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最終更新日:2026/7/22

電子定款とは?作成手順・電子署名・認証の流れをわかりやすく解説

森 健太郎
この記事の執筆者 税理士 森健太郎

ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
【公式】ベンチャーサポートグループチャンネルを運営。

PROFILE:https://vs-group.jp/startup/profile_writing/#p-mori
YouTube:【公式】ベンチャーサポートグループチャンネル
書籍:プロが教える! 失敗しない起業・会社設立のすべて (COSMIC MOOK) ムック

電子定款とは?作成手順・電子署名・認証の流れをわかりやすく解説

電子定款とは、会社の設立時に作成する定款を、紙ではなくPDFファイルの形式で作成し、電子署名を付与したものです。

紙の定款と異なり収入印紙代4万円がかからないため、近年は約9割の会社設立でこの電子定款が選ばれています。

参考:定款認証に関する実態調査 調査結果(詳細)|法務省民事局(PDF)

ただし、自分で電子定款を作成するには、マイナンバーカードを使った電子署名やオンラインでの認証申請など、いくつかの手順を踏む必要があります。

本記事では、電子定款の作成に必要なもの・電子署名のやり方・公証役場での認証手続き・費用の内訳を、はじめて会社を設立する方にもわかるようにまとめました。

個人事業と法人の違い、会社設立の流れ、必要書類、費用など会社設立の全体像をわかりやすく解説!

目次


紙定款と電子定款の違い

会社設立にあたって定款を作成する際、紙で作成するか電子ファイルで作成するかによって、費用や手続きの流れが変わります。

両者の主な違いは次のとおりです。

項目 紙定款 電子定款
作成形式 紙に印刷し製本する PDFファイルとして作成する
収入印紙代 4万円 不要
署名の方法 発起人全員が署名または記名押印する マイナンバーカードなどで電子署名を付与する
認証の申請方法(株式会社の場合) 公証役場の窓口に持参する オンラインで公証役場に送信する

電子定款が選ばれている最大の理由は、紙定款で必要になる収入印紙代4万円がかからない点にあります。

収入印紙は印紙税を支払うためのものですが、この税は原則として「紙」で作成された文書に対し課されるもののため、電子で定款を作成した場合は課税されないという扱いになります。

しかし、電子定款の作成を個人で行うためには、電子署名の付与や、電子定款に応じた定款認証の手続きが必要になるため、ハードルが高いと感じる人も少なくありません。
以下の章では、具体的な電子定款の作成方法について解説します。

電子定款作成の概要

まずは大まかに、電子定款を作るための流れと必要なものを整理しましょう。
電子定款作成の概要

電子定款を作成する際には、最初に「文書作成ソフト(Word・Googleドキュメントなど)」を使用して定款の原稿を作成します。
これは紙定款を作るのと同じように、記載すべき事項をテンプレートを参考にして埋めていきましょう。
作成した原稿は、PDF形式に変換して保存します。

この原稿には電子署名を付与する必要があるのですが、ここが多くの人にとっては馴染みのない作業のため、つまづきがちです。

電子署名とは、電子文書に対して「作成者が本人であること(本人性)」と「内容が改ざんされていないこと(非改ざん性)」を証明するデジタル上のしくみのことで、いわばデジタルの印鑑とも言えるものです。
ただし、印鑑の画像を貼り付けたりするやり方では偽造が簡単にできてしまうので、正規の方法に則って付与する必要があります。

税理士 森健太郎

代表税理士
森 健太郎

クラウドサイン・DocuSign・GMOサインなどの電子署名サービスも数多くありますが、これらは企業間の契約書に電子署名を付与するための「電子契約サービス」です。

法務省の登記・供託オンライン申請システムが受け付ける電子証明書は、特定の認証局が発行するものに限られています。

「セコムパスポート for G-ID」などの電子証明書は高額なため、多くのケースで利便性に優れる「マイナンバーカード」の署名用電子証明書が用いられます。

参考:1.2 電磁的記録の認証(定款を含む私署証書の認証)の嘱託|法務省

定款に電子署名を付与する方法

定款に電子署名を付与する方法は主に2種類あり、XML署名方式であれば「申請用総合ソフト」と「JPKI利用者クライアントソフト」、そして「マイナンバーカード」と「ICカードリーダライタまたはNFC対応のAndroidスマートフォン」が必要になります。
申請用総合ソフトはWindows環境でないと利用できないため、「Windowsパソコン」も必須となります。
PDF署名方式であれば、「マイナンバーカード」と「ICカードリーダライタまたはNFC対応のAndroidスマートフォン」に加え「Adobe Acrobat」や「PDF署名プラグイン」など、PDFに電子署名を付与するためのソフトが必要になります。

電子定款の公証役場認証方法

さらに株式会社の場合、電子署名を付与した定款は公証役場で認証を受けなければいけません。
まずは「申請用総合ソフト」で公証役場に電子定款を送信しますが、その際の申請書にも「マイナンバーカード」と「ICカードリーダライタまたはNFC対応のAndroidスマートフォン」で電子署名を付与します。

さらに原則として公証人による面前審査をウェブで受けなければならないため、「カメラとマイクが使えるパソコンやスマートフォン」が必要です。

以上が、電子定款を作成する概要です。
より具体的な内容については、このあとの章をご確認ください。

電子定款を自分で作成するために必要なもの

電子定款を自分で作成するには、マイナンバーカードやICカードリーダーといった機器に加え、定款に電子署名を付与するためのソフトウェアが必要です。

ソフトウェアはすべて無料でそろえることができますが、パソコンのOSやマイナンバーカードの読み取り方法に制約があるため、あらかじめ確認しておいてください。

機器・ハードウェアで必要となるもの

機器・ハードウェアで必要となるものは以下のとおりです。

必要なもの 詳細
Windowsパソコン 申請用総合ソフトがWindows専用のため、Macでは電子定款を自分で作成できない。推奨環境はWindows 11
マイナンバーカード(署名用電子証明書付き) 紙の通知カードは不可。署名用電子証明書が有効期限内であること。パスワードの事前確認が必要
ICカードリーダライタまたはNFC対応のAndroidスマートフォン マイナンバーカードのICチップの読み取り用

マイナンバーカードをまだ取得していない場合は、交付まで約1カ月かかります。
また、署名用電子証明書のパスワード(英数字6〜16文字、英字は大文字)を忘れていると電子署名の際に手続きが止まります。
パスワードが不明な場合は、住民票のある市区町村の窓口で再設定できます。

ICカードリーダライタは、マイナンバーカードに対応した製品を選ぶ必要があります。
対応機種の一覧は公的個人認証サービスのポータルサイトで確認できます。

参考:ICカードリーダライタのご用意 公的個人認証サービス ポータルサイト|地方公共団体情報システム機構

NFC対応のAndroidスマートフォンを持っていれば、そちらでもマイナンバーカードの読み取りが可能です。
対応機種の一覧は公的個人認証サービスのポータルサイトで公開されています。

参考:電子証明書の読取り可能なスマートフォン(Android)に関するご質問 公的個人認証サービス ポータルサイト|地方公共団体情報システム機構

Bluetooth接続の設定方法は、同サイトの「スマートフォンdeマイナンバーカードにアクセス!!スタートアップガイド」を参照してください。

参考:スマートフォンdeマイナンバーカードアクセス!!スタートアップガイド|地方公共団体情報システム機構(PDF)

ソフトウェアで必要となるもの

電子署名の方法には「XML署名方式」と「PDF署名方式」の2つがあり、どちらを使うかによって必要なソフトウェアが異なります。

まず、共通して必要になるソフトウェアは以下の3つです。

ソフト名 用途
文書作成ソフト(Word・Googleドキュメントなど) 定款の原稿作成
JPKI利用者クライアントソフト マイナンバーカードの電子証明書をパソコンで読み取る
申請用総合ソフト(法務省提供) 電子署名の付与(XML署名方式の場合)および認証申請の送信(株式会社の場合)

JPKI利用者クライアントソフトは、マイナンバーカードの電子証明書をパソコンで利用するためのソフトウェアです。
公的個人認証サービスのポータルサイトから無料でダウンロードでき、申請用総合ソフトでICカードリーダーを使用する前にインストールしておく必要があります。

参考:利用者クライアントソフトのダウンロード|公的個人認証サービス ポータルサイト

申請用総合ソフトは、法務省の登記・供託オンライン申請システムから無料でダウンロードできます。
対応OSはWindowsのみ(推奨環境はWindows 11)で、Macには対応していません。

参考:申請用総合ソフト|登記・供託オンライン申請システム

「XML署名方式」であれば、申請用総合ソフトの機能でPDFファイルに対する電子署名を付与できるため、その他のソフトウェアは不要です。

しかし「PDF署名方式」であれば、PDFへの電子署名のためにAdobe AcrobatやSkyPDF Professionalなどの有料ソフト+PDF署名プラグインが必要になります。
(JPKI PDF SIGNERなど、無料で利用できるフリーソフトウェアも存在します。)

XML署名方式は、2026年1月から電子定款の認証に利用可能になった新しい方式です。
申請用総合ソフトだけで電子署名から認証申請まで完結するため、追加のソフトが不要で手順もシンプルです。
これから電子定款を作成する方には、XML署名方式をおすすめします。

参考:電子定款認証に係る申請方法の拡大について|日本公証人連合会

税理士 森健太郎

代表税理士
森 健太郎

法務省の登記・供託オンライン申請システムは、このあとの電子定款の認証申請を行う際にも必要です。

登録時の申請者IDとパスワードは申請用総合ソフトのログインに使用するため、忘れないようメモしておきましょう。

1年間ログインがないと申請者IDが無効になり、再登録が必要になるためご注意ください。

電子定款の作成手順:定款原稿の作成から電子署名の付与まで

機器とソフトウェアの準備ができたら、電子定款の作成に進みます。

定款の原稿作成から電子署名の付与まで、手順は大きく分けて4つです。

その1:定款の原稿をWordなどの文書作成ソフトで作成する

定款の原稿は、WordやGoogleドキュメントなど一般的な文書作成ソフトで作成できます。
この段階では電子定款に固有の作業はなく、紙の定款を作成する場合と同じ内容を記載します。

定款には会社法で定められた記載事項があり、特に以下の「絶対的記載事項」が1つでも欠けていると定款自体が無効になります。

  • 商号(会社名)
  • 事業の目的
  • 本店の所在地
  • 設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
  • 発起人の氏名または名称および住所(株式会社)
  • 社員の氏名または名称および住所(合同会社)
  • 社員全員が有限責任社員である旨(合同会社)
  • 社員の出資の目的およびその価額(合同会社)

上記以外にも、株式の譲渡制限や事業年度など、定款に記載しておくべき項目は多岐にわたります。
記載事項の詳しい内容や定款のひな型は、日本公証人連合会のサイトで公開されていますので、作成時の参考にしてください。

参考:定款等記載例(Examples of Articles of Incorporation etc)|日本公証人連合会

ただし、これらのフォーマットはあくまで1つの事例として提示されているものなので、それぞれの事情に即していないこともあります。

定款の内容について悩みや不安があれば、全国の公証役場で定款についての相談を無料で受けることができます。
基本的に事前予約が必須なので、最寄りの公証役場のWebサイトを確認し、電話あるいは予約用フォームから予約しましょう。

また、以下の記事もご活用ください。

その2:公証役場に定款案を送って事前確認を受ける(株式会社の場合)

定款の原稿が出来上がったら、電子署名を付与する前に公証役場に定款案を送り、公証人の事前確認を受けましょう。

電子定款は、電子署名を付与したあとに内容を修正することができません。
署名後に不備が見つかった場合は修正、再度のPDF変換、再署名、再申請といった一連の手順がやり直しになるため、この事前確認がスムーズな手続きのポイントとなります。

ただし、合同会社を設立する場合は公証役場での定款認証が不要のため、この手順は省略できます。
原稿が完成したら、そのまま次の手順(PDF変換→電子署名)に進んでください。

事前確認の流れは次のとおりです。

公証役場での事前確認の流れ

  1. 本店所在地を管轄する公証役場に連絡し、定款案をメールまたはFAXで送付する
  2. 公証人が内容を確認し、修正が必要な箇所があれば連絡が届く
  3. 修正を反映して再度送付し、公証人から内容の了承を得たら定款案が確定する

この段階であわせて「実質的支配者となるべき者の申告書」も準備してください。
この申告書は定款認証の際に提出が必要な書類で、様式は日本公証人連合会のサイトからダウンロードできます。

参考:9-4 定款認証|日本公証人連合会

事前確認を担当した公証人が、認証申請の際に指名する公証人になります。
認証を受ける日時もこの段階で予約しておくとスムーズです。

その3:定款の原稿をPDF形式に変換する

公証役場の事前確認で内容が確定した定款原稿を、PDF形式に変換します。

Wordを使用している場合は、「ファイル」→「名前を付けて保存」でファイルの種類から「PDF」を選択するだけで変換できます。
PDFファイルの名前には、登記・供託オンライン申請システムで以下のルールが定められています。

  • 文字数:全角の場合は15文字以内、半角の場合は31文字以内
  • 使用できる文字:JIS第1・第2水準の漢字、全角・半角の英数字、カタカナ、ひらがな、各種記号(一部使用できない記号あり)

ファイル名が長すぎたり使用できない文字が含まれていたりすると、申請時にエラーになることがあるため注意してください。

その4:申請用総合ソフトで電子署名を付与する(XML署名方式)

PDF形式に変換した定款に、法務省の登記・供託オンライン申請システムからダウンロードした申請用総合ソフトを使って、電子署名を付与します。
この手順が完了すれば、電子定款の作成は完了です。

事前準備:JPKI利用者クライアントソフトのインストールとICカードライブラリの登録

まず、JPKI利用者クライアントソフトをパソコンにインストールします。

Androidスマートフォンをカードリーダーとして使用する場合は、パソコン側に加えてスマートフォン側にもJPKI利用者クライアントソフト(Android版アプリ「JPKIMobile」)をインストールし、BluetoothでPCと接続しておきます。

JPKI利用者クライアントソフトの準備ができたら、申請用総合ソフトにICカードライブラリを登録します。
この登録は初回のみの作業です。

申請用総合ソフトへのICカードライブラリの登録方法

  1. 申請用総合ソフトを起動し、申請者IDとパスワードでログインする(初回ログイン時は「申請者IDをお持ちでない場合」から登録)
  2. 「ツール」メニューから「オプション」を選択する
  3. 「ICカード切替」タブを開き「登録」をクリックする
  4. 使用するICカードライブラリとして「公的個人認証サービス(個人番号カード)」を選択し「適用」をクリックしたあと「設定」をクリックする

PDFへの電子署名の付与

ICカードライブラリの登録が済んだら、以下の手順でPDFの定款に電子署名を付与します。

PDF定款への電子署名の付与方法

  1. 申請用総合ソフトの「ツール」メニューから「PDFファイルの署名」を選択する
  2. 「参照」をクリックし、署名対象のPDFファイルを選択する
  3. 出力先フォルダを指定する
  4. 「ICカードで署名」をクリックする
  5. ICカードリーダーにマイナンバーカードを挿入する(Androidスマホを使用している場合はスマホのNFCにマイナンバーカードをかざす)
  6. 署名用電子証明書のパスワードを入力して「確定」をクリックする
  7. 「署名付与完了」と表示されたら完了

署名が完了すると、指定した出力先フォルダの中にPDFファイルと同じ名前のフォルダが作成されます。
このフォルダの中には元のPDFファイルと署名情報が記録されたXMLファイルがセットで格納されており、認証申請の際にはこのフォルダごと送信します。

フォルダ内のファイル構成を変更すると署名が無効になるため、ファイルの移動やファイル名の変更はしないでください。

税理士 森健太郎

代表税理士
森 健太郎

署名用電子証明書のパスワードは、半角の英数字(アルファベットは大文字)が混在した6文字以上16文字以内のもので、マイナンバーカードの交付時に自分で設定したものです。

4桁の数字で設定した利用者証明用パスワードとは異なるため、間違えないよう注意してください。

パスワードを5回連続で誤入力するとロックがかかり、住民票のある市区町村の窓口でロック解除の手続きが必要になります。

参考:マイナンバーカードで PDFに電子署名する手順(XML署名)_ver.1.0|日本公証人連合会(PDF)

Adobe Acrobatなどを使ったPDF署名方式のやり方

XML署名方式のほかに、PDFファイルに直接署名データを埋め込む「PDF署名方式」で電子定款を作成することもできます。

PDF署名方式で電子署名を付与するには、以下のいずれかのソフトウェアを使用します。

ソフトウェア 費用 補足
Adobe Acrobat+PDF署名プラグイン Adobe Acrobatは月額1,980〜3,210円程度。プラグインは法務省が無料提供 公証役場の案内でも紹介されている組み合わせ。プラグインは登記・供託オンライン申請システムのサイトからダウンロードできる
JPKI PDF SIGNER 無料 個人開発のフリーソフト。PDF署名プラグインなしで単独でPDF署名を付与できる

参考:Adobe Acrobat 公式 PDFの編集、結合、変換を無料体験|Adobe Inc.
参考:ソフトウェアのダウンロード|登記・供託オンライン申請システム

税理士 森健太郎

代表税理士
森 健太郎

以前はAdobe Acrobatは32bit版でないとPDF署名プラグインが作動しませんでした。

しかし現在はPDF署名プラグインに64ビット版が存在しており、操作説明書(64ビット版)も2026年1月19日付で公開されています。

そのため、現在はAdobe Acrobatの64bit版でもPDF署名プラグインが利用可能です。

実際の手順は以下のとおりです。

Adobe Acrobat+PDF署名プラグインの場合

  1. Adobe Acrobatをインストールする
  2. 登記・供託オンライン申請システムのサイトからPDF署名プラグインをダウンロードし、インストールする(32ビット版・64ビット版がある)
  3. Adobe Acrobatを開き、「環境設定」→「署名」→「作成と表示方法」の「詳細」を開く
  4. 「デフォルトの署名方法」のプルダウンから「SignedPDF」を選択して設定する
  5. 署名対象のPDFファイルをAdobe Acrobatで開く
  6. 「ツール」→「証明書」→「デジタル署名」を選択する
  7. ICカードリーダーにマイナンバーカードを挿入し、署名用電子証明書のパスワードを入力する
  8. 署名が完了すると、PDFファイル内に署名データが埋め込まれた状態で保存される

詳しい手順は、日本公証人連合会のサイトで公開されている「マイナンバーカードでPDFに電子署名する手順_ver.1.1」を参照してください。

参考:マイナンバーカードでPDFに電子署名する手順_ver.1.1|日本公証人連合会(PDF)

JPKI PDF SIGNERの場合

  1. JPKI PDF SIGNERの配布サイトからソフトをダウンロードし、展開する(インストール不要で、exeファイルを直接起動するタイプ)
  2. JPKI PDF SIGNERを起動する
  3. 「ファイル」→「開く」で署名対象のPDFファイルを選択する
  4. ICカードリーダーにマイナンバーカードを挿入する(またはNFC対応Androidスマホを接続する)
  5. 署名用電子証明書のパスワードを入力する
  6. 署名が完了したら、ファイルに名前を付けて保存する

JPKI PDF SIGNERはAdobe Acrobatなしで無料でPDF署名が付与でき、操作もシンプルです。
ただし個人開発のフリーソフトであり、公式のサポート体制はありません。
利用にあたっては配布サイトの注意事項を確認のうえ、自己責任でご利用ください。

電子定款の認証手続きの流れ(株式会社の場合)

電子署名を付与した定款が完成したら、公証役場で公証人の認証を受けます。
株式会社の設立では、この認証を受けなければ定款としての法的効力が生じません。

税理士 森健太郎

代表税理士
森 健太郎

合同会社・合名会社・合資会社(持分会社)を設立する場合は、公証役場での定款認証は不要です。

電子定款を作成したら、この認証手続きを省略して法務局への設立登記申請に直接進むことができます。

その1:登記・供託オンライン申請システムに利用者登録する

認証申請を行うには、法務省の登記・供託オンライン申請システムでの利用者登録(無料)が必要です。

XML署名方式で申請用総合ソフトを使って電子署名を付与した方は、その際にすでに利用者登録と申請用総合ソフトのインストールが完了しているため、この手順は省略できます。

PDF署名方式で電子署名を行った方は、登記・供託オンライン申請システムのサイトで申請者情報の登録を行い、申請用総合ソフトをダウンロード・インストールしてください。
登録時に設定した申請者IDとパスワードは、申請用総合ソフトのログインに使用します。

参考:登記・供託オンライン申請システム|法務省

その2:申請用総合ソフトで電子定款を公証役場に送信する

申請用総合ソフトを使い、署名済みの電子定款を公証役場にオンラインで送信します。

送信の手順は次のとおりです。

電子定款の送信方法

  1. 申請用総合ソフトを起動し、申請者IDとパスワードでログインする
  2. 「処理状況表示」画面で「申請書作成」をクリックし、「申請様式一覧選択」画面から「電子公証」→「電磁的記録の認証の嘱託」を選択する
  3. 嘱託人情報として「氏名」「読み(カナ)」を入力する
  4. 実質的支配者の「氏名」「読み(カナ)」を入力する
  5. 「法務局名」→「公証役場名」→「公証人名」の順で、事前確認を担当した公証人を指名する
  6. 署名済みの電子定款ファイルを添付する(XML署名方式の場合はフォルダ、PDF署名方式の場合はPDFファイル)
  7. 内容を確認し、送信する

送信の際には、申請書自体にもマイナンバーカードによる電子署名の付与が求められます。
定款への署名とは別に、送信時にもICカードリーダー(またはNFC対応Androidスマホ)とマイナンバーカードが必要になるため、手元に用意しておいてください。

なお、2026年1月13日からは同一の申請で電子委任状も添付できるようになっています。
この変更に伴い、申請用総合ソフトの「ファイル追加」ボタンは委任状などを添付するためのものとなりました。
電子定款ファイルは「定款ファイル追加」もしくは「定款(署名付きPDFフォルダ追加)」ボタンから添付する必要があるので、注意してください。

参考:XML署名を付与した電子定款の提供等が可能になりました|法務省

その3:ウェブ会議または公証役場の窓口で公証人の認証を受ける

電子定款の送信が完了したら、公証人による面前審査(本人確認と電子署名の確認)を受けます。

2024年3月以降、電子定款の認証における面前審査はウェブ会議で実施することが原則となりました。

公証役場に出向いての窓口認証を希望する場合は、「ウェブ会議の利用を希望しない旨の申告書」を公証役場に提出する必要があります。

Web会議認証の流れ

  1. 公証役場にメールまたは予約フォームからウェブ会議の日時を予約する
  2. 公証役場から予約確定の連絡とあわせて、ウェブ会議用のURLがメールで届く
  3. 予約日時になったら、届いたURLをクリックしてウェブ会議に接続する(FaceHubというブラウザベースのサービスを使用。ZoomやTeamsなどの専用アプリは不要)
  4. 公証人が画面越しに本人確認を行うため、顔写真付きの身分証明書(マイナンバーカード・運転免許証・パスポートなど)をカメラに提示する
  5. 公証人が電子署名の確認と定款の内容確認を行い、問題がなければ認証が完了する

Web会議に必要な環境は、カメラとマイクが使えるパソコン・スマートフォン・タブレットのいずれかと、インターネット接続です。
推奨ブラウザはGoogle Chrome(パソコン・Android)またはSafari(iPhone・iPad)です。

窓口認証の場合は、予約した日時に公証役場に出向き、対面で公証人の面前審査を受けます。
窓口認証を選ぶ場合は、以下のものを持参してください。

窓口認証での持ち物

  • 本人確認書類(発起人の印鑑証明書+実印、または運転免許証などの顔写真付き身分証明書+認印)
  • 認証手数料(資本金の額に応じて1万5,000~5万円。現金またはクレジットカード)
  • 記録媒体(USBメモリやCD-R。認証済みデータの受取用)
  • 謄本交付申請書(設立登記用・会社保存用の謄本が必要な場合)

その4:認証済みの電子定款データと謄本を受け取る

認証が完了したら、認証済みの電子定款データと、設立登記に必要な謄本(同一情報の提供)を受け取ります。
受取方法は、認証をウェブ会議で行ったか窓口で行ったかによって異なります。

ウェブ会議認証の場合

  • 認証済みの電子定款データは、登記・供託オンライン申請システムを通じてオンラインで受け取るほか、メールで受け取れる場合もある
  • 申告受理および認証証明書、謄本(同一情報の提供の書面)は、レターパックで郵送される(事前に返信用レターパックを公証役場に送付しておく必要がある)
  • 希望すれば、認証済みの電子定款を格納した電子媒体(USBメモリなど)も郵送で受け取ることが可能
窓口認証の場合

  • 認証済みの電子定款データは、持参した電子媒体(USBメモリやCD-R)に格納されてその場で交付される
  • 申告受理および認証証明書、謄本もあわせて当日交付される

いずれの場合も、認証済みの電子定款データと謄本を受け取れば、定款認証の手続きは完了です。

電子定款にかかる費用の内訳と最新の認証手数料

電子定款を作成・認証するのに結局いくらかかるのかは、「自分ですべて行うか」「民間サービスを利用するか」「専門家に依頼するか」によって大きく変わります。
ここでは3つの方法ごとの費用を比較したうえで、認証手数料の最新の料金体系を整理します。

電子定款を作成する3つの方法と費用の比較

電子定款を作成して認証を受ける方法は、大きく分けて以下の3つです。

それぞれ費用と手間のバランスが異なるため、自分に合った方法を選んでください。

すべて自分で作成する 民間の会社設立支援サービスを利用する 専門家(司法書士など)に依頼する
電子署名・定款作成 自分で対応 サービス提携の専門家が代行 専門家が代行
認証の申請・受取 自分で対応 自分で対応(手順はサービスが案内してくれる) 専門家が代行するケースもあり
主な費用 認証手数料+ICカードリーダー代(約1,000~4,000円。スマホで代用するなら不要) 認証手数料+サービスの電子定款作成手数料(約5,000円) 認証手数料+専門家への報酬(専門家により異なる)

すべて自分で作成する場合

すべて自分だけで作成する場合、本記事で解説してきたXML署名方式を使えば、ソフトウェアはすべて無料で揃います。
NFC対応のAndroidスマートフォンでICカードリーダーを代用できる場合は、機器の購入費用もかかりません。

この場合、株式会社であれば費用としてかかるのは認証手数料(1万5,000~5万円)と謄本の交付手数料程度です。
合同会社であればこれらも不要なので、最もコストを抑えられます。

ただし、ソフトウェアのセットアップや申請操作をすべて自分で行う必要があるため、手間と時間がかかります。

民間の会社設立支援サービスを利用する場合

マネーフォワード クラウド会社設立などのサービスを利用する場合、画面に沿って必要事項を入力すると定款が作成され、提携先の行政書士が電子署名を代行してくれるため、ICカードリーダーやソフトウェアの準備が不要になります。

たとえばマネーフォワードクラウド会社設立の場合、サービスの利用料は無料で、電子定款の作成代行手数料は5,000円です(マネーフォワード クラウドの法人向け有償プランを契約した場合、年払い・月払いを問わず、電子定款の作成費用が0円になるキャンペーンが実施されています)。

定款の内容がある程度決まっていて、手続きだけを効率的に済ませたい方に向いています。

参考:電子定款対応でお得に会社設立 - マネーフォワード クラウド会社設立|株式会社マネーフォワード

司法書士・行政書士・税理士法人などの専門家に依頼する場合

電子定款の作成から認証手続きまでを専門家に任せる方法です。
定款の記載内容の設計から相談でき、設立後の届出や税務顧問までまとめて対応してもらえるケースもあります。

報酬は依頼先や業務範囲によって異なりますが、定款作成・認証のみであれば数千~数万円程度、会社設立手続き全体を一括して依頼する場合は10万円程度が目安です。

定款の内容にこだわりたい方や、設立後の経営体制も含めて相談したい方に向いています。

株式会社の認証手数料

株式会社の電子定款の認証手数料は、資本金の額に応じて以下のように定められています。

資本金の額 認証手数料
100万円未満(※下記の3条件をすべて満たす場合) 1万5,000円
100万円未満(上記に該当しない場合) 3万円
100万円以上300万円未満 4万円
300万円以上 5万円

15,000円が適用されるのは、以下の3つの条件をすべて満たす場合に限られます。

  • 発起人の全員が自然人であり、かつその数が3人以下であること
  • 定款に発起人が設立時発行株式の全部を引き受ける旨の記載があること
  • 定款に取締役会を置く旨の記載がないこと

1人で発起人となり、取締役会を設置しない小規模な株式会社を設立する場合は、多くのケースでこの3条件を満たすことになります。

また、認証手数料以外にも、謄本(同一情報の提供)の交付手数料や電磁的記録の保存手数料がかかります。
謄本交付手数料は定款のページ数に応じて変動しますが、合計で数千円程度です。

電子定款を作成・認証する際に知っておきたい注意点

電子定款の作成・認証手続きでは、紙の定款とは異なる注意点がいくつかあります。

手続きのやり直しや予定の遅延を防ぐために、あらかじめ押さえておいてください。

その1:電子署名を付与した定款は内容を修正できない

紙の定款であれば、公証役場の窓口で軽微な訂正に対応できる場合がありますが、電子署名を付与したPDFは、付与後の一切の変更が認められません。

署名後や送信後に誤りが見つかった場合は、原稿の修正からPDF形式への変換、電子署名の付与、申請用総合ソフトでの送信という手順をやり直す必要があります。

やり直しには手間も時間もかかるため、電子署名を付与する前の公証役場の事前確認を確実に行いましょう。

その2:認証済み定款の受取は公証役場に行くか郵送してもらう必要がある

電子定款の認証はオンラインで申請できますが、認証後の書類をすべてオンラインだけで受け取れるわけではありません。

ウェブ会議認証の場合、認証済みの電子定款データ自体は登記・供託オンライン申請システムを通じてオンラインで受領できます。
ただし、設立登記に必要な謄本(同一情報の提供の書面)や認証証明書は紙の書類として発行されるため、公証役場からの郵送で受け取ることになります。

郵送を希望する場合は、返信用のレターパックをあらかじめ公証役場に送付しておく必要があります。
窓口認証の場合は、認証済みの電子定款データ・謄本・認証証明書をすべて当日その場で受け取れます。

いずれの方法でも、認証から受取までに多少の時間がかかる点を設立スケジュールに織り込んでおいてください。

その3:登記・供託オンラインシステムは利用できない時間帯がある

電子定款の送信や認証済みデータの受領に使う登記・供託オンライン申請システムには、利用可能な時間帯が設けられています。

項目 内容
利用可能時間 平日8時30分~21時
利用できない日 土曜・日曜・祝日・年末年始(12月29日~1月3日)

上記の時間外に送信操作を行った場合は、翌営業日の受付扱いになります。

認証予約日の直前にオンライン申請を行う予定の方は、時間に余裕をもって送信を済ませるようにしてください。

税理士 森健太郎

代表税理士
森 健太郎

ただし登記・供託オンライン申請システムは、2026年8月3日から平日は23時まで、土日祝日も8時30分から18時まで利用時間が拡大される予定です。

その4:申請用総合ソフトはMacに対応していない

電子定款の作成・認証で中心的な役割を果たす、法務省が提供する申請用総合ソフトは、対応OSがWindowsのみで、Macには対応していません。

申請用総合ソフトの使用シーンを整理すると、以下の2つです。

  • 定款に「XML署名方式」で電子署名を付与する
  • 電子定款の認証申請を行う

株式会社を設立する場合は、署名方式にかかわらず認証申請の送信に申請用総合ソフトが必要になるため、Macパソコンでは手続きを進めることができません。

ただし合同会社などであれば、定款認証が不要のため、「PDF署名方式」で電子署名を行うことで申請用総合ソフトを使用せず手続きを進めることが可能です。

手続きにWindowsパソコンが必要だが持っていない場合は、別途購入するか、マネーフォワードクラウド会社設立などの利用や専門家への依頼を検討してください。

仮想化ソフトでMac上にWindows環境を構築する方法もありますが、ICカードリーダーの認識不具合などが報告されており、確実に動作する保証はありません。

この記事のまとめ:電子定款について悩みがあれば税理士に相談しよう

電子定款は、紙定款と比べて収入印紙代4万円を節約でき、オンラインで認証申請まで完結できる方法です。

令和8年1月からはXML署名方式が利用可能になり、有料ソフトを用意しなくても無料のソフトウェアだけで電子定款を作成できるようになりました。
一方で、実際に手続きを進めてみると、ソフトウェアのセットアップや公証役場とのやり取り、オンライン申請の操作など、慣れない作業に時間を取られる場面も少なくありません。

電子定款の作成・認証は、本記事で解説したとおり自分で行うことも十分に可能ですが、「手続きに不安がある」「設立後の届出や税務面もあわせて相談したい」という方は、会社設立に詳しい税理士に相談するのもひとつの選択肢です。
定款の内容設計から認証手続き、設立後に必要な届出までまとめてサポートを受けることで、設立準備を効率的に進められます。

ベンチャーサポート税理士法人では、会社設立・運営に関する無料相談を実施しています。

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また、「士業はサービス業」という共通理念のもと、起業家の方々の悩みや不安に即レス、即対応できる体制も整えています。

初めて会社設立を行う方や、事業の将来を見据えた設立を行いたい方、そして税理士との会社設立に興味を持っていただけた方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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