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成年後見制度はひどい制度って本当?│トラブル事例や使うべき人

私の85歳になる父親のことで質問があります。
父親は5年ほど前から認知症と思われる症状を発症し、ここ数年は同居する母親(本人の妻)や近くに住む私の家族も目を離せない状況にあります。
また、財産の管理を自分ですることは難しい状況にあるため、成年後見制度などを利用することを検討しています。
ところが、いろいろ調べていると、成年後見制度はひどい制度だから利用しない方がいいとか、成年後見制度を利用して後悔したといった記事を目にすることがあります。
はたして成年後見制度とは、それほどひどい制度なのでしょうか。
成年後見制度を利用することによるデメリットや、利用するうえで問題になりやすい点、注意点などあれば教えていただきたいです。

専門家の解答

成年後見制度とは、判断能力が低下して自身で意思決定を行うことが難しい方が、財産の管理や日常生活のサポートを受けるために設けられている制度です。

利用にあたっては家庭裁判所で成年後見人の選任手続きをしなければならず、成年後見人が選任されれば大きな権限を与えられることとなります。

成年後見制度がひどい制度だというわけではありません。

多くの方は、この制度を利用して自分ではできない財産の管理などを行ってもらっています。

しかし、中にはトラブルになるケースもあるため、そのような事例を見聞きされたのだと思われます。

成年後見制度がひどいと言われる理由

成年後見制度は、判断能力が低下した人の財産の管理や、生活のサポートのための制度です。

しかし、成年後見制度はその中身や利用状況からひどい制度だといわれることがあります。

実際、どのようなひどい点があるのでしょうか。

利用者数が少なく必要な人に制度が届いていない

成年後見制度の利用者として最も想定されているのは、高齢者です。

しかし、高齢化社会がますます進展する一方で、成年後見制度の利用者は非常に少ないままとなっています。

厚生労働省の公表した「成年後見制度の現状」によれば、成年後見制度の利用者は、令和3年12月末日現在で239,933人となっています。

この人数は、総務省統計局が公表した「人口推計 2021年(令和3年)10月1日現在」における65歳以上の高齢者3,621万人の高齢者の0.6%程度にすぎません。

被後見人の親族が後見人に選ばれないことがある

他の人の助けを必要とする被後見人の親族が、必ずしも後見人に選任されるわけではないことが、成年後見制度を利用しにくくする要因となっています。

後見人となるには、被後見人の近くで、様々な活動を行う必要があります。

しかし、被後見人と後見人が一緒に生活しているケースは年々減っていき、親族が後見人になれない事例が増えています。

また、親族が後見人になっても、その後見人となった人が不正を働くこともあります。

そのため、親族ではなく第三者である専門家が後見人に選任されるケースが増えているのです。

後見人による不祥事が問題になっている

先ほど、親族が後見人に選ばれないケースが増えていると説明しました。

ただ、これは親族が後見人になった場合だけの話ではありません。

弁護士や司法書士などの専門家が後見人になった場合も、同じように後見人になった人が不正を働くケースがあります。

後見人が被後見人の財産を奪ってしまう事例が多く発生し、その被害額は年間数億円に達しています

平成26年をピークに、後見による被害の件数や被害額は徐々に減少傾向にありますが、それでも被害がなくならないため、ひどい制度といわれる原因となっています。

成年後見人に報酬を支払う必要がある

成年後見人に親族が選ばれた場合、その親族に対して必ずしも報酬を支払う必要はありません。

そのため、親族が後見人となった場合には、被後見人の負担はほとんどないというケースも多くありました。

しかし、第三者が後見人に選ばれると、その第三者に対しては毎月決まった報酬を支払わなければなりません

報酬の金額は、被後見人の財産の金額に応じて月額2万円~6万円程度の報酬が発生します。

柔軟な財産管理や相続対策に対応できない

成年後見制度は、被後見人の財産を守るための制度といわれています。

後見人となった人がいても、被後見人の財産を子や孫に贈与するといった相続対策はできません

これは、財産を贈与すると被後見人の財産が減ってしまうため、被後見人の財産を守ることができず、不利益になると考えられているためです。

相続対策として贈与を行い、その結果として相続税の負担が軽減されたとしても、生前贈与を行うことは認められません。

申立手続きに費用や手間がかかる

成年後見制度を利用するためには、家庭裁判所に申し立ての手続きを行わなければなりません。

この申し立てを行う際には、申し立て手数料として収入印紙を800円程度支払う必要があります。

また、このほかにも戸籍謄本や住民票などを取得し、郵便切手を購入する必要があり、それぞれ費用がかかります

さらに、医師の診断書が必要となるため、5,000円~10,000円程度の費用がかかります。

親族間のトラブルに発展する場合がある

被後見人の財産の管理を任された後見人に対して、その立場を利用して不正を働いているのではと疑念を持つ親族がいる場合があります

後見人になった親族がいる場合には、その人が不正を働いているのではないかと疑ってかかります。

また、専門家が後見人になった場合には、その専門家が不正をしているのではないかと追及してきます。

いずれも、何の根拠もなく一方的に主張しているケースも多く、その背景には親族同士の関係がうまくいっていないことなどがあげられます。

成年後見制度のトラブル事例

成年後見制度を利用している人の中には、とんでもないトラブルに巻き込まれてしまうことも少なくありません。

実際にどのようなトラブルが起こることがあるのか、その実例を紹介していきましょう。

成年後見により親族が面会拒否にされるケース

成年後見制度の申請を行う際には、将来的に相続人になる人などの全員の同意は必要ありません。

親族の中の誰か1人が動けば、成年後見制度を利用するための申請を行うことができます。

そのため、知らない間に成年後見人が選任されていることも起こり得るのです。

その後、被後見人となった人は介護施設に入れられ、親族でもすぐには会えない状況となってしまいました。

さらに親族が来ても被後見人に勝手に会わせないよう、もし被後見人に会う場合は後見人を通して面会の申込を行うように施設に申し入れを行ったのです。

成年後見人が不祥事を起こすケース

弁護士や司法書士などの専門家が、成年後見人に選任されるケースが多くあります。

このような人が成年後見人になるのは、法的な知識が必要なことに加えて、職業倫理の観点から、不正を働くことはないと考えられているためです。

しかし、実際には不祥事を起こすこともあります。

ある事例では、被後見人の財産管理を行うために、後見人である弁護士は毎月定期的に、田舎にある被後見人の家を訪れているといっていました。

しかし、ある日親族がその家を訪ねると、とても管理されているとは思えないようなひどい状態でした。

そのため、後見人が現地に行くために引き出したお金を、個人的に利用しているのではないかと考えられているのです。

成年後見制度の利用により被後見人との約束が無効になるケース

被後見人が元気なうちに、子や孫といろいろな約束をしていることがあります。

中でも、孫が大学に入ったら、その入学金や授業料は全部払ってあげるといった約束をしていることは多くあります。

しかし、孫が大学に入る前に、判断能力の低下により成年後見制度を利用する状況になると、孫のためであっても入学金や授業料を支払うことはできません

たとえ後見人に過去の経緯を説明しても、そのような支払いは一切認められないため、予定外の出費が急に発生することも起こり得ます。

成年後見制度のメリット

成年後見制度のメリットは、被後見人を法的に守り、財産を管理できることです。

成年後見制度を利用すれば、被後見人の契約・法的な手続きを進められます。

もし被後見人が誰かに騙されて不利益な契約を結んでしまったとしても、後見人は契約を解除できます。

また成年後見制度を利用することで、被後見人の財産を管理できます

預貯金の管理・解約、施設に入所するための介護保険契約、不動産などの処分も可能です。

これらの手続きは本人しかできませんが、成年後見制度を使えば後見人が代わりに手続きできます。

後見人しか財産の管理が認められてないため、他の家族が被後見人の財産を使い込むような心配もありません。

成年後見制度を使うべき人とは?

「成年後見制度のメリット・デメリットは分かったけど、自分は使った方がいいのか?」と疑問があるかもしれません。

ここからは、成年後見制度を使うべき人を紹介します。

契約・手続きを行いたい人

契約や手続きを行いたい人は、成年後見制度の利用がおすすめです。

  • ・銀行、証券会社で手続きしたい
  • ・介護施設、サービスの契約がしたい

上記のような手続きは、本人しか認められていません。

しかし本人に判断能力がなく「手続きをしたいのに、本人にはお願いできない」というケースもあるでしょう。

そのような場合に、成年後見制度を利用すれば、本人に代わって法的な手続き・契約を進められます

さらに成年後見制度なら、遺産分割の協議も可能です。

相続が発生したときに「遺産をどうやって分けるのか?」という話し合いが発生します。

本人に判断能力がなければ遺産分割協議自体も進みませんが、成年後見制度を使えば、後見人が代理として話し合いに参加できます。

財産管理したい人

成年後見制度を使えば、被後見人の財産を管理・処分できます。

例えば「被後見人が持っている不動産を売却したい」というときに、本来なら本人しか手続きできません。

しかし、成年後見制度を使っていれば後見人が不動産を売却できます。

家庭裁判所への許可が必要にはなりますが、本人しかできない財産の管理・処分ができるようになります。

また「被後見人の財産を詐欺・使い込みから守りたい」という人もいるでしょう。

成年後見制度を使えば、後見人以外は財産の管理をできないため、結果的に財産を守ることができます。

もし詐欺のような契約を結んだとしても、後見人があとから契約解除できます。

「被後見人を詐欺、財産の使い込みから守りたい」という人には、成年後見制度が向いているでしょう。

家族信託の利用も検討しよう

「成年後見制度はデメリットが多いから、他の方法を探している」という人には、家族信託の利用がおすすめです。

家族信託とは、家族の誰かを「受託者」として選び、財産の管理・運用・処分を任せる契約です。

成年後見制度のように裁判所が介入せず、当人同士の契約になります。

特徴としては、成年後見制度に比べて、柔軟に財産管理ができることです。

成年後見制度では認められないような財産の使用・運用が可能です。

ただし、家族信託は財産の管理に特化しているため、成年後見制度のように「被後見人を守りたい」という場合は、成年後見制度の利用がおすすめでしょう。

まとめ

成年後見制度という名前自体、あまり広く知られているとはいえませんが、その制度の中身はさらによく分からないという方が多いでしょう。

認知症など、判断能力が低下した方にとっては、本来は必要不可欠な制度ですが、使いやすい制度にはなっていません。

そこで、家族信託など新しい制度を利用することも検討し、より多くの人が満足できることを目指していきましょう。

必ず成年後見制度でなければならない、あるいは必ず家族信託でなければならないという人はいません。

いずれが適しているのか、本人の判断能力があるうちに、より多くの人の意見を聞きながら検討するようにしましょう

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