会社の4種類です。有限会社は新しく立ち上げることができず、普段見かける「有限会社」は、2006年以前に設立された有限会社が特例として存続しているケースです。

2023年の政府統計によると、合同会社の設立件数は年間4万件以上となっています。合同会社の設立は株式会社(約10万件)に次いで多く、会社形態としての認知度の上昇とともに年々件数を伸ばしてきました。次章では、そんな合同会社の特徴を3点に絞って簡単に解説します。

参考:会社及び登記の種類別 会社の登記の件数 | 統計表・グラフ表示 | 政府統計の総合窓口


合同会社の特徴とは?重要なポイントはこの3つ!

合同会社の特徴とは?重要なポイントはこの3つ!

上図のとおり、合同会社とは、利益を構成員に分配することを目的とする「営利法人」であり、そのなかでも会社の所有者と経営者が一致している「持分会社(もちぶんがいしゃ)」にあたります。そして持分会社のなかでは「すべての社員が有限責任である」という点が大きな特徴です。

合同会社が営利目的であることは説明不要でしょう。以下では、株式会社との大きな相違点である「所有と経営の一致」や「“社員”の意味」、そして他の持分会社との違いである「全社員が有限責任」というポイントをわかりやすく解説します。

所有と経営が一致している

「所有と経営の一致」は、株式会社と比べた合同会社(持分会社)の大きな特徴です。株式会社には「所有と経営の分離」という原則があり、会社を所有する「株主(出資者)」と経営を担う「役員」が異なります。一方、合同会社の場合、株主や役員といった区分はなく、すべての社員が出資者であり、かつ業務執行を担うのが原則です。

「所有と経営の一致/分離」の違いがよく現れているものに、株主総会があります。株式会社では、会社の意思決定にあたり、株主と役員の意見をすり合わせる株主総会が必要になることが多いです。株主総会を開くには時間や手間がかかりますが、合同会社であれば会社の所有者に別途表決を求める手続きは不要で、意思決定をスムーズに行えます。

社員の意味は「出資者」兼「経営者」

一般に「社員」というと従業員をイメージしますが、合同会社の「社員」は出資者・経営者を意味します。合同会社には、出資しない社員はいません。また、株式会社の株主は出資額の大きさで発言権が変わりますが、合同会社の社員は1人1議決権で平等です。

社員が2人以上の合同会社では、原則、会社の重要業務は社員の過半数の同意により決定・執行されます(社員1人でも合同会社は設立できます)。ただし、会社運営の基本ルールをまとめた「定款(ていかん)」という書類に特別の規定を設けた場合、たとえば「過半数の同意」ではなく「総社員の同意」のように独自のルールを定めることも可能です。

出資者で経営者でもある社員ですが、経営面については、適性の低い社員がいる可能性もあるため特定の社員に限定することもできます。定款で規定すれば、たとえば特定の3人を「業務執行社員」とし、他の社員に業務執行から離れてもらうことも可能です。また、業務執行社員の中から「代表社員(株式会社でいう代表取締役)」を選ぶこともできます。

全社員が有限責任である

「所有と経営の一致」や「社員=出資者・経営者」は、株式会社と比較したときの合同会社の特徴です。一方で「全社員が有限責任」というのは、所有と経営が一致している他の持分会社(合資会社や合名会社)と比べたときの合同会社の特徴になります。

合同会社が債務を負った場合、社員の責任は出資額の範囲に限られます。これが「有限責任」です(株式会社の株主も有限責任です)。合資会社や合名会社では無限責任社員が認められているため、個人の財産をなげうって会社の債務を弁済しなければならない事態もあり得ます。合同会社なら、債権者に出資額以上の支払いをする義務は生じません。


合同会社のメリットとは?設立の理由を深掘り!

合同会社の大きな特徴がわかったところで、ここからは合同会社を作るメリットを深掘りしていきます。株式会社か合同会社かで迷っている人、個人事業主か合同会社かで迷っている人、両者にとってわかりやすく有益な情報になれば幸いです。

合同会社のメリット
株式会社と比べて 設立手続きにかかる費用や手間が少ない
役員の任期がないため重任登記が必要ない
決算公告の義務がなく手間や費用を省ける
所有と経営が一致しているため経営の自由度が高い
個人事業主と比べて 社会的信用を得やすく取引で有利になる
利益に課される税金が法人税に変わることで節税効果が期待できる
無限責任から有限責任になるため負債のリスクが小さい

株式会社と比べた合同会社のメリット

まずは、株式会社と比べた合同会社のメリットを確認していきましょう。株式会社と合同会社の違いには多くの観点がありますが、合同会社ならではのメリットとして特に重要なポイントは次の4点です。以下、これらについて詳しく解説します。

合同会社のメリット:株式会社との比較
  • 設立手続きにかかる費用や手間が少ない
  • 役員の任期がないため重任登記が不要
  • 決算公告の義務がない
  • 経営の自由度が高い

設立手続きにかかる費用や手間が少ない

会社設立の費用や手続きの負担という観点でみると、合同会社のほうに利点があります。一般に、株式会社の設立には約24万円、合同会社の設立には約11万円の初期費用がかかります。また、合同会社の場合、株式会社の設立では必須の「定款認証」が不要で、手続き上の負担も小さいです。

「定款認証」とは、公証役場という役所で定款の内容をチェックしてもらい、正当な定款であると認めてもらう手続きのことです。定款認証には手数料がかかり、株式会社の場合は1万5,000~5万円の出費になります。また、会社の設立登記にかかる登録免許税の額にも差があるため(株式会社15万円、合同会社6万円)、合同会社のほうが安く作れるのです。

役員の任期がないため重任登記が不要

合同会社の役員(業務執行社員)には、任期がありません。たとえば株式会社の取締役には会社法で定められた任期(原則2年)があり、取締役に変更がない場合でも任期満了後には重任登記が必要になります。重任登記は役員変更登記の一種で、1万円または3万円の登録免許税もかかります。

参考:役員変更|商業・法人登記の申請書様式:法務局

株式会社の役員変更では、登記だけでなく株主総会による決議も必要です。これは重任の場合も例外ではありません。一方、合同会社の役員には任期がないため、一定期間ごとに重任の手続きをする手間や費用は不要になります。

決算公告の義務がない

決算公告の義務がないという点も、株式会社と比べた合同会社のメリットです。株式会社には、株主総会後に決算公告(会社の損益や資産状況の開示)をする義務があります。公告の方法としては「官報に掲載する方法」が一般的で、1回あたりの公告料金は7万~15万円ほどです。

一方、合同会社の場合、株主総会や決算公告にかかる費用や手間はありません。先述の「設立手続き」や「重任登記」の比較からもわかるとおり、合同会社の初期費用やランニングコストは全体的に株式会社よりも安いです。低コストで設立・運営できるという点は、合同会社の大きな利点になります。

経営の自由度が高い

さきほど、合同会社の特徴として「所有と経営の一致」について解説しました。全社員が出資者で、かつ業務執行を担える合同会社は、出資者と経営者が原則異なる株式会社よりも経営の自由度が高いといえます。事業の展開・撤退などの経営判断を社員が行い、そこに第三者が介入することなく実行に移せるのは、合同会社の大きなメリットです。

また、合同会社では、定款に定めることで、社員の出資割合に関係なく利益の分配ができます。たとえば、2人の社員がそれぞれ300万円、200万円を出資している場合、出資割合は3:2でも、利益の分配は50%ずつにするということも可能です。専門技術やアイデアなど、出資金以外の貢献度に応じた利益分配ができるのも、合同会社の利点だといえます。

個人事業主から合同会社になるメリット

ここからは、個人事業主と比べた合同会社のメリットを解説します。個人事業を営む人のなかには、このままフリーランスとしてビジネスを続けてよいのかと悩んでいる人も多いでしょう。会社設立のメリットをしっかり押さえて法人を立ち上げれば、事業の幅が大きく広がる未来も見えてきます。

個人事業主から合同会社になって得られるメリットは、大きく以下の3点です。なお、ここで紹介するメリットは株式会社についても該当します。合同会社の場合、株式会社より少ない手続きやコストでこれらのメリットを受けられるという認識でご一読ください。

合同会社のメリット:個人事業主との比較
  • 社会的信用度が高くなる
  • 法人化による節税メリットを受けられる
  • 無限責任から有限責任になる

社会的信用度が高くなる

一般に、個人事業主と比べると、合同会社のほうが社会的信用度が高いです。企業によっては「法人としか取引しない」と決めているところもあります。既存の取引先についても例外ではなく、弊社へ相談に来られる人のなかには「得意先から法人化を求められた」という人も少なくありません。

このほか、社会的信用は融資や雇用にも影響します。金融機関や自治体などに融資を申し込む場合、会社のほうが個人事業主より通りやすい傾向があります。また、従業員を雇用したい場合、会社のほうが信頼感があるため、より優秀な人材を確保しやすくなるでしょう。

法人化による節税メリットを受けられる

個人事業主が会社を作ることを「法人化」といいますが、法人化すると税金が安くなることがあります。個人事業主と会社で大きく異なるのは、利益に課される税金が所得税か法人税かという点です。一般に、課税所得が500万~800万円になると、所得税より法人税のほうが安くなります。高い売上が見込めるなら、法人化による節税メリットは大きいです。

また、法人化すると経費の幅が広くなります。たとえば、自身への給料を「役員報酬」として経費にできたり、経費でカバーできる住居費や出張費の範囲が広がったりします。このような経費の幅の拡大も、フリーランスでは得られない会社設立のメリットです。

無限責任から有限責任になる

合同会社の特徴に「全社員が有限責任」というものがありました。復習すると、会社が債務を負った場合、社員の責任は出資額までに限られるという意味です。

個人事業主は、すべての債務について無限の責任を負います(無限責任)。多額の負債を抱えてしまうと、自身の財産をなげうってでも債務を弁済しなければなりません。事業に失敗したときのことを考えると、有限責任社員でいられる合同会社のほうが個人事業主よりもリスクを軽減できます。


合同会社のデメリット|事例に学ぶ後悔しないためのポイント

ここまで合同会社のメリットを解説してきましたが、メリットだけを見て合同会社を選ぶことはおすすめできません。ここでは、3万件以上の会社設立をお手伝いしてきた弊社の現場経験をもとに合同会社のデメリットを解説します。貴重な体験談から、下表の7つのデメリットについて大いに学びましょう。

合同会社のデメリット
株式会社と比べて 認知度の低さで不都合が生じることがある
全社員が平等に議決権を持つため社員間のトラブルが起きやすい
外部からの出資が見込めないため資金調達が難しい
株式会社への組織変更に手間と費用がかかる
個人事業主と比べて 社会保険料などの固定費の負担が大きい
法人税申告などの会計処理や税金対策が難しい
私的な資金を自由に引き出せない

株式会社と比べた合同会社のデメリット

まずは、株式会社と比べたときの合同会社のデメリットです。低コストで設立でき、経営の自由度が高い合同会社にはどのような弱点があるのでしょうか。以下では、次の4点について詳しく解説します。

合同会社のデメリット:株式会社との比較
  • 会社形態としての認知度が低い
  • 他の社員との間でトラブルが起きやすい
  • 資金調達の幅が狭い
  • 株式会社への組織変更に手間と費用がかかる

会社形態としての認知度が低い

設立件数こそ増加している合同会社ですが、やはり株式会社と比較するとその認知度はまだ低いのが実情です。たとえば、営業先と名刺交換をする際に「合同会社とは何ですか?」と尋ねられたという話はよく聞きます。会社代表者の肩書についても同様で、代表取締役ではなく「代表“社員”」であることに小さなコンプレックスを抱いている社長も多いようです。

このほか、認知度の低さは会社の信用にも影響します。個人事業主より社会的信用を得やすいとはいえ、いまだに「合同会社であることを理由に大口の契約が白紙になった」や「合同会社だからと口座開設を断られた」といった声はときどき耳にします。認知度や信用に関しては、株式会社よりも合同会社のほうが悩みの種になることが多いです。

他の社員との間でトラブルが起きやすい

「他の社員とトラブルになりやすい」というのも、合同会社の弱点の1つです。合同会社の社員は出資額に関わらず平等に意思決定権を持つため、決算や役員報酬などの重要事項の決定が思いどおりにいかなくなるケースはよくあります。設立当初は仲が良かった共同経営者と途中でもめて、最後には決裂してしまう事例も珍しくありません。

また、先述のとおり、合同会社の社員は出資者でもあります。そして社員は、退社する際に持分(出資金)の払戻しを受けることが可能です。この点に関して「役員が辞任するときに出資金の買取りが必要になるとは思わなかった」と後悔する人もよく見られます。意思決定の停滞だけでなく、役員が辞任する際のトラブルも合同会社のほうが多い印象です。

参考:会社法 第六百十一条(退社に伴う持分の払戻し)|e-Gov 法令検索

資金調達の幅が狭い

合同会社は、株式会社より資金調達の幅が狭いです。合同会社における出資は「経営への関与」に直結するため、投資家や投資会社などの外部の人・団体に対して出資だけを求めることはできません。もちろん株式市場に上場することもできません。株式会社のように多様な手段で大きな資金を集めることが難しい点も、合同会社のデメリットの1つでしょう。

株式会社への組織変更に手間と費用がかかる

合同会社の4つ目のデメリットは株式会社への組織変更についてです。意思決定の問題や外部出資の必要性などから、あとになって合同会社から株式会社に変更するケースはよくあります。そして組織変更にあたり、あまりの手続きの大変さに「最初から株式会社にしておけばよかった」と後悔する人がとても多いです。

組織変更では、組織変更計画の作成や官報公告、新会社の設立登記など、多くの手間や出費が発生します。もちろん会社の印鑑や法人口座なども変更しなければなりません。広く資金を集めて事業を大きくしたいのであれば、はじめから株式会社を選んだほうが将来的に余計なコストがかからずに済みます。

個人事業主と比べた合同会社のデメリット

続いては、個人事業主と比べた合同会社のデメリットをまとめます。株式会社での法人化にもあてはまるものですが、特に以下の3点は、個人事業主から合同会社になった後によく後悔しがちなポイントです。

合同会社のデメリット:個人事業主との比較
  • 社会保険料などの固定費の負担が大きい
  • 会計処理や税金対策が難しい
  • 私的な資金を自由に引き出せない

社会保険料などの固定費の負担が大きい

固定費の負担が大きくなるという点は、個人事業主から合同会社に切り替えた人がよく後悔するポイントです。なかでも「社会保険料の負担のイメージが甘かった」「赤字でもかかる社会保険料が高すぎる」といった社会保険関係の悩みは後を絶ちません。合同会社を作った後の社会保険加入は義務であるため、事前に入念なシミュレーションが必要です。

そのほか、代表的な固定費に法人住民税の均等割という税金(年間の税額は最低7万円)もあります。設立1期目は赤字続きで当然ですが、これらの固定費の負担増には覚悟が必要です。なお、会社を作ると、引っ越しにともなう変更登記費用のような、個人事業主では発生しない出費も多くなります。合同会社の維持費については前もって確認しておきましょう。

会計処理や税金対策が難しい

法人化を選択した人の多くは、会計作業の複雑さや税金対策の難しさに圧倒されます。個人事業主のときは自力で税申告をしていた人でも、決算書の作成や法人税の申告を自力で行うのは至難の業です。ほとんどの場合、これらの会計業務は税理士に依頼することになり、税務顧問料はもちろん固定費の増加につながります。

とはいえ、法人化によって個人事業主の頃より節税できるというケースも多いです。信頼できる起業家支援専門の税理士のもと、役員報酬を適切に設定したり経費をうまく処理したりすれば、顧問料以上の節税も見えてきます。「個人事業主のほうがよかった」と後悔しないためには、その道のプロに税務をお願いするのが現実的です。

私的な資金を自由に引き出せない

個人事業主から合同会社になるデメリットの3つ目は、自由に使えるお金が少なくなるという点です。生活上の突発的な出費が生じた場合、個人事業主であれば事業用の口座からでも自由にお金を引き出すことができます。しかし、法人化して役員になった場合はそうはいきません。

合同会社の場合、他の役員との利害関係や役員報酬の縛りにより、必要なときに必要な分だけ生活費を引き出すのは難しくなります。特に役員報酬は、事前に設定した一定額を毎月受け取る「定期同額給与」という形式が一般的です。法人化した人のなかには「役員報酬を低く設定してしまい、個人で使えるお金の自由度が下がった」と後悔する人も多いです。


失敗しない!合同会社を作る前の注意点3選

ここまで、合同会社の特徴やメリット・デメリットを解説してきました。ここでは、それらを踏まえ、合同会社を設立する前に知っておくべき注意点をご紹介します。経験豊富な弊社税理士からのアドバイスとして、以下3点を確認していきましょう。

合同会社を作る前の注意点
  • 設立時のコストだけで合同会社にしない
  • 現在の関係性だけで役員を選ばない
  • 業種まで考慮して会社形態を選ぶ

設立時のコストだけで合同会社にしない!

設立手続きにかかる手間や費用が少ないのは、合同会社の大きな利点です。しかし、会社を作るスピードや初期費用の安さだけを重視して合同会社にするのは得策とはいえません。会社経営においては、何より長期的な視点が重要です。

将来的に事業拡大をねらっている場合、第三者の参入や資金調達の必要性などを見越して、はじめから株式会社にするほうがよいケースもあるでしょう。あとで株式会社に組織変更することもできますが、その場合、初期費用で節約できた分の何倍ものコストがかかります。これから会社を大きくしたいなら、合同会社でなく株式会社を選ぶほうが賢明です。

現在の関係性だけで役員を選ばない!

合同会社のデメリットの1つに「他の社員との間でトラブルが起きやすい」というものがありました。複数名からなる合同会社では、出資額に関係なくそれぞれの役員が平等に意思決定権を持ちます。ただし、この決定権に優劣がない点は、役員同士が対立したときに会社運営上の大きな障壁となります。

たとえ現段階で関係値のある相手でも、その関係性の良さや付き合いの長さだけで役員登記してしまうのはリスキーです。経営上の対立の可能性はもちろん、事例として、奥様を役員登記し、のちに離婚して調停や辞任の手続きが大変だったというケースもあります。共同経営者を選ぶ際は、業績の見通しや相手の働き方などから慎重に判断することが必要です。

業種まで考慮した会社形態の選択を!

株式会社と合同会社のどちらを設立しようかと悩んでいるなら、事業内容に注意を向けてみるのも1つの手です。合同会社の知名度や信用度は株式会社には劣るため、自身の手がける事業が「合同会社」の認知度に影響を受けるかどうかは一考する価値があります。

合同会社の場合、営業をかける際に「合同会社って何?」と疑問を持たれることも珍しくありません。合同会社の認知度の低さは、新規の取引先や顧客との関係構築にあたってマイナスに働いてしまう可能性があります。新しい関係先の開拓がカギになる業種なら、株式会社を選んだほうがメリットが大きいかもしれません。


合同会社のメリットを最大限に活かせるケースとは?

最後に、合同会社に向いているケースをご紹介します。合同会社に適した事業には多くの検討要素がありますが、ここで解説するのは以下の3点です。合同会社のメリットを最大限に活用でき、かつデメリットの影響が少ないというのが共通ポイントになります。ご自身の事業があてはまるかどうかを考えながら、それぞれのケースを見ていきましょう。

合同会社に向いているケース
  • 経営の自由度や意思決定の迅速さを重視する場合
  • 大きな資本が不要な場合
  • 屋号でビジネスをする場合

経営の自由度や意思決定の迅速さを重視する場合

経営の自由度が高く、スムーズに意思決定できるのが合同会社の強みです。少人数での経営を考えている人や節税目的の個人事業主などは、第三者の介入なく役員間で方針を決められる合同会社を選ぶほうがよいかもしれません。もちろん、代表社員と業務執行社員のパワーバランスの認識を統一するなど、社員同士でもめないための予防策は不可欠です。

また、出資額ではなく貢献度に応じた利益分配を規定できるのも合同会社の利点でした。経営コンサルティングやソフトウェア開発のような、少数精鋭の専門家集団として組織できる業種であれば、合同会社の自由度の高さを最大限に活かすことができます。

大きな資本が不要な場合

大きな資本が必要ないビジネスも、合同会社に向いています。たとえば、FXを利用した資産運用会社は、自己資本(自分で集めた返済不要の資金)だけで投資を行うことが多いです。そのため、外部から資本を得るための「株式会社」の信用が不要で、合同会社でも問題なく運営できます。

このほか、Webデザインやアフィリエイトなどのネットビジネスも、合同会社に適した業種の代表例です。物的資本(お金や商品など)よりも人的資本(スキルや経験、知識など)に重きをおく事業であれば、多額の資金を外部から調達する必要性が低く、合同会社に向いているといえます。合同会社の資本については、設立前によく検討しましょう。

屋号でビジネスをする場合

店舗名や事務所名などの「屋号」でビジネスをするケースも、合同会社に適していることが多いです。屋号を前面に出す業種としては、一般消費者向けのBtoC事業(飲食店や小売店)、介護職、美容関連職などがあげられます。

屋号でビジネスをする場合、「合同会社」という会社の種類より、個人の知名度や商品・サービスの質などが訴求ポイントとして重要になります。株式会社でなくても、信用面で不利になるリスクは最小限にできるわけです。会社形態の認知度に特段の影響を受けない業種で起業しようと考えているなら、ぜひ合同会社の設立を視野に入れてみてください。


合同会社のメリットを活かしてスマートな起業を

合同会社とは、2006年の新会社法の施行により誕生した法人形態です。大きな特徴としては、出資者と経営者が原則同じで、すべての社員が有限責任であることがあげられます。経営の自由度の高さや意思決定のスピード感、設立コストの低さなどから、合同会社の設立件数は年々増加傾向にあります。

株式会社や個人事業主と比較した合同会社のメリット・デメリットは下表のとおりです(再掲)。

合同会社の
メリット
合同会社の
デメリット
株式会社と比べて 設立手続きにかかる費用や手間が少ない 認知度の低さで不都合が生じることがある
役員の任期がないため重任登記が必要ない 全社員が平等に議決権を持つため社員間のトラブルが起きやすい
決算公告の義務がなく手間や費用を省ける 外部からの出資が見込めないため資金調達が難しい
所有と経営が一致しているため経営の自由度が高い 株式会社への組織変更に手間と費用がかかる
個人事業主と比べて 社会的信用を得やすく取引で有利になる 社会保険料などの固定費の負担が大きい
利益に課される税金が法人税に変わることで節税効果が期待できる 法人税申告などの会計処理や税金対策が難しい
無限責任から有限責任になるため負債のリスクが小さい 私的な資金を自由に引き出せない

合同会社のメリットは、株式会社よりも手続きの手間や費用が抑えられ、個人事業主より社会的信用を得やすく、かつ多額の負債を避けられることです。一方のデメリットは、株式会社より認知度が低いことや社員間のトラブルが起きやすいこと、個人事業主よりお金の悩みが増えることの3点が定番です。

合同会社の設立手続きは株式会社より低コストになります。とはいえ、個人事業主と比較すると社会保険料や税務顧問料などの固定費が増えるため、設立費用だけを見て合同会社に決めることはおすすめできません。事業拡大の可能性や外部出資の必要性、業種との相性などから総合的に判断して会社形態は選びましょう。

「株式会社と合同会社のどちらにすべきか」や「そもそも法人化して問題ないのか」など、会社設立に関する悩みは多岐にわたります。なかでも合同会社にすべきかどうかという問題は、さまざまな要素を検討しなければならない難問です。個々の事情や細かな疑問を抱えている人は、会社設立の専門家にも相談することを強くおすすめします。

ベンチャーサポート税理士法人では、会社設立に関する無料相談を実施しています。税理士だけでなく行政書士や司法書士、社労士も在籍しているためワンストップで相談が可能です。レスポンスの速さにも定評があるため、初めての方もお気軽にご相談ください。

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ご自分で会社設立するのは大変です。全体の流れを理解して、手続きのすべてを調べなければいけません。(さらに設立費用も高くなります) それでも、「自分自身で会社設立をしたい!」という方のために、株式会社・合同会社設立についての情報をまとめました。よろしければご参考にして下さい。

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