この記事でわかること
- 遺言書の検認の概要
- 遺言書の検認期日に欠席できるかどうか
- 遺言書の検認期日に欠席するリスク・デメリット
- 遺言書の内容に納得いかないときの対処法
被相続人(亡くなられた方)が自筆の遺言書を遺していたときは、原則家庭裁判所に検認を申し立てる必要があります。
「身内のことだから検認しなくてもよいのでは?」と思われるかもしれませんが、自筆証書遺言は偽造や変造のリスクがあるので、家庭裁判所の確認が必要です。
また、家庭裁判所から遺言書の検認期日を指定されますが、家庭裁判所は平日しか開庁していないため、土日や祝日しか休みが取れない方は検認期日に出席できないケースもあるでしょう。
今回は、遺言書の検認期日に欠席できるかどうかや、欠席するリスクやデメリットをわかりやすく解説します。
目次
遺言書の検認とは
遺言書の検認とは、家庭裁判所が遺言書の存在およびその内容を相続人に通知して、遺言書の偽造や変造などを防止するための手続きです。
ただし、遺言書の有効性を判定する手続きではないため、遺言者の意思かどうか疑わしいときは、訴訟が必要になるケースもあります。
また、遺言書の検認完了までは以下の流れになっています。
- (1)遺言書検認の申立て:遺言者の最後の住所地の家庭裁判所に対して行う
- (2)検認期日の通知:検認期日通知書が相続人全員に送付される
- (3)検認期日:遺言書の提出および裁判官による遺言書の検認
- (4)検認済証明書の発行
法務局に保管されていない自筆証書遺言や、秘密証書遺言は相続手続きの際に検認済証明書を添付することが必要ですので、必ず検認を申し立てましょう。
遺言書の検認期日は申立人以外は欠席できる
検認期日の通知は相続人全員に送付されますが、出席・欠席は本人が判断すればよいため、欠席しても特に問題はありません。
ただし、申立人は遺言書を持参しなければならないため、検認期日の出席が義務付けられています。
また、申立人以外の欠席については、特に裁判所に届出は必要ありません。
検認期日については、申立後、家庭裁判所から申立人に期日調整の連絡が来ます。出席できる日を伝えて、家庭裁判所と調整をしましょう。
また、検認申立てを弁護士に依頼すると、当日は弁護士が代理人として出席してくれます。
遺言書の検認が終わるとその場で検認済証明書を発行してもらえるので、150円分の収入印紙で手数料を支払います。
収入印紙は郵便局やコンビニエンスストア、または家庭裁判所に併設された売店で購入しましょう。
遺言書の検認期日に欠席するリスク・デメリット
前述したように、遺言書の検認期日に欠席してもペナルティはありませんが、以下のようなリスクやデメリットを考慮しておく必要があります。
遺言書の内容確認が遅くなると、重要な相続手続きに間に合わなくなる恐れがあります。
欠席者には遺言書のコピーが送付されない
遺言書の検認期日に欠席した相続人がいる場合、家庭裁判所から検認済通知が送付されます。
検認が完了した旨を通知する文書ですが、このとき、検認を受けた遺言書のコピーは送付されません。
つまり、検認期日に欠席すると、申立人に遺言書を見せてもらう、またはコピーを送付してもらうまで遺言書の内容がわからないことになります。
「相続したくない不動産を受け取ることになっていた」など、不都合な内容が書かれていたときは、相続放棄や限定承認が必要になる場合も考えられます。
相続放棄や限定承認を選択する場合、検認期日に欠席したかどうかに関係なく、相続開始があったことを知った日から3ヶ月以内が家庭裁判所への申立て期限です。
申立て期限を過ぎると、被相続人の借金も引き継がなくてはならないリスクがあるので、遺言書の検認にはできるだけ出席することをおすすめします。
遺言書の内容に納得いかないときの対処法
家庭裁判所の検認では遺言書の有効・無効を判定しないため、遺言者の意思で書かれたかどうかはわかりません。
遺言書は認知症の状態で書かれているケースや、相続人が脅迫して書かせる場合もあり得るため、遺言内容に納得できないときは以下のように対処しましょう。
遺留分侵害額を請求する
遺言書が本人の意思で作成されており、形式的な要件も満たしている場合、原則として遺言内容に従わなければなりません。
ただし、一定の相続人に保護された最低限の取得割合である「遺留分」の侵害があったときは、侵害している相手に侵害相当額の請求ができます。
請求方法は特に決まっていませんが、請求権を行使しなかった場合、相続開始と遺留分の侵害を知った日から1年後に時効が完成します。
遺留分の侵害額請求は記録に残しておく必要があるので、配達証明付きで内容証明郵便を送付しておくとよいでしょう。
相手が遺留分侵害額の支払いに応じないときや、内容証明郵便の文面をどう書いてよいかわからないときは、弁護士に相談することをおすすめします。
遺産分割協議で財産の分け方を決める
相続人全員の同意があれば、遺言書と異なる内容の遺産分割協議をすることも可能です。
しかし、遺産分割協議をすることに全員が同意しても、遺産分割協議がスムーズにまとまるとは限りません。
遺産分割協議が成立しない限り、預貯金解約や不動産の名義変更、相続税申告などの手続きを開始できないので注意してください。
また、相続人以外の受遺者がいる場合などは、相続人全員の同意があっても遺産分割協議が出来ないので注意しましょう。
家庭裁判所に調停を申し立てる
遺言書の有効・無効を争う場合、家庭裁判所に調停を申し立てる方法もあります。
調停は話し合いによる解決方法ですが、意見が食い違う相手と直接話し合うわけではなく、調停委員が間に入ってくれます。
調停委員は適切な解決ができるように助言をしたり、解決案を提案したりしてくれるので、訴訟を起こさなくても遺言書の有効・無効を解決できる可能性があるでしょう。
なお、調停は裁判官が判決を下すわけではないため、相続人の内、一人でも行為しないときは調停不成立になります。
調停で問題解決できなかったときは、訴訟を検討することになります。
訴訟を提起する
調停で遺言書の有効・無効を解決できなかった場合、地方裁判所または簡易裁判所で訴訟を起こし、司法に判断してもらう方法もあります。
訴訟の場合は判決が下るので、遺言書の有効・無効が明確になるでしょう。
ただし、遺言書がどのような理由で有効または無効なのか、自分で証拠を集めて立証しなければなりません。
訴訟の場合は口頭弁論も行われるため、裁判所が指定した期日に出廷し、論理的な主張を展開する必要もあります。
訴状の作成や証拠収集などに対応できないときは、必ず弁護士に相談してください。
まとめ
遺言書検認の申立人以外であれば、検認期日に欠席しても特に問題はありません。
ただし、検認期日に欠席すると遺言内容をすぐに知ることができないため、相続放棄や限定承認が必要であっても、すぐに準備できない場合があります。
検認手続きでは遺言書の有効性が判定されないので、遺言内容が疑わしいときは、調停や裁判が必要になる可能性もあるでしょう。
遺言書の検認期日にどうしても出席できないときや、親族間で有効・無効の意見が分かれたときは、早めにベンチャーサポートの無料相談をご利用ください。
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