この記事でわかること
- 不動産管理会社で経費とすることが認められる支出の中身がわかる
- 不動産管理会社では経費とすることができないものには何があるかわかる
- 不動産管理会社で経費を計上する際に注意すべきポイントがわかる
個人で不動産を所有する人の中には、不動産管理会社を設立している方もいるでしょう。
個人で不動産業を営む場合と、不動産管理会社で管理業務を行う場合では、経費となるものに違いがあります。
そこで、不動産管理会社で経費になるものと、経費に認められないものをご紹介します。
また、不動産管理会社で経費を計上する際に注意しなければならない点を解説します。
目次
不動産管理会社で経費として認められる費用10種
不動産管理会社が不動産管理業を営む場合、どのような支出が経費に認められるのでしょうか。
不動産管理業だから発生するもの、また会社だから発生するものの区分に注意して理解しておきましょう。
管理費用
賃貸物件の維持管理を専門の管理会社に委託している場合、その管理費用は不動産管理会社の経費となります。
不動産管理会社が行う管理業務以外に、設備の点検や清掃などが定期的に発生します。
これらの管理費用は、不動産業を行う際には必ず発生するものであり、経費とすることができます。
修繕費用
年数の経過に伴って、賃貸物件が破損することや、異常が発生することがあります。
破損した箇所を直すためには、業者に依頼して修理してもらわなければなりません。
発生した修理費用を賃貸物件の所有者が負担する場合は、経費とすることができます。
ただ、修繕工事の内容によっては、支払ったときに全額を経費とすることができず、固定資産に計上すべき場合があります。
借入金の支払利息
不動産物件を購入した時に、金融機関から借り入れをすることがあります。
借り入れをして物件を購入すると、その後は毎月借入金の返済を行い、利息を支払う必要があります。
不動産物件には大きく分けて土地と建物があり、いずれを購入した場合にも利息が発生します。
個人の場合は、不動産所得が赤字になると、土地購入時に発生する利息を経費にすることができません。
一方、会社の場合は購入した物件の種類に関係なく、支払利息の全額を経費とすることができます。
保険料
賃貸物件に不測の事態が発生した場合の備えとして、火災保険や地震保険などの保険に加入するのが一般的です。
この保険契約の保険料は、保険契約者の経費となります。
不動産物件を会社で所有している場合、保険料は会社の経費とすることができます。
仲介手数料・広告宣伝費
不動産の入居者を探す時に、不動産仲介会社に入居者の募集を依頼することがあります。
この場合、新しい入居者が決まったら、仲介会社に仲介手数料を支払わなければなりません。
また、入居者の募集にかかった広告宣伝費も経費とすることができます。
固定資産税
土地や建物を所有している場合、その所有者に対して固定資産税が課されます。
不動産を所有するのが個人であっても会社であっても、固定資産税は発生し、その所在地の市町村に納付しなければなりません。
納付した固定資産税は、全額を経費とすることができます。
建物の減価償却費
賃貸物件のうち、建物の購入費用は法定耐用年数により減価償却の計算を行います。
減価償却費として計算された金額は、毎年必要経費に計上することができます。
ただし、土地を購入した際の支出は経費となるものではなく、減価償却費の計算に含めることができません。
役員報酬・給料
不動産管理会社を設立する際は、必ず役員になる人がいなければなりません。
役員になった人に対しては、毎月役員報酬を支払うことができます。
また、従業員を雇用している場合は、その従業員に対して給料を支払わなければなりません。
この役員報酬や給料は、いずれも会社の経費となるものです。
自動車やガソリン代など
不動産管理会社で自動車を購入した場合、その自動車の購入費用は経費となります。
ただ、購入した時に全額が経費となるのではなく、減価償却の計算を行う必要があります。
また、自動車を保有している際に発生する自動車税や、自賠責保険料も経費となります。
この他、自動車を利用した際のガソリン代や車検費用、駐車場代や高速料金なども経費とすることができます。
交際費
不動産管理会社の役員や従業員が、事業に関係する打ち合わせを行うために、飲食店を利用することがあります。
この場合、飲食店での支払いは、不動産管理会社の経費とすることができます。
ただし、家族での利用や事業に関係のない人との飲食は交際費とはならないため、経費とすることはできません。
不動産管理会社で経費として認められない費用
不動産管理会社を運営していると、様々な関連費用が発生します。
また、不動産賃貸業に関係しているように思われる支出もありますが、そのすべてが経費になるわけではありません。
不動産管理会社で経費とすることが認められないものには、どのようなものがあるでしょうか。
スーツや靴などの費用
不動産管理会社の業務を行うために、様々な人と会うことがあります。
そこで、スーツや場に相応しい衣服や靴、鞄などを購入するのが一般的です。
これらは会社に勤務する人が個人的に購入すべきものであり、たとえ仕事でしか使わなかったとしても経費にはなりません。
したがって、スーツや靴などの購入使用は、不動産管理会社の経費にはならないことに注意しましょう。
反則金や罰金
駐車違反やスピード違反など、交通ルールを違反すると反則金や罰金を納めなければなりません。
この反則金や罰金は、自動車の所有に関連する費用ですが、会社の経費とすることはできません。
これらの支払いを行う場合は、たとえ業務中に発生したものでも、個人的に支払う必要があります。
法人税などの税金
不動産管理会社は、毎年法人税を納付しなければなりません。
利益の金額が大きいほど発生する法人税の額も大きくなりますが、この法人税は、会社の経費とはなりません。
この他、会社が所在する自治体に納付する法人住民税も、会社の経費とはならないものです。
不動産管理会社で経費にするか判断が分かれる費用
不動産管理会社で発生する支出の中には、経費になるかどうか判断が難しいものがあります。
実際にどのようなものがあるのか、その具体例をあげてご紹介します。
工事を行った際の支出
賃貸物件について、購入した後にお金をかけてさらに工事を行うことがあります。
そのような工事の中には、破損した箇所の修理を行う場合もあれば、新たな設備に取り換える場合もあります。
工事を行った場合、多額の支出が発生することとなりますが、必ずしも経費になるとは限りません。
経費にならない場合、支出した工事代金は固定資産に計上しなければなりません。
工事代金が経費になるかどうかは、その工事が原状回復にあたるのか、それとも新たな資産の取得該当するのかによります。
以前から所有している資産の原状回復にあたるような雨漏りの修理、外壁の塗り替えなどは、修繕費に該当します。
修繕費に該当するのであれば、工事代金として支出した金額は、全額が経費となります。
一方、新たな資産の取得に該当する場合は、工事代金を新たな固定資産に計上しなければなりません。
固定資産に計上した後、その資産を事業に使い始めてから減価償却の計算を行い、少しずつ経費に計上します。
家族に対する給料
不動産管理会社の中には、家族を従業員として給料を支払う場合があります。
家族も会社の業務に従事しているのであれば、給料を支払うことに問題はありません。
ただ、名目だけ従業員となっており、実際には何もしていない人がいる場合は、要注意です。
家族に対して給料を支払う場合は、その金額が妥当か、給料を支払う根拠はあるのか、確認しておきましょう。
不動産管理会社で経費を計上するときの注意点
不動産管理会社で経費を計上する際には、どのような点に注意する必要があるのでしょうか。
経費を計上することは節税につながりますが、その方法を間違えると大きな痛手を負う可能性もあるので、注意しましょう。
業務に関係のない経費を計上しない
不動産管理会社で行う支出は、基本的に会社の経費となります。
しかし、不動産管理会社は不動産管理業を営む会社であり、どのような支出でも経費となるわけではありません。
会社の支出の中に、会社の業務とまったく無関係のものが含まれていると、税務調査では大きな問題となります。
最終的には、そのような支出は会社の経費ではなく、経営者個人の支出と判断される可能性があります。
そうすると経費の計上は認められず、不動産管理会社の法人税の負担が大きくなってしまいます。
経費を増やせば現金は減少する
経費の額を大きくすることで、不動産管理会社が負担すべき法人税の税額は少なくなります。
節税をするためには、会社の経費を増やすのが一番簡単な方法だと言えるでしょう。
しかし、会社で発生する経費のほとんどは、現金で支払う必要があります。
そのため、経費を増やすことに力を入れるあまり、現金が足りなくなってしまう可能性があることをに注意しなくてはなりません。
特に、現金が少ない場合には、経費を増やすより法人税を納税した方が、現金が残せる場合もあることに注意しましょう。
まとめ
不動産管理会社を設立する理由として、税金の負担を軽減したいからというケースが多いでしょう。
税負担を軽減するためには、より多くの経費を計上し、不動産管理会社の利益を減らすことが重要です。
ただし、どのような支出でも、不動産管理会社の経費とすることができるわけではありません。
経費になるもの、経費にならないものの違いに注意して、効果的な節税を行うようにしましょう。
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