2か月前に父が85歳で死亡しました。
父には私のほかに私の兄と妹の3人の子どもがいましたが、兄は既に死亡しており、兄に3人の子どもがいます。
母は5年前に死亡しています。父は生前会社を経営しており、預貯金約3億円と自宅の土地建物、約5000万円分の会社の株式などが財産として残りました。
父はここ10年は介護が必要な状態が続いており、妹が実家に戻って介護に専念してくれました。
現在、遺産分割のための話し合いをしようとしていますが、私の甥や姪に当たる兄の子どもたちが私や妹が財産を隠しているのではないかと疑っており、話し合いが進みません。
私としても生前の父とほとんど関係がなかった甥や姪が財産を相続することに納得がいきませんし、父の介護してくれた妹に多くの財産を引き継いでもらいたいと考えています。
今後の遺産分割協議をどのように進めていくべきでしょうか。
お父様が亡くなられたということで、今後の遺産相続について心配をされているようですね。今回ご質問の相続にあたっては、①相続人の考え方と②遺産分割のあり方について再確認しておく必要があります。
まずは、①相続人の考え方 についてお話いたします。
今回の相続人は、被相続人の配偶者であるお母さまがすでに他界されているとのことですから、お子様3人となります。ただし、お兄様もすでに亡くなられているとのことですから、お兄様の子供であるあなたの甥や姪が法定相続人となり代襲相続することとなります。
亡くなった本人との関係の深さ・浅さは相続割合には一切反映されないため、ここでは冷静に考える必要があります。
つぎに、②遺産分割のありかた についてお話いたします。
遺産分割にあたっては、まず亡くなった人が遺言書を残していないかを確認しなければなりません。もし遺言書を残している場合には、その遺言書の内容にしたがって遺産分割を行う必要があるからです。
遺言書には自筆証書遺言、秘密証書遺言、公正証書遺言の3種類がありますが、多くの場合自筆証書遺言か公正証書遺言のいずれかです。自宅で発見される遺言書は自筆証書遺言であり、裁判所における検認の手続きが必要となるため、勝手に開封しないようにしましょう。
遺言書がなければ、相続人どうしで遺産分割協議を行うこととなります。この際注意が必要なのは、必ずしも法定相続割合で分割しなくもいいことです。しかし、全員が納得のいく分割方法を探し出すのも難しいため、法定相続割合を参考にして遺産分割を行うのも1つの方法です。
なお、被相続人の生前に、その人の財産の維持や増加に貢献した人については、寄与分として他の相続人より多く財産を相続することができます。今回のケースでは、妹さんがお父様の介護をされていたとのことですから、その寄与分が認められる可能性があります。遺産分割協議の場で寄与分を認めるのは他の相続人であるため、他の相続人の方が納得できるような証拠書類を提示し、認めてもらうようにしましょう。
なお、被相続人の兄弟姉妹以外の法定相続人には、最低限相続すべき割合を示す遺留分が認められます。この遺留分があることを忘れて遺産分割を行うと、後から争いとなってしまう可能性があります。
遺産分割協議が成立しない場合には、家庭裁判所における調停や審判によることとなりますが、できるだけ協議により遺産分割を行うことができるよう、話し合いを重ねる必要があります。
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