60歳を過ぎ、いわゆる「終活」を考えるようになりました。自分に万が一があったときにトラブルにならないよう、遺言書を作成することを考えていますが、いったいどのような形式でどのような内容を書けばいいのかわかりません。遺言書というものは正しい形式を備えていないと効力がないものなのでしょうか。確実に有効性のある遺言書を作成したいと考えていますので、どうやって遺言書を作ればよいのか教えてください。
行政書士 本間剛
「終活」の一環として、遺言書の作成をお考えのようですね。確かに、遺言書を作成することは相続人どうしのトラブルを防ぐためには、非常に有効なものとなるはずです。
遺言書には、自筆証書遺言、秘密証書遺言、公正証書遺言と呼ばれる3つの形式があります。どの形式の遺言書を作成してもその効力に違いはありませんが、その作成方法や有効に成立するための要件が異なります。
自筆証書遺言は、自分で作成し保管しておく遺言書のことです。基本的に自筆で作成する必要がありますが、2019年1月13日以降に作成したものについては、財産目録をパソコンなどで作成することも可能となっています。作成した自筆証書遺言は、基本的に自分で保管しておく必要がありますが、2020年7月10日からは法務局で保管する制度が新たに始まります。遺言を作成したことを誰にも知られたくない、あるいは遺言書の内容を誰にも知られたくない場合の選択肢となります。
秘密証書遺言は、自分で作成した遺言書を公証役場に持っていき、その遺言書の存在を証明してもらうものです。公証役場に持って行った遺言書ですが、その後の保管は自分で行わなければなりません。遺言書の中身は誰にも知られることはありませんが、遺言書の存在は公証役場で証人となった人には知られることとなります。遺言書を自分で作成する際には、本文をパソコンなどで作成しても問題ありませんが、署名・押印は忘れないようにしなければなりません。
公正証書遺言は、公証役場で作成し保管してもらう遺言書です。遺言書を作成する際は、口述で内容を公証人に伝え、その内容を書面にしてもらいます。そのため、自筆やパソコンを使って作成する必要がありません。また、出来上がった遺言書は公証役場で保管されるため、自宅で紛失することや発見されないまま相続手続きを終えることを防ぐことができます。また、公証人が作成してくれるため、形式的に無効となることはまずありません。
いずれも形式を満たさない場合には、その遺言書は無効とされてしまいます。そのため、確実にもめない遺産相続を実行するためには、確実に遺言書を作成する必要があります。遺言書を作成する方法としては、公正証書遺言が最も確実な方法です。
ただ、公正証書遺言を作成すれば遺言書は作成できますが、遺言書の内容は自分で決めなければなりません。また、財産の記載が漏れないようにするのも大事なことです。遺言書の作成方法を決めたら、その内容についてもしっかりと検討しておく必要があります。
行政書士 本間剛
相続サポートセンター(ベンチャーサポート行政書士法人) 代表行政書士。昭和55年生まれ、山形県出身。
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大卒後、税務署に就職し国税専門官として税務調査に従事。税理士としても10年を超えるキャリアを積み、現在は「相続に精通した税理士としての知識」と「元税務調査官としての経験」を両輪として活かした相続税申告を実践中。
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