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最終更新日:2024/10/4

秘密証書遺言とは?作成手順やデメリット、公証役場の手続き方法を解説

本間 剛 (行政書士)
この記事の執筆者 行政書士 本間剛

ベンチャーサポート行政書士法人 代表行政書士。山形県出身。

はじめて相続を経験する方にとって、相続手続きはとても難しく煩雑です。多くの書類を作成し、色々な役所や金融機関などを回らなければなりません。専門家としてご家族皆様の負担と不安をなくし、幸せで安心した相続になるお手伝いを致します。

PROFILE:https://vs-group.jp/sozokuzei/supportcenter/profilehonma/

秘密証書遺言とは?作成手順やデメリット、公証役場の手続き方法を解説

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この記事でわかること

  • 秘密証書遺言とは何か
  • 秘密証書遺言の作成手順
  • 秘密証書遺言の公証役場での手続き
  • 秘密証書遺言のデメリット
遺言書を残したいんだけど、自分で文字を書くことが難しいとか、内容を人に知られたくないという方に向いているのが「秘密証書遺言」です。 秘密証書遺言は自筆証書遺言と何が違うのか?どういう時に役立つのか?作成方法やデメリット、そして公証役場への提出の流れを解説していきます。 これを読めばあなたも、自分がどの種類の遺言書を残すべきかわかるようになります!

秘密証書遺言とは?

秘密証書遺言を残すことには、どのような意味や目的があるのでしょうか。 秘密証書遺言とは、内容を秘密にしておける形式の遺言書のことです。 証人2名を連れて公証役場に訪問して、遺言書の存在を証明するための手続きを行います。 秘密証書遺言は、遺言書の内容は秘密にしたまま遺言書の存在を証明でき、公証役場に記録が残るため、紛失のリスクを回避することができるというメリットがあります。 そのため、秘密証書遺言は遺言の内容を誰にも知られたくないという場合によく利用されます。 しかし、公証役場に行って手続きをする手間や2人に証人をお願いする必要があるなどのデメリットから、現在、秘密証書遺言はほとんど使われていません。 また、秘密証書遺言は公証人でも中身を見ることができないので、もし記載内容に不備があった場合、遺言書が無効になってしまうというリスクもあります。 遺言書が無効になってしまってはせっかく手間をかけた意味がなくなってしまうため、秘密証書遺言を作成する際は、作成方法をしっかり確認し、内容に漏れがないよう注意しましょう。 秘密証書遺言を残す意味やメリット・デメリットをよく理解しておくことが大切です。

秘密証書遺言の作成方法から公証役場に提出するまで

秘密証書遺言が完成するまで

登場人物紹介

相続サポートセンター 税理士 桑原弾 (ベンチャーサポート相続税理士法人)

アラフォー既婚。小学生の息子が一人。自筆証書遺言を作成した一週間後、次は秘密証書遺言の作成に挑む。遺言書は作成日付の新しいものが有効となります。

証人1 武田 相続サポートセンターの一員。
証人2 桜井 相続サポートセンターの一員。
公証人
相続サポートセンター(ベンチャーサポート相続税理士法人)の桑原です。 遺言書には3種類の形式があり、今回は「秘密証書遺言」を作成していきます。秘密証書遺言の作成において一番の難関は「証人2名を連れて公証役場に訪問すること」です。 「秘密証書遺言を公証役場へ提出するという難所をどうクリアするか?」を重点的に、まずは大まかな作成方法の手順を画像つきでご紹介します。

秘密証書遺言の作成手順

  • 1.秘密証書遺言を作成する
  • 2.公証役場へ行き、日程の予約を取る
  • 3.アポイント当日
  • 4.公証人による説明
  • 5.2名の証人による署名・捺印
  • 6.秘密証書遺言を公証役場へ提出
その後、秘密証書遺言の作成方法から内容面での注意点まで細かく補足説明していきますので、最後までチェックしてみてください。

秘密証書遺言を作成する

秘密遺言書作成例

まずは、書き方に注意しながら秘密証書遺言を完成させます。秘密証書遺言の特徴は、パソコンで入力してそれを印刷したものを使用できるという点です。 作成方法の注意点は 6.秘密証書遺言の書き方 のステップ1からステップ3をよくお読みください。

公証役場へ行き、日程の予約を取る

公証役場

遺言書が完成して、証人2名を誰にするかを決定したら、まずは自分の行きやすい公証役場に一人で行き、その場で遺言書を提出する日程を決めてきます。

アポイント当日

公証役場

公証役場でのアポイント当日

アポイント当日。証人2名とともに再度公証役場を訪ねます。 持参するのは、遺言書本体、遺言書に押印した印鑑、身分証、現金11,000円だけです。証人には、認め印と身分証を持参してもらいます。

公証人による説明

公証人について

今回、私の職場から一番近い公証役場で、秘密証書遺言の存在を公証人に証明してもらいます。 公証人とは、判事や検事を長く務めた法律家がなれる職業で、法務大臣から任命される由緒ある職業です。

証人

そんな方の職場で、サングラスをかけたままで無礼ではないでしょうか?

秘密証書遺言についての説明

公証人は、今回の秘密証書遺言について丁寧に説明を進めてくれます。

2名の証人による署名・捺印

2名の証人による署名・捺印

私の秘密証書遺言の存在を証明するために、2人の証人が署名・押印をしてくれています。 その後、その場で現金にてお支払い。11,000円也

秘密証書遺言を公証役場に提出

秘密証書遺言が完成しました!

出来上がった書面がこちら。秘密証書遺言は、中身を開封せずに行なうので、内容自体は公証人も証人も誰も見ることはありません。 その代わりに、遺言書の入った封筒にこのようなA4の紙を貼り付けて提出し、公証役場で存在の確認を行なったことを証明します。

平成31年改正の遺言書保管ルールと秘密証書遺言について

専門家からのアドバイス

秘密証書遺言については、平成31年の改正はありませんでした。自分できっちりと保管しておいて、亡くなった後にご家族が発見したときは、今までどおり検認の手続きが必要です!
平成31年以降に施行される法律で遺言書のルールが改正されましたが、結論から言うとこれらは自筆証書遺言書についての改正で、残念ながら秘密証書遺言には該当しません。 勘違いしないよう注意したいのが次の改正内容です。
● 作成した自筆証書遺言書を、法務局で保管してもらえる制度ができる。 (令和2年7月10日より施行)
この改正は「法務局の遺言保管所に保管されている遺言書については家庭裁判所での検認が不要」という、開封時のとても大きなメリットがあります。 しかし、逆に言えば、秘密証書遺言についてはこの改正後も「検認」という手続きが必要になるということです。 検認については本ページの 8.秘密証書遺言の保管と検認 で解説しています。

自筆証書遺言ではなく秘密証書遺言にすべきケース

専門家からのアドバイス

遺言書の内容を誰にも知られたくない!
遺言書を自筆することが難しいので、パソコン入力か他人に書いてもらいたい!
このいずれかのご希望があれば、秘密証書遺言が適しています。
まず秘密証書遺言に限らず、以下のような事情をお持ちの方は、確実に遺言書を作っておいたほうが良いと断言できるのでおさらいしておきます。
  • 自分の生活の面倒や介護を、兄弟の誰か一人だけが見てくれている
  • 自分の生活の面倒や介護を、兄弟の配偶者が見てくれている
  • 財産が3~4千万円以上あり、相続税の対策が必要
  • 親子・兄弟の仲が良くない
  • 前妻(夫)との間に子供がいる
  • 内縁の妻や夫がいる
  • 愛人との子供がいる
  • 認知症の初期症状がうたがわれる
  • 子供がいない・身寄りがない
  • 親族以外の人に、とてもお世話になっている
作成する遺言書の種類はご自身の希望に応じて、以下の3つから選ぶことができます。
  • 自筆証書遺言
  • 公正証書遺言
  • 秘密証書遺言
ここからは、秘密証書遺言にすべき理由を4つご紹介します。

秘密証書遺言にすべき4つの理由

  • 1.遺言書の内容を誰にも知られなくて済む
  • 2.遺言書が存在することを証明してもらえる
  • 3.自書する必要がなくパソコンで文章を作成してもよい
  • 4.公正証書遺言書の作成よりは安く済む
それでは1つずつ見てみましょう。
秘密証書遺言にすべき理由1遺言書の内容を誰にも知られなくて済む

この点は自筆証書遺言と同じですが、次の 理由2 が担保されることが秘密証書遺言の特徴で、相続人に発見されて実行される可能性が格段に高まります。

秘密証書遺言にすべき理由2遺言書が存在することを証明してもらえる

秘密証書遺言が存在することを公証人が証明し、公証役場にその記録が残りますので、後日検索が可能になります。

秘密証書遺言にすべき理由3自書する必要がなくパソコンで文章を作成してもよい (他人の代筆でも可能)

署名押印の必要がありますが、本文はすべてパソコンで入力・印刷した文章でも構いません。※自書できる方は自書しておくことをお薦めします。

秘密証書遺言にすべき理由4公正証書遺言書の作成よりは安く済む
11,000円の手数料はかかりますが、自分で遺言書を作成するため、証書作成の手数料はかかりません。 このようなメリットがあり、特に字が震えてしまって全文自筆するには難しい高齢者などの利用には適していると思います。ただし、下記のようなデメリットもあるため、秘密証書遺言は全国で年間約100件程度しか利用されていません。 我々専門家から見ても、さほどオススメできる方法ではなく、基本的には公正証書遺言か自筆証書遺言の作成を薦めています。

秘密証書遺言のデメリット

専門家からのアドバイス

秘密証書遺言があまり利用されていない理由は、公証役場に行くという手間の割に、もっとも肝心な「遺言が有効か無効か」の判定ができないことです。デメリットをよく確認しましょう!!
秘密証書遺言が現実的にあまり利用されていないのは、公証役場へ出向く手間がかかる以外にも次のようなデメリットがあるためです。

秘密証書遺言のデメリット

  • ・公証人の手数料が11,000円かかる
  • ・公証人への依頼や2人の証人の手配に手間がかかる
  • ・遺言書を紛失してしまうおそれがある
  • ・開封時に検認の手続きが必要である
  • ・内容が無効となる場合がある
それでは1つずつ見ていきましょう。
デメリット1公証人の手数料が11,000円かかる

公証役場訪問の当日、現金で支払います。

デメリット2公証人への依頼や2人の証人の手配に手間がかかる

秘密証書遺言の存在の証明には証人2名の立ち会いが必要となります。また公証人と証人2名のスケジュールをあわせて、公証役場に行く日時を調整しなければなりません。特に注意すべきは、証人になれる人の条件です。未成年者・配偶者・直系親族・推定相続人や遺言により贈与を受ける人などは証人になれませんので、証人2名の手配はかなりハードルが高いでしょう。

デメリット3遺言書を紛失してしまうおそれがある

公証役場に持参した秘密証書遺言は公証役場では保管されず、自分が持ち帰って長期間保管しておかなければなりません。公証役場に内容は記録されていないので、紛失した場合は遺言書を作った意味がなくなります。

デメリット4開封時に検認の手続きが必要である

自分が死亡した後、遺言書が発見されたときは、家庭裁判所に届け出て「検認」という手続きが必要となります。

デメリット5内容が無効となる場合がある

秘密証書遺言の利用が少ない一番の理由がこの「無効」リスクがあるためです。公証役場に行って証明されるのは「遺言書が存在したこと」であり、「その内容が有効であること」は担保してもらえないため、いざ遺言を実行する際に、書き方が間違っていて無効になってしまうというリスクがついて回ります。

無効にはならないが、相続争いが起こる落とし穴無効にはならないが、相続争いが起こる落とし穴
遺言書に財産の分け方を書く際には「遺留分(いりゅうぶん)」に注意してください!遺留分とは、相続人が相続財産のうちの一定割合をもらえる権利のことで、遺言書によってその分がもらえなかった場合、そのもらえなかった人は家族を訴えることができます。 たとえば、一人息子の遺留分は財産の4分の1になります。 全財産を妻に渡したい場合でも、息子に4分の1以上の財産が渡るように書いておくことが相続争いの回避につながります。 私の場合は、息子が万が一にでも争いを起こしそうな年頃になるまでにはこの遺言書を書き換えるつもりで、今回は全財産を妻が相続するように作成しています。

秘密証書遺言の書き方

専門家からのアドバイス

秘密証書遺言は、パソコンで作ったものをそのまま使用できるのでパソコンに正しい内容を入力できれば、最初の山は終わりです。家族などは証人になれないケースが多いので証人選びにご注意!
では、いよいよ秘密証書遺言の書き方に入っていきましょう。 秘密証書遺言の書き方には大きく7つのステップに分けられます。

秘密証書遺言の書き方

  • 1.家族や財産の情報をパソコンに入力
  • 2.財産の配分方法や、伝えたい気持ちなども入力
  • 3.遺言書を清書し印刷
  • 4.証人2名を誰にするか決め、公証役場に行って日程調整をする
  • 5.遺言書の署名押印と封印
  • 6.公証役場へ行く
  • 7.家族が確実に気づく場所に秘密証書遺言を保管
全文を自筆で書ける人は、自筆証書遺言と同じように全文を自筆で書いたほうが良いのですが、今回は自筆が難しいという設定で、パソコンを使って作成する方法を解説します。
ステップ1家族や財産の情報をパソコンに入力する
まずは基本情報の整理から始めます。入力する項目は下記のとおり。ひとつの漏れもなく埋めておきましょう。

【家族関係】

  • 自分の氏名、現住所
  • 配偶者の氏名、生年月日(西暦で書いておきましょう)
  • 子供全員の氏名、生年月日 ※子供がいる場合はここまでで家族関係は完了
  • 父母・祖父母の氏名、生年月日 ※父母か祖父母がいる場合はここまでで家族関係は完了
  • 兄弟姉妹の氏名、生年月日

【財産関係】

  • 現預金について…すべての金融機関の銀行名、支店名、口座種類、口座番号、(残高)
  • 株などの有価証券…社名/銘柄、数量、単価、(金額)
  • 生命保険、損害保険…保険会社、保険種類、証書番号、被保険者、受取人、(保険金額)
  • その他…車、高価な家財、書画骨とう品など財産価値のあるものは特定できる情報を
※金額は遺言書には直接記載しませんので、正確でなくて構いません
ステップ2財産の配分方法や、伝えたい気持ちなども入力する
ステップ1で書き出した財産を見ながら、誰に何を渡すかを決めましょう。 また、その配分を不公平に感じさせないように「付言事項」という欄にて自分の想いを家族に伝えるメッセージも入れましょう。 なお、この財産の配分方法や付言事項は、他の文例を真似しながら書くほうが間違いが少ないので、文例をコピーペーストしてからそれを修正して作るほうがよいでしょう。

財産の分け方は必ずこの落とし穴をチェック

ステップ3遺言書を清書し印刷する
ステップ1、2が終われば、マイクロソフト社のWordなどを使ってパソコンで遺言書を清書しましょう。 清書が終わったら印刷し、印刷した紙を再度チェックします。納得いくまで修正を繰り返し、完成版の遺言書を印刷したら遺言書の作成は完了です。
参考虫眼鏡 遺言執行者はできれば指定しておこう

遺言にはあなたの死後に遺言の内容を実現する役割を持った「遺言執行者」を決めておくことができます。(必須ではありません) 遺言執行者がいる場合、相続人は勝手に遺産に手をつけることができず、相続人の確定や遺産分割協議はすべて遺言執行者が行うことになります。

遺言執行者は親族である必要はなく、資格を持った弁護士などを指定しておくと遺族間でのトラブルも避けることができる可能性も高くなります。 平成31年の法改正により、遺言執行者の役割はより重要になりました。詳しくは遺言執行者とは【2020年最新版】|遺言執行者になれる人とその役割のページをご参照ください。

ステップ4証人2名を誰にするか決め、公証役場に行って日程調整をする
次に、秘密証書遺言を公証役場に持ち込む段取りをしておきましょう。 先に一人で公証役場に訪問するのですが、その場で日程調整をするため、公証役場に訪問する前に証人となる2人のスケジュールを把握しておく必要があります。 次の人は証人になれませんので、ご注意ください→未成年者・配偶者・直系親族・推定相続人や受遺者(遺言により贈与を受ける人)

証人2名が見つからない場合は公証役場に依頼して証人を立ててもらうこともできますが1人につき約8,000円、2人だと16,000円の費用が追加でかかります。(この証人は、元家庭裁判所の職員のOBの方で、守秘義務にもしっかりした理解がある人物とのことです)

自宅住所などは関係なく、全国どこの公証役場でも予約を取れます。私の場合は、職場に近い公証役場に行きました。 この日は、自分の身分証明書を持参することと、証人2名の氏名・職業・住所・生年月日(和暦)もその場で聞かれましたので、事前にメモしておきましょう。
ステップ5遺言書の署名押印と封印
公証役場と証人2名の日程調整が終わったら、当日までに遺言書を完成させておきましょう。 次のものをご準備ください!

【用意するもの】

  • パソコンから印刷した遺言書
  • ボールペン
  • 印鑑 (実印でなくても良い。シャチハタはNG)
  • 朱肉
  • のり
  • 遺言書を入れる封筒

※のりと封筒は、当日訪問したときに公証役場のものを使用しても構いません。

準備ができたら、まず遺言書に署名押印し、封筒に入れます。秘密証書遺言は必ず封をするというのがポイントです。封印する印鑑は、遺言書本体の署名押印に用いたものと必ず「同じ」印鑑を使用してください。 封入と封印の作業は、公証役場で訪問当日に行なっても構いません。その場合は、署名押印した印鑑を忘れずに持参してください。
ステップ6いざ、公証役場へ
遺言書の封印が完了し、公証役場へ訪問する当日は、持参するものを再度確認して、証人2名とともに行きましょう。

【当日持参するもの】

● 遺言者本人

  • 封印をした遺言書
  • 現金11,000円
  • 印鑑 (遺言書本体の署名押印に用いたもの)
  • 運転免許証などの身分証

● 証人

  • 運転免許証などの身分証
  • 認め印
公証役場での手続きは公証人の指示に従って動くだけで完了します。現地で約30分くらいで終了します。
ステップ7家族が確実に気づく場所に秘密証書遺言を保管する
公証役場から持ち帰った秘密証書遺言は、自分で保管しなければなりません。自分の死後に確実に発見される場所に保管しておきましょう。 以上で、秘密証書遺言が完成しました!

秘密証書遺言の文例と保管封筒の見本

秘密証書遺言の文例 秘密証書遺言の保管封筒の見本 秘密証書遺言の保管封筒の見本

秘密証書遺言の保管と検認

専門家からのアドバイス

秘密証書遺言を残すくらいですから、財産とその配分についてしっかりとした想いを持っておられるはず。その想いを家族に確実に伝えるためには、絶対に発見してもらえる場所に保管おくことが重要です!

秘密証書遺言の保管

秘密証書遺言は、自宅に保管するか銀行の貸し金庫などに保管する、あるいは弁護士や行政書士などの専門家に保管してもらう方法などがあります。 生きている間に家族に勝手に開封されたり、破棄されたり、逆に死後に発見してもらえないといったケースを防ぐため、確実な場所に保管しましょう。 たとえば自宅の金庫に、通帳や不動産の権利証とともに保管しておくのが最善の置き場所といえるでしょう。 銀行が遺言保管などのサービスをしていることもありますが、相続関係の業務について銀行の報酬設定はかなり高いため、お薦めできません。 また上記3で説明したとおり、秘密証書遺言については法務局の保管制度は平成31年の改正後もありません。

秘密証書遺言の検認

秘密証書遺言を発見したら、それを家庭裁判所に持ち込んで「検認(けんにん)」の請求を行ないます。 もし検認する前に開封してしまった場合は、5万円以下の罰金が課されます。 ただし、間違って開封してしまったからといって遺言書自体が無効になるわけではありません。 また、検認は遺言書の存在の有無を明確にし、偽造などを避ける目的で行なわれるもので、その遺言書の有効性を証明するものではないことにご注意ください。

遺言書作成をプロに依頼する場合の選び方

専門家からのアドバイス

遺言書は法律と深くかかわることなので、専門家の無料相談は積極的に受けておきましょう!多くの人が一生に一度しかない機会です。ミスなくきっちりしたものを作成しましょう。
この記事を読んで、しっかりと手順を踏めば秘密証書遺言をきっちり作成できることはお分かり頂けたのではないでしょうか? ただ、ご家族関係や財産内容によって、最適な相続対策は一人ひとり違ってきます。 遺言書は雛形を使って作成できる既成品ではなくて、その方にあったオーダーメイドの内容になってきます。 相続争い相続税の節税対策を考えるのであれば、お金を払ってでもプロに依頼したほうが良いケースも多いと思います。 遺言書の保管や、誰が遺言執行をするか?という部分だけでも専門家はおおいに活用できると思います。 では、たくさんの専門家の中からどうやって依頼する人を選べばよいのでしょうか? 実は遺言書の作成だけであれば、お手伝いをするのに国家資格は必要ありません。 国家資格がないとお手伝いできないのは「法律相談=相続の争いごと(弁護士)」「税金相談=相続税の節税対策(税理士)」 の2つになります。これらをメインに相談したいのであれば、いずれかの専門家を選びましょう。 次に依頼する会社(事業者)の選び方ですが、遺言書は作成から実行までがの期間が長期に渡りますので必ず法人を選びましょう。 個人事務所は、所長が亡くなってしまったら事業を継続しないことがあります。 法人であれば社名に「●●法人」とついていますので、それで判別することができます。 また一番大事な点は、「相続」の業務に精通していて実績が豊富な法人です。 相続というのは、実務経験が積みづらい業務ですので、専門家による腕の差が出やすいことを理解して、専門家選びを進めてみてください。

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