この記事でわかること
- 相続で未成年者が含まれている場合の対応方法
- 相続で未成年者が含まれている場合の事例
- 相続で未成年者が含まれている場合の注意点
相続において、未成年者が相続人に含まれるケースは決して珍しくありません。
たとえば、相続が発生して被相続人の配偶者と子どもが相続人となる場合、子どもが未成年者であれば、通常の相続とは異なる手続きや注意点があります。
この記事では、未成年者が相続人となる場合の基本的な知識から具体的な事例、注意すべきポイントなどを詳しく解説します。
目次
未成年者が相続人となる場合の基本知識
相続が発生して未成年者が相続人に含まれる場合、以下のような事柄を意識しておく必要があります。
- 未成年者も相続権を有する
- 未成年者は単独で法律行為ができない
一つずつ解説していきますので、ぜひ参考にしてください。
未成年者も相続権を有する
被相続人の財産を継承できる法定相続人には、法的に年齢制限が設けられているわけではありません。
そのため、被相続人(亡くなった人)の法定相続人に未成年者が含まれている場合でも、成人している相続人と同様に法定相続分に応じた相続権があります。
無事に生まれた場合は胎児も相続権を有する
被相続人が亡くなった時に配偶者が妊娠している場合、相続において胎児はすでに生まれたものとみなされ、無事に生まれれば相続人となります。
未成年者は単独で法律行為ができない
未成年者も相続権を持ちますが、民法上、未成年者は単独で有効な法律行為をすることができません。
法律行為とは当事者が示した何らかの意思表示に基づいて、法律効果を発生させようとする行為のことです。法律行為には「契約」「単独行為」「合同行為」の3種類があります。
たとえば、物を買う、お金を借りるなどの行為が含まれます。
なお、相続の場面では、相続財産をどのように分けるのか合意すること(遺産分割協議)や相続を放棄すると申し出ること(相続放棄)が、このような意思表示にあたります。
未成年者は遺産分割協議に参加できない
相続が発生したときに被相続人が残した遺言書がない場合、法定相続人同士で「遺産分割協議」を行って財産の分け方を決める必要があります。
しかし、未成年者は単独で有効な契約や合意をすることができないため、法定相続人に含まれているとしても、自身が遺産分割協議に参加することはできません。
そのため、未成年者本人に代わって法律行為を行う「法定代理人」や「特別代理人」が遺産分割協議に参加することになります。
親権者が相続人でない場合は法定代理人となる
通常、未成年者が法律行為を行うにあたり、親権者が法定代理人となります。しかしながら、相続に関しては親権者も相続人の場合、その未成年者の法定代理人にはなれません。
相続で未成年者の親権者が法定代理人になれるのは、「未成年者の相続人が1人で、親権者に相続権がない場合」「未成年者の相続人が1人で、親権者が相続を放棄した場合」に限られます。
たとえば、被相続人と内縁の妻の間に未成年者の子ども(相続人)が一人だけいる場合、内縁の妻は親権を持っていても相続権がないことから、その子どもの法定代理人になることができます。
親権者が相続を放棄した場合も法定代理人となれる
未成年者の親権者が相続を放棄した場合、未成年者の相続人が1人だけであれば法定代理人になることが可能です。
たとえば、被相続人と配偶者との間に未成年者の子ども(相続人)が一人だけいて、配偶者が相続を放棄した場合、相続放棄している配偶者が法定代理人になれます。
親権者も相続人の場合は特別代理人の選任が必要
相続に関しては未成年者の親権者も相続人の場合、利益相反が生じることから、その未成年者の法定代理人にはなれません。
【利益相反とは】
相続発生時に親権者と未成年者の両方が相続人となる場合、相続人同士の利害が対立することになります。
このとき親権者が未成年者の代理人として遺産分割協議に参加できてしまうと、親権者側に有利な判断を下せるため、未成年者の利益を損なう可能性が出てしまいます。
そのため、未成年者と親権者の双方が相続人の場合は、特別代理人の選任が必要です。
特別代理人を選任しないで親権者が未成年者の代わりに遺産分割協議に参加した場合、無権代理行為として扱われ、その遺産分割協議は無効になります。
特別代理人とは
特別代理人とは、法定代理人(親権者)と未成年者の間に利益相反がある場合に、家庭裁判所が選任する未成年者の代理人です。
特別代理人の役割は主に以下の通りです。
- 未成年者の相続人に代わって遺産分割協議に参加する
- 遺産分割内容が未成年の相続人に不利にならないよう配慮する
- 書類の記入や署名、捺印など相続全般に関する手続きを代行する
特別代理人はそのときの相続の当事者ではない成人であれば、誰でも就任することができます。一般的には、その遺産分割に関与していない親族がなるケースがほとんどです。
選任された特別代理人は、遺産分割協議のような選任の目的となる行為が完了したときに、特別代理人の役割も終了します。
特別代理人の選任方法
特別代理人選任の申立ては、未成年者の相続人の住所地を管轄する家庭裁判所で行います。
特別代理人選任の申立てが可能なのは、未成年の相続人の親権者もしくは利害関係者(親権者と未成年者を除いた相続人など)です。
以下の必要書類を用意したうえで、未成年者一人につき収入印紙800円と連絡用の郵便切手などの費用も準備しましょう。
- 申立書(裁判所のホームページから入手可能)
- 未成年者の戸籍謄本(全部事項証明書)
- 親権者または未成年後見人の戸籍謄本(全部事項証明書)
- 特別代理人候補者の住民票または戸籍附票
- 利益相反に関する資料(遺産分割協議書案など)
なお、特別代理人を弁護士などの専門家に依頼する場合は、別途報酬が必要となります。
未成年者が相続人となる場合の事例を紹介
ここからは未成年者が相続人となるケースのうち、比較的わかりやすい事例を紹介します。父親の太郎さん、母親の花子さん、長男の一郎さん(25歳)、次男の二郎さん(14歳・中学生)の4人家族の例を挙げて解説します。
事例
父親が亡くなり、母親と未成年者の子どもが相続人となるケース
【家族構成】
・父親の太郎さん
・母親の花子さん
・長男の一郎さん(25歳)
・次男の二郎さん(14歳)
【太郎さんの遺産内容】
・自宅の土地・建物(評価額:5000万円)
・預貯金:1億円
・生命保険 2000万円(受取人は花子さん)
太郎さんが亡くなって相続が発生したとき、相続人は配偶者の花子さんと子の一郎さん、二郎さんとなります。なお、太郎さんの遺産は、自宅の土地・建物、預貯金、生命保険(受取人は花子さん)などでした。
この場合、二郎さんは未成年者であり、親権者である花子さんも相続人であるため、花子さんが法定代理人になると利益相反の状態が生じています。
そのため、花子さんは特別代理人選任の申し立てを行い、家庭裁判所は親族の大介さんを未成年者の特別代理人として選任しました。
遺産分割協議では、花子さんと長男の一郎さん、特別代理人である大介さん(二郎さんの代理人として)が話し合い、法定相続分通りに分割することで合意しました。
この事例での遺産分割内容
- 花子さん:自宅の土地・建物全部(5,000万円)と預貯金2,500万円の合計7,500万円
- 一郎さん:預貯金3,750万円
- 二郎さん:預貯金3,750万円
※生命保険は受取人指定のため相続財産ではなく、花子さんが2000万円を受け取ることになります。
この合意に基づいて遺産分割協議書が作成され、花子さんと一郎さん、特別代理人である大介さんが署名・押印を行ったうえで、相続手続きを進めました。
未成年者が相続人となる場合のポイント
ここからは、未成年者が相続人となる場合にポイントとなる要素を、それぞれ解説していきます。
- 複数の未成年者が相続人となる場合
- 特別代理人の選定が難しいならば法定相続分で相続する手もある
- 相続税の未成年者控除の適用要否を検討する
注意点も併せて取り上げるので、ぜひ参考にしてください。
複数の未成年者が相続人となる場合
複数の未成年者が相続人となる場合、それぞれの未成年者に特別代理人を選任しなければなりません。未成年者の相続人全員の特別代理人を一人が兼任してしまうと、利益相反が発生してしまうためです。
たとえば、被相続人と配偶者、長男(10歳)、長女(15歳)の4人家族の家庭で相続が発生した場合、相続人である配偶者は法定代理人になれないため、特別代理人を選任しなければなりません。
このとき、配偶者の父(子どもの祖父)が長男の特別代理人に選任されたとするならば、長女の特別代理人も兼任することはできません。
長女の特別代理人には、このケースの相続に関与しない別の親族(配偶者の母など)を改めて選任する必要があります。
特別代理人の選定が難しいならば法定相続分で相続する手もある
特別代理人の選任手続きは時間がかかる可能性があるうえに、適切な特別代理人を見つけることが難しいケースもあります。
このような場合、相続財産が預貯金のみなどの分割しやすい状況ならば、法定相続分通りに相続財産を分割するという選択肢もあります。
遺産分割協議を行わずに相続財産を法定相続分通りで分割する場合、特別代理人を選任せずに手続きを進めることも可能です。
ただし、相続財産に不動産があるなど、分割しにくい財産が含まれている場合は、注意が必要です。
「不動産を共有名義にする」といった対応を行った場合、将来的に共有者間のトラブルにつながる可能性もあるため、慎重に検討する必要があります。
相続税の未成年者控除の適用要否を検討する
被相続人の財産を未成年者が相続した場合、適用要件を満たせば「未成年者控除」を適用できる可能性があります。
未成年者控除とは、相続開始時点で適用要件を満たす18歳未満の相続人がいる場合、18歳に達するまでの年数1年につき10万円を相続税額から控除できる制度です。
たとえば、相続開始日の年齢が15歳の相続人が含まれている場合、計算式は「(18歳 – 15歳) × 10万円 =30万円」となり、30万円を相続税額から控除できます。
相続に関する疑問は相続専門の税理士に相談しよう
未成年者が相続人となる場合、親権者が相続人でもある場合は特別代理人の選任が必要になるなど、通常の相続とは異なる手続きが必要になります。
今回紹介したケースに限らず相続に関わる手続きは複雑で、相続に馴染みのない方にとって分かりにくい部分が生じるかもしれません。
相続に関する疑問が生じたときは、相続専門の税理士への相談がおすすめです。無料相談を設けている場合も多いため、ぜひご検討ください。
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