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最終更新日:2024/7/10

遺産相続した土地の名義変更の流れ【相続登記の必要書類・期限・費用などをまとめて解説】

田中 千尋 (司法書士)
この記事の執筆者 司法書士 田中千尋

ベンチャーサポート司法書士法人 司法書士 昭和62年生まれ、香川県出身。

相続登記や民事信託、成年後見人、遺言の業務に従事。相続の相談の中にはどこに何を相談していいかわからないといった方も多く、ご相談者様に親身になって相談をお受けさせていただいております。

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遺産相続した土地の名義変更(相続登記)の流れ【必要書類や期限・税金・費用も解説】

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この記事でわかること

  • 遺産相続した土地の名義変更の概要
  • 土地名義変更の流れと必要書類
  • 土地の遺産相続にかかる税金

マイホーム購入等で土地の売買を経験した方は、不動産登記を行った記憶があると思いますが、遺産相続で土地を相続した場合、何をすればいいかよくわからないという方もいるのではないでしょうか。

被相続人の死亡によって相続財産となった土地は、そのままにしておくと、亡くなった方の名義になったままです。

本記事では、遺産相続した土地の名義変更(相続登記)の必要性と期限、名義変更を行うときの流れと必要書類、あわせて土地の相続にかかる税金について解説していきます。

遺産相続で土地の名義変更(相続登記)をする必要性

不動産登記における名義とは、不動産における「誰が所有権を持っているか」を表します。

被相続人から土地を相続した際、何もしなければ不動産の名義は被相続人のままです。そのため、相続登記をしない限り、その不動産の売却などの行為はできません。

また、2024年4月より相続登記は義務化されました。相続登記を怠ると最大10万円の過料が適用される可能性があるため、不動産を相続した後は速やかに相続登記を行いましょう。

相続登記は法改正により義務化されました

法改正により2024年4月から相続不動産を取得した相続人は、名義変更することが義務化されました。

名義変更しない場合には過料という10万円以下の罰金がかかることがありますが、3年間の猶予期間があるため最短でも2027年4月までは罰金の対象とはなりません。

ただし、名義変更を行わないと後述のような問題が生じる可能性があります。

売却したり担保にしたりできない

名義変更しないと、相続した土地を売却したり、土地を担保に融資を受けたりすることはできません。

その土地の売却を検討していて高額の購入希望者が出たとしても、すぐに売却できずに売るタイミングを逃してしまう可能性があるのです。

相続した土地を売却する可能性があるなら、名義変更を速やかに済ませましょう。

放置すると権利を持つ相続人が増え続ける

土地を被相続人から相続した段階では相続人が限られていたとしても、相続登記をしていない状態でその相続人が亡くなると相続人がどんどん増えてしまいます。

最初の相続から世代を経るごとに相続人が増えるうえ、疎遠な親族に権利が分散していくため、権利関係が複雑化してしまうのです。

遺産分割がよりまとまりにくくなるといった面倒に繋がるため、土地の名義変更の放置は避けましょう。

第三者が所有者になることもある

土地の名義変更を行わず、相続人の共有状態のままだった場合、相続人のうちの誰かが借金を返せなかったときに、土地の法定相続分を債権者に差し押さえられるという可能性もあります。

差し押さえられるのは、該当する相続人の法定相続分とはいえ、土地の売却時には債権者の同意が必要です。

土地の共有者となった債権者が売却時に強く権利を主張するなど、スムーズな手続き進行の妨げとなる可能性が高くなります。

名義変更(相続登記)の期限やベストタイミングはいつ?

相続に関する手続きには、いくつか期限があります。

相続税の申告期限は、被相続人の死亡日(相続開始があった日)の翌日から10カ月以内です。相続放棄もしくは限定承認の申請期限は3カ月以内です。

そして、相続不動産の名義変更も法改正により新しく期限が設けられました。

不動産を取得した相続人は「その取得を知った日または2024年4月1日」のいずれか遅い日から3年以内に相続登記の申請を義務付けられることとなりました。

では、相続不動産の名義変更に適したタイミングはあるでしょうか。

ここからは、土地の名義変更(相続登記)に適したタイミングについて紹介します。

名義変更のベストタイミングは

遺言書が残されていない場合、相続に関する手続きの中でもっとも重要なのが相続人全員の同意が必要となる遺産分割協議です。

遺産分割協議では、相続人同士で相続内容の話し合いを行いますが、土地の相続が確定したら、すぐに土地の名義変更も行うことをおすすめします。

前述したように、名義変更をしないことで問題が増えてくる可能性があるからです。

ベストタイミングは、土地の相続が確定した後すぐということになりますが、遅くとも相続した年度内(12月31日まで)には名義変更しましょう。

土地の固定資産税は、毎年1月1日現在の所有者に請求されるため、放置していると土地を相続しない他の相続人に請求が行くことがあります。ご注意ください。

名義変更(相続登記)申請までの流れ

名義変更(相続登記)申請までの流れ

土地の名義変更(相続登記)は、法務局で単に手続きをすれば完了するわけではありません。

被相続人が亡くなってから、いくつかのステップを経て、書類を準備していかなければならないのです。

ここからは、法務局での名義変更までの流れを説明するとともに、名義変更に必要な書類について説明していきます。

まずは、全体の流れをご確認ください。

名義変更(相続登記)の流れ

(1) 遺言書を探す

(2) 相続人関係図の作成

(3) 財産目録の作成

(4) 遺産分割協議

(5) 遺産分割協議書の作成

(6) 法務局での土地の名義変更手続き(相続登記)

(1) 遺言書を探す

遺言書があれば、基本的に記載通りの遺産分割を行うことになるため、まずは遺言書の有無を確認しましょう。

(2) 相続人関係図の作成

続いて誰が相続人になるのか、被相続人の出生から死亡までの戸籍を収集して確定させます。

(3) 財産目録の作成

遺産は、不動産や預貯金といったプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産もあるため、調査して財産目録にまとめます。

(4) 遺産分割協議

相続人全員で、財産目録を確認しながら、誰が何をどれくらい相続するかを話し合います。

(5) 遺産分割協議書の作成

遺産分割協議がまとまったら、遺産分割協議書を作成し、相続人全員が署名捺印します。

(6) 法務局での土地の名義変更手続き

土地を相続することになった相続人が、法務局で必要書類を提出し、土地の名義変更(相続登記)を行います。

名義変更(相続登記)申請の手続きの流れと必要書類

ここからは、土地の名義変更申請の具体的な手続き方法を紹介します。

必要書類も併せて取り上げるので、ぜひ申請時の参考にしてください。

相続登記の申請方法は3つ

相続登記の申請方法として、主に3つのやり方があります。

法務局の窓口で申請する方法のほか、郵送やオンラインでの申請も可能です。

法務局の窓口で申請する方法では、担当者に確認しながら登記手続きを行うことができ、仮に申請書類に不備があっても訂正できる点がメリットと言えます。

一方、郵送やオンラインでの申請は直接法務局を訪れる必要がなく、法務局が空いてない日や時間帯で申請できるのがポイントです。

法務局の窓口で申請

法務局の窓口で申請する場合、相続した不動産がある所在地を管轄する法務局を訪れる必要があるため、注意しましょう。

必要書類を準備したうえで、法務局の不動産登記係窓口へと行き、手続きを開始します。

書類の確認をしてもらったあとは、登記完了予定日の通知を受け、予定日後に書類を受け取って完了です。

郵送で申請

郵送で申請する場合も必要書類を用意したうえで、書留郵便で郵送をします。

郵送後に法務局のサイトを開き、登記完了予定日を確認しましょう。

登記完了予定日後に法務局で登記完了書類を受け取り、手続きが完了です。

オンライン申請

オンライン申請は自宅でできるのが大きなメリットですが、いくつか準備が必要です。

パソコンはもちろん、マイナンバーカードと読み取り用のカードリーダー、必要書類などを用意しましょう。加えて、申請用総合ソフトのインストールと申請者情報の登録も行います。

申請用総合ソフトから申請書作成をしたあとは、申請書と相続関係説明図を添付し、送信します。

送信後に登録免許税の電子納付を、申請日を含めた2日以内に行います。また、添付書類の提出を法務局の窓口に持参するか、書留郵便での郵送で完了させましょう。固定資産税の評価証明書の送付も必要なため、忘れずに添付してください。

名義変更の必要書類

相続に関する手続きには、被相続人と相続する人の関係性を証明するために戸籍謄本などが必要となります。

この戸籍謄本類は、場合によっては分厚い束になることも多く、これを軽減するために法務局では「法定相続情報証明制度」を行っています。

一旦戸籍などを集める必要がありますが、法務局で手続きすると「法定相続情報一覧図の写し」を交付してもらえます。

法定相続情報一覧図の作成に必要な書類も含め、申請に必要な書類をまとめましたので、参考にしてください。

名義変更の必要書類

(1) 法定相続情報一覧図
  • 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本及び除籍謄本
  • 被相続人の住民票の除票(ない場合は戸籍の附票)
  • 相続人全員の現在の戸籍謄本または抄本
  • 申出人(相続人代表者等)の本人確認書類(運転免許証のコピーなど)
  • 委任状(法定相続情報一覧図を司法書士などが代理申請する場合)
(2) 遺産分割協議書
相続人全員の署名捺印が必要
(3) 相続人全員の印鑑証明書
遺産分割協議書に捺印された実印のもの
(4) 不動産を取得する相続人の住民票
住所特定のために必要
(5) 相続する不動産の登記簿謄本
名義変更を行う不動産のもの
(6) 相続する不動産の固定資産評価証明書
登録免許税を計算するために必要
不動産のある住所地を管轄する市区町村役場で入手
(7) 委任状
司法書士に相続登記の手続きを依頼する場合は必要

名義変更(相続登記)を自分で行う場合と専門家に依頼する場合の費用の違い

不動産の名義変更(相続登記)は、自分で行った場合でも各種書類や登記に費用がかかります。

ここからは、自分で行った場合の名義変更にかかる実費と、専門家へ依頼した場合の報酬額の相場について説明します。

名義変更にかかる実費

項目 金額 備考
戸籍謄本・除籍謄本 1通450円 法定相続情報一覧図
住民票の除票 1通300円 法定相続情報一覧図
相続人全員の戸籍謄本 1通450円 法定相続情報一覧図
印鑑証明書 1通390円 遺産分割協議書の実印のもの
相続人の住民票 1通300円
登記簿謄本 1通600円 相続する不動産のもの
固定資産評価証明書 1通400円 相続する不動産のもの
登録免許税 固定資産評価額×0.4%
交通費 実費

上記は土地の名義変更にかかる実費をまとめたものです。自治体ごとに書類の金額は異なるため、あくまでも目安として参考にしてください。

なお、法定相続情報一覧図を作成するために必要となる書類は、被相続人が出生した時まで遡って戸籍を集めなければなりません。相続人の人数が多ければその分、戸籍謄本の金額も大きくなります。

専門家への依頼費用

法務局への登記申請は、司法書士に依頼することができます。

登記手続きに際し、その前段階の相続人の戸籍収集や、財産目録作成、遺産分割協議書の作成などをまとめて依頼することもできますが、相続登記の手続きのみを依頼した場合の報酬目安は約10万円です。

この報酬額は、依頼する司法書士事務所によって異なるため、あくまでも目安としてください。

土地の遺産相続にかかる税金

土地の遺産相続にかかる税金

土地の遺産相続にかかる税金は、登記の際の「登録免許税」と、相続税が課税される場合の「相続税」の2種類です。

登録免許税

相続によって土地の名義変更をするときには、登録免許税が必要です。

登録免許税=固定資産評価額×0.4%

固定資産評価額は、固定資産評価証明書に記載されています。

たとえば、4,000万円の評価額の土地に関する登録免許税は、16万円となります。

相続税

相続税は、土地単体に課税されるものではなく、相続した財産総額に応じて課税されるため、自分が相続する土地の情報だけがわかったとしても、それにかかる相続税額は計算できません。

相続税は、以下の計算式で算出されます。

相続税額=(相続財産総額-基礎控除額)×相続税率

基礎控除は、3,000万円+(600万円×法定相続人の数)で計算されます。

たとえば法定相続人が3人の場合、基礎控除額は4,800万円となります。

このとき、相続財産総額が4,800万円以下であれば、土地単体の評価額にかかわらず相続税は課税されません。

遺産相続した土地の名義変更(相続登記)は早めに行おう

遺産相続した土地の名義変更(相続登記)は、2024年4月から義務化されました。

過料という罰金対象となるまでには3年間の猶予がありますが、名義変更しないでいると、その土地を売却したり、担保にしたりすることはできません。

また、不動産の名義変更を行っておかないと将来的に相続人が増えてトラブルになることもあります。

遺産分割協議が完了したら、早めに名義変更を行うことが大切です。

我々ベンチャーサポート司法書士法人は、相続人の皆さまのお悩みについて平日夜21時まで、土日祝も休まず無料相談を受け付けております。

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