

東京弁護士会所属。新潟県上越市出身。
建物の取り壊しや土地売却などに伴う立ち退き問題は、生活基盤や事業拠点に関わる重大な局面であり、金銭面だけでなく精神的にも大きな負担となります。
適正な立ち退き料を算出・獲得するためには、法律の知識はもちろん、不動産価値の評価や移転に伴う経済的損失を正確に把握する視点が欠かせません。 私は証券会社や金融機関での10年以上の実務経験を活かし、客観的なデータに基づいた説得力のある交渉を行うことを得意としています。 依頼者様の不安に寄り添い、経済的・心理的に最善の結果を得られるよう尽力いたします。まずはお気軽にご相談ください。
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書籍: 他の専門家から声がかかる 事業承継弁護士養成講座

店舗から退去するとき、入居時に家主へ預けた敷金は原則として返還してもらえます。
入居中に故意や過失で物件を損傷させた場合、賃借人負担となる修繕費用が敷金から控除されるケースもあるでしょう。
一方で、家主によっては賃借人の無知につけこみ、敷金を不当に返還しないケースがあります。
納得できない清掃費用や修繕費用などが敷金から控除されている場合、すぐに合意せず、弁護士に相談しましょう。
本記事では、店舗からの退去時に敷金が返還されないときの対処法や、少しでも多く返還してもらうためのポイントなどを解説します。
目次
敷金とは、新しく不動産の賃貸借契約を結ぶときに賃借人が家主に退去まで預ける金銭です。
賃貸借契約上、賃借人が負う債務を担保する役割があり、家主の自由に使用できる財産ではありません。
敷金の金額は、月額賃料の1~2カ月分の金額が設定されるケースが多いでしょう。
礼金とは、敷金と同様に賃貸借契約を新規で締結するときに家主へ支払う金銭です。
敷金との決定的な違いは、返金されない点です。
礼金は、部屋を貸してくれた家主への謝礼金の意味があります。
敷金が担保としての役割を持ち、原状回復義務による償却分などを除いて返還される点と区別しましょう。
礼金の相場は、敷金同様に月額賃料の1~2カ月分です。
敷金が全額返還されないときは、主に以下の理由があります。
減額の根拠がわかると、どのように解決したらよいかを検討できるため、交渉の余地が生まれるでしょう。
民法第621条[注1]では「退去時に部屋に附属させた物を取り除いて入居時の状態に戻さなければならない」と原状回復義務が定められています。
賃貸物件を賃借人の故意・過失によって損傷させた場合、原状回復として修理費用を敷金から控除します。
一方で、原則として通常損耗は家主負担であり、安易に敷金からの控除を認める必要はありません。
[注1]民法第621条
民法第621条(賃借人の原状回復義務)
原状回復義務の範囲は、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に明記されています。
以下を例とする故意や過失による損傷などの修繕は、賃借人が負担しなければなりません。
日常的な店舗の運営による、クロスの日焼けや耐用年数が過ぎた給湯器の故障などは、経年劣化や通常損耗として扱われます。
店舗からの退去時に原状回復義務を負う範囲を正確に区分するには専門的な知見が必要となるため、弁護士への相談がおすすめです。
通常損耗とは、以下をはじめとする日常的な店舗運営で自然と発生する傷や汚れなどです。
原状回復ガイドラインによると、通常消耗に該当するときは賃借人に原状回復は求められません。
一方で、傷や汚れがどこまで通常損耗に該当するかわからないケースもあるでしょう。
近年では、通常消耗と原状回復の区別をするために、入居時に「物件の状況リスト」を使って双方が立会いするケースが増えています。
ハウスクリーニングとは、賃貸物件からの退去後に次の入居者を迎えるための清掃です。
ハウスクリーニングでは、風呂やトイレなどの水回りの清掃や床のワックスがけ、カビ・水垢の清掃などを行います。
費用は原則として家主負担ですが、契約書の特約で賃借人負担が明記されているときは賃借人が負担しなければなりません。
一方で、賃借人負担の特約があっても金額が相場より高額すぎるときは公序良俗違反として減額を要求できる可能性があるでしょう。
賃借人がハウスクリーニング費用を負担する場合、敷金とは別に支払うケースと、敷金で相殺するケースがあります。
償却に関する特約がある場合、故意や過失による損傷がなくても敷金から一定額が返還されません。
店舗などの事業用物件では、契約書で償却に関する特約を定めているケースが多いです。
一方で、償却額が家賃の3~3.5カ月分を超えるなど高額な場合、消費者の利益を一方的に害するとして消費者契約法により無効となる可能性があります。
契約書の内容を確認し、暴利と言えるような償却額が設定されているときは弁護士と相談して減額交渉しましょう。
最終的に敷金が返金されるのは、引っ越し後の立会い点検から約1~2カ月後です。
敷金の返還時期は「退去後何日までに返却する」などの法的な規定はありません
タイミングは家主により異なるため、退去時に敷金の返還時期を確認しておくとよいでしょう。
退去後しばらく待っても敷金が返還されない場合、以下の対処をしましょう。
弁護士に依頼するタイミングや、敷金が返ってこないときの対処法などを詳しく紹介します。
家主には法的に敷金の返還義務があります。
敷金から原状回復費用を差し引きした金額の返還が行われていなければ、速やかに返還を求めましょう。
返還を求めるときには、返還時期や内訳の提示、遅れている理由なども確認してください。
返答がない場合、次の法的ステップへ進めるための強力な証拠となります。
返還請求しても返答がない場合や、家主からの不当な請求で敷金の返還に応じてもらえない場合があります。
返還を巡ってトラブルになったときは、消費生活センターや各都道府県の不動産相談窓口などの公的な機関に相談しましょう。
今回の経緯や納得できない点などを整理してから相談すると、担当者が事情に合わせた解決方法を提案してくれます。
一方で、事業者間契約は消費者として扱われないケースもあり、断られてしまった場合は弁護士に相談しましょう。
公的機関からの意見を踏まえ、家主と再び敷金返還の話し合いを重ねても合意を得られない場合があります。
上記の場合は、内容証明郵便で正式に敷金返還を催促しましょう。
内容証明郵便とは、郵便物の内容や差出人、受取人、送達日時などを郵便局が証明するサービスです。
書面には、返還希望の敷金額や期日、支払いに応じない場合の法的措置などを明記しておきます。
弁護士名義で送付すると、家主に交渉に応じなければ裁判上の争いになると示唆できるため、より効果的と言えるでしょう。
敷金の返還を巡って家主とトラブルになったときは、弁護士への相談がおすすめです。
家主が感情的になってしまい、個人では解決が難しいケースも珍しくありません。
裁判になった場合、解決まで時間がかかり、年利3%の延滞利息の発生など想定外の出費がかかる可能性があります。
弁護士法人に依頼すると、家主との交渉を代行してもらえるため、賃借人の負担が大幅に軽減されるでしょう。
VSG弁護士法人では、不動産の立ち退きトラブルに精通した弁護士が多数在籍しています。
退去時に敷金を少しでも多く返還してもらうために、入居時から気を付けておきたいポイントがあります。
後に法的な紛争が起きる可能性も踏まえて、客観的に問題のない使用状況にしておきましょう。
賃貸借契約を締結する際、契約書の内容が別表まで慎重に精査しておきましょう。
賃貸借契約書には、敷金の取扱いのみでなく、原状回復の条件などが別表に記載されています。
入居前に、原状回復が必要な事例などを確認して生活をすれば、敷金を多く返還される可能性が高くなるでしょう。
契約書に不利な条件がある場合、入居前の交渉力がある時期に修正を求めるのが定石です。
引っ越しで荷物を搬入する前に室内の写真を撮影すると、退去時の点検で証拠として利用できます。
賃借人で証拠を所持すると、点検で発覚した損傷について管理会社から請求があっても、根拠をもって反論できるでしょう。
証拠として残す画像には、必ず撮影した日付が入る設定にしてください。
室内の設備は、傷や破損が起きないように注意しながら丁寧に扱いましょう。
たとえば、ドアは静かに閉める、壁に無数の穴をあけない、フローリングはキズが付かないようにカーペットを敷くなどです。
粗雑に扱って設備を破損した場合、善管注意義務違反とみなされる恐れがあります。
シミや汚れが付かないようにマメに掃除をして、客観的に問題のない使用状況になるよう心がけましょう。
日頃の掃除などを怠り、汚れや損傷が酷い場合には、賃借人の善感注意義務違反として原状回復費用を負担しなければなりません。
たとえば、フローリングや柱などの汚れ、キッチンの油汚れ、水垢やカビなどを放置すると、除去が難しくなり原状回復費用がかかるでしょう。
店舗から退去するときは、原則として入居時に預けた敷金は返還してもらえます。
故意や過失による損壊の原状回復費用は敷金から控除されますが、不当な控除が含まれているケースもあるため、明細を確認しましょう。
敷金の返還についてトラブルになったときや、正当な金額が返還されているか確認したいときは、弁護士への相談がおすすめです。
VSG弁護士法人では、家主との交渉実績が豊富な弁護士が親身になってサポートします。