税理士法人を核に全国7拠点で中小企業・資産家向けに各種サービスを展開するアイユーコンサルティンググループ。母体である税理士法人アイユーコンサルティングは、相続をはじめとする資産税全般に強みを持つ税理士法人として、全国トップクラスの実績を持ち、利用者から厚い信頼を獲得しています。今回は同グループの代表取締役社長で、税理士法人アイユーコンサルティングの代表社員を務める岩永 悠様に、税理士法人の概要、印象的なエピソード、相続に関する新たな動きや疑問、今後のビジョンまでお話を伺いました。
創業10期目。強みの「相続」で全国トップクラスの実績
税理士法人アイユーコンサルティングの概要や強みをお聞かせください
税理士法人アイユーコンサルティングは、資産税に特化した税理士法人です。2013年の創業以来、相続・事業承継案件をのべ2,600件以上手掛けましたが、これは全国トップクラスの実績となります。
所属する23名の税理士が贈与税、事業承継、組織再編といった「資産税案件」のノウハウを豊富に備えており、お客様には必要に応じてスポットでご活用いただいています。
当法人では「アイユー相続クラブ」と呼ばれるユニークな会員制サービスもご用意しており、相続等に関するさまざまな情報提供のほか、相続税対策の各種サービスを実施しています。会員になっていただくと、生前対策の値引きや相続税申告の報酬値引きなど、数々の特典があり、大変好評をいただいております。
なお、新規の相続税申告で、当法人にご相談をいただくお客様は「財産が1億円前後で、税理士や司法書士に関わりがない方」が多いです。
この属性は全国でほぼ共通ですが、地方の場合は東京と異なり、より堅い職業の方が多い傾向ですね。
ご相談いただくきっかけは、金融機関や葬儀社の紹介、あるいは口コミで、ウェブ集客はほとんどありません。
2013年の創業より、印象に残っているご相談・エピソードなどございますか
2018年に税制改正された新事業承継税制(10年間限定の特例措置)に関わるご相談が印象に残っています。新事業承継税制ができて間もない頃「九州地方で事業を営む父が癌になった」という息子さんが相談にこられました。
お父様は資産のほとんどを自社株式で持っており、納税のために会社を手放すか、金融機関からの借入をおこなわなければならない状況でした。
そこで新事業承継税制で納税猶予することにしましたが、当時は旧要件のままで、今ほど使いやすい制度ではなかったのです。
そこで私はすぐ現地に飛び、司法書士とともに、後継者の役員登記、遺言や公正証書の作成などを急いでおこないました。そして、お父様はご相談から1ヶ月以内にお亡くなりになりました。
本当にタイムリミットが迫っていた状況で、我々の力を発揮できた点で、税理士冥利に尽きる、と感じた案件でしたね。
富裕層ではない一般家庭では、遺言を残す必要はないですか
一般の方でもアパート経営されていたり、土地を持っていたりするような場合は、遺言を残した方が良いでしょうね。被相続人(亡くなる方)が最期に、ご自分の財産をどうするか。これは被相続人が考え、ある程度、道しるべを出すべきだと私は思います。
実は、相続人全員の同意があれば、その内容を変更することも可能なのです。生命保険など一部例外はありますが、遺言書の内容がすべてではないため、遺言を残される方も極端にプレッシャーを感じる必要はありません。
特に、財産額が数千万円程度の方は遺言書を残した方が良いと思います。統計的に「財産が1億円未満のケース」では、揉めることが多いからです。
「遺言書を残すべきか、わからない」「親に遺言書を書いて欲しいけど、言い出しづらい」このような悩みをお持ちの方は、一度、税理士などの専門家に相談されることをおすすめです。
相続を取り巻くさまざまな動き。現在、そして来るべき未来の注意点
2020年4月施行の「配偶者居住権」は、相続税の課税対象になる反面、節税になるとも言われていますが本当ですか
配偶者居住権とは「配偶者を亡くした方が、そのまま自宅に住み続けることができる権利」を指します。
節税効果を発揮するかはケースバイケースですが、大前提として「配偶者居住権は節税のために作られたものではない」という点は注意が必要です。
例えば配偶者居住権には財産価値が付くため、節税のみを目的とすればさまざまな方法も考えられます。
しかし、配偶者居住権の評価はそこまで高くありませんし、節税目的だけを考えることはそもそも租税回避行為に近く、健全な行為ではありません。
少なくとも当法人では、このような行為を勧めたり、サポートすることはありません。
2022年4月より、成年年齢が18歳に引き下げられましたが、相続税・贈与税に関する影響はございますか
まず相続税への影響ですが、遺産分割協議(財産分割の話し合い)の場に、親権者なしの単独で参加できること。そして、成年年齢が2年早まったことで、相続税の未成年者控除が20万円(年間10万円×2年分)少なくなることが挙げられます。
また贈与税の影響ですが、暦年課税制度の特例税率や、相続時精算課税が2年早く使えるようになりました。
このように聞くと、難しく思えるかもしれませんが「20歳にならないと出来なかったこと・使えなかった制度」ができる・使えるようになったというだけの話です。
なお、次にお話する「相続税と贈与税の一体化」と関連したお話では、成年年齢引き下げにより早期の対策を講じることができるようになりました。
ちなみに、成年年齢引き下げで10代の相談者が増えたというようなことはありません。
2022年度税制改正大綱では相続税と贈与税の一体化が見送られましたが、今後どうなるでしょうか
相続税と贈与税の一体化は、生前贈与・相続に関わらず、財産が移る時の税負担を同じにすることを目指す制度です。
2021年度の税制改正大綱から、本格的な検討が進められており、2022年は見送られたものの、将来的に法改正されると考えられます。 相続税と贈与税の一体化に合わせて、暦年課税(基礎控除110万)が廃止になる可能性も指摘されていますが、私見では厳しいかと考えています。
暦年課税を廃止してしまうと、すべて「相続時精算課税」となり、ごく少額の贈与に対しても相続時に精算されることになります。実務上把握がとても大変なので、暦年贈与継続のまま生前贈与加算の期間を3年から7年あるいは10年などに延ばすことはあっても、暦年贈与は廃止にはならないのではないかと考えています。
なお、税制改正大綱では「諸外国の制度も参考にしつつ検討する」とのことですが、そもそもの話で言えば、相続税は世界的に廃止の方向となっています。これは富裕層の流出を防ぐためで、また、相続税を廃止することで、新たな富裕層を呼び込むことも期待できます。
一方、日本は単一の国家・言語・民族で島国という特殊性があります。その上、日本で企業活動を行う富裕層も多いので、 結果として税収確保のためにも、相続税が安くなる傾向はないと考えられます。
近年、所有者が増えている「デジタル通貨」の相続トラブルや注意点はありますか
PayPay、LINE Pay、楽天Payなどの広い意味でのデジタル通貨、あるいは暗号資産は、若い世代を中心に広く普及しています。
ただ、結論から言えば現在、デジタル通貨の相続トラブルはあまりないと思います。なぜなら、現在のところはご高齢の世代で、デジタル通貨を所有する方が少ないからです。
ただし、50〜60代ではデジタル通貨を所有する方も多いため、10年後は事情が変わっているかもしれません。
デジタル通貨や暗号資産の相続においての大きな問題は、把握がしづらい点です。「そもそもデジタル通貨を所有しているのか」「どこにどれだけの残高があるのか」が分かりにくいため、相続人がエンディングノートに書いておくことが望ましいでしょう。
このような来るべき問題に備えて、国がデジタル通貨に特化したナンバリングをしたり、管理ツールを用意したりしてくれれば良いと思いますね。
「AIによって税理士の業務がなくなる」と一部で言われていますが、岩永様はどのようにお考えですか
AIが発達しても、税理士がいなくなることはないと思います。
例えば、子供に財産を残したいという「想い」をくみ取ること。そして傾聴することは人間にしかできません。逆に、今後私たちはこの部分を強化すべきで「AかBか」の通り一遍の回答をする税理士は、淘汰されていくのではないでしょうか。
ただ、AIをいたずらに恐れず、記帳代行などの単純処理には、AIやRPAを大いに活用すべきです。今後はAIと人間のすみ分けをすべきで、士業もAIを使いこなすことが大切かと思います。
そこは若い税理士たちが積極的に推進すべきですし、IT化が進まないと、これから税理士を目指す若い世代にとって魅力のない業界に映る恐れがあるかもしれません。
税理士の新しい動向や、今後の動きに関する考えをお聞かせください
今後は「大きな事務所がより大きくなる一方、税理士のフリーランス化も進む」という、二極化が起きると個人的に考えています。これまで会計士のフリーランスは多かった反面、税理士のフリーランスはほとんどいませんでした。
しかし現在では、暗号資産・NFT・Web3といった分野に強い税理士は、フリーランスのケースが増えています。フリーランス同士の情報交換はあるものの、ナレッジの共有にも限界があるため、今後はフリーランスの協同組合のようなものもできるかもしれませんね。
チャンスの多い若い組織で、絶え間ないチャレンジを続けてゆく
税理士法人アイユーコンサルティングの今後の展望を教えてください
▲毎年開催している社内向けの事業計画発表会での集合写真(写真は一部スタッフ)
「オンライン全盛の時代に、オフラインでどこまで行けるか」という点は、試すべき価値のあるチャレンジかと思います。弊社は2022年2月、創業地である福岡市・博多に自社ビルを建設しました。以前からオンライン面談には対応していましたが、「相続」というセンシティブな分野では、対面での打ち合わせを希望される方も少なくありません。そうした方にも安心安全な環境をご提供したいという思いから、十分なソーシャルディスタンスを保つことができる空間づくりの一環として、自社ビル建設に踏み切りました。
今後も創業地である福岡、そして関東首都圏をメインに案件の獲得を図るとともに、西日本エリアを中心に面展開していく方針です。
なお、当法人には現在104名のスタッフが在籍しており、うち23名が税理士です。
税理士の割合が高く、また平均年齢も30代と比較的若い組織ですから、キャリアアップのチャンスも数多くございます。新しいことに挑戦したい、色々チャレンジしたいという方は、ぜひ当法人の門を叩いて欲しいですね。
岩永様ご自身が今後チャレンジしていきたいことは何ですか
当法人は創業より10期目を迎えました。新しいチャレンジとして、2022年5月、我々のグループ会社に所属する公認会計士を中心にファンドを立ち上げました。
私たちはいわばエンジェル投資家の立場から、 野心的な挑戦をする企業様に投資をして、成長をサポートし、IPO、そして上場まで持っていくことを目指しています。
このインキュベート事業を、10年程度で、当法人の事業の柱とできるように尽力したいと思います。
岩永 悠 様
アイユーコンサルティンググループ 代表取締役社長
(税理士法人アイユーコンサルティング 代表社員)
■企業プロフィール
社名:アイユーコンサルティンググループ
所在地:東京都豊島区南池袋2-28-14 大和証券池袋ビル3F(東京事務所)
事業内容:資産税に特化した税務対策コンサルティング、財務コンサルティング、業務改善コンサルティング、DX化支援、インキュベート事業等
TEL:03-3982-7520(東京事務所)
相続専門税理士の無料相談をご利用ください
ご家族の相続は突然起こり、何から手をつけていいか分からない方がほとんどです。相続税についてはとくに複雑で、どう進めればいいのか? 税務署に目をつけられてしまうのか? 疑問や不安が山ほど出てくると思います。
我々ベンチャーサポート相続税理士法人は、相続人の皆さまのお悩みについて平日夜21時まで、土日祝も休まず無料相談を受け付けております。
具体的なご相談は無料面談にて対応します。弊社にてお手伝いできることがある場合は、その場でお見積り書をお渡ししますので、持ち帰ってじっくりとご検討ください。
対応エリアは全国で、オフィスは東京、埼玉、千葉、横浜、名古屋、大阪、神戸の主要駅前に構えております。ぜひお気軽にお問い合わせください。