父が8か月前に亡くなりました。父が所有していた財産については、法定相続人である母(被相続人の配偶者)、私(長女)、弟2人(長男・次男)の4人で相続することとなりました。
父が所有していた財産には自宅の土地・建物のほか預貯金や有価証券などがあり、遺産分割協議の結果、ほぼ法定相続割合どおりに分割することで全員が合意しました。
このうち自宅については、母がそのまま住み続けることに誰も異論はないため、このたびの相続で母親が相続し、母の名義に変更することにしています。
すでに子供は全員独立しているため、自宅を母が相続することについては誰も反対していませんが、それでも相続登記に遺産分割協議書は必要なのでしょうか。
相続登記を行う際には、誰がどの財産を取得することとなったのかを明らかにする書類がなければ、受け付けられません。書類なしで登記できるとなれば、誰でも勝手に相続で引き継いだと主張して登記上の所有者の変更を行うことができることとなってしまうため、必ず正式な書類が必要とされるのです。
今回の相続では、お母様が単独で自宅を相続すると記載された遺産分割協議書が必要となります。
逆に、誰が相続したかが明らかな場合や争いがまったく生じないと考えられる場合には、遺産分割協議書が必要とされないケースもあります。そこで、遺産分割協議書が必要とされる場合とそうでない場合について確認しておきます。
遺産分割協議書が必要とされない場合は以下のとおりです。
(1)相続人が1人だけの場合
相続人が1人であることが明らかになれば、ほかに相続財産について権利を主張することができる人はいないため、遺産分割協議を行う必要はなく、遺産分割協議書を作成する必要もありません。
そのため、遺産分割協議書がなくても相続登記を行うことができます。
(2)法定相続分どおりに分割した場合
1つの土地や建物を法定相続分どおりに分割した場合は、その土地や建物について法律が決めたとおりの割合で共有することとなります。この時、相続登記する際に遺産分割協議書は必要とされません。
(3)遺言書がある場合
遺言書があれば、その遺言書にしたがって遺産を分けることとなるため遺産分割協議書は必要とされません。
ただし、遺言書に具体的な財産の分割方法についての記載がなく、「Aに財産の4分の3、Bに財産の4分の1を相続させる」といった形で相続割合だけが書かれている場合もあります。このような場合は、遺言書とは別に遺産分割協議書を作成する必要があるため注意が必要です。
(4)調停や審判を利用した場合
遺産分割協議がまとまらなかった場合、家庭裁判所での調停や審判を行うこととなります。
このような場合には、それぞれ家庭裁判所で調停調書や審判所が作成されるため、別に遺産分割協議書を作成する必要はありません。
このような場合に該当しない時は、遺産分割協議書を作成して法務局に提出する必要があるのです。
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