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会社倒産時の従業員への補償は?未払賃金立替払制度や失業保険などの手続き

弁護士 山谷千洋

この記事の執筆者 弁護士 山谷千洋

東京弁護士会所属。
「専門性を持って社会で活躍したい」という学生時代の素朴な思いから弁護士を志望し、現在に至ります。
初心を忘れず、研鑽を積みながら、クライアントの皆様の問題に真摯に取り組む所存です。

PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/yamatani/

会社倒産時の従業員への補償は?未払賃金立替払制度や失業保険などの手続き

この記事でわかること

  • 倒産時の従業員の補償内容
  • 倒産時の従業員の補償をする手続き

会社の資金が底を突いても、従業員への支払いを自分のポケットマネーから支払わなければ、と悩む必要はありません。
未払賃金については、国が最大8割を肩代わりする未払賃金立替払制度を利用できます。
また、解雇や倒産による離職であれば、従業員は特定受給資格者として、通常より早く、失業保険(基本手当)を受給できます。
公的制度を正しく活用すれば、経営者が個人資産を削らなくても、従業員の生活を守るための補償は十分に可能です。
本記事では、会社が倒産したときの従業員の補償について詳しく解説します。

会社倒産時は従業員に対して直接補償は難しい

従業員への給与を優先したいと思う気持ちもあるでしょう。
しかし、最終的に従業員を保護するためにも、支払いは控えたほうがよいといえます。
第一に、特定の人への優先的な支払いは偏頗弁済(へんぱべんさい)とみなされるリスクが高いためです。
債権者平等の原則に反する行為であり、後に破産管財人によって支払いが取り消される対象となります。
給与を受け取った従業員が返還を求められるなど、かえって混乱を招きかねません。
第二に、手続きに必要な予納金の確保が最優先であるためです。
資金が枯渇して破産申立てができなければ、従業員が未払賃金の大部分を国から受け取れる未払賃金立替払制度も利用できなくなります。
法的手続きの適正に進めてこそ、従業員の生活を守る最も確実な道筋となります。

会社倒産時の従業員に対する補償

会社倒産時の従業員に対する補償は、以下の通りです。

  • 未払賃金立替払制度
  • 解雇予告手当
  • 失業保険

それぞれの補償について見ていきましょう。

未払賃金立替払制度

会社が支払不能に陥った際、従業員に対して公的な解決策の提示は経営者の重要な責任です。
まず、未払賃金がある場合は国の未払賃金立替払制度の活用が極めて有効です。
1年以上事業を継続した後、破産申立て等が行われた場合に、未払給与や退職金の8割相当額を国が立て替えるしくみです[注1][注2]。
この制度の利用には裁判所の開始決定が不可欠なため、弁護士を通じた速やかな法的手段の実行が重要です。
また、破産開始前3カ月間の給料などは財団債権として扱われます。
一般の借金よりも優先して弁済を受ける権利であり、管財人の管理下で優先的に支払われる可能性があります。
ただし、独断での現金分配は後の混乱を招くリスクがあるため注意が必要です。
専門家の助言に基づき適切に破産を申し立てれば、公的救済を最大限に活用できます。

解雇予告手当

即日解雇を行う場合、30日分以上の解雇予告手当を支払う法的義務が生じますが、原資の不足により、全額を支払えないケースが少なくありません。
また、国が給与の一部を補填する未払賃金立替払制度では、解雇予告手当は対象外とされている点に留意する必要があります。
未払給与等とは異なり、最終的に破産債権として扱われるため、他の一般的な債務と同様に、破産管財人による配当を待ちます。
資産状況によっては、満足な支払いを受けられない可能性も否定できません。
そのため弁護士を通じて破産申立てを行い、債権として適切に確定させる方法が重要です。
法的な権利として登録しておけば、将来的な配当の機会を確保し、従業員に対して誠実な対応をとれます。

失業保険

失業保険とは、従業員が退職(失業)した際に、一定期間、所得に応じた金額を受給できる制度です。
失業保険は自己都合退職と会社都合退職の2つに大別され、自己都合退職か会社都合退職かによって、受給開始時期が異なります
自己都合退職は、従業員の自らの意思での退職です。
会社都合退職とは、会社の都合によって従業員が退職するケースです。
失業保険が受給できる期間は、雇用保険の被保険者として保険料を納めてきた期間に比例します。
また、失業手当を受給できる期間を一定期間以上残した状態で再就職をすると、再就職手当を受け取れます。
倒産による解雇は会社都合退職に当てはまるため、解雇された従業員は早期に失業手当を受給可能です。
この場合、手当受給までに必要な待期期間は7日です。

会社倒産時の従業員の補償でお悩みの方は弁護士に相談を

経営者が従業員への責任を果たすためにも、早期に弁護士等の専門家に手続きについて相談しましょう。
倒産時の従業員説明会は感情的な対立が起きやすい場です。
しかし弁護士が同席し、法的な根拠に基づいた説明を行えば事態を沈静化させ、冷静な対話が可能です。
また、倒産により事務処理が難しくなった会社に代わり、離職票の発行や立替払制度に必要な書類作成を支援できます。
これにより、従業員が一日も早く失業保険や立替金を受給できる体制の整備が可能です。
従業員の生活を守るためにも、経営者一人で抱え込まず、プロの手に委ねて適正な手続きを進めましょう。

まとめ

会社の資産で全額を補償できなくても、国の未払賃金立替払制度を活用すれば給与の8割をカバーできます。
救済を受けるためには、裁判所による破産開始決定が絶対条件であり、一刻も早い法的着手が重要です。
失業保険など、公的制度の正しい活用が従業員を守るカギとなります。
弁護士事務所VSGは、手続きに長けた弁護士が経営者と従業員の未来を守ります。
従業員補償でお悩みの際は、まずはご相談いただき、再建の道をともに考えていきましょう。
[注1]厚生労働省:未払賃金立替払制度の概要

[注2]独立行政法人 労働者健康安全機構:未払賃金の立替払事業

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