私には、少し年の離れた弟が1人います。
その弟は独身で、以前は会社員として働いていましたが、数年前に体を壊してからは定職につかず、生活保護を受けながら生活をしています。
そんな中、3か月ほど前に父親が亡くなりました。
父の残した遺産については、私や弟のほか、兄や姉も相続人であるため、全員で遺産分割協議を進めています。
ある日、話し合いの中で、生活保護を受けている弟の話になったことがあります。
遺産を受け取ることで生活保護が打ち切られるのであれば、遺産は受け取らない方がいいと弟が言っており、ほかの相続人もその点については、特に異論はありません。
一方で、生活に困っているのに何も遺産を受け取らないとするのはおかしい気もするため、どのようにすれば損がないのか、お聞きしたいと思います。
生活保護を受給している人も、相続人として遺産分割を受けることは可能とされています。
ただ、遺産を受けることとなれば、その分手元の財産が増えるため、生活保護を受けられなくなる可能性もあります。
生活保護を受給するためには、収入の状況を毎月申告することとされており、遺産分割により財産が増えた場合も、報告対象です。
そして、報告した内容にもとづいて、最終的に市町村が生活保護の対象とするかどうかを決めることとなります。
ただ、遺産分割をしたからといって、必ずしも生活保護の支給がストップしたり打ち切られたりするとは限りません。
相続をしても、最低限の生活を送ることができない状態にある場合、そのまま生活保護の支給は継続されるのです。
なお、生活維持のために活用されており、処分するより保有している方が有効な資産は、相続しても生活保護が受給できます。
実際に住んでいる自宅を相続した場合などは、これに該当する可能性があるのです。
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大卒後、税務署に就職し国税専門官として税務調査に従事。税理士としても10年を超えるキャリアを積み、現在は「相続に精通した税理士としての知識」と「元税務調査官としての経験」を両輪として活かした相続税申告を実践中。
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