この記事でわかること
- 遺言書がどれだけの期間有効となるのか知ることができる
- 古い遺言書がある場合のデメリットについて知ることができる
- 遺言書が古くなった場合にどのような対処をすればいいかがわかる
亡くなって相続が発生する前に、遺言書を作成しようと考えている方もいるでしょう。
またすでに、遺言書を作成した方もいるかもしれません。
遺言書を作成すれば、遺産分割の際に大きな意味を持ちますが、遺言書に有効期限はあるのでしょうか。
また、一度作成した遺言書が古くなってきた場合の対処法についても確認しておきましょう。
目次
遺言書が効力を持つ期間
遺言書を作成すると、その後亡くなるまで一度も中身を見直すことはないかもしれません。
自筆証書遺言は開封してしまうと無効となってしまいますし、公正証書遺言は法務局に保管されているからです。
それでは、遺言書に有効期限のようなものはないのでしょうか。
一度作成すれば、その後遺言書を作り直す必要はないのか、確認していきましょう。
遺言書に有効期限はない
遺言書が有効に成立するかどうかは、その遺言書の記載内容や形式によって判定されます。
ただし、有効に成立した遺言書であれば、その遺言書が後から無効とされることはありません。
たとえ作成した日から長い年月がたっていたとしても、そのことを理由として遺言書が無効とされることはないのです。
自筆証書遺言はいつまでも有効
遺言書の形式にはいくつか種類がありますが、主に2つの形式の遺言書が利用されています。
1つは自筆証書遺言、もう1つは公正証書遺言です。
このうち自筆証書遺言は、自分で作成した遺言書を自宅などで保管しておくものです。
遺言書の作成自体に費用はかからないため、一番手軽に遺言書を作成できる方法といえます。
この自筆証書遺言を作成した場合も、遺言書の有効期限はありません。
遺言書を作成した日付を記載しなければなりませんが、その日付は有効期限を決めるためのものではありません。
自筆証書遺言に日付を記載するのは、どれが最近に作成された遺言書かを判定するためです。
自筆証書遺言は、形式などをきちんと守って作成すれば、最も簡単に遺言書を作成できます。
そのため、中には自筆証書遺言を何度も作成する人もいます。
自筆証書を何度も作成することに問題はなく、この場合、最後に作成した遺言書が有効なものとなります。
そのため、自筆証書遺言には必ず作成した日を記載しなければならないとされています。
もし複数の自筆証書遺言が発見された場合は、その日付を確認しましょう。
そもそも日付が記載されていなければ、その遺言書は有効ではないこととなります。
また、いずれにも日付が記載されているのであれば、一番後の日付のものが有効となります。
この場合、遺言書に有効期限はありませんが、古い日付のものはいずれも無効となります。
公正証書遺言は保管期間に注意
遺言書のもう1つの種類である公正証書遺言は、自筆証書遺言と比べると作成に手間がかかります。
また、公証役場に行かなければならない上に費用もかかることから、決して手軽に作成できるとはいえません。
ただし、公正証書遺言として作成した遺言書は公証役場で保管されるため、紛失や改ざんの心配がありません。
また、公証役場で証人立ち会いのもと作成されるため、本物か偽物かを疑われる心配もないことが大きなメリットです。
公正証書遺言として作成された遺言書も、有効期限はありません。
5年ごと、10年ごとに作り直すというものではないため、一度作成すればその公正証書遺言はいつまでも有効なのです。
ただ、公証役場で公正証書遺言を保管する期間は20年とされていることには注意が必要です。
20年の保管期間が経過すると、公正証書遺言の原本が失われてしまいます。
公正証書遺言を作成した時に公正証書遺言の写しを交付され、その写しを保管していれば遺言の内容を確認することは可能です。
しかし、写しをなくした状態で原本も保管されていない場合には、一切遺言の内容を確認することはできなくなります。
なお、実際には保管期間の20年が経過した後も、遺言者が存命中は保管すべきとされています。
また、遺言者が120歳の年齢に達するまでは保管しておく取扱いとしている公証役場もあります。
古すぎる遺言書のデメリット
遺言書には有効期限はないことがわかりました。
過去に遺言書を作成した人は、これからその遺言書が無効になることはないため、安心していただけたでしょう。
ただ、いつまでも過去に作成した遺言書が有効に成立することにデメリットはないのでしょうか。
古すぎる遺言書のデメリットについて考えてみましょう。
相続人が変わっている
古すぎる遺言書のデメリットの1つ目は、遺言書に書かれた相続人に変化が生じていることがある点です。
財産を分けるとした相続人がすでに亡くなっており、その人がいないということがあり得ます。
逆に、法定相続人となる人が増えて、慰留分を主張できる状況となることもあります。
通常、法定相続人の相続分や慰留分を考慮して、トラブルとならないような遺言書を作成します。
しかし、遺言書に書かれた相続人と実際の相続人が違うのでは、書かれたとおりに遺産分割することはてきません。
その結果、遺言書があるにも関わらず、遺産分割をめぐるトラブルが発生してしまう結果となり得ます。
財産の内容が異なる
古すぎる遺言書の2つ目のデメリットは、財産の内容が変わっていることがある点です。
遺産分割の対象となる財産を、誰が引き継ぐのかを遺言書で決めていきます。
しかし、古すぎる遺言書には、すでにない財産についても記載されている可能性があります。
逆に、遺言書作成後に入手した財産について、遺言書に書かれていないこともあります。
また、財産自体はあっても、長い年月の間にその価値が大きく変わってしまうことも珍しくありません。
預貯金であれば、遺言書作成時は何千万円もあったのに、亡くなった時には10分の1、100分の1以下となっていることがあります。
有価証券や不動産などの価値もその時々で変化するため、亡くなった時の価値は遺言書作成時の価値とは大きく変わっていることもあります。
その結果、古すぎる遺言書のとおりに遺産分割を行うと、相続人ごとの取り分に大きな差がでてしまい、トラブルとなることがあります。
遺言書が古くなったときの対処法
遺言書が古くなった場合、そのまま放置しておくのは望ましくありません。
できるだけ早く、何らかの対策をする必要があります。
そこで、どのような対処法があるのかご紹介していきます。
遺言書を再作成する
遺言者がまだ健在であれば、遺言書を作り直してもらうことができます。
相続人や財産について、実際の状況を反映した遺言書に作り替えれば、遺言書を作成する意味があります。
遺言書の中身を知っているのは遺言者だけということも珍しくありません。
仮に中身を知っている相続人がいたとしても、遺言者に遺言書の再作成をお願いするのは簡単なことではありません。
遺言書が古くなっていることを遺言者自身が感じていなければ、この対処法を実行するのは難しいでしょう。
遺産分割協議を行う
相続人が古くなった遺言書の内容について、疑問を感じることもあるでしょう。
このような場合には、有効に成立した遺言書であっても、その遺言書のとおりに遺産分割を行わないことができます。
遺言書が有効に成立していると、その遺言書に従って遺産を分けなければならないと思うのが普通です。
しかし、実際には遺言書のとおりに遺産分割ができないことがあります。
古すぎる遺言書に書かれた相続人がいない、あるいは財産がすでに存在しないことがあるためです。
遺言書がある場合でも、すべての相続人が同意していれば、遺言書に従わず遺産分割協議を行うことができます。
有効に成立していても、実際には意味のない遺言書がある場合には、遺産分割協議を行うのが最善の対処法といえます。
まとめ
遺言書は、相続が発生した時に、遺産分割をスムーズに進める上で大きな意味を持ちます。
遺言書は、一度作成すれば有効期限はないため、通常は何度も作成することはありません。
しかし、あまりに古すぎる遺言書は、その内容が実態に合わず遺言書としての意味を持ちません。
トラブルを避けるための遺言書が新たなトラブルの火種とならないよう、定期的に作り替えることも必要です。
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