債務者の居場所は調べられる?債権回収するためには?対処法を解説
債権回収をする際、債権者の居場所をきちんと知っていますか。
居場所が分からない場合、債権回収をするのがとても大変になります。
債務者が夜逃げをするなどして、居場所が分からなくなってしまったら、探すことはできるのでしょうか。
そうなった場合、居場所が分からない債務者に請求をすることはできるのでしょうか。
債務者の居場所を知っておくべき理由
債権回収をするには、債務者の居場所を知っておく必要がありますが、なぜ居場所が大切なのでしょうか。
請求書を送付できない
債権回収の際に最初にするのは、債務者に対する請求です。
請求書や督促状を送付する際には、債務者の住所がわからなければできません。
住所が分かっていたとしても、郵便物がその住所に届かなければ、請求書や督促状が送れない、ということになります。
裁判をする際にも住所が必要
期限を過ぎても返済されず、裁判を起こす際にも、債務者の住所が必要になります。
訴状には、債務者の住所を記載する必要があり、さらに訴状が送達されなければ、訴訟を開始することすらできなくなります。
そのため、債務者の居場所を知っておくことは、債権回収の上でとても大切です。
行方不明の債務者の居場所を調べる方法
債務者の居場所が分からなくなってしまった場合、調べる方法はあるのでしょうか。
住民票で調べる
引っ越しをする際、一般的には住民票を異動させます。
転居前の役所では、住民票が除票となり、転居先の住所が記載されます。
つまり、債務者の住民票を調べれば、新たな転居先を知ることができます。
ただし、本人以外が住民票を取得するには、正当な理由が必要です。
債権者であることも正当な理由にはなりますが、それを証明しなくてはなりません。
戸籍の附票で調べる
債務者が何度も転居を繰り返しているような場合、ひとつずつ住民票をたどっていかなければならない、といったことが起こります。
そんな時は、戸籍の附票を取得します。
戸籍の附票は、戸籍に附随している資料で、戸籍に記されている人の住民票の異動履歴が記載されています。
戸籍の附票を取得すれば、最新の住民票の場所を知ることができます。
戸籍の附票は、本籍地の役所で取得できます。
こちらも住民票と同じように、第三者が取得するには正当な理由を証明する必要があります。
債務者が行方不明でも債権の時効は成立する?
引っ越しをしても、住民票を異動させず、調べても行方が分からない場合もあります。
そんな時でも、債権の時効は成立するのでしょうか。
援用しないと成立はしない
債権回収の際、回収できないまま時間だけが経過すると、債権が時効にかかって消滅してしまうのではないか、という心配があります。
たとえ時効が成立する期間を経過していたとしても、債務者が債権者に対して、「時効を援用する」と意思表示をしなければ、時効は成立しません。
時効の援用を防ぐには
時効の援用を防ぐためには、裁判を起こす必要があります。
裁判を起こすには、債務者の住所が必要ですが、行方不明の場合には、公示送達という送達方法があります。
公示送達が認められれば、裁判所の掲示板に呼び出し状が貼られ、一定期間経過すると、相手方に送達されたと見なされる制度です。
これによって、裁判をすることができます。
判決を得れば、判決後から10年間は時効にならず、期間を延ばすことができます。
時効になりそうな債権について、裁判を起こして判決をもらっておけば、さらに10年間、時効を延ばすことができます。
判決後10年経つ前に、再度裁判を起こせば、再度の裁判の判決からさらに10年延ばすことができます。
債務者が行方不明の際の債権回収
債務者が行方不明の場合、住民票や戸籍の附票で転居先等を調べることができますが、第三者が取得しようとすると手続き等が大変です。
弁護士であれば依頼を受け、住民票などを取得し、調査することができます。
また行方不明で裁判を起こす際にも、公示送達などの手続きも任せることができます。
債務者が行方不明のケースでは、債権回収が困難な場合が多々あります。
それでも、弁護士の調査で判明することや、裁判を起こして回収を試みて、回収できるケースもあります。
債権回収に困ったら、一度弁護士に相談してみることをおすすめします。