遺言書を作成する際は、自分でゼロから文章を作成しようとすると、時間がかかるだけでなく、遺言書の有効性が欠けてしまう可能性があります。
そこで、遺言書の文例や見本を見ながら、まずは文章の形をすべて丸写ししてしまって、氏名や住所や財産の内容など、必要な部分だけ書き換えるやり方をお薦めします。
このページでは、弊社がこれまでに相談を受けることが多かった、遺言書に書きたい内容の要望ごとに、それぞれの文例を紹介します。
また、自筆証書遺言書の下書きとなる文章を、無料&会員登録不要で作成できるシステムを用意しました。スマホでもカンタンに使えますので、ぜひ試してみてください。
- 1. 遺言書作成の第一歩は下書きの完成
- 2. 遺言書を書く前にかならず知っておきたい文章例
- 3. 家族関係や取り分を工夫したい場合の文例
- 4. 離婚経験者や内縁の相手がいる場合の文例
- 5. 介護が必要な家族やペットが遺される場合の文例
- 6. 遺言書の作成で不安があれば専門家に依頼しよう
1-1.遺言書の下書きをカンタン自動作成
相続トラブルによって不幸を経験する家族が1つでも減らせるように、という想いから
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1-2.動画で分かる「遺言書を日本一カンタンに書く方法」
1-1で紹介した遺言書下書き作成システムと、このページで紹介する遺言書のサンプル集を上手に使いこなして、自分の遺言書をカンタンに書くための手順を動画で解説します。
何から手をつけて良いか分からないという方は、ぜひこちらの動画「遺言書を日本一カンタンに書く方法」をご覧ください!
1-3.標準的な遺言書の書き方・文例
ごく標準的でシンプルな遺言書の書き方・文例をまずはご覧ください。
家族関係が複雑でなく、財産の分け方も単純な割合や、財産ごとに渡す人を決めているような場合、最初に作る遺言書としては十分でしょう。
色々と思い悩んで作成できずにいるよりも、まずはシンプルな文例に従って完成させてみましょう。
標準的な遺言書の文例・見本はこちら▼
2-1.予備的遺言の書き方(遺言者より先に亡くなるケースの想定)
遺言書を書く場合、遺言者が家族のなかで一番早く亡くなることを想定して書くことが多いと思いますが、必ずしもその順番通りに亡くなるとは限りません。
たとえば、遺言書に「相続人Aにすべての財産を相続させる」と書いていたとして、そのAが遺言者よりも先に亡くなっていた場合はどうなるのでしょうか?
答えは「遺言書記載の効力はなくなり、遺言書が無かった場合と同じく、相続人同士で遺産分割協議をする」ことになります。
それでは、せっかく書いた遺言書の意図が変わってしまうので、相続人のだれかが亡くなった場合には、直ちに遺言書を作り直すか、または事前にそれも想定した文章にしておくかのどちらかです。
この、事前に相続人が亡くなることを想定した遺言書のことを予備的遺言といいます。
予備的遺言の文例・見本はこちら▼
2-2.遺言執行者を指定する
遺言書には、それを執行する遺言執行者を指定することができます。
遺言執行者の指定は必須ではなりませんが、遺産分割をスムーズに進めるためには、指定しておくことをお薦めします。
遺言執行者になれない人として、未成年者や破産者がいますが、それ以外であれば相続人や受遺者(遺言書により財産の遺贈を受ける人)であってもなることができます。
遺言執行の手続きが複雑な財産なども存在しますので、せっかく遺言執行者を指定するのであれば、弁護士や行政書士などの第三者で、さらに個人より法人を選ぶとよいでしょう。
遺産分割に感情的なしこりを遺さずに、手続きを進められることが最大のメリットです。
遺言執行者を指定する文例・見本はこちら▼
3-1.妻(夫)にすべて相続させたい場合(子供がいないケース)
勘違いされている方が多いのですが、子供のいない夫婦が遺言書を書かずに亡くなってしまった場合、すべての財産が配偶者に渡るわけではありません。
亡くなった人の父母(または祖父母)が生きていれば、配偶者が3分の2、父母が3分の1というのが法律上の相続割合の目安として定められています。
子供がおらず、父母もいない場合で、亡くなった人の兄弟姉妹(またはその子供)がいる場合、配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1という法律上の相続割合の目安が定められています。
遺された配偶者からすると、長年連れ添った伴侶とともに築いた財産を親族とは言え、分配することに心理的な抵抗が芽生えるかもしれません。
遺言者としては、遺された配偶者と自分の家族が、自分の死後も仲良くやっていって欲しいという気持ちを、遺言書を書いておくことで表現すべきでしょう。
妻(夫)にすべて相続させたい場合(子供なし)の文例・見本はこちら▼
3-2.妻(夫)にすべて相続させたい場合(子供がいるケース)
子供の年齢がどれだけ小さくても、子供のいる夫婦が遺言書を書かずに亡くなってしまうと、配偶者と子供は半分半分というのが法律上の相続割合の目安として定められています。
(子供が複数いた場合は、その半分を子供の数で均等に分けます)
半々という割合はあくまで目安ですので、遺産分割協議を行なって配偶者が全てを相続することも不可能ではないのですが、
そもそも子供が未成年者の場合、遺産分割協議をすること自体に手間がかかります。
特別代理人といって、その子供の意見を代弁する人を立てなければならず、親が特別代理人を務めることはできない決まりになっています。
このような面倒なことにならないために、遺言者としては、配偶者にどの財産を渡すということを遺言書に明記しておくべきでしょう。
妻(夫)にすべて相続させたい場合(子供あり)の文例・見本はこちら▼
3-3.親にも財産を分け与えたい場合
子供がいる場合、父母(または祖父母)は相続人ではないので、財産が父母に渡ることはありません。
財産を父母に渡したい場合は遺言書が必須となります。
また、このケースのように相続人ではない人に財産を渡したい場合は、「相続させる」ではなく「遺贈する」と表記しなければなりません。
親にも財産を分け与えたい場合の文例・見本はこちら▼
3-4.子供同士で分ける財産に差をつける場合
たとえば兄弟のうち長男夫婦が同居して自分の面倒をよく見てくれているような場合は、長男に財産を多めに渡してあげたいと考える方は多いでしょう。
介護などの感謝・お礼に財産を多く分け与えてあげたい場合は、親がしっかりと遺言書を書いておかなければなりません。遺された家族が揉めてしまうか、意思どおりに財産が分配されないという事態が起こってしまいます。
財産の分け方に自分の希望があるときは、必ず次のような遺言書を残しておきましょう。
子供同士で分ける財産に差をつける場合の文例・見本はこちら▼
3-5.長男に事業を継がせる場合
遺言者が、経営している事業を子供に承継したい場合は注意が必要です。まず、事業が法人組織か個人事業かで相続の仕方がかなり変わってきます。
法人組織の場合は、単純にその会社の株式を、誰にどれだけ相続させるかを決めるだけでよいでしょう。会社の株式は、事業の意思決定権と結びついていますので、あまり複数の人間に分散することはお薦めしません。
個人事業の場合は、事業用資産を1つずつ誰に相続させるかを遺言書で明記しておかなければなりません。経営を引き継いだ子供が、その事業で使用する資産を相続できないといったようなチグハグなことが起こってしまって、事業自体にも悪影響を及ぼしかねないからです。
事業を継ぐことは苦労もたくさんあるのですが、事業を引き継がなかった子供からすると、財産を少ししかもらえなかったと妬む可能性があるので、付言事項も重要になります。
長男に事業を継がせる場合(個人事業)の文例・見本はこちら▼
3-6.相続人がおらず、財産を世話人にあげたい場合
配偶者も子供も、親も兄弟もその兄弟の子もいないような人が財産を残して亡くなった場合、その財産はどうなるのでしょうか?
そういった財産は、最終的に国庫に帰属することになります。
この場合、遺言書を書いておくことで、お世話になった人や友人・知人、または地方公共団体や特定の活動に取り組んでいるNPO法人などに死後の財産を渡すことができます。
ここでは、死ぬ前にお世話になった人に財産を渡したい場合の遺言書の書き方を紹介します。
相続人がおらず、財産を世話人にあげたい場合の文例・見本はこちら▼
3-7.財産を特定の団体に寄付したい場合
自分が残した財産を特定の団体に寄付したいときは遺言書を残しておかなければいけません。
遺言書を書いておくことで、応援したい地方公共団体や特定の活動に取り組んでいるNPO法人などに死後の財産を渡すことができます。
相続人がいる場合でも寄付はできますが、相続人が納得できるように遺留分を渡すことと、付言事項で意思をきっちりと説明しておく必要があるでしょう。
財産を特定の団体に寄付したい場合の文例・見本はこちら▼
3-8.本来、相続人ではない娘・婿に財産をあげたい場合
息子の嫁や、娘の婿に介護などでお世話になっていても、相続人に該当しないので、基本的に相続財産は1円も渡りません。
財産を自分の子供だけでなく、その配偶者である娘・婿に渡したい場合は、次のように遺言書を書いておく必要があります。
このように相続人ではない人に財産を渡したい場合は、「相続させる」ではなく「遺贈する」と表記します。
本来、相続人ではない娘・婿に財産をあげたい場合の文例・見本はこちら▼
4-1.内縁の妻(夫)に財産をあげたい場合
長年つれそった内縁の妻に財産を渡したい場合は、遺言書を書いておかなければいけません。妻が法定相続人になれるのは、今の日本では法律婚をしている場合だけだからです。
内縁の妻を指定する場合は、名前・生年月日・住所などを明記しておきましょう。
このように相続人ではない人に財産を渡したい場合は、「相続させる」ではなく「遺贈する」と表記しなければなりません。
遺留分にも注意し、遺言者の法定相続人と内縁の妻が相続争いをすることにならないような内容のものを作成しておきましょう。
また、このケースは特に、第三者の遺言執行者をつけておいたほうが良く、登記などをスムーズに進めることができるでしょう。
内縁の妻(夫)に財産をあげたい場合の文例・見本はこちら▼
4-2.前妻(夫)との子に財産をあげたい(あげたくない)場合
配偶者は離婚すれば、それと同時に財産を相続する権利もすべて消えてしまいますが、離婚をしても子供には財産を相続する権利が残ります。
後妻の子供がいたとしても、後妻の子と前妻の子の相続の取り分はまったく変わらず、同じ割合となります。
前妻の子との関係性は、人によって良かったり悪かったりで、財産を渡したいと思うケースもあれば、数十年間一度も会っていないので一切渡したくないというケースもあります。
法定相続人である以上、財産を一切渡さないとしてしまうと、遺留分減殺請求と言って、前妻の子が自分の取り分を法的に主張できてしまいます。
遺留分に注意し、2つの家族同士で相続争いをすることにならないような内容の遺言書を作成しておきましょう。
前妻(夫)との子に財産をあげたい(あげたくない)場合▼
4-3.再婚の連れ子に財産をあげたい場合
再婚相手の連れ子は、相続人に該当しないので、基本的に相続財産は1円も渡りません。
財産を自分の子供や親だけでなく、再婚相手の連れ子に渡したい場合は、次のように遺言書を書いておく必要があります。
このように相続人ではない人に財産を渡したい場合は、「相続させる」ではなく「遺贈する」と表記します。
このケースでも、本来の相続人の遺留分と付言事項の記載が重要となります。
再婚の連れ子に財産をあげたい場合の文例・見本はこちら▼
4-4.婚外の子を認知して、財産をあげたい場合
「遺言認知」という言葉をご存知でしょうか?
認知とは、法律上の婚姻関係にない男女の間に生まれた子どもについて、法律上の父親を確定するための手続きで、通常は父親が生きているうちにすることが多いですが、「遺言認知」と言って父親の遺言書によって認知することも認められています。
生前には公表しづらかったり色んな事情が考えられますが、遺言認知をすると、当初想像されていた相続人と大幅に変わることがあります。
もともとの相続人に妬みの感情が生まれないように、財産分配の配慮と付言事項の記載が重要となるでしょう。また、認知の手続きも進めなくてはなりませんので、遺言執行者をつけたおいたほうがスムーズです。
婚外の子を認知して、財産をあげたい場合の文例・見本はこちら▼
5-1.自分が亡き後も介護を必要とする家族がいる場合
子供がいない夫婦で、もし自分の配偶者が要介護状態になってしまったら?自分が生きているうちは面倒を見てあげられますが、先に自分が亡くなった後のことは不安で一杯になると思います。
そのような場合にも遺言書を有効に使うことができます。「負担付遺贈(ふたんつきいぞう)」と言って、第三者に財産を与える代わりに、面倒を見るという負担をしてもらう方法です。
財産に見合った負担の範囲において、それを履行しない場合、相続人などが家庭裁判所に「遺言の取り消し」を申し立てることができます。
具体的にどう面倒を見るのか、きっちりと事前に話し合っておくことが重要でしょう。
自分が亡き後も介護を必要とする家族がいる場合の文例・見本はこちら▼
5-2.ペットが遺される場合
身寄りがおらず一人でペットを飼っている方は、ペットより先に自分が亡くなった後のペットの世話について不安なことと思います。
そのような場合にも遺言書を有効に使うことができます。「負担付遺贈(ふたんつきいぞう)」と言って、第三者に財産を与える代わりに、ペットの世話を見るという負担をしてもらう方法です。
ただ、遺言書に記載するだけではなくて、具体的に誰にどんな世話を頼むのか、きっちりと事前に話し合っておくことが重要でしょう。
ペットが遺される場合の文例・見本はこちら▼
遺言書の作成で知っておきたいこと
遺言書の作成を検討している人が、知っておきたいことを紹介します。
遺留分に注意しよう
相続では遺留分というものがあり、遺留分が認められれば、財産の相続ができます。
遺留分とは、どんな相続であっても相続人が一定の財産を受け取れる権利です。
遺留分は遺言内容に関係ないため、もし遺言でひとりだけに相続させようとしても、他の相続人が遺留分を主張すると、遺留分を考えた分配になります。
遺言書を作成して、相続内容を決めていたとしても、実際の相続では遺留分を請求されるかもしれません。
遺留分の請求があると、最初に想定していた相続とは財産の分配が異なります。
そのため遺言書を作成するときには、遺留分についてもケアしておきましょう。
自筆だと法的効力を持たない場合も
遺言書を作成するときには、自分で書くか、専門家に依頼するかといった方法があります。
「費用を抑えるためにも自筆遺言書がいい」という人もいるでしょう。
自筆遺言書でも正しく作成できれば問題ありませんが、内容にミスがあると、法的効力を発揮できないかもしれません。
例えば自筆遺言書の日付が間違っていたり、不動産の登記がある場合に、登記されている情報と違ったものを記載してしまったりといったミスがあるかもしれません。
せっかく相続のことを考えて遺言書を作成したとしても、ミスがあるだけで台無しになります。
遺言書の作成に少しでも不安がある人は、自筆遺言書はおすすめできません。
公正役場で公正証書にする
遺言書を作成したら、公正役場に持っていき公正証書にするのがおすすめです。
公正証書とは、法律の専門家である公証人が作成する遺言書です。
公正役場という公共機関で承認を受けるため、自筆遺言書に比べて、法的効力を持っています。
公証人が立ち会って作成を進めるため、時間や手間はかかります。
その分、遺言書としての効力は高いため、「なるべく効力を持った遺言書を作成したい」という人におすすめです。
エンディングノートと遺言書の違い
遺言書に似たものとして、エンディングノートがあります。
エンディングノートとは、家族への思い・希望の葬儀などを記載して、自分の死後に活用するものです。
エンディングノートと遺言書は似ていますが、法的には全然違ったものになります。
遺言書には法的効力がありますが、エンディングノートは法的には効果がありません。
あくまで自分の希望を書くだけになり、遺族がエンディングノートに従う義務はないです。
そのため、確実に希望の相続をしてほしいなら、エンディングノートではなく正しい遺言書を作成しましょう。
遺言書の作成で不安があれば専門家に依頼しよう
遺言書の作成で不安があるなら、専門家への依頼がおすすめです。
「専門家に依頼したいけど費用が気になる」という人は、無料相談の利用がおすすめです。
無料の範囲内であれば料金は発生せず、相談して見積もりをもらってから、依頼するかどうか決められます。
ここからは、専門家に依頼するメリットを紹介します。
6-1.ミスなく遺言書を作成できる
遺言書の作成で絶対に避けたいのが「せっかく遺言書を作ったのに法的効力がない」ことです。
遺言書は内容にミスがあれば、法的効力が認められないケースもあります。
そこで専門家に依頼すれば、法的効力を持った正しい遺言書が作成できます。
「費用を節約するために自筆で遺言書を作成したい」という人も、遺言書が間違っていれば意味がないので、専門家へ依頼した方が確実でしょう。
6-2.相続トラブルを避けられる
専門家に依頼することで、余計な相続トラブルを避けられるかもしれません。
相続に関しては身内だけで話し合いをすると、お互いに感情的になってしまいトラブルに発展する可能性があります。
専門家である第三者に入ってもらい、冷静に話し合いを進めることで、相続トラブルを避けられます。
自分の死後、相続トラブルが起こってほしくない人は、専門家に相談しながら生前にしっかり相続内容を決めて遺言書を作成するのがいいでしょう。
相続専門税理士の無料相談をご利用ください
ご家族の相続は突然起こり、何から手をつけていいか分からない方がほとんどです。相続税についてはとくに複雑で、どう進めればいいのか? 税務署に目をつけられてしまうのか? 疑問や不安が山ほど出てくると思います。
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