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東京都渋谷区で中古物件の仕入れからリノベーションをワンストップで手がける株式会社スティールフューチャーズ。代表取締役の國分貞伸様は、早期から大量生産・大量廃棄に疑問を抱き、リユース・リノベーションに取り組まれています。
今回は業界入りと独立のきっかけ、印象的なエピソード、業界を取り巻くさまざまな状況、今後のビジョンまでをお聞きしました。
僕が不動産業界に入ったのは2004年で、日本全体がデフレの頃でした。
当時、日本の不動産市場は今とは全く違い「現在の不動産は安すぎないか」とずっと思っていたのです。例えば、青山あたりのビルが、利回り8〜10%弱で売られていたと記憶しています。
そんな背景から、不動産の買い取り業務に興味を抱き、買い取り業務を行う大手不動産会社に就職しました。
良い会社で、辞めるつもりなどなかったのですが、実家に関わる問題などがあり、収入面でのさらなるステップアップを考えて独立を決め、株式会社スティールフューチャーズを2008年に設立しました。当時、37歳でした。
1つ目は、会社を辞めて、スティールフューチャーズを設立した時です。
当時はリーマンショック後で、不動産の相場が一気に下がった頃でした。世間が不動産購入に消極的な中「相場がすぐに戻るだろう」との確信があったので、物件をどんどん買いました。そして予想通り、相場が戻って、逆張りのような形で利益を出すことができました。これは会社を辞めるタイミングも良かったと思います。
2つ目は、2011年の東日本大震災です。
震災の時は、リーマンショックとは逆に不動産の相場がゆっくりと落ちていきました。不動産だけでなく、全体的に金融収縮も起きて、本当に「どうなるんだろう」と感じたことを覚えています。
ただ当時は創業から日が浅く、気が張っていたこともあってか、気持ちが折れることはありませんでした。
実際にその後、現在の事務所を購入することもでき、今は事業も軌道に乗って、落ち着いている状態です。
引用元:株式会社スティールフューチャーズ
物件の仕入れ・リノベーションを、主に手掛けています。
具体的には、首都圏全域を含む関東エリアにて、マンション、戸建て、店舗の中古リノベーション物件をご提供しております。
弊社のグループ会社には株式会社エアスティールという内装工事業者があります。そのため、「物件を仕入れて、リノベーション工事を施して、迅速に市場へ出す」という、ワンストップのビジネスモデルが可能となっています。
僕の好きなバスケットボールで、ボールをカットして取ることを意味する「スティール」が由来です。
「フューチャーズ」は未来を意味しますから、合わせて「未来を取る」というイメージで、スティールフューチャーズという社名にしました。
それからもう1つ、スペルは違いますがスティールには「鉄」という意味もあるので、合わせて「鉄板(テッパン)の未来」にもかかり、両方の意味合いになっています。
うまく語呂が合った形で、私としては非常に気に入っている社名です。
引用元:株式会社スティールフューチャーズ
「人と自然を創造する」を企業理念として掲げています。
リユースを基本と置くことで、環境への負荷を軽減し、お客様に良質なリノベーション物件をご提供するという意味です。
これは、環境と中古物件の再生につながりますので、弊社では「Revive(蘇り)」とも表現しています。
「使えるものはちゃんと使えるように、付加価値をつけて、市場に出していく」というリユースの仕事は、この業界の中で、一貫して社会的意義があると考えてきました。
これは不動産業界に入る時から考えており、前職の大手不動産会社の入社面接でもお話しました。
さらにさかのぼると、食べ残しに対しても「もったいない」と感じる子供でしたから、もともと敏感な部分があるのかもしれません。
なお、中古住宅のリセールがしっかりと担保されるようになれば、住宅がもっと気軽に買えるようになるかと思います。「家は一生に一度の買い物」ではなく、ライフスタイルに合わせて気軽に買い換えることで、お客様の人生のReviveにもつながるのではないでしょうか。
先ほど申し上げた通り、物件を仕入れて、市場に出すまでのオペレーションをワンストップでできる点は強みです。不動産買取業者は多いですが、工事業者も持っているケースは意外に少ないと思います。
また、リノベーションについても高い付加価値が作り出せているのではないでしょうか。コストはかかりますが、新築マンションよりもハイグレードな建材を使用するなど、非常に力を入れており、仕上がりを見て驚かれるお客様もいらっしゃいますね。
なお、私個人の強みは、経験の豊富さかと思います。
独立前から大手の不動産買取業者で、年間何十件も物件を買う経験をしました。このほかにもさまざまな経験ができたので、独立後もあまり怖がらず、事業に臨むことができました。
独立後は、このような経験をベースに、変化する市場の中で弊社独自のノウハウを貯めていけたので、こちらも大きな強みになっています。
弊社のお客様の層は、非常に幅広いです。
職種では、サラリーマンの方から自営業の方、有名人の方までいらっしゃいます。性別もバラバラで、女性のお客様も多いです。また日本人のみならず、アジア圏など、外国人のお客様もいらっしゃいます。
さらに年齢層も多様で、中高年の方のみならず、若い方では20代前半の方が物件を購入されたこともありました。
なお、物件をお求めになるお客様の8〜9割が居住目的で、投資目的のご購入は少ないです。
今後については、ご自分でリノベーションを手掛けたい(DIYしたい)というご要望も増えると思っております。弊社はそのようなご要望に対して「今までの経験を生かして」ご提案する、アドバイザーのような立場で関わるかもしれません。
現在は主に、弊社の側からリノベーションされた物件をご提示していますが、今後はオーダーメイドのように、お客様のご要望の内装を実現していく機会も増えると予想します。
ちなみに、弊社が店舗のリノベーションを手掛ける際は、お客様の中に「こんなお店にしたい」という明確なコンセプトがあるので、お客様のオーダーに沿って工事を手がけております。
▲お客様から高い評価を得ている施工事例
引用元:株式会社エアスティール
弊社のホームページでもご紹介しておりますが、リノベーション事例については、お客様から高い評価を受け、お喜びいただいているケースも多く、特別良い事例を挙げることは難しいです。
ただ「エリアにおけるリノベーション物件の相場を作った」という、印象的な成功事例がありました。
例えば、現状であまりキレイではない築20年・2,000万円ぐらいのマンションがあったとしましょう。この物件をリノベーションする場合、工事に600万円かけて、2,000万円後半ぐらいで売るのが一般的でした。
しかし弊社の手掛けたリノベーション物件は3,500万円でも買い手が付き、そのエリアにおけるリノベーション物件の新たな相場を作った形となりました。
弊社のリノベーションチームが力を入れて良い仕事をしたことはもちろん、そのエリアにあった「リノベーション物件に対する潜在的な需要」を掘り起こしたことが、成功につながったかと思います。
なお現在、都内でこのようなエリアを見つけることは難しいですが、地方都市にはまだまだチャンスがあるのではないかと思いますね。
コロナ禍に関して、不動産業界全体はそんなに悪影響を受けていないと思います。
大変な状況の中、日本人はしっかりステイホームしていたのが印象的でしたが、居住スペースに対するこだわりや居心地を、改めて意識するきっかけにもなったのではないでしょうか。
つまり、家族との過ごし方などを通じて、家の価値を再認識したのかもしれません。
コロナ禍においては「マンションを買いたい」「家を広くしたい」「リノベーションしたい」といった要望はたくさんあったと思います。弊社も含めて、不動産業界全体が、緊急事態宣言の時でも、あまり影響を受けなかったという印象です。
コロナ禍の影響はありますが、近年の需要の高まりは、日本の不動産自体が再認識されたことが背景にあると思います。
つまり、海外の投資家も関わり、東アジア全体、世界全体の相場の中で、日本の不動産相場が、グローバルな視点で再認識されているということです。
同時に、不動産に対する日本人の認識が変わってきたということもあるでしょう。
ただし、これは一般的にイメージされる「バブル」の状態とは違うと思います。
バブルでは相場が全体的に上がりますが、現在は一部のエリアだけが上がるという、局地的な上がり方です。需要のあるエリアは上がり、需要のないエリアは下がるという二極化ですね。それに伴って賃料も上昇しているので、現在のところはあまり投機的ではない、健全な上がり方かなとは思っています。
エネルギー価格の上昇に伴って、原料の上昇も感じます。
建物自体のコスト、内装の原価が上がってきていますし、弊社としても負担にはなっています。
それに伴う不動産価格の上昇分は、マーケットの需要が吸収してくれている状態ですね。
ただし、吸収しないエリアもありますし、マーケットがどこまで吸収できるかは、不動産業界だけでなく、政治・経済の状況も反映されるでしょう。
不動産業界としては、買値の調整などをしていくしかないですね。
都内にも大きな生産緑地を抱えるエリアはあります。
例えば、東京・世田谷の生産緑地が市場に出た場合、戸建の需要が結構あるエリアなので、駅から遠くても意外と売れます。
現在のところ、生産緑地が一気に放出されている状況ではなく、今後徐々に影響が出始めると思いますが、エリアによっては非常に大きな影響を受ける可能性もあると思いますね。
もちろん需要には地域差がありますが、影響はゼロではなく、何かしらの形で当然出てくるのではないでしょうか。
空き家問題は、解決につながる法律や政策のないことが、大きな問題かと思います。
現状では更地にすると税金が高くなるので、空き家を取り壊さないケースが多いのです。
ただし、空き家のまま放置すれば、ゴミ屋敷になったり、治安上の問題も出てくるので、速やかな法整備が求められるのではないでしょうか。
なお、弊社は戸建てのリノベーションも手がけておりますので、中古住宅の再生を通じて、空き家問題の解決に少しでも寄与できればと思います。
知人に入ってもらい、かなりデジタル化が進んでいるかと思います。
FAXをデータで受信したり、インフォメーションもオートマチックにチェックできる体制が整っていますし、書類のオペレーションも含めて、できる部分は全てしっかり取り組めているかと思います。
ただ、このようにデジタル化を進めたからこそ、アナログでなければ難しい部分も見えてきました。
例えば、メールでは分かりづらいニュアンス、温度感を要するやり取りは僕が引き継いで、電話や対面で直接お話しするようにしています。
弊社がこれまで携わってきたのは、居住用(実住)の不動産だったので、実店舗の運営にもチャレンジしたいと思います。
例えば、保育園や幼稚園、身体障害者施設などは、意外と駅の近くにありませんから、利用者のご家族も大変かと思います。
立地や規制の問題はありますが、このような施設の運営にはぜひ取り組んでみたいです。
街作り・地域作りに関与していくというと広すぎるかもしれませんが、今後の取り組みとして、このような方向に興味があります。
現代だからこそリノベーション、リユースはとても大事なことです。
古いものの価値を再発見し、そこに付加価値をつけて、流通させる。これは、当然環境にも寄与しますし、弊社が手掛けたリノベーション物件を購入したお客様も含め、みんなでWin-Winの関係を築きたいと思っています。
もちろん弊社と同じくリノベーションに取り組む不動産業者も多いですが、施工精度の高さを今後も磨きつつ、 実直にやっていきたいと考えております。
それから、僕は弊社の所在地である表参道エリアが好きです。実直な仕事を通じて、広く皆様に「表参道エリアにスティールフューチャーズがあるよね」と言って頂ける存在になりたいですね。
■ 企業プロフィール
社名:株式会社スティールフューチャーズ
所在地:東京都渋谷区神宮前5-15-2 STUDIODTEEL23
TEL:03-6433-5223
事業内容:
1. 不動産の売買、賃貸借、交換及びその仲介並びに所有、管理及び運用
2. 不動産投資顧問業
3. 不動産の取引に関するコンサルタント業
4. 不動産情報の収集及び提供業務
5. 損害保険代理業及び募集に関する事業
6. 生命保険の募集に関する業務
7. 住宅及び店舗の内装及び外装の企画、設計及び施工
8. 前各号に附帯又は関連する一切の業務