7割がデジタル資産が相続税の課税対象となることを「知らない」と回答。ネット銀行やネット証券の情報を家族に全て共有している人は1割にとどまる
ベンチャーサポート相続税理士法人(本社:東京都中央区 代表税理士:古尾谷裕昭 https://vs-group.jp/sozokuzei/supportcenter/ )は、「デジタル資産の管理」に関する実態調査を実施しましたので、お知らせいたします。
<デジタル資産管理の調査結果トピックス>
- スマホやパソコンにパスワードなどのロックをかけている人は約9割。緊急時に備えた対策状況として「現時点で対策していない」割合は6割以上という結果に
- サブスクリプションサービスの利用について、4人に1人が家族は「全く把握していない(25.0%)」と回答
- ネット銀行やネット証券の情報を家族に全て共有している人は1割にとどまる
- デジタル資産は相続税の課税対象となることを「知らない(71.5%)」が7割に
- デジタル資産の相続について「ログインできない」「ハッキング」などの不安な声が上がる
<調査概要>
- 調査方法:ゼネラルリサーチ株式会社のモニターを利用したWEBアンケート方式で実施
- 調査の対象:ゼネラルリサーチ社登録モニターのうち、全国20代〜60代の男女を対象に実施
- 有効回答数:1,020人
- 調査実施期間:2023年5月18日(木)
スマホやパソコンにパスワードなどのロックをかけている人は約9割。緊急時に備えた対策状況として「現時点で対策していない」割合は6割以上という結果に
全国の20代から60代の男女を対象に調査を実施。
「自分のパソコンやスマートフォンに、パスワードなどによるロックをかけていますか?」と質問したところ、約9割の人が「はい(89.5%)」と回答した。
「緊急時に、自分のパソコンやスマートフォンのロック解除を家族ができるように対策していますか?」と質問したところ、「対策していないし、今後する予定もない」と回答した人が37.7%と最も高い割合となった。次いで、「対策している(33.5%)」「対策していないが、今後しようと思っている(23.0%)」「以前対策していたが、今はしていない(5.8%)」と続いた。
現時点で対策していない人は7割近くに上り、緊急時に家族は対応が難しい状況である実態が明らかになった。
「対策している」と回答した人に具体的な対策方法を聞いたところ、
■具体的な対策とは
- パスワードを共有している(20代/女性/福岡県)
- 顔認証を登録している、暗証番号を教え合っている(20代/女性/大阪府)
- 物理的(ノートなど)に残している(30代/男性/徳島県)
- 家族のみが知っている場所に情報を保存(50代/男性/奈良県)
などの回答が得られた。
緊急時に必要な情報を取り出せるよう、ログイン情報の共有という対策が有効と考える人が多いことが分かった。
サブスクリプションサービスの利用について、4人に1人が家族は「全く把握していない(25.0%)」と回答
サブスクリプションサービスの利用を家族が把握している割合について調査した。
「現在、サブスクリプションサービスをいくつ利用していますか?」と質問したところ、「サブスクリプションサービスは利用していない(55.3%)」が最多となった。
利用している人は、「1つ(17.5%)」「2つ(11.3%)」「3つ(9.4%)」「4つ(2.7%)」「5つ以上(3.8%)」で、サブスクリプションサービスを利用している割合は4割を超えていることが分かった。
続いて、現在利用しているサブスクリプションサービスについて、家族が把握している割合を調査したところ、「全て把握している(41.1%)」「一部把握している(33.9%)」「全く把握していない(25.0%)」という回答結果となった。
4人に1人がサブスクリプションサービスの利用を家族は「全く把握していない」ことが明らかになった。
ネット銀行やネット証券の情報を家族に全て共有している人は1割にとどまる
ネット銀行やネット証券の保有状況と共有状況について調査を実施。
「ネット銀行やネット証券について、どこの銀行や証券会社に口座を保有しているか家族に共有していますか?」と質問したところ、「全く共有していない(35.6%)」「一部共有している(21.0%)」「全て共有している(11.6%)」「ネット銀行やネット証券の口座を保有していない(31.8%)」という回答結果になった。
ネット銀行やネット証券の情報を家族に全て共有している人は1割にとどまることが明らかとなった。
デジタル資産は相続税の課税対象となることを「知らない(71.5%)」が7割に
デジタル資産と相続税について調査を実施。
「デジタル資産は、相続税の課税対象となることを知っていますか?」と質問したところ、7割の人が「知らない(71.5%)」と回答した。
デジタル資産は相続税の課税対象となるため、相続財産に加えたうえで遺産分割をする必要がある。
「相続税申告後にデジタル資産が見つかった場合、遺産分割協議のやり直しや修正申告などが必要となることを知っていますか?」と質問したところ、8割近くの人が「知らない(76.5%)」と回答した。
デジタル資産も相続財産に該当することから、銀行の預貯金や不動産である土地などと同様に、所有者が亡くなると相続の対象となり、相続する場合は相続税が発生する。
相続税申告後にデジタル資産が判明した場合は、遺産分割協議などの相続手続きをやり直す必要が出てくる。
デジタル資産の相続について「ログインできない」「ハッキング」などの不安な声が上がる
最後に、保有するデジタル資産について調査を実施。
「現在、どのようなデジタル資産を保有していますか?(複数回答可)」と質問したところ、「ネット銀行口座の預貯金(47.5%)」と回答した人が最も多く、次いで「QRコード系の電子マネー(40.6%)」「交通系・流通系の電子マネー(37.4%)」「ネット証券口座の株式・FX・投資信託(23.7%)」「暗号資産(仮想通貨)(6.3%)」「NFT(2.3%)」「保有していない(31.7%)」と続いた。
20代〜60代の男女が保有するデジタル資産として「ネット銀行口座の預貯金」や「QRコード系・交通系・流通系電子マネー」が上位に上り、生活と密接に関わるデジタル資産を保有していることが分かった。
■デジタル資産を相続する上で、不安なこととは
- ハッキングなどで盗まれないか(20代/女性/兵庫県)
- ログイン出来なくなること(30代/男性/新潟県)
- ID、パスワードの継承(60代/男性/秋田県)
- 不正アクセスによる被害や、オンライン上のトラブル(60代/男性/福岡県)
IDやパスワードを共有していない場合、デジタル資産のサービス利用画面にログインできない可能性が高い。
また、不正アクセスによる被害を不安に思う人がいることも明らかになった。
【まとめ】
7割がデジタル資産が相続税の課税対象となることを「知らない」と回答。ネット銀行やネット証券の情報を家族に全て共有している人は1割にとどまる
今回の調査で、約9割の人がスマホやパソコンにパスワードなどのロックをかけている一方で、緊急時に家族がロック解除できるような対策については「以前対策していたが、今はしていない(5.8%)」「対策していないが、今後しようと思っている(23.0%)」「対策していないし、今後する予定もない(37.7%)」となり、現時点で対策していない人は7割近くに上った。緊急時に備えて対策している人は少ないという実態が明らかになった。
また、4人に1人が、サブスクリプションサービスを利用していることを家族は「全く把握していない」と回答している。
さらに、ネット銀行やネット証券の情報を家族に全て共有している人は1割にとどまった。
デジタル資産も相続財産に該当するが、7割の人が相続税の課税対象となることを「知らない(71.5%)」と回答した。
デジタル資産を相続する上で、不正アクセスによるトラブルや、ID・パスワードが分からずログインできないという不安を抱える人が多いことも分かった。
デジタル資産の管理・運用は信頼できる方法や相談先を確保しておく必要があると言える。
専門家からのアドバイス
「デジタル資産とは?家族との共有方法についても解説」
アンケートの結果、ネット銀行やネット証券の情報を家族に全て共有している人は1割にとどまることが分かりました。
ここでは、デジタル資産とは何か?家族とどのように共有するか?について解説します。
デジタル資産とは?
デジタル資産とは、ネットワーク上に存在する財産のことです。
現金や通帳がある預貯金、土地や建物の不動産などのように目に見えるものではありませんが、財産としての実態はあるため、個人の所有権が及ぶうえ、相続や贈与の対象にもなります。
デジタル資産の一例として挙げられるものに、ネット銀行の預金口座があります。
ネット銀行はインターネットによる取引が中心となるため、実店舗を持つ銀行のように通帳はありませんが、預金口座に預けられたお金はオンライン上で残高を確認することができ、振込や引き出しを行うことも可能です。
また、残高を贈与することができ、亡くなったときには相続税がかかるなど、一般の銀行口座と何ら変わりない価値を持つ財産となっています。
デジタル資産の種類
デジタル資産には様々なものがあり、今後さらに種類が増えていく可能性もあります。
ここでは、主なデジタル資産の一覧をご紹介します。
金融商品 |
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電子マネー | プリペイド式のカードにチャージされた残高 |
NFT | Non-Fungible Token(代替不可能なデジタルデータ) |
暗号資産 (仮想通貨) |
ビットコインなど |
デジタル資産を家族と共有する方法。エンディングノートの活用方法も紹介
デジタル資産は目に見えるものではないため、そもそもデジタル資産を持っていることを知らなければ、家族のデジタル資産について調べることもないでしょう。
そのため、相続が発生した際にデジタル資産が最後まで発見されない恐れもあります。
このような背景から、デジタル資産が思わぬトラブルを招かないよう、その存在が分かるように記録を残しておくことが大切です。
遺言書を作成する場合は、遺言書の財産目録にデジタル資産の情報を記載します。
また、エンディングノートを作成する際には、エンディングノートにどのようなデジタル資産があるのか、一覧を作成しておきましょう。
なお、デジタル資産にアクセスするためには、ログイン時のアカウント名やパスワードが必要です。
いざという時に家族が把握できるよう、エンディングノートなどにログイン情報を記載する場合は、鍵のかかる机や金庫など安全な方法で保管しましょう。
また、必要に応じてデジタル資産を処分することも検討すべきです。
デジタル資産として残った状態で相続が発生すると、相続人はオンライン上の財産について相続手続きを行う必要があります。
このような手続きは、オンライン上の作業に慣れている相続人であれば、大きな問題はないかもしれません。
しかし、相続人がオンラインの操作に不慣れな場合は、デジタル資産を整理しておくのが望ましいといえます。
さいごに
デジタル資産の総額は年々増加しており、今後も増えることが予想されます。
また、これからまったく新しいデジタル資産が誕生する可能性もあり、その管理は年々難しくなっていくでしょう。
相続サポートセンターでは、デジタル資産に限らず、あらゆる財産の相続に関するアドバイスを生前からサポートしています。
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