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最終更新日:2024/6/14

相続登記の料金相場はいくら?司法書士に依頼する場合と自分でやる場合の違い

田中 千尋 (司法書士)
この記事の執筆者 司法書士 田中千尋

ベンチャーサポート司法書士法人 司法書士 昭和62年生まれ、香川県出身。

相続登記や民事信託、成年後見人、遺言の業務に従事。相続の相談の中にはどこに何を相談していいかわからないといった方も多く、ご相談者様に親身になって相談をお受けさせていただいております。

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相続登記の費用相場はどのくらい?自分・司法書士それぞれの場合で解説

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相続登記を司法書士に依頼した場合にかかる料金相場は7万円~15万円です。
これとは別に、戸籍や住民票など必要書類の収集に5,000円程度の発行手数料と、法務局に申請する際の登録免許税がかかります。登録免許税の金額は不動産の評価額によって変動し、不動産評価額に0.4%を乗じて計算されます。

必要書類の発行手数料と登録免許税は実費なので、自分一人で手続きを済ませた場合も必要になる出費ですが、冒頭で説明した司法書士の報酬は、司法書士に手続きを依頼した場合のみに必要となる料金です。

相続登記を済ませるのに必要な料金とその詳しい手順を知り、自分で完結させるべきか司法書士に依頼すべきかの判断にお役立てください。

令和6年4月に始まる相続登記義務化の新ルールと、それに従わない場合の罰則についてもご紹介します。

相続登記を放置するとどうなる?

相続登記とは、亡くなった方が所有していた土地や建物を相続した人の名義に変更する手続きのことです。

令和6年3月31日以前は、相続登記をしなければならないという法的義務が定められていなかったため、不動産をすぐに売却・処分するような予定がない場合は、手間や費用を面倒くさがって手続きを放置する相続人が跡を絶ちませんでした。

とくに山林や田畑、田舎の実家といった価値がさほど高くない土地のために、登録免許税や司法書士報酬などの出費は避けたいというケースが目立ちます。

しかし、相続登記を放置していると不動産を売却したり、担保にしてお金を借りたりすることができないため、ただ固定資産税を支払うだけでメリットを一切享受できません。

遺言書や遺産分割協議によって決まった遺産分割の内容に沿って、すみやかに不動産の名義を変えておくことが重要です。

相続登記の義務化

令和3年4月21日の民法・不動産登記法改正において、「相続登記の義務化」と「相続登記の期限」を定める法律が成立しました。

これによる相続登記の義務化は令和6年4月1日(2024年)に施行され、相続が発生した日から3年以内に名義変更手続きを行わなければ10万円以下の過料の対象となります。

つまり不動産を相続した人は令和6年4月1日以降、それ以前に相続した不動産についても、相続登記することが必須となったのです。

 

こうした背景には「所有者不明土地問題」が見過ごせなくなってきたことがあります。

所有者不明土地問題とは、何代も前に亡くなった人の名義のまま誰が相続したか分からなくなっている土地のことを指しますが、あまりにも数が増えてしまい、現在九州の面積よりも広いと言われています。

所有者の分からない土地は「公共の土地として利活用できない土地」を意味しており、例えば災害対策用の必要な整備などを国や地方自治体が行えない原因となってしまっています。

参考:法務省|所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し(民法・不動産登記法等一部改正法・相続土地国庫帰属法)

相続登記にかかる費用

相続登記にかかる費用を「自分で手続きする場合」と「司法書士に依頼する場合」の2つのパターンで表にまとめましたので参考にしてみてください。

相続登記にかかる費用
項目 自分で手続きをする場合 司法書士に依頼する場合
登録免許税 固定資産税評価額×0.4% 固定資産税評価額×0.4%
必要書類の取得費用 約5,000円 約5,000円
司法書士報酬 0円 7~10万円
遺産分割協議書作成費 0円
※公正証書にする場合は3~10万円
約5万円
※遺産総額の0.3~1%程度

自分で手続きを行う場合、書類作成に費用はかかりませんが、必要資料取得のための手数料と登録免許税の実費がかかってしまいます。

司法書士に依頼する場合は上記のほか、相続登記の代行報酬と遺産分割協議書の作成報酬がかかります。遺産分割協議書の作成費は、相続登記の報酬に含まれている場合もあるので、見積りをもらう際は必ず確認しましょう。

必要資料収集について、平日の日中に役所回りをする時間の余裕がない方は、司法書士などに有料で依頼することも可能です。

相続登記にかかる費用や司法書士の料金について詳しく知りたい方は以下のページもご覧ください。

相続登記は自分でできる?

相続登記の手続きは必要書類さえ準備すれば、自分でも行うことが可能です。

実際に相続登記費用を安く抑えたいことから、専門家に依頼せずに手続きを行っている方々もいます。

しかし、相続登記に必要な書類は多く集めるのに手間がかかるほか、相続登記に関する申請手続きの知識や準備に多くの労力がかかり、書類のやりとりが何度も必要となるケースもよくあります。

また、遺産分割協議書の作成について、どんな書式が正しく、法律的に有効なのか分からないなどの難しい判断が重なります。

ただでさえ遺産相続で忙しい時期ですから、「多少の費用をかけてでも専門家に依頼して失敗なくきっちり手続きしたい」という方も多いでしょう。

司法書士に手続きを依頼すれば、どのように進めていくのが標準的かなど、不安な点を相談しながらスムーズに相続登記を完了することができます。

相続登記の申請に必要となる資料は以下のとおりです。

【相続登記の必要書類】

  • 被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで一連のもの)
  • 被相続人の住民票の除票または戸籍の附票
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 遺産分割協議書
  • 実際に財産をもらう人の住民票
  • 最新年度の不動産の固定資産税評価証明書
  • 権利証その他の書類(必要な場合)
  • 委任状(必要な場合)

司法書士に依頼する場合と自分でやる場合の違い

相続登記を司法書士に依頼するか、自分でやるかはどのように判断すれば良いでしょうか?
不動産を相続した方が独身・子無しで兄妹もおらず、親族での揉め事が起こらないと断言できる場合でかつ、平日日中に時間が取りやすい方は、自分でやることを検討してみてください。7~15万円程の出費を抑えることができます。

上記のケースに該当しない方はぜひ司法書士への依頼をご検討ください。少なくとも無料相談に足を運ぶ価値はあります。

司法書士に依頼すれば手間やリスクを最小限にすることができて、さらに、その提携の専門家を活用することで遺言書や相続税など将来的な問題解決の相談ができるからです。

相続に関する法律や税金を調べて準備しておくことによって、15万円以上、場合によっては数百万円単位の将来的な金銭支出を抑えられることも珍しくありません。

ちなみに相続登記を自分でやる場合、法務局へ直接出向いて書き方のアドバイスを受けることは可能です。しかし、単純なアドバイスだけで、内容に不備がないか、正確なものが作成できているかのチェックは行ってくれません。

仮に間違った内容で相続登記をした場合、その訂正の記録も残りますから、そのようなリスクも考慮しておきましょう。

 

専門家に依頼することを決めた場合、次に司法書士に頼むか弁護士に頼むかについて悩むかも知れません。
弁護士も相続登記の申請を代理することは可能ですが、登記だけを積極的に引き受ける弁護士は少なく、メイン業務は「遺産分割に係る紛争ごと」になります。

そういった意味で、相続人同士で揉めごとがない場合の「相続登記」は、専門性があり料金も安く抑えられる司法書士に依頼することをお勧めします。

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