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家賃を滞納したらどこに相談すればいい?家賃滞納のリスクや強制退去までの流れ

弁護士 中野和馬

この記事の執筆者 弁護士 中野和馬

東京弁護士会所属。東京都出身。 弁護士になる前、私は公務員として自治体業務に携わってきました。その経験から、法的な正しさだけでなく、社会的な公平性や、一人ひとりの生活に寄り添うことの重要性を深く理解しています。
立ち退き問題は、住まいや事業所といった生活の根幹に関わる問題であり、そこには多大な不安やストレスが伴います。私は「弁護士は敷居が高い」というイメージを払拭し、何でも気軽に話せる相談相手であることを常に心がけています。
複雑な法律用語を分かりやすく整理し、今後の見通しを丁寧にご説明した上で、依頼者様が「相談して良かった」と心から思える解決を目指します。公務員時代から大切にしている「誠実に向き合う」姿勢を貫き、皆様の正当な権利を守るために全力で取り組んでまいります。

PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/nakano/

家賃を滞納したらどこに相談すればいい?家賃滞納のリスクや強制退去までの流れ

この記事でわかること

  • 家賃を滞納したときはどこに相談すればいいのか
  • 家賃を滞納したときの対処法とは

家賃を滞納したときは最初に大家や管理会社、親族に相談し、解決が難しいときは自治体の公的支援窓口や弁護士の無料相談窓口に連絡しましょう。
滞納を放置すると、連帯保証人への請求やブラックリストの登録が行われ、最終的には裁判所の執行で強制退去させられます。
保証会社は訴訟による時効成立の阻止や給与差し押さえを行うため、放置しても解決するケースはほとんどありません
弁護士からの交渉で滞納家賃の分割払いや退去期日の猶予に応じてもらえる可能性もあるため、できる限り早く弁護士に相談しましょう。
ここでは、家賃を滞納したときの相談窓口や対処法などを解説します。

家賃滞納したらどこに相談できる?

家賃の支払いが困難になったときは、以下の相談先に事情を伝えましょう。

  • 大家・管理会社
  • 連帯保証人や親族
  • 公的機関・自治体の相談窓口
  • 弁護士など法律の専門家

滞納の段階や生活状況などに応じて、適切な窓口に相談するのが重要です。
それぞれの特徴と活用方法をご紹介します。

大家・管理会社

家賃の支払いが難しい場合、まずは大家や管理会社に連絡します。
賃貸借は双方の信頼関係に基づく契約で、滞納が3カ月に達すると裁判上で信頼関係が破壊されたとみなされる可能性が高くなります。
関係が悪化する前に自分から事情を説明すれば、返済や連帯保証人への取り立てを猶予してもらえるケースもあるでしょう。
訴訟は大家の負担も大きいため、信頼できる支払計画があれば交渉に応じてもらえる可能性があります。

連帯保証人や親族

連帯保証人が滞納家賃の請求を受けた場合、借主と同等の義務を負うため原則拒否できません。
連帯保証人が事情を知らないまま突然請求を受けると関係が破綻する恐れがあるため、自分から事前に説明するのが重要です
滞納した事情や今後の対応、大家からの連絡の可能性などを誠実に説明すれば、援助を求めやすくなるでしょう。

公的機関・自治体の相談窓口

市区町村の福祉課や生活困窮者自立支援窓口では、住居確保給付金による家賃補助や生活再建資金の貸し付けなどを無料で相談できます。
公的窓口では、単に貸し付けを行うのみでなく、生活保護の申請など生活困窮に陥った人生の活再建を積極的に支援しています。

社会福祉協議会やNPOなど地域に根ざした支援団体も無料相談を受け付けているため、家賃支払いが難しい場合は連絡しましょう。

弁護士など法律の専門家

家賃滞納が長期化して法的トラブルに発展しそうな場合は、専門家である弁護士への相談がおすすめです。
弁護士に依頼すると、保証会社からの取り立てなどは代理人弁護士が窓口となるため、自分の精神的負担は大幅に軽減されます。大家や保証会社への対応のみでなく、自分が生活を再建するための債務整理や自己破産なども相談できるでしょう。
法テラスでは、収入や資産が一定基準以下の場合を対象に無料相談や弁護士費用の立替えも実施しています。

家賃を滞納するリスクとは?

家賃を滞納し続けると、年利最大14.6%の遅延損害金や保証会社への事故情報の登録、連帯保証人への請求、退去の強制執行などのリスクが生じます。
勤務先に公的書面が送達され、一定の給与[注1]が差し押さえられて生活に支障が出る恐れもあるでしょう。
[注1]
差押上限は原則手取り給与の4分の1まで。
例外として手取り給与が月44万円を超える場合、差押禁止額は33万円となり、33万円を超える部分は全額差押可(民事執行法152条、民事執行法施行令2条1項)。

延滞損害金(遅延損害金)の発生

家賃を滞納した日から延滞損害金(遅延損害金)が発生します。
延滞損害金の利率は、最大年14.6%[注2]です。
契約書に定めがある場合はその利率、定めがない場合は民法404条[注3]により年3%が適用されます。
1カ月程度の滞納ならば数千円程度でも、滞納期間が長引くと返済総額は高額になるでしょう。
契約解除後に物件の明け渡しが遅れると、契約書の特約によっては明け渡し遅延損害金として家賃の2倍相当を請求されるケースもあります。
家賃に加えて損害金の支払いが膨らむと支払いの負担がさらに重くなり、完済が難しくなるため、できるだけ早く対応しましょう。
[注2]
遅延損害金の上限である年14.6%は事業者と消費者間の契約を前提とした消費者契約法9条の基準で、個人間の賃貸では当然には適用されません。
[注3]民法/e-Gov
民法404条

信用情報機関への登録によるブラックリスト化

家賃滞納によって保証会社の代位弁済が行われると信用情報機関に事故情報が登録され、以下の制約を受けます。

  • 新たな賃貸契約の審査が通りにくくなる
  • クレジットカードやローンの新規契約や更新ができなくなる
  • スマートフォンなどの分割払いが難しくなる

家賃滞納を解消しても、事故情報は5〜10年は抹消されません
ほとんどの賃貸物件は保証会社を利用しており、データベースを共有する保証会社間の審査には通りにくくなるため注意しましょう。

連帯保証人への請求で家族関係に影響が出る可能性

家賃滞納を放置すると、大家は連帯保証人へ元本と遅延損害金を一括請求します。
連帯保証人には借主と同等の責任があり、借主に財産がある場合でも支払いを拒否できません。
突然高額な請求を受けた連帯保証人は驚き、借主との信頼関係修復が困難になる恐れがあるでしょう。

契約解除や強制退去の可能性

家賃滞納が3カ月以上続くと法的に信頼関係の破壊が認められる目安となり、契約解除や明け渡し訴訟が提起される可能性が高くなります[注4][注5]。
明け渡し訴訟で大家が勝訴した後も居座り続けると、最終的には退去の強制執行が断行されます。
鍵の交換や荷物の搬出が行われるのみでなく、数十万円〜100万円超の執行費用が請求されるため、借主の返済負担はより重くなるでしょう。
[注4]裁判所判例検索
最高裁判所第三小法廷 1964年7月28日判決、事件番号昭和37(オ)747
[注5]民事執行法/e-Gov
民事執行法168条

家賃滞納から強制退去までの流れとは?

家賃滞納から強制退去までの流れとは?

滞納から1〜2カ月後には支払催告が届き、3カ月以上経過すると契約解除や明渡請求訴訟の提起が行われる可能性が高くなります。
明渡請求訴訟に大家が勝訴して申し立てを行うと、執行官による強制執行の断行へと進みます。
全体の期間は約10カ月程度かかるのが一般的でしょう。

督促~契約解除まで

滞納後、大家や管理会社から電話や手紙、訪問などで連絡があり、対応しないと滞納額や支払期日を明記した督促状が届きます。

督促を無視すると配達証明付きの内容証明郵便で催告兼契約解除通知書が送られ、支払期日までに家賃の支払いがないときの契約解除が正式に通知されます。
催告兼契約解除通知書は、民法541条[注6]の催告による契約解除の成立について裁判の証拠にもなる重要な書類です。
内容証明郵便で通知内容や到達日などが記録されるため、借主は通知書が届いていないといった言い逃れができません。
通知後も支払いがないと契約解除となり、次の法的手続きへ進みます。
[注6]民法/e-Gov
民法541条

明け渡し請求~訴訟まで

契約解除後も退去しない場合、大家は裁判所へ建物明渡請求訴訟を提起します。
大家と借主の主張や過去の経緯が審理され、借主が欠席した場合や大家の主張が認められた場合、裁判所は明渡しを命じる判決を下します。
裁判費用は敗訴側が負担するため、数十万円ほどの諸費用を自分が支払わなければなりません(民事訴訟法61条[注7])。
大家は確定判決により強制執行の申し立てに必要な債務名義を獲得します(民事執行法22条1項[注8])。
[注7]民事訴訟法/e-Gov
民事訴訟法61条
[注8]民事執行法/e-Gov
民事執行法22条1項

強制執行の手続き~強制退去後まで

部屋明け渡しの判決確定後、1カ月ほどの猶予期間が経過しても借主が退去しないときは大家の申し立てによる強制執行に移行します。

強制執行の断行では、裁判所の執行官が荷物を運び出すと同時に玄関の鍵も交換するため、執行後は部屋への立ち入りができません(民事執行法168条[注5])。
強制的に搬出された荷物は、約1カ月の保管期間が提示され、引き取りがなければ売却や廃棄されます。
保管や処分の費用のみでなく、執行費用も原則として滞納者が負担しなければなりません。
滞納家賃に加えて数十万〜100万円を超える支払いが必要となるため、生活再建がさらに難しくなるでしょう。

家賃が支払えないときはどうする?

すでに家賃を滞納してしまっている場合、今後の対処法によって生活への影響が変わります。

  • 大家や管理会社との交渉
  • 公的支援・貸付制度の利用
  • 任意整理や自己破産の検討

公的支援・貸付制度は、川崎市の事例や生活福祉資金貸付の具体的な区分などを基に解説します。

大家・管理会社との交渉

家賃滞納を放置していると信頼関係が悪化し、今後の交渉や居住が難しくなります。
すでに家賃を滞納している場合、できるだけ早く大家や管理会社に滞納した理由や支払予定日を伝えてください。
大家も裁判での強制退去は何カ月もの時間と数十万円以上の裁判費用がかかるため、具体的な分割計画の提示があれば応じてもらえる可能性があります

公的支援・貸付制度の利用

代表的な制度には住居確保給付金があります。
たとえば、川崎市では以下の条件を満たせば単身世帯で5万3,700円、2人世帯で6万4,000円を上限に家賃補助を受給できます。

  • 離職や廃業後2年以内(最長4年以内)
  • 自分の責めや都合によらず給与などが減少した
  • 離職日または申請日の属する月に賃金を主として世帯の生計を維持していた
  • 常用就職を目指し求職活動などを行う
  • 住居を喪失、または喪失する恐れがある

生活福祉資金貸付制度では、低所得世帯などを対象に以下のような借入れを利用可能です。

緊急小口資金生計維持が困難なときに無利子で原則10万円まで借入れ可能
生活支援費生活再建までの費用を単身で月15万円まで、2人以上世帯で月20万円まで借入れ可能
住宅入居費賃貸物件の入居費用を40万円まで借入れ可能
一時生活再建費公共料金の滞納分や債務整理の費用を60万円まで借入れ可能

審査に時間がかかるため、早めに自治体の窓口で申請方法を確認しましょう

任意整理や自己破産の検討

滞納した家賃の他に借金があり、返済が困難なときは法的な任意整理や自己破産が有効です。
任意整理では弁護士が債権者と交渉し、返済額や返済期間の見直しを図ります。
自己破産は支払不能の状態で将来的にも返済の見込みがない場合に、裁判所に申し立て、借金の免除を受ける手続きです(破産法252条[注9])。
いずれも信用情報機関に登録されてしまうため、その後の生活に影響が出てしまうデメリットはあります。
一方で、重い返済負担のために生活の再建が困難なときは、法的な救済措置によって根底からの立て直しが必要なときもあるでしょう。
債務整理の種類ごとにメリットやデメリット、必要な要件などがあるため、弁護士に相談して自分に合った方法を選びましょう。
[注9]破産法/e-Gov
破産法252条

家賃滞納に関するよくある質問(FAQ)

ここからは家賃滞納に関するよくある質問に回答します。

  • 家賃を払わないと警察に捕まる?
  • 家賃滞納しても払わなくていい?

家賃滞納は原則刑事罰にはあたりませんが、例外的に詐欺罪が成立する恐れもあります。
滞納分は支払期日から5年で時効消滅しますが、実務上で成立するケースはほとんどないでしょう。

家賃を払わないと警察に捕まる?

家賃滞納は民事上の債務不履行で、原則として警察に逮捕されるような刑事罰には問われません。
例外として、家賃を支払う意思がないのに偽造書類を提出して契約し、1円も払わずに居座ったなどの悪質なケースでは刑法246条2項[注10]の詐欺罪に問われる恐れがあります。
大家から「家賃を払わなければ警察に訴える」と脅迫を受けた場合、不当な取り立てにあたる可能性が高いため、弁護士に対応を依頼しましょう

[注10]刑法/e-Gov
刑法246条2項

家賃滞納しても払わなくていい?

民法166条1項1号[注11]により滞納家賃は支払期日から5年で消滅時効にかかりますが、実務上で成立するケースはほとんどありません

大家や保証会社は家賃回収のプロで、住民票から追跡調査を行います。
住所が不明でも公示送達により裁判を適法に進め、勝訴判決を得ると時効は10年に延長されます(民法169条[注12])。
債務整理や自己破産など、法的な解決方法によらない限り返済に悩み続ける可能性が高いでしょう。

[注11]民法/e-Gov
民法166条

[注12]/民法/e-Gov
民法169条

家賃滞納の相談先でお悩みの方へ|弁護士に相談すべき理由

家賃を滞納したときは、生活の基盤となる住居を失う前に大家や保証会社、連帯保証人、公的機関や弁護士などに相談しましょう。
滞納を放置すると最大年14.6%の遅延損害金が発生するほか、事故情報の登録や給与差し押さえ、強制退去などのリスクが生じます。
強制退去が断行されると、鍵の交換や荷物の搬出が行われるのみでなく、執行費用まで負担しなければなりません。
保証会社は訴訟手続きなどで時効消滅を阻止するため、債務整理や自己破産などの法的手段によらなければ解決は困難です。
家賃の滞納にお悩みの方は、VSG弁護士法人の無料相談窓口にご連絡ください。

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