最終更新日:2023/7/28
20代で起業して失敗する人の危ない特徴|何がいけないのか
この記事でわかること
- 20代の起業家が失敗する理由がわかる
- 失敗しないために気をつけるべきことがわかる
- 起業する際に行うべきことが具体的にわかる
近年、若者に起業を勧める情報が非常に多く出回っています。
実際、ここ数年、若くして起業する人が増加傾向にありますが、その理由としては以下のような理由が考えられます。
- ・終身雇用制の崩壊により企業に就職したからといって安泰ではなくなっていること
- ・ブラック企業などの情報が出回ることにより企業への就職を回避する若者が増加していること
- ・会社法改正などにより会社設立や起業が容易になったこと
- ・インターネットや動画メディアの普及により、ネットショッピングや動画配信など、簡単にビジネスを開始できる環境が整ったこと
- ・働き方改革などにより、自分のペースで仕事をしたいと言う人が増えたこと
しかし、一方では、起業した人のうち、1年間事業を継続できるのは約40%、さらに、5年間継続できるのは約15%程度に留まるという情報もあり、起業したからといって常に成功できるわけではありません。
そこで、本稿では、成功する人と失敗する人は何が違うのか、失敗しないためにはどのような準備をしたらいいのかについて考えていきたいと思います。
失敗する20代起業家の危ない特徴
資金計画をしっかり立てていない
事業を行うには、そのための資金がどうしても必要です。
事務所を借りるにしても、事務機器などの什器備品をそろえる資金がいります。
インターネットビジネスの場合には自宅を事務所にする方法はありますが、それでもパソコンなどの機器や、ホームページ開設のための費用などは必要になるでしょう。
実際に開業までにどのくらいの費用が必要か、そして、開業してもしばらくは多くの売上は期待できないため、当面の運転資金としてどのくらい必要なのかをしっかり考えて計画を立てる必要があります。
資金計画を安易に考えていると、結局、資金ショートによって事業を継続できないということになりかねません。
何のために起業するのか、その目的が明確ではない
起業をする際には、それぞれ、起業をする際の目的があったはずです。
ところが、その目的があまり明確でないと、いつの間にか、当初の目的を忘れてしまって、起業すること自体が目的となってしまう人がいます。
たとえば社名やロゴ、名刺、事務所のレイアウトなどにばかり力を入れ過ぎて、本業がおろそかになってしまうということも、失敗する人によく見られる傾向です。
また、会社設立や、会社経営についての勉強などに多くの時間と労力を費やしてしまい、本来の事業の準備が後回しになってしまうという、本末転倒の事例も見られます。
精神的に弱い
起業をする人は、多かれ少なかれ、自分に自信がある人が多いと思います。
ただ、現実には起業したからと言ってすぐに収入があるとは限りません。
しばらくは仕事がない状態が続くこともあるでしょう。
ところが、現実にその状況に陥ってしまうと、極端に自信を失ってしまい、悲観的になってしまう人もいます。
こういった人はお客様との交渉などでも、自信なさげになってしまい、結局、取引先からも「大丈夫だろうか」と不安に思われてしまい、悪循環に陥る可能性があります。
そして、そのような状況が続くと、最終的に精神的に疲れてしまい、事業継続ができなくなってしまうのです。
ひとりよがりな発想
起業をする際には、各自が考えている事業や商品・サービスについて社会的なニーズがあると考えているはずです。
ただ、自らの考えに固執しすぎる余り、実際の社会のニーズを正確に把握することができず、ひとりよがりになってしまう場合があります。
周囲のアドバイスや情報を受け入れることができず、自分に都合のいい情報のみを都合よく解釈して突っ走ってしまい、結局、社会のニーズとはかけ離れたことをやってしまうということもあり得るのです。
起業する際には、自分が考えている事業、商品やサービスについて社会的なニーズがあるかをきちんと市場調査するなどして客観的な情報を収集して、客観的な根拠に基づいて判断する必要があります。
成功しやすい20代起業家の特徴
行動力とフットワーク
20代で起業することの大きなメリットは体力があるということです。
起業してすぐは、固定のお客様もいないので、どうしてもみずから営業活動を行ったり、様々な事務作業を行ったりするなど、幅広い活動が必要となります。
また、リスクを考えることはもちろん必要ですが、それらのリスクをきちんと認識した上で、ときには、大胆に行動するという失敗をおそれないポジティブさも必要になってくることがあります。
リスクばかりを考えていて、実際に行動に移せなければ、結局、現状を打破することはできず、前には進めません。
そのためには体力、行動力、フットワークの軽さが必要になってきます。
これが20代で起業することの最大のメリットであり、かつ、20代で起業した人が成功するための必須の条件といえるでしょう。
情報分析力と決断力
会社などを経営するということは、自分で判断をする必要があります。
他人に判断を任せることはできません。
そのためには、必要な情報をきちんと集め、それを冷静に分析・比較検討しつつ、経営判断をしていく必要があります。
その意味では、情報分析力と決断力は起業する上で非常に重要な要素となります。
そして、客観的な情報に裏打ちされた経営判断は、経営者の自信にもなり、外見にも現れてくるはずです。
経営者が自信なさげでは、周囲は決してついてきませんし、取引先からも信用してもらえません。
勉強家であること
社会情勢や経済情勢の変化はものすごいスピードで進んでいきます。
ちょっと前の常識が、あっという間に通用しなくなることもざらにあります。
そのような中で企業経営をしていくためには、今、どのような商品・サービスを提供するべきか、その価格はどう設定すべきか、また、新しいテクノロジーや、トレンドなどの社会の動きや、技術革新などについても最新の知識を知っている必要があります。
そのためには、起業した本人がこれらの情報に対して貪欲であること、これらの知識などについて勉強家であることが必要です。
また、事業を行っていく上では、各種の法令などの規制なども関係してきます。
たとえば、2020年の4月には民法改正が控えています。
その他にも、常に新しい法律が制定されたり、新しい制度が創設されたりしています。
それらについてきちんと勉強して、それに対応していく必要があります、
そのためには、勉強家であることが起業家として必須の条件となるでしょう。
柔軟性があること
企業経営は、社会情勢の変化や、市場のニーズなどに応じて、適切に対応することが必要です。
起業した以上、当初は何らかの商品やサービスの提供を考えていたはずです。
ただ、それが社会のニーズに合致していなかったり、自分が考えていたものよりもいいアイデアがあったりした場合には、それに柔軟に対応して、方向性を変更する、当初の商品やサービスを改良するなどの柔軟性が必要です。
当初の考えに固執していたのでは、社会のニーズや社会情勢の変化に対応できず、結局、市場からの退場を迫られることになりかねません。
諦めの悪さ
最後に、諦めの悪さも必要です。
これは、一見すると、先に述べた柔軟性と多少矛盾するようにも見えますが、具体的には以下のような意味です。
起業したからと言ってすぐに顧客がついて、相応の売上があがるとは限りません。
数ヶ月、場合によっては数年間は思ったほど売上が上がらず、精神的にくじけそうになることもあるかもしれません。
ただ、そこで諦めてしまっては、成功は望めません。
そのような場合でも、試行錯誤をしながらでも、いろいろな方法を柔軟に考えつつ、諦めずに継続して挑戦する力が起業家には必要です。
起業で失敗しないための5つの対策
起業する目的の明確化
起業目的の明確化が必要なことは、最初の失敗する人の特徴で見たとおりです。
ただ、この目的の明確化とは具体的にどのようなことを言うのか、詳しく見ていきます。
起業目的とは、単にどのような事業を行いたいとかというレベルではありません。
会社はその存在自体が社会的責任を有していると考えられます。
社会に対して有用なサービスなどを提供することによってその存在価値が認められ、存続していけるのです。
逆に、社会で必要とされない会社は、市場からの退場を余儀なくされるわけです。
起業目的を明確にするという場合にも、この点をきちんと理解し、当該企業において自分は社会に対してどのような役割を果たすのか、どのような貢献をするのか、何を実現するのか、というような大きな視点で考える必要があります。
単に目先の事業について考えただけでは、社会のニーズの変更などから、事業内容を当初考えていたものから変更する必要が生じた場合に、その先を考えることができなくなってしまいます。
会社として果たすべき役割を考えることによって、社会のニーズが変更になった場合でも、その目的に立ち返って事業を展開していくことが可能となり、継続的な事業経営が可能となるのです。
資金の確保
起業に失敗する理由の一つとして資金の問題を挙げました。
自己資金の確保
実際、起業後はすぐに売上が上がるわけもないため、起業後少なくとも数ヶ月から1年近くは思ったほどの収入が得られないということが多いということを認識し、それに対する備えをしておく必要があります。
理想としては、1年分位の蓄えができてから起業することができれば安心でしょう。
ただ、そこまで待てないということであれば、当面は同時並行で確実な収入源を確保しつつ起業するという方法も考えるべきでしょう。
各種の補助金・融資制度の利用
近年では若い起業家向けの補助金があったり、低金利で資金を貸し出してくれたりするといった制度も数多くありますから、それらについてもきちんと調査して、利用できる制度がないかを調べておくことも有効です。
ただ、その際に注意が必要なのは、それらの制度の利用には一定の条件が必要とされるものもありますので、その点の見落としがないようにしなければなりません。
利用しようとしていた制度が、実は、自分は要件に合致していなかったということにならないよう、注意が必要です。
出資の受け入れ
また、会社を設立する場合には、周囲から出資を募って資金を調達する方法も考えられますが、安易に出資をしてもらうと、出資者(株主など)との間で経営方針や経営権を巡るトラブルが生じる危険も考えられます。
出資を受け入れる場合にも、事前に十分に出資者と経営方針や経営権の所在などについて話し合いをして合意しておく必要があるでしょう。
資金の節約
資金の調達とあわせて、支出を必要最小限にするということも必要です。
どうしても、最初はいろいろなものをそろえたくなるものですが、本当にそれが今必要なものなのかを考えて、当初の設備などは必要最小限に抑えるようにすることも重要です。
自分の強みと社会のニーズとのマッチング
自分ができること、自分が得意としていることと、社会的に求められていることとのバランスを考えましょう。
たとえ、社会で求められている事業であっても、自分がその分野について専門的知識や強みを持っていなければ、その分野での成功は望めません。
何より、その事業を行うこと自体について、本人が楽しめないため、長続きできないでしょう。
一方、自分が得意分野を持っていたとしても、それが社会一般から求められていないサービスであれば、これも成功は期待できません。
自分が考えている事業が社会のニーズに適合しているかを客観的な目線で確認する必要があります。
そのためには、適切な助言をしてくれる信頼できる人を確保しておくことも重要といえます。
経験不足を補う仲間をつくること
20代はどうしても社会経験などが少ないため、それを補う意味でも、成功事例を参考にしたり、適切な助言をくれたりする人が身近にいるということはとても重要になってきます。
たとえば、先輩や、以前勤めていた先輩、また、書籍やインターネット上のSNSなどからでも、参考になる方、仲間を見つけることは可能です。
また、経営者セミナーや、異業種交流会など様々な機会を見つけて、仲間や師となる人を見つけることも成功するために有用といえるでしょう。
パートナー選びは慎重に行う
一緒に仕事を始めたり、スタッフとして採用したりしたにもかかわらず、実際に仕事を始めてみると、考え方や、方向性に違いがあって仲違いしてしまうことが往々にしてあります。
そうすると、結局、当初予定していた事業を行うことにも支障が生じたりして、事業の失敗となってしまったりすることがあります。
ですから、パートナーは、基本的には、過去に一緒に仕事をしたことがあって、その人となりを十分にわかり合えている人と組むようにするべきです。
往々にして、起業を急ぐあまり、少し話をしただけで意気投合したと思い込み、起業に走ってしまうことがありがちですが、きちんと見極める必要があるといえます。
起業の成功するためのステップ
起業する目的を徹底的に追求する
失敗しないための対策として、起業目的の明確化が必要であることは既に述べた通りです。
ただ、これは単に定めるだけではなく、その内容を徹底的に自分の意識の中にしみこませ、定着させる必要があります。
これは、いわば会社の理念ともいうべきもので、起業後に何らかのトラブルがあった場合や、事業を新たに展開する場合でも、その判断の指針・原動力になるべきものです。
常に、判断する際には、この起業目的・理念に立ち返って判断するようにしましょう。
事業計画をしっかり立てる
起業する際には、事前に事業計画を立案しておく必要があります。
事業計画がないと、その場の思いつきなどで事業を展開することになってしまい、結局、当初考えていたものから、全く別のものになってしまう可能性があります。
さらに事業について他から出資を受けたり、融資を受けたりする場合にも、事業計画は必須です。
事業計画を作っているか否かで、資金調達の成否が決定されると言っても過言ではありません。
その意味で、しっかりした事業計画を作成することは起業を成功させる上で必須といえるでしょう。
事業計画の内容としては、以下の事項を明確にしておく必要があります。
事業の目的・理念
まさに、すでに述べた起業目的がこれにあたります。
この内容が、単に企業者自身にとっての指針であるだけでなく、第三者が見ても納得でき、共感できるものである必要があります。
事業の概要
具体的にどのような事業を行おうとしているのか、その具体的内容を明確にする必要があります。
物販であれば具体的に何を販売するのか、サービス業であれば何のサービスか、その他、具体的にどのような形で収益を上げるのかといった具体的なビジネスモデルを、第三者にも分かるように明記する必要があります。
自社の商品・サービスの特徴・強み
自身が行おうとしている事業が、競合他社の商品と何が違うのか、その差別化ができるのか否かについての情報です。
これによって、その事業の将来性が判断されることになります。
市場環境の分析
当該商品やサービスに対する市場の需要、店舗などの商圏、競合状況についての分析が必要です。
この分析は、以下の4つの視点から行うとわかりやすいでしょう。
- ・物・サービスの競合があるのか否か
- ・価格の点での競合
- ・販売チャンネルでの競合
- ・マーケティング方法での競合
マーケティング戦略
上記の市場環境や競合企業の分析を経た上で、マーケティング戦略を構築します。
具体的には以下のような内容です。
- ・ターゲットをどこにするかの決定
- ・商品やサービスの提供方法をどうするか
- ・当該ターゲット、販売方法を定めた上で、それらのターゲット・購入者に向けたマーケティング方法を検討する。
仕入先や生産方法など
商品の仕入先や、資材の調達先などを明確にします。
今日では、その原材料や生産場所によって商品を選ぶ消費者も増えているため、単に価格だけでなく、原材料などによる差別化も重要な問題となっています。
売上予測・販売計画・損益計算予測
少なくとも、起業後3年程度の売上予測は作っておく必要があります。
これによって出資者などはその事業の将来性を検討することになります。
また、それによって、どのタイミングで黒字化するのかという予測も立てることになります。
自信の羅針盤にもなります。
資金計画
開業に際してどの程度の資金が必要となるのか、そして、それをどのように調達するのか。
また、マーケティングのための広告宣伝費がどの程度かかるのか。
さらに、それらの資金をどのように調達するのかを明確にする必要があります。
それによって、その企業が現実的なものなのか、それとも無理があるのかが分かります。
専門家との連携
起業をする際には、税金の問題、各種の許認可の問題、法律による規制、契約書をはじめとするリーガルリスクの問題、社員を雇用する場合には労働条件や社会保険の問題など、様々な法律上の問題が生じる可能性があります。
それらの専門家と適切な連携を構築しておく必要があります。
特に、多くの起業家が、税金などについては神経質になるのに対して、いわゆる契約書や各種法律による規制については意外と見落としがちだったりします。
20代で起業を考えている方の中には、いまだ社会人経験が浅く、これらの分野については、それほど知識・経験がない方も多いと思われますので、適切な専門家の知恵を借りることが必須といえるでしょう。
特に今日では、消費者などの個人情報をはじめとする権利意識の高まりから、その対応を間違えることによって風評被害や、現実の賠償責任などのリスクが発生する可能性が否定できません。
これらのリーガルリスクに対する対応も、これからの起業に際しては必要になってくるでしょう。
まとめ
以上、20代の人が起業する際に気をつけなければならないこと、具体的にどのような対応をとるべきかについてまとめてみました。
現在、日本政府や地方公共団体をはじめとして、社会自体が若い方々の起業を後押ししています。
各種の補助金制度なども数多く創設されています。
以前は、大学を卒業したら大企業に勤務して定年まで勤務することで安定した生活を得ることができました。
しかし、今や、中途退職や転職が一般的となり、労働人口の流動性が上がるとともに、その一環として、会社に勤めて数年で退職して起業するということも珍しくなくなっています。
その意味では、起業するにはいいタイミングといえるでしょう。
そして、起業について、確かに、現状では起業した会社の継続率はそれほど高くないという現実がありますが、一方で、きちんとそのリスクを把握して、準備をすれば成功者となることも無理な話ではありません。
きちんと準備さえできれば、後は、明確な意思をもってポジティブに行動するだけです。
ぜひ、チャレンジしてみてください。