記事の要約
- 空き家を放置すると「固定資産税が最大6倍」になるリスクがあるため、親が元気なうちか相続直後の早期着手が鉄則
- 費用相場は20万〜400万円超と幅広いため、自治体の解体補助金や不用品買取、複数業者の相見積もりを活用して負担を抑えることが重要
- 借金が不安なら「相続放棄」を検討し、判断に迷う場合は絶対に遺産に手を付けてはいけない(調査と相談を優先する)
「親が施設に入ったけれど、実家はどうしよう…」「空き家になった実家の管理が大変…」
親の高齢化や相続をきっかけに、多くの人が直面する「実家じまい」。何から手をつければ良いのか、費用はどれくらいかかるのか、誰に相談すれば良いのか、分からないことだらけで途方に暮れていませんか?
思い出の詰まった実家を整理することは、精神的にも経済的にも大きな負担が伴います。しかし、問題を先送りにすると、さらに状況が悪化してしまう可能性も。
この記事では、あなたが抱える不安や疑問を解消するために、実家じまいに必要な知識を網羅的に解説します。具体的な手順から費用、相談先まで、この記事を読めば実家じまいの全体像が掴め、次の一歩を踏み出せるはずです。
目次
実家じまいとは?今すぐ始めないと損をする理由とタイミング
まずは「実家じまい」の基本的な知識と、なぜ今すぐ取り組むべきなのかを理解しましょう。タイミングを逃すと、思わぬ損をしてしまうかもしれません。
実家じまいの意味と定義
実家じまいとは、誰も住まなくなった実家の家財を整理し、建物を解体・売却・賃貸に出すなどして、最終的に手放すまでの一連の活動を指します。
単なる「家の片付け」とは異なり、不動産の処分や相続などの法的な手続き、そして親族間の合意形成までを含む、非常に広範囲な取り組みです。
実家じまいが必要になる主なケース
実家じまいを検討するきっかけは、家庭によって様々です。主に以下のようなケースが挙げられます。
- 親が亡くなり、実家を相続した
- 親が介護施設や老人ホームに入所した
- 親が高齢になり、一人で実家を管理するのが難しくなった
- 子どもが独立し、親がよりコンパクトな住居へ引っ越した
- 実家を誰も相続する予定がない
空き家を放置する4つのリスク
「まだ大丈夫だろう」と実家を空き家のまま放置すると、様々なリスクが生じます。主なリスクは、経済的負担の増加、建物の倒壊や火災、そして法的なペナルティです。
- 経済的なリスク:固定資産税や都市計画税が毎年かかります。また、建物の老朽化による修繕費や、庭の手入れにかかる費用も発生し続けます。
- 物理的なリスク:管理が行き届かないと、建物の老朽化が進み、台風や地震で倒壊する危険性が高まります。また、放火や不法投棄のターゲットにされることもあります。
- 社会的なリスク:雑草が生い茂ったり、害虫が発生したりすることで、近隣住民とのトラブルに発展する可能性があります。景観の悪化も問題となります。
- 法的なリスク:倒壊の恐れがある「特定空家」や管理が不十分な「管理不全空き家」に該当する場合、行政からの指導が入ります。改善の勧告に従わないと、固定資産税の優遇が解除されて税金が最大6倍になる可能性があります。なお、危険度が高い「特定空家」の場合は、改善命令に従わないと最大50万円以下の過料が科されることもあります。
実家じまいを始めるべきタイミング
実家じまいを始める理想のタイミングは、親が元気なうちです。
親の意向を確認しながら一緒に片付けを進めたり、将来について話し合ったりすることで、いざという時の負担を大幅に減らせます。
もし、すでに実家が空き家になっている場合は、問題が深刻化する前に、できるだけ早く着手することをおすすめします。相続が発生した場合は、手続きの期限もあるため、すぐに計画を立て始めましょう。
実家じまいの費用相場と内訳
実家じまいで最も気になるのが費用です。総額は家の状況や選択する処分方法によって大きく変わりますが、ここでは一般的な相場と内訳を解説します。
【総額】ケース別の費用シミュレーション
実家じまいの総額は、片付けから不動産の処分まで含めると、数十万円から数百万円と幅があります。
- 家財整理のみを行い、賃貸に出す場合:約20万~100万円(遺品整理費用、ハウスクリーニング費用、リフォーム費用など)
- 家財整理と建物の解体を行い、更地にする場合:約80万~400万円以上(遺品整理費用、解体費用、建物滅失登記費用など)
- 家財整理を行い、そのまま売却する場合(古家付き土地):約50万~200万円(遺品整理費用、仲介手数料、印紙税など)
- ※
- 上記はあくまで目安です。建物の規模や立地、依頼する業者によって費用は変動します。
内訳1 家財の片付け・不用品処分費用
家財の片付けを専門業者(遺品整理業者など)に依頼する場合、費用は部屋の広さや荷物の量によって決まります。
| 間取り | 費用相場 |
|---|---|
| 1R・1K | 3万~8万円 |
| 1LDK | 7万~20万円 |
| 2LDK | 12万~30万円 |
| 3LDK | 17万~50万円 |
| 4LDK以上 | 22万~70万円 |
エアコンの取り外しや、ピアノ・金庫といった重量物の搬出には、別途追加料金がかかる場合があります。
内訳2 建物の解体費用
建物の解体費用は、構造と面積(坪数)によって大きく異なります。
| 建物の構造 | 坪単価 | 総額目安(30坪の場合) |
|---|---|---|
| 木造 | 3万~5万円 | 90万~150万円 |
| 鉄骨造 | 4万~7万円 | 120万~210万円 |
| RC造 | 6万~8万円 | 180万~240万円 |
この他に、アスベスト(石綿)が使用されている場合は除去費用が別途数十万円から数百万円かかることもあります。また、重機が入れないような場所では手作業が増えるため、費用が割高になります。
内訳3 不動産の売却・賃貸にかかる費用
実家を売却したり、賃貸に出したりする際にも費用がかかります。
- 仲介手数料:不動産会社に支払う成功報酬です。売買価格に応じて上限が法律で定められています。(例:売買価格400万円超の場合、(売買価格 × 3% + 6万円) + 消費税)※
- 印紙税:不動産売買契約書に貼る印紙代です。契約金額によって異なります。
- リフォーム・ハウスクリーニング費用:より良い条件で売却・賃貸するために必要な場合があります。
- 測量費用:土地の境界が不明確な場合に、隣地とのトラブルを避けるために行います。約35万~80万円が相場です。
- ※
- 売買価格が800万円以下の空き家の場合、特例により仲介手数料の上限が最大33万円(税込)となる場合があります。
内訳4 相続登記・建物滅失登記などの手続き費用
不動産は、土地や建物の「所有者」や「状態」を登記簿に記録し、国が管理しています。実家じまいで売却や解体を進めるには、この記録を最新の状態にする必要があり、内容によって依頼する専門家が異なります。
- 相続登記:不動産の名義を被相続人(亡くなった親など)から相続人に変更する手続きです。司法書士報酬として5万~15万円程度、登録免許税として固定資産税評価額の0.4%がかかります。
- 建物滅失登記:建物を取り壊した際に、法務局の登記簿からその建物の情報を削除する手続きです。土地家屋調査士報酬として4万~5万円程度かかります。
実家じまいの手順6ステップ
実家じまいは、計画的に進めることが成功の鍵です。以下の6つのステップに沿って、一つずつ着実に進めていきましょう。
ステップ1 親族との話し合いと合意形成
実家じまいにおいて最も重要で、最初に行うべきステップです。実家は家族全員の共有財産であり、思い出の場所でもあります。
- 誰が中心となって進めるか
- 実家を今後どうしたいか(売却、解体、誰かが住むなど)
- 費用は誰がどのように負担するか
- スケジュールはどうするか
これらの点について、兄弟姉妹や関係者全員で冷静に話し合い、全員が納得できる形で方針を決めましょう。
ステップ2 実家の現状把握と方針決定
話し合いで大まかな方向性が決まったら、実家の現状を正確に把握します。
- 権利関係の確認:法務局で登記事項証明書(登記簿謄本)を取得し、土地と建物の所有者を確認します。
- 資産価値の調査:複数の不動産会社に査定を依頼し、実家がいくらで売れそうか、または貸せそうかを確認します。
- 建物の状態確認:雨漏りやシロアリ被害、建物の傾きなどがないかチェックします。必要であれば専門家(ホームインスペクター)に調査を依頼しましょう。
これらの情報をもとに、ステップ1で話し合った方針(売却、解体、賃貸など)を最終決定します。
ステップ3 家財の仕分け(残す・捨てる・保留)と遺品整理
家の中にあるものを「残すもの」「捨てるもの」「保留するもの」に仕分けしていきます。時間と労力が非常にかかる作業なので、無理のない計画を立てましょう。
- 貴重品の捜索:現金、預金通帳、印鑑、権利書、有価証券、貴金属などを最優先で探します。
- 思い出の品の整理:写真や手紙、アルバムなどはデジタル化して保存するのも一つの方法です。
- 不用品の処分:自治体のルールに従ってゴミを分別・処分します。大型の家具や家電は粗大ゴミとして出すか、不用品回収業者に依頼します。
自分たちだけで行うのが難しい場合は、遺品整理業者に依頼することを検討しましょう。
ステップ4 建物と土地の処分
ステップ2で決定した方針に基づき、不動産の処分を実行します。
- 売却する場合:不動産会社と媒介契約を結び、買主を探してもらいます。買主が見つかったら売買契約を結び、引き渡しと代金の決済を行います。
- 解体する場合:解体業者に見積もりを依頼し、契約します。解体工事の前に近隣への挨拶を忘れずに行いましょう。工事完了後、1カ月以内に建物滅失登記を申請します。
- 賃貸に出す場合:管理を委託する不動産会社を選び、入居者を募集します。必要に応じてリフォームやハウスクリーニングを行います。
ステップ5 各種契約の解約手続き
実家で契約していたサービスを解約します。解約漏れがあると、空き家でも料金が発生し続けるため注意が必要です。
- 電気、ガス、水道
- 固定電話、インターネット回線
- NHKの受信契約
- 新聞、牛乳などの宅配サービス
- 火災保険、地震保険
- ホームセキュリティ(警備会社)
ステップ6 行政への届け出と税金の申告
最後に、必要な行政手続きと税金の申告を行います。
- 建物滅失登記:建物を解体した場合、法務局へ申請します。
- 世帯主の変更届:親が亡くなり、その世帯にまだ家族が残っている場合に市区町村役場へ届け出ます。
- 譲渡所得税の申告:実家を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、売却した翌年に確定申告が必要です。
- 相続税の申告:相続財産の総額が基礎控除額を超える場合に、税務署へ申告・納税します。
実家じまいの費用を抑える6つの方法
高額になりがちな実家じまいの費用。少しでも負担を軽くするために、活用できる制度や工夫を知っておきましょう。
国や自治体の補助金・助成金の活用
空き家問題の解消を目的として、多くの自治体が解体費用の一部を補助する制度を設けています。
「老朽危険家屋解体撤去補助金」などの名称で制度が用意されていることが多いです。補助額や条件は自治体によって大きく異なるため、まずは実家のある市区町村役場のウェブサイトを確認するか、担当窓口に問い合わせてみましょう。
自分でできる範囲の片付けと分別
業者に依頼する荷物の量を減らせば、その分費用を節約できます。時間や体力に余裕があれば、自分たちで家財の分別や処分を行うのが最も効果的です。特に、一般ゴミとして出せるものは、計画的に処分を進めましょう。
複数の専門業者から相見積もりを取る
解体業者や遺品整理業者に依頼する際は、必ず3社以上から見積もり(相見積もり)を取るようにしてください。 料金やサービス内容を比較することで、適正価格を把握でき、不当に高額な請求をする悪徳業者を避けることにも繋がります。
不用品買取サービスを利用する
まだ使える家具や家電、骨董品、ブランド品などは、リサイクルショップや専門の買取業者に買い取ってもらえる可能性があります。処分費用がかかるはずだったものが、逆にお金になることも。出張査定を無料で行っている業者も多いので、積極的に利用してみましょう。
売却益にかかる税金を抑える特例の活用
相続した実家を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、その利益に対して税金がかかります。 税率は1月1日時点の不動産の所有期間によって異なりますが、相続した実家の場合は、親が所有していた期間を引き継ぐため、税率の低い「長期譲渡所得」が適用されるケースが多いです。
| 所有期間 | 税率 | |
|---|---|---|
| 短期譲渡所得 | 5年以下 | 39.63% |
| 長期譲渡所得 | 5年超 | 20.315% |
売却益から約2割が税金で消えてしまうのは大きな負担です。そこで検討したいのが、税額を大幅に減らせる(あるいはゼロにできる)以下の特例です。
- 空き家特例:昭和56年5月31日以前に建築された実家(旧耐震基準)を、相続人が耐震改修するか、あるいは解体して更地にして売却した場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる制度。
- 取得費加算の特例:相続税を支払って実家を取得し、その実家を一定期間内(相続開始の翌日から3年10カ月以内)に売却した場合、支払った相続税の一部を「経費(取得費)」に加算できる制度。
どちらも相続が発生したあとの売却が対象の制度です。適用のための要件が複雑なため、利用を検討する場合、税理士と相談しながら進めることをおすすめします。
相続土地国庫帰属制度の検討
相続土地国庫帰属制度とは、相続したものの、利用予定のない土地を国に引き取ってもらう制度です。
ただし、建物が建っている土地や、境界が不明確な土地は対象外となるなど、厳しい条件があります。
また、10年分の土地管理費相当額(原則20万円)を負担金として納付する必要があります。あくまで最終手段の一つとして検討しましょう。
目的別の相談先と業者の選び方
「この悩み、誰に相談すればいいの?」そんな疑問に答えるため、目的別の相談先をまとめました。
【全体相談】自治体の相談窓口や専門家
何から手をつけていいか全く分からない、という場合は、まず公的な窓口に相談するのがおすすめです。
多くの市区町村では、空き家に関する無料の相談窓口を設けており、弁護士や司法書士、不動産の専門家が相談に乗ってくれる場合があります。中立的な立場でアドバイスをもらえるのが大きなメリットです。
【片付け】遺品整理・特殊清掃業者
家財の片付けや処分を任せたい場合の相談先です。優良な業者を選ぶためには、以下の点を確認しましょう。
- 許可の有無:家庭の不用品を回収するには「一般廃棄物収集運搬業許可」が必要です。許可を得ているか必ず確認しましょう。
- 見積もりの明確さ:作業内容や追加料金の有無が明記された、詳細な見積書を提示してくれるかを確認します。
- 実績と評判:ウェブサイトで過去の実績を確認したり、口コミサイトで評判をチェックしたりするのも有効です。
【不動産】不動産会社・解体業者
実家の売却、賃貸、解体を検討している場合の相談先です。
- 不動産会社:売却や賃貸を考えているなら、地域に詳しく、実績が豊富な会社を選びましょう。査定を依頼した際の担当者の対応や、提案内容も重要な判断材料になります。
- 解体業者:解体工事には「建設業許可」または「解体工事業登録」が必要です。無許可の業者との契約は絶対に避けましょう。近隣への配慮をしっかり行ってくれるかも大切なポイントです。
【手続き】司法書士・土地家屋調査士・税理士・弁護士
法律や税金、登記に関する専門的な手続きは、それぞれの分野のプロフェッショナルに任せるのが安心です。
- 司法書士(権利の登記):不動産の「所有権」に関する専門家です。相続した実家の名義変更(相続登記)や、住宅ローンの抵当権抹消などを依頼します。
- 土地家屋調査士(表示の登記・測量):不動産の「物理的な状態」に関する専門家です。建物を解体した後の「建物滅失登記」や、土地の境界を確定するための測量を依頼します。
- 税理士(税金):相続税の申告や、実家を売却して利益が出た場合の「譲渡所得税」の確定申告について相談・代行を依頼します。
- 弁護士(法律トラブル):遺産分割協議で揉めてしまった場合や、相続放棄の手続き、近隣との境界トラブルなど、法的な紛争解決が必要な場合に依頼します。
親族トラブルを避けるための注意点
実家じまいは、親族間のトラブルに発展しやすい問題でもあります。円満に進めるために、以下の点に注意しましょう。
親の気持ちに寄り添った話し合い
親が存命の場合、実家じまいを切り出すのは非常にデリケートな問題です。「家を追い出される」と感じさせないよう、親の気持ちに最大限寄り添うことが大切です。なぜ実家じまいが必要なのか、放置した場合のリスクなどを丁寧に説明し、親の意見を尊重しながら一緒に将来を考える姿勢を見せましょう。
兄弟姉妹間での情報共有と役割分担
「自分だけが負担している」という不公平感は、トラブルの大きな原因になります。
LINEグループを作るなどして、話し合いの経緯や業者の見積もり、手続きの進捗状況などを常に全員で共有しましょう。また、遠方に住んでいる兄弟には書類手続きを、近くに住んでいる兄弟には片付けの実作業を、といったように役割を分担することも有効です。
費用負担のルールを事前に決める
「誰が」「何を」「いつまでに」支払うのか、費用負担に関するルールを最初に書面で決めておくことを強くおすすめします。
基本的には法定相続分に応じて負担するのが一般的ですが、特定の誰かが実家を相続する代わりに費用を全額負担するなど、話し合いで柔軟に決めることも可能です。
思い出の品の分け方と処分方法
家具や家電と違い、写真や手紙、親の愛用品といった思い出の品は、価値観が人それぞれであるため、揉める原因になりがちです。
欲しい人がいれば形見分けとし、複数人が希望する場合は話し合いで決めます。誰も引き取り手がないが捨てにくいものは、全員で確認した上で処分するなど、処分方法についても合意形成を図りましょう。
実家じまいに関するよくある質問
最後に、実家じまいに関して多くの方が抱く疑問にお答えします。
Q.費用は誰が払うのが一般的ですか?
相続人が法定相続分に応じて負担するのが一般的です。
例えば、兄弟2人が相続人であれば、費用を半分ずつ負担します。ただし、これは法律上の原則であり、必ずしも従う必要はありません。
親族間の話し合いで、特定の誰かが多く負担したり、実家を売却したお金で清算したりと、全員が納得する方法を決めるのが最も重要です。
Q.お金がない場合でも進められますか?
はい、方法はあります。
まず、実家を売却して、その売却代金から解体費用や片付け費用を支払う「空き家解体ローン」などの金融商品があります。
また、不動産会社によっては、売却を前提に解体費用を立て替えてくれるサービスを行っている場合もあります。まずは金融機関や不動産会社に相談してみましょう。
Q.賃貸やマンションの場合も必要ですか?
はい、必要です。ただし、内容が異なります。
- 賃貸物件の場合:建物の解体や売却は不要ですが、家財の片付けと、大家さんへの解約手続き、そして原状回復(部屋を借りた時の状態に戻すこと)が必要です。
- マンションの場合:建物の解体は不要ですが、家財整理のほか、売却や賃貸の手続きが必要です。また、管理組合への届け出や、リフォーム時の規約確認など、マンション特有のルールに従う必要があります。
Q.相続放棄をすれば実家じまいは不要?
原則として、相続放棄をすれば実家を引き継ぐ必要はありません。
ただし注意点として、相続放棄をした場合でも、放棄時点でその実家を現に占有していると判断されると、次の管理者が決まるまでの間、倒壊や事故を防ぐための最低限の管理義務(保存義務)が残る可能性があります。
ここでいう「占有」には、実際に住んでいる場合だけでなく、鍵を管理している、定期的に出入りしているといった事情も含めて判断されます。
実家が遠方にあり、放棄前後を通じて関与していない場合は、相続放棄によって実家じまいから解放されるのが一般的ですが、判断に迷う場合は、事前に弁護士へ相談しておくと安心です。
Q.親が反対している場合はどうすれば?
無理強いは禁物です。時間をかけて丁寧に話し合いましょう。
親にとって実家は、人生そのものであり、簡単に手放せるものではありません。まずは親の気持ちを全て受け止め、共感する姿勢が大切です。
その上で、空き家を放置するリスクや、管理していくことの身体的・経済的な負担を客観的なデータと共に説明し、「親の将来の安心のため」に考えていることを伝えましょう。
Q.仏壇や神棚はどう処分すればいいですか?
適切な手順を踏んで供養し、処分するのが一般的です。
- 仏壇:菩提寺(先祖代々のお墓があるお寺)に相談し、「閉眼供養(魂抜き)」をしてもらってから、仏壇店や専門業者に処分を依頼します。
- 神棚:近くの神社に相談し、お焚き上げをしてもらうのが一般的です。専門の処分業者に依頼することもできます。
まとめ
実家じまいは、時間も労力も費用もかかる大変な作業です。しかし、問題を先送りにせず、計画的に一歩ずつ進めることで、あなたと家族の将来の不安を解消することができます。
この記事で解説した実家じまいのポイントは以下の通りです。
- 実家じまいは、親が元気なうちに始めるのがベストタイミング
- 空き家を放置すると、税金・倒壊・近隣トラブルなど多くのリスクがある
- 費用は総額で数十万~数百万円。補助金や相見積もりで節約可能
- 手順は「親族の合意形成」から始めるのが鉄則
- 悩みごとに適切な専門家(自治体、業者、士業)へ相談する
思い出の詰まった実家と向き合うことは、時に辛く、寂しい気持ちになるかもしれません。しかし、それは同時に、家族の歴史を振り返り、未来へ向かうための大切な節目でもあります。
この記事が、あなたの実家じまいという大きなプロジェクトを成功に導くための一助となれば幸いです。まずは、家族と話し合うことから始めてみましょう。


