家や土地といった不動産を相続で取得した場合、税金がかかります。
しかし一律に課税されるわけではありません。
税金がかかる場合とかからない場合があり、判断に悩む人も少なくありません。
相続時の不動産取得税とその計算方法について、詳しく解説します。
不動産取得税とは
不動産取得税とは、不動産を取得したときに課される国税のひとつです。
不動産は金銭価値のある大きな財産なので、現金を得た場合と同様に、不動産の価格に応じた税金が徴収されるのです。
不動産取得税は次の5つの方法で不動産を得た場合に課せられます。
- ・売買
- ・新築
- ・増改築
- ・贈与
- ・交換
相続は不動産取得税の対象ではない
さきほどご説明した不動産取得税の原因に、「相続」がはいっていませんでしたよね。
そう、相続による不動産の取得には基本的に不動産取得税は課されません。
不動産取得税は、自分の意思で財産である不動産を取得したことを原因として発生します。
しかし相続はだれかの死によって強制的に発生するものであり、時期を決めることはできないし逃れることもできません。
そのような事柄を原因として不動産取得税を課すのは酷ということで、相続は不動産取得税の原因からは除外されています。
しかし例外として、相続でも不動産取得税が課される場合が3つあります。
例外1 生前贈与の場合
生前贈与とは、不動産の所有者が存命中に不動産をだれかに贈与することです。
自分の意思にそって相続を行いたい人などが利用する相続方法のひとつですが、法律上は「贈与」にあたります。
贈与は不動産取得税の原因のひとつのため、不動産取得税が課されます。
例外2 遺贈により法定相続人以外が相続した場合
遺贈とは、故人の遺言によって相続をすることです。
たとえば「A土地を内縁の妻に遺贈する」という遺言があった場合、内縁の妻が遺贈により土地を相続することになります。
法定相続人とは、法律が相続すべき者として定めた人物のことです。
いくつものパターンがあるためここでは説明しきれませんが、基本的には次のように定められています。
- ・既婚者の場合→配偶者と子ども
- ・未婚者の場合→親と兄弟
遺言によって法定相続人が不動産を取得した場合は不動産取得税がかかりません。
遺言書があろうとなかろうと法定相続人は不動産を相続することになるため、遺言書の有無にかかわらず非課税となっています。
しかし遺贈の相手が法定相続人以外の場合、本来は相続するはずのない人が不動産を取得することになるため、不動産取得税が課されます。
死因贈与
死因贈与とは、死亡を原因とした贈与契約のことです。
たとえば「私が死んだらこの家をあげるよ」「ありがとう、もらうね!」という契約がなされた場合、死亡によって家が贈与されます。
死亡を原因とするため相続と思われがちですが、法律上は「贈与」にあたり、不動産取得税が課せられます。
不動産取得税の計算方法
不動産取得税の金額は、不動産の価格によって異なります。
基準となる価格は固定資産税の評価額で、毎年役所から送られてくる固定資産税の支払い書に記載されています。
不動産取得税の税率は4%で、これを固定資産税評価額にかけて算出します。
不動産取得税金額=固定資産税評価額×4%
お得な軽減措置
現在不動産取得税の軽減措置がとられており、2021年3月31日までの取得であれば、低い税率が適用されます。
特に宅地または宅地と同様の土地については、固定資産税評価額の半額が課税対象額になります。
土地・住宅→固定資産税評価額×3%
宅地→固定資産税評価額×1/2×3%
まとめ
相続による不動産の取得は、原則は不動産取得税の対象ではありません。
相続は突然に、それも強制的におこるもののため、税を課すのは酷なためです。
しかし相続であっても、「生前贈与」「遺贈により法定相続人以外が相続した場合」「死因贈与」の3つは例外的に不動産取得税の対象となります。