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最終更新日:2022/10/6

<相続税対策実態調査(第1回)>を実施

具体的に相続税対策を行っているのは7割。ただし、専門家に相談や依頼をするのは過半数に至らず

ベンチャーサポート相続税理士法人 (東京都中央区 代表税理士 古尾谷裕昭 https://vs-group.jp/sozokuzei/supportcenter/ )は、「相続税対策」に関する実態調査を実施いたしましたので、お知らせいたします。

<相続税対策に関する調査結果トピックス>

  • 約4人に1人の割合で10年以上前から相続・相続税の準備を始めていることが明らかに
  • 具体的な相続税対策は「生前贈与」が最多
  • 専門家に相談や依頼をしていると回答したのは約4割

<調査概要>

  • 調査方法:ゼネラルリサーチ株式会社のモニターを利用したWEBアンケート方式で実施
  • 調査の対象:ゼネラルリサーチ社登録モニターのうち、ご自身の相続準備ができている60歳以上の男女を対象に実施
  • 有効回答数:1,014人
  • 調査実施期間:2022年5月18日(水)~2022年5月19日(木)

約4人に1人の割合で10年以上前から相続・相続税の準備を始めていることが明らかに

約4人に1人の割合で10年以上前から相続・相続税の準備を始めていることが明らかに

全国、ご自身の相続準備ができている60歳以上の男女1,014人を対象に調査を実施。

まず、相続や相続税に対する準備(相談や書類の用意など)は、いつ頃から行っていたかを調査した。

結果、「10年以上前(25.4%)」「3年〜4年前(22.1%)」と、時間に余裕をもって準備・対策をしている人が多い傾向であった

準備や対策を意識するようになった経緯について聞いたところ、

  • 両親が亡くなった時の相続の手続きが大変だったので、自分は早めに準備しようと思ったから(60代/男性/パート・アルバイト/広島県)
  • 自分が亡くなった後に揉めることのないように、生前に思いを書き残すことが大事だと考えた(60代/男性/無職/兵庫県)
  • 資産運用をしている中で、税理士から相続税の対策を指導されたから(60代/男性/会社員/埼玉県)
  • 2015年から税制が改正されて相続税も増税となったから(60代/男性/自営業/千葉県)

などの回答が得られた。

具体的な相続税対策は「生前贈与」が最多

具体的な相続税対策は「生前贈与」が最多

続いて、「具体的な相続税対策はしていますか?」と質問したところ、「はい(70.5%)」「いいえ(29.5%)」という結果になった。

どのような相続税対策を行っているのかについて調査した(複数回答可)。

結果、半数以上が「生前贈与(相続財産を減らす)」と回答した。

他にも「生命保険金などの非課税枠の利用」が4割近く、「生前に墓地や仏具などを購入」が1割強という結果となった。

専門家に相談や依頼をしていると回答したのは約4割

専門家に相談や依頼をしていると回答したのは約4割

最後に、相続税対策を行う際、専門家に相談や依頼した割合についても調査した。

結果、相談や依頼したのは約4割となった。

【まとめ】
具体的な相続税対策を行っている人のうち、専門家を頼らず個人で対策する人が多い

今回、約4人に1人が相続(相続税対策)に関して10年以上前から準備していることが明らかになった。

具体的な相続税対策を行っている人も7割と多かったものの、そのうち専門家に相談や依頼をしたと回答したのは約4割という結果となった。

相続税対策を行っている人のうち、過半数以上は個人で対策を行っていると考えられる。

専門家からのアドバイス
「具体的な相続税対策で最も回答が多かった「生前贈与」とは?」

生前贈与とは?相続との違い

財産の所有者が生きている間の財産移転を生前贈与といいます。

生前贈与には以下のメリットやデメリットがあるため、贈与額や贈与時期を調整し、計画的に実行する必要があります。

生前贈与のメリット

生前贈与の課税方式は暦年課税と相続時精算課税の2パターンがあり、併用はできないため、どちらかを選択することになります。

暦年課税には年間110万円の非課税枠があるため、1月1日から12月31日までの贈与の合計額が110万円以下であれば、申告・納税ともに不要です。

仮に110万円以下の贈与を20年間続けた場合、最高2,200万円を非課税贈与できますが、相続によって財産を移転した場合は280万円の相続税が発生します。

相続税:2,200万円×税率15%-控除額50万円=280万円

ただし、相続税には「相続税の基礎控除額:3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」のように計算する基礎控除があり、この基礎控除を超える部分の金額(課税遺産総額)にしか課税されません。

つまり、課税遺産総額が基礎控除額以下であれば、相続税対策として生前贈与を活用するメリットはないといえます。

もう一つのパターンの相続時精算課税では、2,500万円まで非課税贈与が可能となります。

2,500万円超の部分は一律20%の税率が適用されます。

仮に3,000万円を一括贈与した場合、暦年課税では基礎控除110万円超の部分に税率50%(特例贈与は45%)が適用されるため、このように高額な一括贈与となると、相続時精算課税制度を選択したほうが節税効果が高くなります。

なお、相続時精算課税を適用した贈与については、将来的に相続財産に加算されるため、一見すると節税効果はないように思えますが、相続税評価額は贈与時の時価になるため、一時的に価値が減少している財産や、将来の価格上昇が見込まれる財産の贈与には有効です。

生前贈与のデメリット

生前贈与を相続税対策に活用する場合、贈与する財産や贈与時期によっては節税効果が低くなります。

例えば自宅(土地・建物)を生前贈与すると、以下の税金が発生します(控除や特例税率などを考慮しない場合)。

不動産取得税:固定資産税評価額×4%
登録免許税:固定資産税評価額×2%

相続であれば登録免許税のみ課税され、税率も0.4%に軽減されます。

自宅を相続する場合は、相続税評価額を80%減額できる小規模宅地等の特例も適用できるため、生前贈与よりも税負担が軽くなるケースがあります

また、相続発生前3年以内の贈与は相続財産に加算する必要があるため、生前贈与の時期によっては相続税の節税効果がありません。

贈与と認められない財産移転も相続財産とみなされるため、贈与契約書を作成していない場合や、現金手渡しの贈与には注意してください

贈与が認められないケースには名義預金があり、税務調査では確実に指摘されます。

収入がない家族(子供や孫など)の預金口座に高額な残高があった場合、本人の財産とはみなされず、実質的な預金者の租税回避を疑われる可能性があります。

生前贈与が向いてる人と向いていない人の違い

相続税対策を検討する場合、以下に該当する人は生前贈与が向いています。

生前贈与が向いている人

  • 計画的に財産を移転したい
  • 収益物件を所有している
  • 将来、価値の上昇を見込める財産がある
  • 贈与者の年齢が若い
  • 子供や孫が多い
  • 資金援助を希望している子供や孫がいる
  • 相続争いが想定される
  • 自社株を承継したい経営者

生前贈与にはいくつかの特例や控除があるため、教育資金などの援助に活用すると、1,500万円までの贈与が非課税になります。

また、暦年課税の非課税枠は受贈者ごとに適用されるため、子供や孫が10人いれば、1人110万円の贈与で一度に1,100万円の財産を減少させることも可能です。

生前贈与は自社株承継にも有効であり、オーナーの年齢が若ければ、暦年課税の非課税枠を活用した長期的な贈与も検討するべきでしょう。

株価が下がっている状況であれば、相続時精算課税を活用して一気に自社株を移転させることもできます。

なお、以下に該当する人は生前贈与に不向きといえます。

生前贈与が向いていない人

  • 生前贈与の特例や税額控除を適用できる受贈者がいない
  • 遺産総額が基礎控除以下

基礎控除以下の相続財産には課税されないため、相続税対策としての生前贈与は必要ないでしょう。

相続税の基礎控除額:3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

さいごに

相続税の手続きは複雑な法律知識が必要な場合もあり、後回しにすることで思わぬトラブルに見舞われることもあります。

親は元気だし、相続は先のこと・・・とお考えの方も、専門家からアドバイスを受けることは大切です。

相続税をできるだけ安くするためにも、専門家へご相談をされていない方は、お気軽にご相談ください。

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