被害届と告訴状の違いとは?刑事告訴はどういったときにすべき?
犯罪の被害にあってしまった時、警察に被害を訴えます。
被害を申告する際、警察に被害届や告訴状を提出します。
警察には、捜査をして、加害者を逮捕してほしいですね。
被害届と告訴状は、同じようなものだと思われがちですが、違いがあります。
どちらを出せばいいのでしょうか。
被害届と告訴状
犯罪被害にあってしまったら、警察に被害を申告しに行きます。
捜査して犯人を捕まえてほしい、あるいは、犯人を処罰してほしいと願っていますよね。
犯罪被害の申告には、被害届と告訴状があります。
それぞれはどのような役割を持つ書類なのでしょうか。
被害届とは?
例えば、バッグをひったくられた時、警察に行って、被害届を書きます。
何かの事件で、被害届が提出された、といったニュースを耳にすることが多いですね。
被害にあったら、被害届を提出することが多いです。
被害届は、犯罪にあった被害者が、捜査機関に被害事実を申告する書面です。
事情聴取だけでは、こんなことがあった、と警察に言っただけになりますが、被害届を出すと、被害を受けた、と警察にはっきりと伝えることになります。
被害届は口頭でもすることができ、その場合は、警察官が代筆します。
告訴状とは?
告訴状とは、被害届と同じく、捜査機関に被害事実を申告する書面ですが、それに加えて、加害者に処罰を求める書面です。
加害者を裁判にかけて、罰を与えてほしい、という意思を示したものです。
法律上、口頭でも告訴が可能で、捜査機関が告訴に関する調書を作成することになっています。
ただし、口頭では、言いたいことが伝わらないこともあり、告訴をする場合は、告訴状を作成する方がよいでしょう。
被害届と告訴状の違いについて
被害届も告訴状も、被害を申告する、ということは共通しています。
何がどう違うのでしょうか。
処罰を求めるかどうかの違い
被害届では、被害を受けました、という申告のみです。
もちろん、それを受けて警察が捜査し、加害者を逮捕したりします。
捜査した結果、逮捕されない場合もありますし、軽微なものだと判断された場合には、捜査されないケースもあります。
一方で、告訴状では、加害者に対して、処罰してほしい、という意思が含まれています。
被害者が、加害者の処罰を望んでいると、捜査機関にはっきり申告することができます。
被害届より、告訴状の方が深刻になりますね。
捜査機関の義務
被害届は、捜査機関に対する捜査義務がないため、警察が被害届を受け取っても、捜査しない、ということができます。
被害届を出したのに、警察が動いてくれない、といったことが起こるのは、捜査義務がないからですね。
一方で告訴状は、捜査機関に捜査義務があります。
告訴状を受け取ると、告訴調書を作成し、捜査をして、証拠書類等を検察官へ送付しなければならい、とされています。
刑事告訴はどういったときにすべき?
告訴状を提出する刑事告訴は、どのような時にしたらよいのでしょうか。
犯罪の中には、「親告罪」と呼ばれる種類のものがあります。
親告罪とは、被害者またはその代理人が告訴しなければ、犯人を刑事告訴できない犯罪です。
例えば、親族間の窃盗罪や軽微な罪などです。
親告罪で処罰を求める場合は、告訴状の提出が必要になります。
どうしても加害者を処罰してほしい、という場合も、告訴状を提出します。
刑事告訴の嘘は虚偽告訴罪に問われることも
もし、誰かを陥れようとして、嘘の告訴をしてしまうと、虚偽告訴罪に問われることがあります。
実際はされていないのに、「痴漢をされた」と告訴し、示談金等を取ろうとしたケースがありました。
この場合は、虚偽告訴罪に問われる可能性があります。
もし、そんな犯罪のターゲットになってしまったら、いち早く弁護士に相談することをおすすめします。
犯罪被害にあってしまったら、警察で被害届や告訴状を提出します。
被害届には、捜査義務はありませんが、告訴状には、捜査義務があります。
被害者が加害者の処罰を強く求める場合は、告訴状を提出します。
親告罪の場合には、告訴状が必要になります。
また、告訴を偽造する虚偽告訴罪の被害もあります。
犯罪に巻き込まれたら、一人で悩まずに、いち早く弁護士に相談することをおすすめします。