京都府宇治市で事業展開する「税理士法人プラスカフェ」。その名の通り、カフェでくつろぐような話しやすさが強みで、従来の税理士に対するイメージを覆すべくスピーディな対応も得意としている。さらに代表社員の一人である今井 沙矢香先生は、この業界では数少ない女性税理士として同性の顧客からの信頼も厚い。同法人の特徴や相続相談に臨む姿勢について今井先生に聞いた。
目次
「お堅い」「つまらない」という税理士のイメージをプラスに。YouTubeでも相続関連の動画を配信
「税理士法人プラスカフェ」がどのような取り組みをされているのか、事業内容をお聞かせください
主に相続税関連の業務に力を入れていて、法人および個人事業主の決算や申告業務も行っています。
基本的な事業内容は他の税理士事務所とほぼ同じですが、相談しやすい雰囲気を大切にしていることもあり「プラスカフェ」と名付けました。
以前、税理士に対するイメージ調査の記事を読んだ際に「お堅い人柄」「話しても面白くなさそう」というネガティブな意見が載っていたので、それを「プラスに変えたい」との思いも込めています。
また、カフェは世界中にあり、誰もが気軽に入れて落ち着ける空間で、家族や知人との会話を弾ませます。同じような場所でありたいとの願いも込めています。
他の事務所にはない特徴や強みはございますか?
やはり、相談しやすい雰囲気づくりには自信を持っています。また、スピード感も大事にしていますね。世間には「税理士は連絡をしてもつながらない」「レスポンスが遅い」といったイメージがあるようなので、これらを払しょくしたいです。この点で私たちはスタッフ間で作業を分担できているからこそ、迅速な対応を可能にしています。
引用元:相続専門のサイト「+CAFE」
先日は相続の相談に来られた方に「いくつかの税理士事務所のホームページを見比べて、ここを選びました」と言っていただきました。私たちは相続専門のサイトを立ち上げているので「この分野が得意なのだろう」「力を入れているようだ」などと感じていただけたそうです。
さらに、最近はYouTubeやInstagramも始めています。登録者数を増やすことが目的ではありませんが、一般企業と同様に、こうして新しい分野にもチャレンジしています。
相続関連の動画では私がメインで解説しているので、視聴した方が「この人に相談してみたい」と思ってくれたらうれしいですね。動画制作は顧問をしている企業に向けて、会計業務などのデジタル化について説明する際にも役立っています。
引用元:司法書士事務所プラスカフェ
さらに司法書士などと連携し、必要に応じて最初の打ち合わせから同席してもらうこともあり、ワンストップで対応できるのも「プラスカフェ」の強みですね。そのため税金以外の専門的な内容でもフットワーク軽くサポートできます。なお、系列で「司法書士事務所プラスカフェ」もあります。
女性税理士として、同性からの相談の受けやすさなどを感じていますか?
私は本当にしゃべることが好きです(笑)。一方で「相手の話を聞きたい」との思いもあります。時には被相続人の奥さまや娘さんが自分たちの将来を心配して訪ねてくることもあり、その際には疑問や心配事を吐き出してもらっています。
女性税理士の人数は少なく、私が所属する近畿税理士会宇治支部の活動に参加しても、およそ50人のうち5、6人です。だから親交も深まり、よく情報交換をしていますね。当法人には男性税理士もいるので幅広くご相談いただけます。
そもそも私が税理士を目指そうと思ったきっかけは、元々CFP(Certified Financial Planner/認定ファイナンシャルプランナー)の資格を持っていることもあり、税金と相続の分野に最も関心を寄せていたからです。やがて、この領域で専門性を高めようと税理士を目指しました。
当然ながら税理士試験でも相続税の科目を選択しましたね。もちろん他の科目を選んでも合格できますが、私はこの領域で勝負したかったのです。
相続の相談に来られる方々の特徴はいかがでしょうか?
主に被相続人の子ども世代である50代や60代の方々です。当法人のホームページを見てお越しになり、それぞれ「宇治 相続」「宇治 税理士」のように検索されているようです。
基本的には地元の宇治市内に住んでいるお客さまがご利用になっていて、中にはご紹介による京都市内の方や、関東在住で熊本エリアでの相続を相談される方もいます。
事務所のある京都府という場所柄「先祖代々の土地を守りたい。継いでいきたい」という思いの方も多い気がします。昔に比べ、土地を売却しなければ相続税を払えないというケースは減っていますが、それでも相続のたびに土地を減らして守り続けている方もいます。
どのような相談が多いのでしょうか?
引用元:税理士法人プラスカフェ
最近は相続の申告と「元気なうちに自分の相続について知っておきたい」という生前の相談で半々です。後者では税金の心配よりも「不動産をどうするべきか」「そもそも自分は相続税が発生するのか」といった不安を抱えている方が多いですね。
一度も専門家と会っていない方は、どうしても一次相続で配偶者に全財産を渡そうとする傾向にあります。逆に税金が増える可能性がある旨を伝えると考え直してくれるので、一緒に別の方法を考えたりします。
これまで相談を受けた中で印象に残っている出来事はございますか?
ある資産家が亡くなられた時、養子に迎えていた方が未成年でした。そこで特別代理人を立て、遺産分割協議を開くことにしました。通常の相続より時間を要するものの、私たちも経験豊富な司法書士と連携して、家庭裁判所への協議内容の提出や特別代理人の申請といった手続きも順調に進められました。
ところがその後、資産家が他界されて10カ月もしないうちに配偶者も亡くなられました。納税額が多く、スケジュール通りに銀行などの解約手続きを済ませていなければ、納付は難しかったと思います。司法書士と税理士がタッグを組んだことで不要なトラブルを避けられたケースなので、とても印象に残っています。
「終活」が浸透した今、遺言書は一般家庭にも浸透しつつある。誰もが納得できる透明感ある相続を
一般家庭における遺言書の必要性を教えてください
以前、遺言書作成の依頼を受けたケースでは、被相続人に子どもがおらず、お世話になった近親の方々に思いを込めてしたためたいと夫婦一緒に作っていました。一般家庭における遺言書の役割としてはなかなか珍しかったので、今も記憶に残っていますね。
単に財産配分を記載するだけでなく、感謝の気持ちが伝わるよう、分け方を決めた理由も記入すると良いでしょう。「よく面倒を見てくれた長男にはこれを。子どもが多い長女にはこれを」といった具合です。当然ながら亡くなった後では伝えられないので、生前に遺言書に添えておくことで意味のあるメッセージになります。私たち専門家が作成すると、どうしても形式的になるので、自ら思いを込めて作る遺言書はとても貴重だと思います。
現在は「終活」という言葉もあり、相続が起きる前にできることがいくつもあります。昔は自分や親が亡くなるという話はタブーでしたが「終活して当たり前」という認識が広まっていけば、財産の量を問わず遺言書の作成が浸透していきそうですね。
遺言書の作成以外に有効な生前の相続対策はございますか?
やはり贈与でしょう。しかし、被相続人と相続人が1対1で成立できるものの、知らないうちに話を進めてしまうと、他の相続人が「なぜ、私が受け取る財産はこんなに少ないの」と不満を持つ可能性があります。よって“密室”で決めていく方法はあまりお勧めできません。
私たちのお客さまには、被相続人とその配偶者、長男や長女、次男のパートナーなども交えて贈与に関する家族会議を開いている方々がいます。被相続人の生前にここまで話し合っている状況を見ると「この家族ならトラブルはないだろう」と安心できます。誰もが透明感の下で財産を受け取れる手段を考えてみると良さそうです。
「税理士の仕事がAIに奪われるかもしれない」という説に対し、どのように思われますか?
私たちが使用している会計ソフトも便利になり、業務が機械化で助けられています。これなら税理士が不要になるという説も理解でき、いずれAIは「相続で最も税金が少ない方法」を提案してくるでしょう。でも、結局はそこまでですね。
人間の税理士は、何よりもお客さまの「思い」をくむことができ、特に相続に関してはこの部分が非常に重要です。また、他の士業を紹介するなど、人と人のつながりも大事になってくるので、こちらもAIには踏み込めない領域だと思います。だから特に不安を感じることなく、これからも自分たちの良さを出して業務に臨むだけですね。
税理士の特徴はホームページにも表れる。何が強みなのか目を通し、会った時のフィーリングも大切に
相続に強い、あるいは相性の良い税理士の見つけ方についてお聞かせください
▲税理士法人プラスカフェのオフィス風景
当法人は企業や個人事業主から顧問の依頼も受けています。長いお付き合いになることも踏まえ、複数の税理士を比較してから私たちを選んでくれる傾向にあります。
一方、相続の相談で訪れる個人の方々は、当事務所に来て即決されることが多いです。こちらとしては大歓迎ですが、余裕があればいくつかの事務所を訪ね、最も安心できそうな税理士に依頼するのが良いでしょう。申告後も次の相続があると考えると、決まった税理士とは何度も顔を合わせることになるかもしれません。「話しやすい」「すぐに対応してくれる」といった基準で選ぶと良いでしょう。
また、相続に強い税理士の探し方は、ホームページの比較が一目瞭然で分かりやすいです。経験豊富な事務所や法人であれば、ブログや動画でも取り組みやサービス内容を説明しているかもしれません。もちろん、その後は実際に会ってみましょう。話の進め方や相続対策に関する情報量の多さなどで判断できると思います。
いわゆる「タワマン裁判」の判決をどうお考えですか?
高齢の納税者には厳しい結果になりました。あまりにもあからさまな節税対策だったので仕方ない結果だと思いますが、基本的には財産評価基本通達の計算方法に則していましたね。私たちもこの方法に準じている身なので複雑な気持ちはあります。だからこそ裁判で争われ、意味のある事案だと認識しています。単なる相続税の計算という話ではなく、背景に目を向けることも大切だと感じました。
また、この判決を踏まえ、相続対策は富裕層に限らず開始のタイミングが早まると思います。タワマンの件でも、早期に始めていれば問題が起きなかったかもしれません。被相続人の平均余命や平均寿命は伸びていると思いますが、準備は前倒しすることを勧めます。
開始のタイミングは人それぞれですが、基本的に相続が発生した場合、相続人も50代から70代を迎えているでしょう。準備を始めるには決して早すぎず「今まさに受け継いだ財産を、自分の息子や娘に渡すには……」と考えるきっかけになればと思います。もちろん、深い悲しみの中で無理をする必要は無く、気持ちが落ち着いてからで構いません。
配偶者居住権について、メリットやデメリットも含めて内容を教えてください
被相続人の子どもが相続しても、配偶者が自宅に住み続けられる権利のことです。良い制度だと感じるとともに、節税にもつながるので、必要なお客さまには積極的に提案しています。
先日お会いした方は、被相続人であるお父さまが亡くなられ、お母さまと娘さんが相続人でした。娘さんが財産を相続したので、お母さまには配偶者居住権が適していました。しかし受け継いだ土地があまりにも広く、自宅も暮らすには大きすぎるため、近いうちに売却を予定されているとのことでした。
この場合、配偶者居住権があると自宅を売却できず、贈与になる可能性も出てきます。このケースから、目の前の節税対策だけでなく「先々を見据えて不動産をどうするのか」という提案も必要だと改めて感じましたね。
2022年度からの税制改正大綱の動きについて教えてください
従来は、相続発生以前の3年間における贈与が相続財産に加算されていました。そして2023年度の税制改正では、この生前贈与加算の期間が7年間に延長されています。2022年度に見送られた相続税と贈与税の一体化が今回は採用された形ですね。
この7年間に決まる前は10年間になると予想された時もありました。とても驚きましたが7年間に落ち着いたのでほっとしています。とはいえ、以前より4年間も延びていて、私たちもお客さまの銀行通帳などを確認するものの「7年前のことを明確に覚えている人は、ほぼいないのでは」と心配しています。
一方で、今回は使いやすくなった相続時精算課税制度もセットになっています。生前贈与した分が年間110万円以下であれば税金として加算されず、1年前の贈与でも加算されなくなりました。
税金の加算と優遇措置が並行しているため混乱する人も多いでしょう。相続時精算課税という、今まで名前も聞かなかった制度に突然スポットライトが当たり、しかもこの複雑な制度は順次内容を変えています。私たちもお客さまに対し、時間をかけて説明する必要があると感じていますね。贈与を促し、下の世代がお金を使うことを期待する制度ですが、現段階では分かりにくく、投げ出してしまう方も多い気がします。
加えて、従来は「相続前の3年間は相続税が加算される」という認識でしたが、今後はケースによって内容が異なってくる上に相続時精算課税の有無もあります。従って専門家に聞かないと分からないことが多く、私たちの必要性が上がったように感じます。
暗号資産に関して寄せられる相談の内容やトラブル例はいかがですか?
▲税理士法人プラスカフェのスタッフ
現在はやや落ち着いていますが、ブームが始まった頃には相談が増えました。依頼者は30代から50代の男性が多く「利益が出たので確定申告しなければ」という方がほとんどです。もちろん、暗号資産も持ち続けたら相続する必要があり、ここで気がかりなのは相場の乱高下です。
暗号資産を所有する被相続人が亡くなった際に時価が高くても、解約手続きや相談する税理士選びを含めて納税時までに半年近い時間が経過します。当然ながら相続時の時価と変わっている可能性が高く、値上がりしていれば問題ありませんが、下がっていれば本来の額以上の税金を納めることになります。
私たちもまだ暗号資産の相続で相談を受けたことはありませんが、親族間で分配する場合、この相場に関するトラブルは避けられない気がします。
家族信託はぜひ一度検討を。税理士への相談をきっかけに家族で相続関連の話をしてほしい
その他、業界の動きなどで注目していることはございますか?
個人的には家族信託がとても使いやすくなったと感じています。直接的な税金対策ではありませんが、相続でのトラブルを防いでくれると思います。
たとえば、離婚してお子さまが配偶者側にいるといった複雑な家族関係の場合でも、メリットがあるので今後は都心部を中心に地方でも需要が高まりそうです。ちなみに、ペットの信託もありますね。
相続に不安を抱える方へのアドバイスをお願いします
皆さん、相続について「考える」「話す」というきっかけを作れていないのではないでしょうか。自分から家族に発信するにも、なかなかハードルの高いテーマですよね。
そこで、まずは税理士や司法書士に話してみてはいかがでしょう。もしかしたら相談時に、その場で解決してしまう取り越し苦労があるかもしれません。また「専門家に話してみたらこんなことを言われたよ」と家族に伝えれば、みんなが興味を持って会話が発展するかもしれません。
私たちは喜んで“踏み台”になります。また、緊急のケースなのか、長い目で見る必要があるのかも判断するので、一人で悩まず、メールやSNSなどで気軽にコンタクトを取ってください。
これからチャレンジしていきたいことはございますか?
相続業務においては、今後も司法書士や弁護士など、さまざまな専門家との連携を広げていきたいと考えています。さらに不動産や保険の分野に精通した方々ともつながりを築いていきたいですね。
こうして多くの悩みを抱えているお客さまを互いにサポートし合えれば「三方良し」になります。また、当法人ではホームページやYouTubeの準備も整えました。こちらを土台にしてサービスの内容を深めていきたいです。
今井沙矢香先生
税理士法人プラスカフェ 代表社員
■企業プロフィール
社名:税理士法人プラスカフェ
所在地:京都府宇治市大久保町北ノ山24-1 ホクユービル4階
TEL:0774-44-5618
相続専門税理士の無料相談をご利用ください
ご家族の相続は突然起こり、何から手をつけていいか分からない方がほとんどです。相続税についてはとくに複雑で、どう進めればいいのか? 税務署に目をつけられてしまうのか? 疑問や不安が山ほど出てくると思います。
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