先月、長年連れ添った妻が急に仕事先で倒れて、そのまま亡くなってしまいました。
あまりにも突然のことでびっくりしましたが、ようやく生活にも落ち着きを取り戻してきました。
妻は亡くなるまで15年ほど、居酒屋を経営していました。
お客さんにも恵まれて順調に運営していたようで、数年前に多額の借金をしてお店の改装を行っていました。
しかし、その借金返済の最中に亡くなってしまったのです。
残されたお店は現状復帰をして大家さんに返さなければなりませんし、借金も返済しなければならないとなると、非常に大きな負担になることを覚悟していました。
ところが先日、32歳になる息子が相続放棄をすれば借金の返済をしなくてもいいといって、相続放棄申述書を取り寄せてくれました。
この書類を裁判所に提出すれば相続放棄できるということなのでしょうか。
また、記載するうえでの注意点などはあるのでしょうか。
相続放棄申述書とは、相続人が被相続人の財産を相続せずに相続放棄することにした場合、家庭裁判所に提出する書類です。
相続放棄申述書の書式は裁判所に行って入手することができるほか、裁判所のホームページからダウンロードすることもできます。
「相続放棄申述書」(裁判所)
相続放棄申述書に記載する内容は、相続放棄しようとする人(申述人)について本籍、住所、氏名、生年月日、職業、被相続人との関係です。
被相続人については、本籍、最後の住所、死亡当時の職業、氏名、亡くなった日です。
特別に難しい内容ではありませんが、注意すべき点としては、本籍や住所については住民票や戸籍謄本に書かれた通りに正しく記載することです。
また、相続放棄をする理由を記載する欄があるため、5つの選択肢の中から1つを選んで丸をつけるようになっています。
さらに、相続財産の概略として、現金・預貯金や有価証券の金額、そして土地や建物の広さ、負債の金額を記載する必要があります。
概略ということなので、細かい金額まで記載する必要はありませんが、資産・負債の内容を調査したうえで、おおよその金額を記載するようにしましょう。
もし相続人の中で複数の人が相続放棄するのであれば、その相続する人がそれぞれ、相続放棄申述書を作成しなければなりません。
1枚の用紙に連名で記載することはできないため、間違えないようにしましょう。
また、相続放棄申述書を提出する際には、添付書類を一緒に提出する必要があります。
相続人が配偶者や子供の場合の添付書類としては、
この3つが必要です。
これらの書類をそろえずに相続放棄申述書だけを提出しても相続放棄は認められないため、必ず書類がそろったことを確認して提出するようにしましょう。
最後に、相続放棄するためには被相続人の死亡の日から3か月以内に、相続放棄申述書を家庭裁判所に提出しなければなりません。
この期限を過ぎてしまうと、相続放棄できなくなるため必ず守りましょう。
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