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大阪市北区で戸建分譲事業などを手掛けるエスリードハウス株式会社。代表取締役の西田睦朗様は、地元・大阪での30年以上の業界経験を活かし、社内体制の見直しと業績アップに尽力されています。
今回は、不動産業界に入られてから代表取締役就任への経緯、エスリードハウス株式会社の強み、また業界を取り巻くさまざまな状況、今後のビジョンまでを伺いました。
私は1987年に積水ハウス株式会社へ入社し、不動産業界に入りました。妻の兄が積水ハウスに勤務しており、それとなく評判を聞いていたということも不動産業界に足を踏み入れたきっかけになります。
積水ハウスには27年間勤務し、親会社であるエスリード株式会社が成長戦略を進めるタイミングで移りました。2019年にはエスリード株式会社の取締役に就任しまして、2021年6月に退任します。
それと重なるタイミングの2021年の2月から、エスリードハウス株式会社の代表取締役に就任いたしました。
エスリードハウス株式会社は、エスリード株式会社の100%出資の子会社になります。なお、エスリードの親会社は森トラスト株式会社です。森トラストからすると、エスリードハウスは孫会社という位置づけになります。
引用元:エスリードハウス株式会社
エスリードハウス株式会社は、戸建分譲事業をメインに展開している会社で、2022年4月で7期目に入ります。
過去の動きは、お恥ずかしい話ですが損益分岐点上ぐらいの成績しか残せていない状況でした。そこで、エスリード株式会社で取締役の経験がある私が、会社の立て直しという位置づけで就任したという流れです。
ただし、これまでが損益分岐点上で「それ以上悪くなることはない」と、気持ちは楽でしたね(笑)。
なお、過去経営がおもうように浮上しなかった原因のうちの1つは、分譲マンションを扱うエスリード株式会社と異なり「一戸建てをわかっている人間が非常に少なかった」ということです。
私もずっと分譲マンション畑だったもので、一戸建てのことをそこまでわかっているわけではありませんが、経営的な視点で、細部にわたってテコ入れしました。
例えば、書類関係をしっかり整理するなど、簡単なことから見直しましたが、大きな効果がありましたね。これからも右肩上がりを目指し、成長戦略をとっていく予定です。
▲施工事例:エスリードハウス登美ヶ丘(分譲済)
弊社は戸建分譲事業を展開しております。具体的には、新築の建売もしくは売建の事業です。
エスリードグループは「住む人の立場に立った住まい作り」がコンセプトで、私たちが大切にすることの1つでもあります。
加えて、長く勤務した積水ハウスでは、住宅は「お客様の生命と財産を守るシェルター」という位置づけで、若い頃からそういった教育をされてきました。
基本的に住宅は、一生のうちで一番高いお買い物になりますから、供給する側の責務として、しっかりしたものをお作りして、ご提供したいと思います。
戸建てを扱う事業者として当たり前のことですが、その基本的なところを、私は一貫して大事にしております。
エスリードハウス株式会社には3つの強みがございます。
1つ目は「立地」で、これは当社が最も重視するポイントです。基本的に、一戸建ても分譲マンションも、根本は「立地」です。マンションや家は、古くなったら建て替えることができますが、ずっと不変なのは立地なのです。そのため、立地の選定には特に気を遣っております。
2つ目は「外観・外構」に力を入れ、街並みに調和した家をご提供すること。
3つ目は、プラスアルファとなりますが「検査・保証体制」です。
この3つの調和が、我々の強みかと思っております。
ちなみに、エスリード株式会社はデベロッパー業界では珍しく、6年連続で完成在庫がゼロなのです。エスリードハウスも、2022年3月末の完成在庫はゼロでした。
立地を厳選し、しっかりとした家をお建てして、適正価格でご提供しているため、当然「残るわけはない」と考えております。
▲6回の施工検査で「安心」を提供
引用元:エスリードハウス株式会社
まず検査体制ですが、通常、一戸建ては竣工まで4回の検査が一般的です。一方、我々の場合は検査を「6回」実施しております。
普通の戸建てでは基礎の配筋の検査は、どのメーカーも実施しますが、弊社ではこれに加えて「基礎の型枠」の検査も、プラスアルファで実施します。
また、外装の下地の工程時も検査をさせて頂いておりますが、これは防水に関係する部分で、大変重要です。
次に保証体制ですが、どのメーカーも通常は10年間の「品確法による建物保証」をしています。我々はそれに加えて「瑕疵担保責任の保険」に加入しているため、万が一、当社が倒産などの事態となっても、10年間はお客様に迷惑をかけないシステムを取らせて頂いております。
さらに、通常のメーカーは、地盤の保障が10年ですが、我々は「20年」の保証期間を設けております。
引用元:エスリードハウス株式会社
ZEH(ゼッチ)住宅とは、「太陽光発電システムなどを用いて、エネルギー収支をゼロ以下にする家」を意味します。
弊社では、条件に合致する住宅に関して、2022年度発売物件からは、基本的に全てZEH仕様にしております。
親会社のエスリードは、東証プライム市場の上場会社でございますので、社会的な責任として、率先して、ZEH対応していかなければいけないと思います。
先日、新聞で「東京都の新築一戸建ての太陽光設置義務付け」の記事を見ましたが、現実にこのような動きは加速するのではないでしょうか。
※参考資料:ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)に関する情報公開について - 省エネ住宅│経済産業省
売建形式の場合、お客様とプランの打ち合わせを実施する際に、Zoomなどのミーティングツールを使用することもあります。ただし、住宅は非常に高額な買い物ですから、可能な限りフェイス・トゥ・フェイスで行っております。
また、近年AIによる不動産価格の査定などもでてきておりますが、私の個人的な見解ですが、立地の選定業務などについてはコンピューターでの代替は難しいのではないでしょうか。
私は地元大阪で30年以上、不動産業に携わっており、その地理や特徴を熟知しております。経験で培った感覚も含め、これが私の最大の強みと自負しております。
不動産において最も重要なものは立地であると先ほども申し上げましたが、人の足で歩いて、人の目で見極める作業は不可欠かと思います。
コロナに関しまして、一戸建て・分譲マンション業界への影響は、総じてなかったのではないでしょうか。
私の感覚では、どちらかというとプラスだったように思います。
コロナ禍でテレワークが増え、家にいる時間が増えましたので、皆様が、家を今まで以上に大事にする傾向が生まれたと思います。
また、緊急事態発出によって、土曜日・日曜日にどこにも遊びに行くことができず、消去法で「家を見に行く」というパターンも増えたはずです。
コロナ禍の初期以降、蔓延防止措置などが発出されている間、住宅見学者は増えたと思います。
建材価格の上昇に伴って住宅価格にも影響が出ており、ウクライナ情勢の前後では、住宅価格が5%〜10%は上昇しているのではないでしょうか。
首都圏はもちろん、私たち関西圏も同じように影響を受け、全体的に価格が上昇しています。
現在のところ、販売にそれほど影響はないですが、私たちプロでも、ウクライナ情勢に関して見通しを立てることはなかなか難しいですね。
▲施工事例:エスリードハウス樟葉くすのきヒルズ(分譲済)
空き家の数を減らすのは、私は難しいと思っています。
最近の日本の人口は1億2,500万人ぐらいですが、50年後には大体8,800万〜9,000万人になるとも言われているようです。
現在、団塊世代が後期高齢者の年齢に入っていますし、今後、劇的に空き家は増えていきます。
唯一、方策があるとすれば、コンパクトシティですね。
要するに「駅に近いところだけを人の住むエリアにして、郊外地は別の用途に変える」など、街づくりのプランから、抜本的に考え直さなければいけないかと思います。
エスリードハウスは、このような将来とお客様の資産価値のことも考えて「駅徒歩15分圏」ぐらいを今後の立地選定の目安としています。
さらなる補助金等の拡充が必要ではないかと考えます。
現在、弊社に住宅購入で来られるお客様のほとんどがZEH住宅を購入したいというお客様です。
一方、ZEHではない住宅を求められるお客様は、私の感覚で大体3割程度です。
その理由は価格です。太陽光システムとエネファームで200万円ほどが、住宅価格に上乗せされるからです。大阪ガスが太陽光のイニシャルコストを負担するサービスもありますが、それでも半額ほどはコストアップします。
加えて、現在はウクライナ情勢などで住宅価格そのものが上昇しているため、負担を避けたいお客様も少なくないのではないでしょうか。
やはり普及率を上げようと思えば、政府が補助金など、目で見える形でさらにサポートしていく必要があるかと思います。
今後1番力を入れたいのが「ペットを中心に据えた街づくり」です。
大きな需要が期待できますし、私自身、愛犬家の1人として、ペットを切り口にした分譲地に、ぜひチャレンジしたいなと思っております。
こういった取り組みは、私が知る限り大阪方面、関西方面ではあまりないかと思います。
エスリードハウスは、近接した街並みとの調和を考慮した上で、これまでにない価値を創造していきます。
弊社は現在、年間100戸ほどの供給がございますが、これを近い将来に、1,000戸体制にすることがビジョンです。
1,000戸規模になりますと、当然大阪だけでは難しいので、まずは親会社のエスリードの支店のある名古屋に進出したいと思っております。
年間100戸規模ではできないことがたくさんありまして、将来的には「ニュータウンの開発」であるとか、敷地内に分譲マンションと一戸建てが並立する「マンション併用のプロジェクト」も手がけたいです。こちらは先ほど申し上げた「ペットを中心とした街づくり」にも関係します。
例えば「同じ敷地内にペット専用マンションとペットに特化した一戸建てがあり、共用部にドッグランを併設する」といった構想もしております。
いずれにせよ、我々はまだまだ若い会社でございますので、どんどん会社を大きくしていきたいですね。そして事業拡大の根本はやはり「人」だと思っておりますので、良い人に会社に入っていただきたいです。住宅や街づくりに興味のある方は、ぜひエスリードハウスの門戸を叩いていただければと思っております。
■ 企業プロフィール
社名:エスリードハウス株式会社
所在地:大阪市北区大淀南一丁目5番1号 ケイヒン梅田ビル4階
事業内容:戸建分譲事業 他
TEL:06-6345-2130(代表)
FAX:06-6345-2120