ビジネス訴訟に特化した裁判所「ビジネス・コート」とは?概要や開設の背景
IT分野など、急速に技術開発が進んでいます。
特許などの知的財産は、会社にとって大切な財産ですが、時に、それが争いの元になることもあります。
ビジネスにおける争いであっても、一般の地方裁判所で取り扱われることが多いですが、中には、高度に専門的な判断が必要になることもあります。
ビジネス訴訟に対応するため、東京にビジネス訴訟専門の裁判所が設置されました。
ビジネス専門の裁判所とは、どんな裁判所なのでしょうか。
ビジネス訴訟に特化した専門裁判所「ビジネス・コート」とは
「ビジネス・コート」と呼ばれる裁判所が、2022年10月に東京に設置されました。
東京地方裁判所とはどう違うのでしょうか。
ビジネス・コートとは?
東京には、特許や商標などを専門に扱う知的財産高等裁判所があります。
さらに、東京地方裁判所には、ビジネス訴訟を取り扱う商事部、
事業の再生や破産を取り扱う破産部があります。
いずれもビジネスに関する裁判所ですが、それぞれが別々の場所にありました。
それを一か所に集約したのが、「ビジネス・コート」です。
ビジネス・コートは、東京の目黒区に設置されました。
東急東横線・東京メトロ線中目黒駅から徒歩8分とアクセスしやすい場所にあり、2022年10月から業務を開始しています。
ビジネス関連の部署を集約することで、部署同士の相互連携をし、専門性や国際性の充実や強化を図ることが期待できます。
「ビジネス・コート」は、新しい裁判所ではなく、商事に関する従来の裁判所の部署が集まってできた庁舎です。
通称「ビジネス・コート」と呼ばれますが、正式には、東京地方裁判所中目黒庁舎という名称です。
開設の背景
ビジネスのグローバル化が進み、海外企業との争いなど、ビジネス訴訟も国際化や複雑化が進んできています。
そのため、高度化したビジネス訴訟に対応するため、専門性の高い「ビジネス・コート」が設置されました。
1か所に集約することで、ビジネス訴訟に関わる専門家を集約することができ、訴訟の専門性を高めることができます。
また、日本の民事裁判では、書面でのやり取りが多く、解決までにかなりの時間がかかります。
国際化に対応するためにも、ビジネス訴訟では、迅速な訴訟対応が求められます。
そこで、迅速な訴訟のためにデジタル化に対応し、専門的な知見など、利用者の期待に応えられる新しい裁判所を目指して設置が準備されました。
「ビジネス・コート」の特徴
ビジネス・コートは、一般の裁判所とはどう違うのでしょうか。
裁判所のIT化
一般の裁判所でもIT化は進められていますが、ビジネス・コートでは、特にIT化に対応した設備を充実させています。
法廷は18室あり、大型のモニターが設置されています。
大型モニターでは、製品の技術説明等の際に利用、あるいはweb会議による裁判期日の開催などに利用されます。
web会議を使えば、東京以外からも裁判に参加することができます。
従来、紙で提出していた書面も、電子化して提出できるようにし、審理の迅速化を図っています。
専門家の集約
一般の裁判所であれば、各部署でそれぞれ分かれており、訴訟に必要な専門的知識のある人を集約しにくい状況にあります。
ビジネス・コートとして一か所にまとめることで、知的財産や経済紛争に詳しい専門家が集まることになり、より専門性の高い審理を行うことができます。
専門性に特化することが、他の裁判所とは大きく異なっています。
ビジネス訴訟をするなら
IT分野などの進化は早く、ビジネスは日々高度化しています。
グローバル化する経済分野においては、国際的な司法対応も必要になってくる可能性もあります。
日本もそれらに対応するために、専門の裁判所「ビジネス・コート」が設置されました。
ビジネスでの争いでは、高度な専門知識が必要になります。
「ビジネス・コート」のメリットを最大限利用できるように、ビジネス訴訟に詳しい弁護士に相談しましょう。