大阪駅のそばに位置する「税理士法人GLADZ(グラッズ)」。税理士業での実績はもちろん、最近は不動産事業もスタートさせ、相続した土地をどうするのがベストかのアドバイスと、相続税対策を組み合わせた積極提案に取り組んでいます。また、暗号資産に特化した系列企業もあり、実際にビットコインによる相続申告を支援。相続前に行うこと、相続が発生したら考えること、相続世代への支援などについて、代表社員の野口 集平氏に聞いた。
目次
税金の分野では文章化されていないルールもある。いかに解釈するか、税理士経験の差がものをいう
税理士法人GLADZの事業内容をお聞かせください
当事務所では、相続の相談件数は一般的な事務所のおよそ10倍はあるように思います。相続のみならず、法人顧問業務も手掛けていて、経営者をトータルでサポートできる体制を整えています。
また、暗号資産の確定申告を支援できる点も、なかなか珍しいのではないでしょうか。参考までに2021年度は700件ほどをお手伝いしました。こちらも他にはない規模だと思います。
「GLADZ」という事務所名は造語で、英語で「喜ばしい」「うれしい」などを意味する「GLAD」がベースです。ここには「お客さまに喜んでいただけるアドバイスを届けたい」との思いが込められています。元々は個人で事務所を構えていましたが、所属する税理士も増えたのでZを入れて複数形にしました。
相続の相談を受けるのは、どのような層の方々からでしょうか?
事務所がJR「大阪駅」から徒歩約3分のビル内に位置し、通勤で利用されるターミナル駅ということもあって、スーツを着た仕事帰りのビジネスマンが中心です。被相続人の長男で、年齢は50歳前後の方が圧倒的に多いですね。大阪府の他、近隣の1府3県からお越しになる方が多く、相続人のお住まいは近畿地方を主としてさまざまです。
現在は主に「相続が発生した」という相談が寄せられ、申告に向けたサポートが増えています。コロナ前までは「相続カフェ」を併設し、飛び込み相談も受け付けていて、当時は生前相談も多かったですね。このカフェは現在もウェブ上に残し、私たちと気軽にコンタクトを取ることができます。
他の税理士法人や事務所にはない、強みや特徴は何ですか?
引用元:税理士法人GLADZ
単に相続の申告を手伝うだけでなく、税務調査で重視されるポイントを指導しています。中でも、いわゆるタンス預金をはじめ、疑義が生じるお金の扱いについて詳しく説明します。また、誰もが最も気になる、調査時のお客さまの体験談を話したりもします。頭を悩ませるような難しい内容は伝えず、心配事を取り除いていく進め方が特徴です。
さらに、当事務所では不動産も直接やり取りできます。土地の売却だけでなく、有効活用についてもアドバイスできますね。例えば更地を相続したら、一般的な不動産会社では売却を勧められるでしょう。そうではなく、手元に残して誰かに貸したりするなど、中立的な目線で資産価値のアップを支援しています。
相続トラブルを防ぐための生前対策として、どんなことが重要ですか?
相続時に生じる問題の8割以上は「残された家族で資産をどのように分けるか決まらない」です。副次的には「土地だけ相続しても税金が払えない」も挙げられます。
資産の分割については、家族間のコミュニケーションが鍵になります。今あるものをどのように分けるのか、将来の被相続人が健康なうちに話し合っておくことが大切です。
また、相続したい財産を事前にヒアリングした上で「資産を分けやすい形にする」というのも有効です。相続人の数によっては、均等に分割するのが難しいと思います。そこで、税金との兼ね合いもありますが、例えば駐車場を半分にしたり、残りの半分を売却してマンションとして相続したりと、形を変えてみるのです。
なお、相続人から話を振ると将来の被相続人が気分を害する可能性があります。親のリードで進めるのがベストでしょう。
相続税を節税するのに有効な方法を教えてください
税金を抑えるための対策として相性が良いのは、資産価値を減らしにくくした上での不動産でしょう。
例えば「実家に引き続き暮らす人がそのまま家を相続したら相続税が安くなる」という小規模宅地等の特例(相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例)もあります。
こうした“特例のフル活用”ができる資産にしておくことです。
貴法人では相続のセカンド・オピニオンサービスも提供しています。どのような内容ですか?
「最初は他の税理士に相続税の申告を依頼していたものの、途中で不信感が芽生えた」という方に、当法人の見解を伝えています。
例えばあるお客さまは、先ほど話した相続時の特例に関して、他の事務所で「あなたは利用できません」と判断されました。納得できずに私たちを訪ねて来たので内容を調べたところ、申告が可能だと分かりました。おそらく前の税理士は慎重になり過ぎたのかもしれませんが、税金の世界には明文化されていない“緩衝地帯”も多く、事務所によって解釈が異なることもあります。ここは経験の差がものをいう領域ですね。
10年前から「機械でできることは機械がやればいい。」と判断。AIは“スーパー社員”として活用
富裕層では遺言書が浸透していますが、一般家庭にも広めるには何が必要でしょうか?
遺言書がポピュラーにならないのは、ドラマや映画の影響があるかもしれません。立派な和紙に毛筆で書かれていて、内容には絶対服従というイメージがあるのではないでしょうか。実際には便せんにメモ書きでも成立します。気軽に作れることが伝わってほしいですね。
加えて、いつでも内容を変えられると知らない人も多いようです。気が変わったらいつでもリニューアルできるので「とりあえず書いてみよう」と、軽いノリで構いません。
一般家庭でも、遺言書を残したほうがスムーズに事が運ぶでしょう。相続人だけで資産を前にすると、互いの顔色をうかがい、自分が欲しいものを最初に発言するのは気が引けます。これを促してくれる第一歩として、遺言書を作成してほしいですね。「ないよりはあったほうがいい」という認識でいてください。
遺言書には自由に言葉を残せる付言事項がありますが、心に残っているものを教えてください
私は遺言作成時の証人になることが多いです。よく見かけるのが「今まで好き放題にやってきて申し訳ない」という、ご主人から奥さまへの謝罪の言葉ですね。あとは「あまり遊んであげられずにごめんね」などと、子どもたちへのメッセージも目にします。
どれも心を打たれる言葉ばかりで、私も自らの行動を見直す機会になります。
ホームページの代表メッセージに「機械でできることは機械がやればいい。」とありますが、昨今の「AIが税理士の仕事を奪うのでは?」という意見をどう思われますか?
正直、全く不安に感じていません。ホームページにある代表メッセージは、およそ10年前に開業した際に書きました。まだAIが台頭していない頃ですね。
AIに対しては「24時間働く、従順、計算ミスのないスーパー社員」として、私たちをうまく手伝ってほしいと思います。でも、重要な役職に就くことは不可能でしょうね。なぜなら、税理士の重要な仕事は、心のある人間にしか担当できないからです。相続の分野も、数字だけでは決められない要素ばかりです。
例えば全ての相続人が大阪在住で、東京にも不動産が1つある場合、相続人には「遠方の不動産は積極的に欲しくない」という心理が働きます。管理や処分をするにも手間と時間がかかり、地の利も無いため、どの業者に依頼すべきか分からないからです。こうした人間の気持ちをくみ取ったアドバイスは、AIには難しいでしょう。
また、相続税を最も抑えられる方法をまたたく間に計算できても、過去と未来を予測して答えを出すのは厳しいかもしれません。相続人の中に病気を抱えたきょうだいがいたとしたら、今後も治療費がかさむことは目に見えています。その人になるべく多くの財産を受け取ってほしいというのが私たちの倫理観ですよね。心を持たない機械には、なかなか判断が困難だと思います。
とはいえ、AIが資産を分割するとしたら、どのような答えを出すのか気になりますね。
すでに暗号資産の相続申告で支援実績も。「せめて家族にはIDやパスワードを伝えてほしい」
インターネット検索も含め、相続に強い税理士と出会うにはどうすればいいですか?
ネットのうたい文句だけで税理士を選ぶのは無理があります。実際に何人かと面談し、税務調査のアドバイスを聞いてみるのも良さそうですね。「難しかったけれど無事に通過できたエピソードはありますか?」「タンス預金はどのように指摘されますか?」「最も調査されるポイントは何ですか?」などと、まずはシンプルな質問をして反応を見てみてください。
この答えは、税理士の資格を取るにあたって学校で教わることもなく、書籍などにも詳しく掲載されていません。経験するしかないのです。また、相性面の良い税理士を見つけるにも、まずは軽く話してみることですね。
税理士で最も多いのは、きっちりとした真面目タイプです。「これでは肩が凝ってしまうな……」と感じたら、別の人と会ってみましょう。逆に融通が利き過ぎる人も、申告がいい加減になるかもしれません。自分に適したバランスを感じ取ってみてください。
加えて、お客さまの性格もあります。相続後、5年にわたり税務調査を受ける可能性があることから「眠れない日を送るのが嫌だから、税金をかっちり払いたい」というタイプもいれば、可能な限り節税を試みる人もいます。同じ事務所内にもさまざまな性格の税理士がいるので、満足度の高い相手を探してみましょう。ちなみに当事務所は、どちらにも対応できる柔軟性の高さが自慢です。
「タワマン裁判」の結果も踏まえ、富裕層の相続税対策をどのようにお考えですか?
「やり過ぎは駄目です」のひと言ですね。この裁判では、相続対策として駆け込みで不動産に手を出したことが問題です。当事者の人生を考えても不自然な流れでしたよね。長く不動産投資を続けてきた人が追加で物件を購入するなら問題ないはずですが。
理想はもっと早い段階から、10年や20年をかけた長期的な目線で対策を進めることです。また、あくまでもメインのアドバイザーは税理士にしましょう。残念ながら銀行や不動産会社は、節税のための商品を扱うことができても、最後の部分で責任を取れません。一方で税理士は、この納税に関する最後の責任を負います。普段からこまめにアドバイスを受けることを勧めます。
配偶者居住権とはどんな権利で、メリットやデメリットはいかがでしょうか?
相続後も、被相続人の配偶者が自宅に住み続けられる権利のことですが、当事務所では、この行使をあまり推奨していません。そもそも、話題に上る機会もほぼ無いですね。
確かに「お母さんが家を追い出されてしまう」という状況は防げますが、普通に考えると、実家の所有権はお父さんからお母さんに移行します。実家を持つことに執着する子どもは見たことがありません。「母の手に渡ると何が起きるか分からない」といった、極端なケースでなければ行使は不要でしょう。
逆に権利を用いることで、デメリットやリスクが生じることを知っておきましょう。お母さんが実家に住まなくなったら、あるいは家を売ることになったら贈与税が発生します。資産としてどう利用するか、という自由度も低くなってしまいますよね。
2022年度の税制改正大綱で相続税と贈与税の一体化が見送られましたが、今後どうなるとお考えですか?
海外の動向に合わせたりしながら、長い時間をかけて一体化していくと思います。
贈与税は相続税回避の駆け込みを防ぐための位置づけで、日本では負担が大きい一方「年間110万円までなら税金がかからない(暦年課税)」「310万円までなら10%で大丈夫」のように、お得な部分もあります。こうした制度を活用し、節税を目指す人も多いことでしょう。
ここで、国がやみくもに一律で贈与税を高くすると、本来の目的である「高齢者が預金を眠らせたままで経済が回らなくなる」といった状況への対策が難しくなります。そのため、ある程度の金額を下の世代に移し、自由に使えるようにしているのです。
また、60歳以上の父母や祖父母から、18歳以上の子や孫に財産を贈与する場合は相続時精算課税制度を利用できます。こちらは2,500万円までなら税金が生じませんが、手続きが手間な上に、暦年課税に変更できなくなります。こうした背景を知らず、税理士や司法書士の説明を受けてサインしても、二度と撤回できないのでご注意ください。
貴法人には仮想通貨を専門とする関連会社がありますが、相続での問題点などをお聞かせください
「コインタックス」という、暗号資産を専門に扱うグループ会社があります。「利益が出たから申告したい」という相談が中心で、まだ相続に関する問い合わせはありませんが、第1次暗号資産ブームの2018年頃に申告をサポートしたことがあります。
当時は税務署からの情報も無く、自ら判断して手続きを進めるしかありませんでした。結果は良かったのですが、被相続人がビットコインを持っていることに家族の誰もが気付いていませんでしたね。それでも家族の一人から「お父さんが目を血走らせてパソコンに向かい、何とかコインを扱っていた」という情報があり、何とかして5,000万円分の資産が失われずに済みました。内緒にしておきたい気持ちも分かりますが、家族だけにはIDやパスワードを伝えておくのが大事ですよね。
なお、2021年度は暗号資産関連で約700件の申告をサポートしたと伝えましたが、若いエンジニアだけでなく、5%程度は70代のお客さまもいらっしゃいました。おそらく相続人は暗号資産に気付いていないでしょうね。万が一のことも考えられるので、やはり家族間コミュニケーションを最も大切にしてほしいです。
不動産事業もスタート。上手な活用で豊かな老後を迎えるために真のアドバイスを届けたい
業界の動向などで興味のある、あるいは注目している話題はございますか?
不動産は相続との相性が良いものの、付随して節税商材もよく登場します。裁判になったタワマンも節税商材化されて販売されたと思われますが、現在は形を変えて小口化したものも見かけます。
例えば都市部にある商業施設のワンフロアを100口などに分け、ひと口馬主のように「みんなで1000万円ずつ出せば購入できる」といったものです。投資商品としてはパフォーマンスが良いとはいえないので、実際には相続税対策で購入されているのですね。おそらく税務署も目を付けているでしょう。本当に歴史は繰り返します。
タワマンのケースを考えても、同じような手法を選んだ人は無数にいると思います。金額的な基準はありませんが、やはり節税で「やり過ぎは良くない」のです。数億円相当の資産を持っている人が、急に相続税評価額をゼロにしたら疑われますよね。
もちろん、こうした商材を販売して生きている方々がいます。決して悪いことではありませんが、先読みしてリスクが生じる可能性があるのか、お客さまに伝えられるのが真に力のある税理士でしょう。
貴法人として、個人として、これからチャレンジしたいことを教えてください
今まで私は税理士業務のみに取り組んできました。家や土地を見るにも税務的な目線しか持っていませんでしたが、不動産事業をスタートさせた今、価値が分かるようになりました。「相続後は早期に売却したほうがいい」あるいは「資産価値が長く続くだろうから焦って売らなくていい」などと、フラットに意見を伝えられます。
日本全体を見渡すと、年金や将来に不安を抱えている60歳前後の相続人世代が数多くいます。例えば1億円の不動産を相続して全て現金にしたら、おそらく資産が目減りする人生を歩むことになり、次の世代に何も残せません。しかも、相続が起こった後は手続きが固定化されていて対策が取れず、敏腕税理士に依頼しても1千万円の税金をゼロにできないのです。そのため、耐えきれずに不動産を手放す人が多いのですが、非常にもったいないですね。
大儲けを狙うのではなく、相続した不動産をリスク最小限で活用し、現在の年金額に月額10万円でも20万円でもプラスになるような資金を作れれば、将来の生活は安心ですよ。そんな、本当の意味でのアドバイスを届けていきたいです。
相続が発生した人にメッセージをお願いします
まだ相続前であれば、まず家族間で仲良く話し合ってほしいです。相続争いは皆さんの想像よりも高い確率で起こります。些細なことでも親子やきょうだいで連絡を取っておくと、資産分割時の準備になるでしょう。
また、被相続人が銀行から毎月100万円を引き出していたら、税務署はまずタンス預金を疑います。調査時も「何に使われたのか分かりません」は通用しません。しかし、被相続人が「人生最後だから豪遊する」と、どこでお金を使っていたのが分かればクリアになります。だから、行きつくところはコミュニケーションです。
一方、相続が発生した場合は、おそらく税務署への不安が一番の気がかりでしょう。でも、ドラマのように怖いものではありません。税務調査も、どちらかというと和気あいあいとした雰囲気です。申告も含めて頼れる存在を見つけておけば大丈夫です。
野口集平 様
税理士法人GLADZ 代表社員
■企業プロフィール
社名:税理士法人GLADZ
所在地:大阪府大阪市北区梅田1丁目3番1号 大阪駅前第1ビル10階
事業内容:資産税節税コンサルティング、不動産価値最大化コンサルティング、M&A等
TEL:06-6940-6319
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ご家族の相続は突然起こり、何から手をつけていいか分からない方がほとんどです。相続税についてはとくに複雑で、どう進めればいいのか? 税務署に目をつけられてしまうのか? 疑問や不安が山ほど出てくると思います。
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