この記事でわかること
- 不動産管理会社とはどのような会社で、なぜ節税になるかがわかる
- 不動産管理会社に発生する管理料が否認される相場を知ることができる
- 同族会社等の行為又は計算の否認等の指摘を受けるケースがある
個人に対する所得税の節税目的で、不動産管理会社を設立することがあります。
なぜ不動産管理会社を設立すると節税になるのか、その理由を解説していきます。
また、不動産管理会社に対する管理料が大きくなりすぎると、税務署に否認される可能性があります。
管理料の相場としてどれくらいの割合が相場となるのか、ご紹介していきます。
目次
不動産管理会社とは
不動産管理会社とは、その名の通り不動産の管理業務を行う会社です。
不動産物件の維持・修繕、入居者の募集、家賃の徴収や未収家賃の取り立てなどを行います。
個人で所有する不動産物件がある場合、不動産会社を節税目的で設立することがあります。
こうすると、不動産のオーナーである個人から管理料が会社に支払われ、その額は個人の必要経費となります。
一方で、不動産管理会社には管理料収入が売り上げとして発生するため、利益の金額を計算しなければなりません。
不動産管理会社が節税につながる理由
不動産管理会社を設立する最大の目的として、オーナー個人の節税があげられます。
なぜ不動産管理会社を設立すると、節税になるのでしょうか。
管理料は個人の必要経費になる
不動産を所有する個人から、管理料を不動産管理会社に対して支払うと、その額は必要経費となります。
個人の必要経費の額が大きくなれば、その分個人の所得は少なくなり、納税すべき所得税の額は少なくなります。
たとえば年間に発生する管理料の額が240万円あり、個人に発生する所得税と住民税の税率の合計が43%の場合、約103万円の節税となります。
法人税の税率の方が低い場合がある
管理料の金額は、個人にとっては経費となりますが、不動産管理会社にとっては売上となります。
そのため、不動産管理会社で法人税を支払う必要があります。
ただ、法人税の税率は所得税と違い、利益の金額が大きくなっても基本的に一定です。
中小企業の場合は軽減税率も適用されるため、その負担は所得税より抑えられることが多くなります。
たとえば管理料収入240万円不動産管理会社の場合、実効税率で計算される税負担は約67万円となります(実効税率28%の場合)。
個人の節税額の方が、法人での納税額より大きいため、トータルで考えても節税になるのです。
不動産管理会社から役員報酬を支払える
不動産管理会社を設立して節税になるもう1つの理由は、不動産管理会社であれば会社の経費になる支出があるためです。
中でも、役員に就任した人に対して、役員報酬を支払うことができるのは大きなポイントです。
個人で不動産を所有している場合、そのオーナーにしか所得は発生しません。
しかし、不動産管理会社の役員にオーナー以外の家族が就任すれば、家族に所得を分散することができるようになります。
税務署に否認される不動産管理会社の管理料相場
不動産管理会社は、不動産を所有する個人から管理料を徴収します。
この管理料の設定方式は3つに分類されますが、個人の所得が法人に移転したものであり、高すぎると税務署に否認されてしまいます。
そこで、管理料はどれくらいに設定するといいのか、その方式別相場を簡単にご紹介します。
管理委託方式
不動産管理会社に賃貸物件の管理を委託し、その管理料を個人から会社に支払うものです。
この場合、会社の業務は不動産を直接管理することに限定されるため、それほど大きな管理料を徴収することはできません。
一般的に、管理料の相場は家賃収入の8%程度が上限と言われています。
ただ、実際に不動産管理業を行っている会社の手数料はもう少し低い場合が多く、その相場も参考にする必要があります。
サブリース方式
不動産物件を一度不動産管理会社が一括して借り上げ、その後入居者に賃貸する方法です。
この場合、不動産管理会社が一括借り上げする際の賃料と、入居者への賃料の差額がどれくらいあるかが問題となります。
この差額について、一般的には入居者から受け取る賃料の15%程度が上限と考えられています。
一括借り上げの場合、不動産管理会社が行う業務やリスクは管理委託方式より大きくなるため、その分管理料も大きくなります。
不動産所有方式
不動産管理会社が個人から物件を購入し、入居者からの賃料収入はすべて不動産管理会社のものとします。
この場合、個人から不動産管理会社に管理料を支払うことはありません。
その代わり、不動産管理会社が建物だけを購入し、個人に地代を支払うこととなります。
一般的に、個人に対して支払う地代は固定資産税相当額以上でなければなりません。
同族会社等の行為又は計算の否認等を指摘されるケース
個人が不動産管理会社を設立し、管理料を支払うという一連の行為は、同族会社であるからこそできる取引と言えます。
そのため、管理料の負担が会社の規模に対して不相当に高額な場合、同族会社等の行為又は計算の否認等の指摘を受ける可能性があります。
どのような場合に指摘を受け、どう対処すれば指摘を受けずに済むのでしょうか。
管理料の負担がポイントとなる
管理委託方式やサブリース方式の場合、管理料の負担をどれくらいにするかが問題となります。
管理料が大きくなると、不動産管理会社の利益が大きくなる一方、個人の所得は減少します。
そして、多くのケースでは個人が負担すべき所得税の方が大きな金額となるため、過大な管理料は否認されることになります。
そのため、管理料の金額の決定方法や管理料の割合について、税務署から説明を求められることがあります。
管理料の計算根拠を明確にしておく
同族会社等の行為又は計算の否認等の規定は、税法の中でも「伝家の宝刀」と呼ばれています。
これは、最後まで取っておく切り札という意味であると同時に、よほどのことがなければ適用されないという意味でもあります。
単に、個人に発生していたはずの所得が大幅に減少したからと言って、適用を受けるものではありません。
他の取引の実態を踏まえて、明らかに高すぎる管理料を徴収している場合のみ、適用を受ける可能性があるものです。
そのため、他と比べても管理料の計算に大きな差がないと言えるのであれば、適用を受けることはありません。
常に周辺での取引状況には気を配り、最新の情報を取り入れるようにしましょう。
まとめ
不動産管理会社を利用した節税は、数ある節税方法の中でも、特に金額面でのメリットが大きくなる傾向にあります。
そのため、不動産を所有している方は、積極的に会社の設立をはじめとする節税方法を考えていることでしょう。
個人と法人の間で発生する管理料の支払いは、その額の大きさにより節税の効果が変わるため、ポイントとなります。
税務署に否認されることのないよう、適正と思われる管理料を設定し、節税を行うようにしましょう。
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