この記事でわかること
- 相続税路線価、固定資産税路線価とは何か
- 相続税路線価と固定資産税路線価の違い
- それぞれの路線価を調べる方法
土地の価格は、売買するときだけでなく、相続税や固定資産税を計算するときにも使われます。
ただし、これらの計算のために土地の価格を客観的に計算することは難しいです。そのため、相続税と固定資産税それぞれに路線価という価格が定められています。
この記事では、相続税路線価と固定資産税路線価にはどのような違いがあるのか、その価格はどのように調べられるのかを解説します。
目次
相続税路線価とは
相続税路線価とは、相続財産として所有する土地の相続税評価額の計算に用いる価格です。
路線価という名のとおり、道路に面している土地の1㎡あたりの価格を千円単位で定めています。
相続税路線価は、国税庁のWebサイトにある路線価図で確認することができます。
たとえば、地図上に「550」という数字が書かれていたら、土地1㎡あたりの相続税路線価は550千円、つまり55万円です。
相続税路線価を示す路線価図は、国税庁のホームページに掲載されています。
路線価図には、数字の後にAからGまでのアルファベットも記載されています。
このアルファベットは借地権割合を表しており、借りている土地の評価額の計算などに用いられます。
所有する土地を自身やその家族が利用している場合には、基本的にこの借地権割合を使うことはありません。
相続税路線価の金額がわかったら、その金額に土地の面積をかけることで相続税評価額を算出できます。
たとえば、相続税路線価が55万円、土地の面積が200㎡の場合、相続税評価額は以下のようになります。
55万円/㎡×200㎡=1億1,000万円
なお、土地の相続税評価額を正確に計算するには、土地に面する道路からの距離や土地の形状などの情報も必要です。
これらの要素を加味した補正計算を行えば、使いづらい土地の相続税評価額を下げることができます。
評価額の正確な計算は専門知識がないと難しいため、税理士に依頼して計算してもらうとよいでしょう。
固定資産税路線価とは
固定資産税路線価とは、保有する土地の固定資産税評価額を計算する際に用いる価格です。
固定資産税評価額は、固定資産税だけでなく都市計画税、不動産取得税、登録免許税の計算にも用いられます。
相続税路線価と同様、固定資産税路線価も道路に面している土地の1㎡あたりの価格です。
固定資産税路線価は各自治体のWebサイトなどで確認でき、それぞれ表記が異なります。
たとえば、ある自治体の路線価図の道路に「400000」と記載されている場合、その道路に面する土地の1㎡あたりの固定資産税路線価は40万円です。
固定資産税路線価を確認したら、その金額に土地の面積をかけて、固定資産税評価額を計算します。
たとえば、固定資産税路線価が40万円、土地の面積が200㎡である場合、その土地の固定資産税評価額は以下のとおりです。
40万円/㎡×200㎡=8,000万円
なお、正確な固定資産税評価額は「固定資産税路線価×面積」だけでは求められません。
相続税評価額と同様、道路からの奥行距離などをもとに補正を行い、土地の実態を反映した評価額が計算されます。
固定資産税の課税明細書などに記載された固定資産税評価額は「固定資産税路線価×面積」と異なる金額であることが多いです。
相続税路線価と固定資産税路線価の違い
相続税路線価と固定資産税路線価は、それぞれ計算の目的が異なります。
ただし、これら2つの路線価の違いは、計算の目的だけではありません。
以下では、相続税路線価と固定資産税路線価の違いを解説します。
計算する税金の種類
相続税路線価を使って計算するのは、相続税や贈与税です。
一方、固定資産税路線価は固定資産税の計算に用いられます。
また、固定資産税路線価は、固定資産税と同時に計算する都市計画税、不動産の取得にかかる不動産取得税、不動産登記に必要な登録免許税の計算にも用いられます。
評価を行う機関
相続税路線価は、国税庁がその金額を決定します。
一方、固定資産税路線価はそれぞれの市町村が評価・決定します(東京23区のみ東京都)。
この違いは、課税する主体に由来しています。
相続税や贈与税は、国に対して納付する国税です。
一方、固定資産税は市町村や都が課税する地方税であり、納税者はその所在地の市町村や都に納税します。
課税主体が異なるため、それぞれの路線価を評価する機関に違いがあるのです。
評価時期と公表時期
相続税路線価は、毎年1月1日を評価時点として評価額の見直しが行われます。公表時期は、毎年7月ごろです。
一方、固定資産税路線価は3年ごとに基準年が設けられ、その年の1月1日を評価時点として評価額が見直されます。公表時期は、基準年の4月ごろです。
相続税路線価は毎年変動する可能性がありますが、固定資産税路線価は基準年から3年間は変動しないのが原則です。
一方、固定資産税評価額は、基準年度から3年間はその価格に変動がないのが原則とされます。
なお、土地の所有者には、固定資産税路線価をもとに計算された固定資産税評価額と固定資産税額が通知されます。
価格の水準
相続税路線価も固定資産税路線価も、公示価格が1つの目安となっています。公示価格は、国土交通省が毎年発表するもので、土地の適正価格を判断する際によく利用される価格です。
相続税路線価は、公示価格の80%を目安としています。
一方、固定資産税路線価は、公示価格の70%程度に定められています。
そのため、同じ土地でも、相続税路線価と固定資産税路線価は異なる金額になるのが普通です。
評価地点
相続税路線価は、全国すべての道路について評価・公表されるわけではありません。
都市部や市街地を中心に評価が行われ、田畑が多い地域や郊外では相続税路線価は公表されません。
相続税路線価が公表されない地域では、固定資産税評価額をもとに相続税評価額を計算します。
一方、固定資産税路線価は、基本的に全国すべての土地に定められています。
すべての土地で固定資産税路線価が計算されるため、その額から相続税評価額の計算もできるわけです。
項目 | 相続税路線価 | 固定資産税路線価 |
---|---|---|
価格の単位 | 千円単位 | 円単位 |
税金の種類 | 相続税、贈与税 | 固定資産税、都市計画税、不動産取得税、登録免許税 |
評価を行う機関 | 国税庁 | 市町村(東京23区は都) |
評価を行う年 | 毎年 | 基準年(3年ごと) |
評価時期 | 毎年1月1日 | 基準年の1月1日 |
公表時期 | 毎年7月1日(土日の場合は翌開庁日) | 基準年の4月ごろ |
価格の水準 | 公示価格の80%程度 | 公示価格の70%程度 |
評価地点 | 都市部や市街地の一部 | 原則、全国すべての土地 |
路線価の調査方法
課税の公平性や透明性を担保するため、路線価は広く一般に公表されています。
自分が所有する土地でなくても、相続税路線価や固定資産税路線価を調べることが可能です。
以下では、その調査方法を解説します。
相続税路線価の調査方法
相続税路線価は、国税庁のホームページで公表されています。
国税庁Webサイト「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」で都道府県を選択すると、「路線価図」から市町村、地名の選択に進むことができます。
市町村名が表示されない場合、相続税路線価が設定された土地がないという意味です。その場合、相続税評価額は別の方法で計算する必要があります。これについては後ほど解説します。
地名ごとに割り振られたページ番号をクリックすると、路線価図が表示されます。
調べたい土地の位置がはっきりしない場合などは、別の地図も参照しながら探しましょう。
路線価図に載っていない土地の相続税評価額
相続税路線価は、すべての土地に設定されているわけではありません。
相続税路線価がない土地の相続税評価額は、倍率方式によって計算します。
「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」で都道府県を選択し、「評価倍率表」、「一般の土地等用」へと進み、市区町村を選択すると「倍率表」が表示されます。
倍率方式による相続税評価額は、この「倍率表」に記載された数値を固定資産税評価額にかけることで算出されます。
たとえば「宅地」の欄に「1.1」とあれば、該当の地域にある宅地の倍率は1.1倍です。この数値を固定資産税評価額にかければ、相続税評価額が計算できます。
固定資産税路線価の調査方法
固定資産税路線価は、市町村のWebサイトで調べることができます。
なお、全国の土地の固定資産税路線価をまとめて調べるには「全国地価マップ」というサイトが便利です。
全国地価マップ
https://www.chikamap.jp/chikamap/portal/
Webサイトから「固定資産税路線価等」に進むと、郵便番号や住所、地図から該当の土地の固定資産税路線価を調べることができます。
そのため、相続税路線価が記載された路線価図より探しやすいでしょう。
なお、全国地価マップに記載されている固定資産税路線価は、すべて円単位の金額です。
また、先述のとおり「固定資産税路線価×面積」が固定資産税評価額に一致するとは限りません。
正確な固定資産税評価額を調べるには、固定資産評価証明書を取得する必要があります。
相続税路線価と固定資産税路線価の違いを明確にしよう
土地の価格を知りたい場合は、まずその目的を整理する必要があります。
相続税や贈与税を計算するために土地の価格を知りたいなら、相続税評価額を求める必要があります。
一方、固定資産税や不動産取得税を知りたい場合には、固定資産税評価額を確認します。
これらの評価額はそれぞれ相続税路線価、固定資産税路線価をもとに計算するため、間違えないようにしましょう。
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